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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第七十四話 お墓参りその九

「俺達にはな」
「そういうものだね」
「人間は万物の霊長っていうだろ」
 俗に言われている言葉をだ、親父はここで出した。
「よくな」
「うん、僕も聞くよ」
「色々生み出してもちっぽけなんだよ」
「人間の力は」
「そんなの全然な」
 それこそというのだ。
「万能じゃないんだよ」
「その力はなんだ」
「本当に全然な」 
「小さいものなんだね」
「本当に万能ならそうしたこと位わかるだろ」
「誰が誰に生まれ変わるか」
「それと生まれ変わりを完全に証明出来るか」
 そうしたことがというのだ。
「とっくの昔にわかっているさ」
「そういうものだね」
「小さなものだ、俺もな」
「親父もかな」
「そうさ、所詮人間だからな」
「人間は小さいんだね」
「所詮そうだよ」
 ここでも笑って言う、それも明るく。
「人間は小さいってことだ」
「誰でも小さくて」
「その中で必死に生きていくものだ」
「小さいなりに」
「それがまたいいんだ、じゃあ墓参りの後は」
「それからはね」
 僕はその日常のことをだ、親父に話した。
「部活だよ」
「楽しんで来いよ」
「そうしてくるね」
「やっぱりな」
 それこそという言葉だった。
「スポーツは楽しむべきだ」
「それも真剣にだよね」
「健全にな」
「うん、健全に楽しんでくるよ」
「怪我には気をつけてな」
「わかってるよ、怪我はだよね」
「自分持ちだ」 
 親父は微笑みながらもその声は真剣なものになっていた、声も笑っているけれどそこに真剣なものも入っていた。
「だから気をつけろ」
「それで真剣にするものだね」
「さもないと怪我するからな」
「そういうことだね」
「怪我は自分持ちだ」
「苦しい思いをするのは自分だね」
「だからな」
 このことも親父がいつも僕に言っていることで今も言う。
「怪我をしない様に真剣にやってな」
「楽しむべきだね」
「そうしろ、じゃあな」
「それじゃあね」
 こう話してだ、そのうえで。
 二人でお墓参りの後片付けもしてだった、僕達は親父が総帥さんに貸してもらったその車に乗り込んでだった。
 それからだ、親父は運転をはじめる時に僕に尋ねた。
「学校でいいな」
「八条学園だね」
「高等部だったな」
「うん、そうだよ」
「わかった、じゃあ今から行くか」
「それで高等部の前に着いたら」
「御前を下ろしてな」 
 そしてというのだ。 
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