英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)
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第71話
~バレスタイン城~
バレスタイン城の中に入るとアドル達を出迎えるかのように大量の魔物達が襲ってきた!
「チッ、早速か……!」
それを見たケビンは舌打ちをしながらボウガンを構え
「か、覚悟して下さい!!」
ティータはクラフト―――スモークカノンで先制攻撃と同時に敵の視界を奪い
「大地よ!ランドアクス!!」
「やぁ~っ!ホワイトヘゲナ!!」
そしてティータに続くようにフィーナとクローゼがそれぞれ遠距離攻撃でダメージを与えた。
「ソニックスライド!!」
「ふおらあぁぁぁ!フレイムスマッシュ!!」
2人の攻撃が終わるとアドルとアガットはクラフトで強襲して敵陣に斬り込み
「はぁぁぁぁぁぁ………!旋風輪!!」
敵陣の真ん中に突入し、囲まれた2人から守るようにエステルが2人の所に飛び込んでクラフトを放って自分達を囲む敵達を吹っ飛ばし
「ほれっ!デス・スクリーム!!」
ケビンが最上位アーツで敵達全員を攻撃した!アーツの威力や効果によって半数の敵達は滅せられたが、もう半数は残っており、前衛のアドル、アガット、エステルに襲い掛かった!
「ハァァァァァァ……!!」
襲い掛かられたアドルはエステルとアガットとお互いの背中を護るようにした状態で自分に来る攻撃は盾で敵の攻撃を防御しながら剣で何体もの敵を斬り伏せ
「邪魔だぁっ!!」
アガットは攻撃を受けても気にせず大剣を振り回して敵を真っ二つにして豪快に戦う―――まさに狂戦士のような戦い方で戦い
「ハアッ!!」
エステルは片手に棒を、もう片方の手には神剣を持って戦うと言う珍しい2刀流で戦い、自分に来る攻撃は棒で防御した後、神剣で斬り伏せるという戦い方をしていた。一方後衛のフィーナ達に襲い掛かる敵達もいたが
「はぁぁぁぁぁぁぁ…………滅!!」
ケビンがクラフト―――デスパニッシャーで滅し
「回復は任せて下さい!………癒しの風!!ティアラル!!」
クローゼは魔術やアーツで前線で戦い、傷ついて行くアドル達の傷を回復し
「護りの力を!プロテクション!!鳴り響いて!サンダーストーム!!」
フィーナは魔法でアドル達に援護魔法を放ったり、攻撃魔法で次々と敵達を滅して行った。そしてアドル達は襲い掛かる敵達を倒しながら先に進んだ。大量の敵達も厄介だったが、仕掛けはそれ以上に厄介だった。
「!!みんな、一端止まってくれ!」
先頭を歩いていた何かに気付いたアドルが警告すると目の前の床から槍が生えた!
「おわっ!?あ、危なっ!?」
「あ、足元から槍が生えましたね…………」
「…………………」
その様子を見たケビンとクローゼは驚き、アガットは表情を引き攣らせた。そしてさらに先に進むと
「な、何あれ…………?」
「て、鉄球が…………」
先へと進む場所にいくつもの鉄球が振り子のように揺れて、先を阻んでおり、それを見たエステルとフィーナは驚き
「しかも落ちた先は槍が生える床か………まさかエリカが創るよりえげつない罠があるとはな………」
「ハハ………よっぽど嫌われてんねんな、アガットさん………」
「あう………す、すみません………」
さらに罠を見つけたアガットは疲れた表情で溜息を吐き、その言葉を聞いたケビンは冷や汗を垂らし、ティータは申し訳なさそうな表情になった。
「そ、それにしてもアドルさん、よくこんな物騒な城、一人で制覇したわね………」
「敵は多い、おまけに罠も厄介すぎ………ホンマ、尊敬しますわ………」
「まあ、さすがにこの城を制覇するのは苦労したけどね…………」
罠を確認し終わったエステルとケビンは信じられない表情でアドルを見つめ、見つめられたアドルは疲れた表情で溜息を吐いた。
「それでアドルさん、ここはどうやって抜けたんですか?」
「タイミングを計って駆け抜ける!………それだけだよ。」
クローゼに尋ねられたアドルは力強く答えた後、溜息を吐いた。
「う、嘘やろ………?これを駆け抜けるなんて無理やろ………」
アドルの答えを聞いたケビンは表情を引き攣らせて答えたが
「悪いけど、それしか方法が無いんだ…………………ハアッ!!」
アドルは答えた後、鉄球が絶えず揺れて襲っている通路をジッと見つめた後、なんと突然走り出した!鉄球は次々とアドルを襲ったがアドルは紙一重で駆け抜けた!
「…………………」
アドルの行動を仲間達は驚きの表情で見つめていたがやがて我に返り
「へっ。やるじゃねえか。」
「あ、あはは………罠にも驚いたけど、それを潜りぬけるアドルさんにも驚かされるわね…………」
「フフ………さすがはアドルさんですね。」
アガットとエステル、フィーナは感心し
「け、けどオレらもこのえげつない通路を、アドルさんみたいに突破せなあかんねんやろ?」
「こ、困りましたね………」
「えっと………オーバルギアの加速を考えると必要な助走距離は~で………あ、でも、タイミングも計らなきゃいけないし、鉄球のスピードも考えないと………」
ケビンは表情を引き攣らせ、クローゼは苦笑し、ティータは真剣な表情で考え込んでいた。
「あの………何もわざわざ地上から行く必要はないと思うのですが………」
「へ?それってどういう意味??」
そしてある事に気付いたフィーナの言葉を聞いたエステルが尋ねたその時
「こういう事です。」
フィーナは翼を羽ばたかせて天井近くまで飛び上がった後
「フフ………私は先に行ってアドルさんと一緒に待っていますね。」
エステル達に微笑んだ後、鉄球の上を飛行しながらアドルの元に向かった。
「あ、そういう事ね!」
「ハア………ナユタ君達の試練の時も思ったけど、自力で飛行できる人達って、反則すぎやろ………」
その様子を見たエステルは何かを察し、ケビンは溜息を吐いた。
「エステルさん、お願いできますか?」
「うん。カファルー!!」
そしてクローゼに言われたエステルはカファルーを召喚し、ケビン達はカファルーに乗って飛行して、アドルとフィーナが待つ場所に着地した。
「う~ん………先を急ぐ状況じゃなかったら、あたしも自力でクリアしたかったんだけどな………機会があったらアドルさんみたいに挑んでみたいわね。」
「…………ああ。俺達遊撃士の訓練としてもちょうどいい場所だな。」
「えへへ…………オーバルギアを試験する場所にもってこいかも。」
「ア、アハハ………みんな、”バレスタイン城”の難しさを知っても呑気だね………ハア…………(こ、この人達は”バレスタイン城”を何だと思っているんだ………!?この城を登りきるのにどれだけ苦労した事か………!)」
飛行して自分の所に来た後呟いたエステル、アガット、ティータの言葉を聞いたアドルは表情を引き攣らせた後、溜息を吐いた。その後アドル達は先を進み、聖堂らしき場所に到着した。
「行き止まりか………?」
周囲を見回したアガットは呟いたが
「いや………」
アドルが首を横に振った後、探索の途中で手に入れたパイプ、鍵盤、白十字をオルガンに近づいて、それぞれ取り付けた。するとどこからともなく音楽が鳴った!
「な、なんや………!?」
「みんな、あれ………!」
突然聞こえ出した音楽にケビンは戸惑い、エステルは何かに気付いて指を指した、すると今まで行き止まりだった場所の壁が動き、先に進む道へと続いていた!そして同時にアドルの足元の床が消滅した!
「なっ!?こんな罠、以前には―――――」
罠に気付いたアドルは驚きながら落下し
「アドルさん!!」
「フィ、フィーナさん!?」
フィーナは翼を羽ばたかせて落下して行くアドルを追い、フィーナの行動に気付いたティータは驚いた。そしてケビン達がアドルとフィーナが消えた場所に駆け寄ると消滅した床は元に戻っていた。
「ど、どうしよう………!?これじゃあカファルーで2人を追って行けないし………」
「………探すしかねえだろ。見た所地下に続いているみたいだしな………」
「急いでお二人と合流しましょう………!」
元に戻った床を見たエステルは戸惑い、アガットは地下へと続く階段を視線を向けながら呟き、クローゼは提案し、そしてケビン達は地下に降りてアドル達を探し始めた。
「ハア…………油断していたな………同じ場所だからと言って、罠まで同じとは限らないのに………」
一方落下して行くアドルは落下しながら溜息を吐いていた。するとその時
「アドルさん!!」
「フィ、フィーナ!?」
フィーナがアドルに近づき、フィーナに気づいたアドルは驚いた。そしてフィーナはアドルを抱き締めて、ゆっくりと着地しようとしたが
「う…………す、すみません………私の力では……」
フィーナの力では重装備のアドルは抱え切れず、アドルを抱き締めながら落下して行った!
「フィーナ!僕は大丈夫だから、君は離れて!」
「嫌です!絶対にアドルさんを護ります!」
落下して行くアドルは自分を抱き締めて必死に翼を動かそうとしているフィーナに忠告したが、フィーナは聞き入れず翼を羽ばたかせていた。
「クッ………仕方ない…………!ガッ!?……………」
そしてアドルはフィーナを抱き締めた後背中を状態で落下し、落下しながら咄嗟に態勢を変えてフィーナを上にした後、落下した床に叩き付けられて気絶した!
「あうっ!?……………!!アドルさん!?しっかりして下さい!!」
一方アドルによって自分に来る衝撃をある程度守られたフィーナは呻いた後、気絶したアドルに気づき、血相を変えてアドルを抱き起してアドルの名を呼んだがアドルは気絶している為、返事は返って来なかった。
~1時間後~
「…………ん?………この覚えのある感覚は一体………?」
気絶から目覚めたアドルは自分の頭に当たる何かを感じたアドルが呟いたその時
「あ………よかった………目覚めたんですね………!」
フィーナの顔がアドルの目の前に現れた。
「フィ、フィーナ!?」
フィーナの顔を見たアドルは自分がフィーナに膝枕されている事に気付いた後、慌てて起き上がった。
「えっと………ごめんね、フィーナ………看病してもらって………」
「フフ……………いいんですよ。私も久しぶりにアドルさんに膝枕をしてあげられましたし。本当ならもう、こんな事はできなかったんですから………」
「フィーナ……………君は―――」
寂しげな笑みを浮かべたフィーナを見たアドルが何かを呟こうとしたその時
「ん…………」
「………(フィーナ…………)」
フィーナに口付けで唇を塞がれ、フィーナと深い口付を交わした。
「…………アドルさんの言いたい事はわかりますが………いいんです。私は今でも自分の選択を後悔していません。ですから、そんな暗い顔をしないで下さい。」
「フィーナ………うん、そうだね。」
口付けが終わった後のフィーナの迷いのない微笑みをアドルは見つめ続けた後、優しげな微笑みを浮かべて頷いた。
「それよりアドルさん、ここがどこかわかりますか?」
「えっと…………どうやらここはエレナ達が幽閉されていた場所のようだな………まいったな………地下の一番奥まで落ちてしまったのか………」
そしてフィーナに尋ねられたアドルは周囲を見回した後答え、溜息を吐いた。
「そうですか………早く皆さんと合流しませんと………うっ………!?」
アドルの言葉に頷いたフィーナだったが、急に吐き気を感じて手を口に当てた。
「フィーナ!?一体どうしたんだい!?」
「…………フウ………………心配しないで下さい……ただの妊娠の兆候ですから…………」
自分を心配して背中をさするアドルにフィーナは一息ついた後、幸せそうな表情でアドルを見つめて答えた。
「に、妊娠!?フィーナが!?」
「はい。この世界に来てから今まで感じた事のない違和感を何度も感じましたから、医療に詳しい方達――――ティナさんやペテレーネさんに看て頂いた時、そう言われました。」
「………ま、まさか君のお腹の中にいる子は………」
顔を赤らめて答えたフィーナの言葉を聞いたアドルは信じられない表情で見つめ
「………………私が身体を許したのはアドルさん、唯一人だけですし、これからも変わりません。」
「……そうか………………!でも、フィーナ。君が元の世界に帰還したら………!」
「フフ………大丈夫ですよ。いつか役目を終える時が来れば………この子を産む事になるでしょう…………最も、その時が来るのは遥か先ですが…………」
「…………………………フィーナ……………」
寂しげな笑みを浮かべて語るフィーナをアドルは辛そうな表情で見つめていた。
「そんな辛い顔をしないで下さい。私のお腹の中にアドルさんと出来た赤ちゃんがいると知った時………とても幸せでした………!この子がいれば、貴方がいなくなった世界でも強く生きていけます………」
「……………………すまない………君がその子を産んだその時、”人間”である僕は…………」
「………わかっています。ですからアドルさん、お願いがあるんです。」
「何だい?」
「………この子の名前はせめてアドルさんが決めてあげて下さい。今すぐでなくても構いませんので。」
「………わかった。この”影の国”から帰還するまでには必ず考えておくよ。」
フィーナの言葉を聞いたアドルは力強く頷いた後微笑んだ。
「ちなみに女の子ですから、可愛い名前をお願いしますね。」
「………何で産まれてもいないのに性別がわかるんだい?」
「フフ………ただの勘ですよ。」
「ハハ………”女神”の君の勘だと、当たる可能性は高いね………わかった。考えておくよ。」
フィーナに微笑まれたアドルは苦笑した後、頷いた。
「ありがとうございます。………それと…………もう一つあるのですけど、いいですか?」
「何だい?」
「………私を抱いて下さい………遥か先の時代で、私に刻まれた貴方のぬくもりと一緒にこの子を育てる為に…………」
「………ああ。」
「アドルさん…………!」
その後フィーナはアドルに抱かれ、さらに何度も愛し合った。
「さて………と。そろそろ僕達も行動しようか。ケビンさん達も探し回っているだろうし。」
「はい。」
そして2人は部屋を出た。すると広間に出た。広間には白を基調とした騎士服と短いスカート、そして紫の外套を羽織り、肩まで切り揃えた金髪と紫紺の瞳の女性がいた。
「なっ!?君は………!」
「フフ………お久しぶりですね、アドルさん。まさかこんな形で再会する事になるとは思いませんでした。」
女性を見たアドルは信じられない表情をし、女性は微笑みながら答えた。
「お知り合いですか?」
「ああ。…………―――エレナ・ストダート。ドギの幼馴染だよ。」
「まあ………ドギさんの?」
女性―――エレナの正体をアドルから聞いたフィーナは驚きの表情でエレナを見つめた。
「け、けどエレナがここにいるって事は……」
「はい、お察しの通りです。私を倒さなければ、先に進めないようになっています。それとさっきの罠は”ルール”の一つです。私とアドルさんの手合わせを邪魔されない為に仕掛けられた罠なんですが………どうやらそれは失敗したようですね。」
驚きの表情のアドルに見つめられたエレナは頷いた後、フィーナに視線を向けた。
「…………一応聞いておくけど、”ルール違反”をしたフィーナには何も起こらないよね?」
「はい、大丈夫ですよ。それに…………」
アドルに真剣な表情に尋ねられたエレナは頷いた後、アドルにとって見覚えのある剣を構え
「一人増えたぐらいでは、別に支障は出ません。」
微笑みながらアドルに剣を向けて言った。
「それは”ブレイブソード”!!何故、その剣が………!」
「………アドルさんがフェルガナを去った後、ジェノス島跡を調べに行った街の皆さんがこの剣を海底から引き上げ、私に渡してくれたんです。」
「そうか……………というか今更だけど、エレナ。………君、何で戦えるんだい?」
エレナの話を聞いたアドルは重々しく頷いた後、表情を引き攣らせて尋ねた。
「フフ………もしかして忘れたんですか?別れるときに言いましたよね?いつか兄のように愛する故郷と大切な人達を守れるように強くなるって…………」
「いや、その時の事は今でも覚えているけど…………まさか本当に強くなるなんてね………」
エレナに微笑まれたアドルは答えた後、苦笑した。
「………私があの時の誓いを叶えられたか………今ここで確かめて下さい、アドルさん。」
「………わかった。悪いけど手加減抜きで行くよ!今こうして感じているけど………君は手加減できるような相手じゃないようだからね。」
「私も手伝います、アドルさん………!」
エレナに言われたアドルは頷いた後、鞘から”クレリアソード”を抜き、盾を構え、そして剣をエレナに向けて言った。一方フィーナもアドルに続くように杖を異空間から出して、構えた!
「―――”白騎士”エレナ・ストダート。これより”冒険家”アドル・クリスティンに挑まさせて頂きます………!」
「来い、エレナ…………!」
そしてエレナは静かに呟いた後闘気を全身に纏って決意の表情でアドルを見つめ、見つめられたアドルは真剣な表情で闘気を全身に纏った後、剣をエレナに向けて言った。
こうしてアドルはフィーナと共に”遺志を継ぐ白騎士”エレナ・ストダートとの戦闘を開始した…………!
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