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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  バカとテストと召喚獣 ~出会いと名乗りと調査依頼~

「転校生の蒔風舜だ」


ここは教室。
二年のFクラスである。

学校名は文月学園。
蒔風舜は今、この学校に転校した生徒として今ここにいる。


「お前の席はあそこだ」


担任の先生に促され座る。
ちなみに席と言っていたが、あるのはちゃぶ台である。


「・・・・・なにこれ。イジメ?」

「あとでクラス代表から説明してもらえ。HR始めるぞ」



HRが始まった。
終わった。



もっと説明しろ?
だって本当にこんなもんなんだしかたないだろ。




そんなことを考えていると、一人の男子生徒が近づいてきた。
どうやらさっき言われていたクラス代表らしい。

・・・・・クラス代表?
クラス委員じゃなくて?


「よう。オレがFクラス代表坂本雄二だ。災難だな。よりによってこんなクラスに入るなんて」

「転校だから仕方ないさ。オレ、蒔風舜。でさ、早速聞きたいことがあるんだが」

「なんだ?」

「試召戦争ってなんだ?」

「ああ、それな」



雄二が(下の名で良いと言われた)試召戦争の説明をしてくれる。




ここ文月学園では、革新的な学力低下対策として「試験召喚システム」を初めて採用した学校である。

科学とオカルトと偶然によって完成した「試験召喚システム」
なぜ「試験」なのかというと、召喚獣の強さが、テストの点数によって変わるからである。

この学園のテストの点数に上限はない。
制限時間内ならば、何問でも答えていくらでも点を上げられるのだ。


そして試験召喚戦争―――略して試召戦争とは、その試験で得た点数がそのまま戦闘力になる召喚獣を用いた、クラス間のいわば競い合いだ。
聞こえはあれだが、そのいわゆる「戦争」に勝てばクラスの教室を交換できるのだ。

「戦争」における戦いの内容は、何教科かの総合点から一教科の単発勝負まで、まさしく「戦争」らしく多岐にわたる。
ただの点数比べには終わらない、戦術が生きてくるのだ。



なおクラスの備品はランクで分かれており、成績優秀者上位50名の在籍するAクラスには黒板でなく大型スクリーン、さらには各生徒に個人用の冷蔵庫、エアコン、ノートパソコンにリクライニングシートにシステムデスクと至れり尽くせり。

蒔風の在籍するFクラスは最低ランク。
座布団(綿がほとんど入ってない)に卓袱台(ガタガタしてる)という待遇も、この学校内では勉強できないが故のものとして受け入れられている。



「なるほどね。それなら勉強して召喚獣強くして戦っていい設備の教室に行きたがるわな」

「そういうことだ」

「雄二ー。どうしたの?」

「おう、明久。お前は人の話を聞かないんだってことをな」

「え?なんでいきなり貶されたの?僕!!」

「HRで鉄人が言っていただろ。俺はクラス代表として転校生に説明しなきゃならなかったんだ」

「え!?転校生!?」

「オレオレ。ってか本当に聞いてなかったんだな・・・」

「それだから授業も聴けず学園最下位の成績になるんだろうが」

「バカな!!!僕が最下位なんて!!!」

「いい国作ろう?」

「そんなのは政治家の仕事さ!!!」

「以上がこの吉井明久という人間の説明だ」

「よくわかった」

「え!?なに?なにかやっちゃった!?」



「明久、何を騒いでおるのじゃ」

「・・・・明久・・・・どうした」

「授業始まるわよアキ。ん?転校生じゃない」

「明久君、早速友達になったんですか?」




ゾロゾロと人が集まってくる。
この吉井明久という男、バカでも自然と人が集まるようだ。


「おお、なんじゃ転校生の蒔風か。ワシは木下秀吉じゃ。秀吉と呼んでくれ」

「・・・・土屋康太」

「ウチは島田美波よ」

「姫路瑞樹です。よろしくお願いします」

「えっと、島田さん、土屋、姫路さん、秀吉・・・・くん?」

「バカな!?秀吉の性別を見破った!!??」

「違うよ蒔風くん!!!」

「どうした、吉井。あ、あと俺はなんとでも呼んでいいぞ?」

「秀吉は第三の性別「秀吉」なんだ!!!男とか女とかは超越してるんだ!!!」

「おぬしはなにを言ってるのじゃ明久!!??」

「確かに、木下君はずるいです!!!」

「そうよ!!ウチより胸があるじゃない!!!」

「待つのじゃ島田!!それは誤解じゃ!!ワシはれっきとした男じゃ!!なんならここで証明を・・・・」

「だ、ダメだよ秀吉!!みんなが見てるよ!?」

「それがなんじゃ!!ワシは男じゃ!!そんなもの気にしないのじゃ!!!」

「いや違う。ムッツリーニが失血死してしまう」

「(グッ!!!パシャパシャパシャ!!!)ダバダバダバダバ・・・・・・・・ガクッ」

「ムッツリーニーーーー!!!!!」

「ムッツリーニ?」

「ああ、こいつは「寡黙なる性職者」だ。ムッツリーニと呼ばれている」

「本名なんだっけ?」

「つち・・・や・・・・こ・・・う・・・・た・・・・・・」

土屋康太改めムッツリーニが輸血パックで血を補充している。


ふむ。
こんな待遇の割にはなかなかいい雰囲気のクラスである。

というかくつろぎ感すらある。



「・・・明久、蒔風に召喚獣がどんなものか見せてやってくれないか」

「え?なんで僕が?」

「お前ほど召喚獣の扱いに長けたバカはいないからさ」

「雄二、いま何かほめ言葉でない単語が聞こえたよ?」

「ああ、いい意味でな」

「いい意味で、って付ければいいってもんじゃないよ!!悪意がそこにあるよ!!」

「悪意なんてお前に抱くわけないだろ」

「そ、そうだよね?僕たちは友達だもんね!!」

「抱いているのは殺意だ」

「常になのかっ!僕は常に狙われてるのか!?」

「いいから召喚しろ。許可はオレが出す。《機動(アウェイクン)》」


言葉でいうより手っ取り早いと、雄二が明久をたきつけて召喚獣を見せてくれるらしい。


雄二の言葉に反応し、彼の手首につけられた白金の腕輪が光り、フィールドが小さく展開された。


「あれ?召喚許可は教師じゃなきゃ出せないんじゃ?」

「この腕輪は特別でな。教師でなくても許可を出してフィールドを展開できる」

「はぁ・・・じゃあいくよ?《試験召喚(サモン)》!!」


吉井の足本に幾何学的な魔法陣が現れ、試験召喚獣が現れる。

デフォルメというか2Dというか。
そんな大きさで獣じみた姿になった明久に、学ラン着せて木刀を持たせた、大きさは80センチ程度の召喚獣が現れた。


「これが試験召喚獣だ。これからお前も戦力になるかもしれないから。よく知っておいてくれ」

「おう。で、触れんの?」

「まあな。っても明久のは特別でな。「観察処分者」だから触れるんだ。普通の召喚獣は物に触れない」

「観察処分者?」

「ふふん、観察処分者っていうのはね、この学園でただ一人。最も「バカに」優れた僕だけの、雄二!!なんで僕の評判を落としたいの!?」

「お前の不幸がオレの幸せだからな」

「でさでさ、この召喚獣って実際どれくらいつおいの?」

「つおいって・・・・まあ、こんななりだがかなりの力をもっているな。明久の点数でもサッカーゴールくらいは簡単に持ち上げるぞ」

「ふーん。で、こいつを倒せばいいんだよな?」

「まあな、でも生身の人間じゃ・・・・」

「せりゃ!!!」

「むり・・・って」


蒔風が制止される前に実行に移した。

蹴りでの突きを繰り出し、さらに回転しながらの蹴りも当てる。
結構軽い感じがするようだが、その実この攻撃、そこらへんのコンクリートなら粉々に粉砕するだけの威力はある。

何発かの連続蹴りに回し蹴り。
それを食らって、明久の召喚獣は吹っ飛び

「い、痛いッ!イタッ、イタァァァァァア!!」

「ちょ、ストップストップ!!」

明久自身が痛みに身もだえていた。
なぜだ。



「およ?大丈夫か?」

「観察処分者の召喚獣へのダメージや疲労は何割かフィードバックするんだが・・・・説明が省けたな」

「え、マジそれ?吉井、大丈夫?すまない」

「うう、親切心が心にしみる」

「やったのは本人なんじゃがのう・・・・」


ちなみに、試験召喚獣は物体に干渉できない。
つまり召喚獣同士で殴り合うしかできないのだが、観察処分者の明久の召喚獣は、雑用業務を手伝う関係上ものを持ち上げたりが可能らしい。

これがいわゆる彼の特権らしい。
あまり名誉なものとは言えないが。



そんな話をしているとチャイムが鳴った。
授業が始まり、しだいに時間は過ぎていく。





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時間は流れ。

「で、なんだ。オレを呼び出して。なんかまた雑用か」

「お前さんに調べて欲しい事があるのさね」


坂本雄二は、学園長に突然呼び出されてここにやってきていた。

学園長に呼ばれたのだから、当然ここは学園長室。
そして目の前にいるのは、やはり当たり前だが学園長である。


藤堂カヲル
文月学園の学園長にして試験召喚システムの開発者。
それなりの高齢のはずだが、そんなことを考えさせないほど元気なババァだ。


「何か失礼なこと言ったかい?」

「あん?何も言ってないぞ。ボケたかババァ」

「今言ったろうが。まぁいいさ。あんたのクラスに一人転校生が来ただろう?」

「蒔風のことか?」

「そうそうそんなガキだったね。で、これがそいつの転校手続きなんだが・・・」

「なんだ?別に普通だが」

「そこに書類手続きだとか、全国模試とかの成績が書いてあるだろう?」

「ああ。そこそこだな」

「問題は点数じゃないんだよ。でもね、この学園は試験召喚システムの実験場でもある。そうホイホイと転校生が来るわけがない」

「だが現に蒔風が転校してるじゃないか」

「だからおかしいと思って調べたんだよ。そしたらどうだい、全国模試の名簿に、蒔風舜なんで名前はなかったよ」

「・・・・どういうことだ?この書類は偽物ってことなのか?」

「いや、その書類は間違いなく本物さ。だからこそおかしいんだ」

「なるほど。存在するものとデータが合わない。しかも両方とも本物ってことか」

「だから調べてくれないかい?あんたはなかなかできるからね。なんなら、何人か協力者を求めてもいいよ」

「別にしてやる義理なんざ無いが・・・・まぁ、一つ貸しだからな」

「構わないよ。さ、用はすんだよ。さっさといきな」

「うるさいババァ長だ」

「聞こえてるよ!!」











to be continued


 
 

 
後書き
アリス
「今回はバカテスの世界!!!今回の世界の時系列は?」

あらかたの登場人物が出てきて・・・確実に一巻以降だからね・・・・
名言は致しません!!!

アリス
「ああ、とにかくバカテスの世界ですよ、と?」

そうそう
あ、後最後の一文は言葉とかじゃなくて一生懸命考えたオリジナルのバカテストです





アリス
「次回「雄二、蒔風を問いただす」」




ではまた次回







【スポーツに関する学生アンケート】
野球と聞いて想像することはなんですか?

木下秀吉の答え
イチロー、巨人、WBC

教師のコメント
日本人ならまず知っている野球の代名詞ですね



姫路瑞樹の答え
青春、部活、甲子園

教師のコメント
まさに学園生活の一ページです。
姫路さんもそんな青春を送れるといいですね



島田美波の答え
デッドボール

教師のコメント
どうしてあなたの回答はこう物騒なんですか?


その他の全F組男子の答え
『『『野球拳』』』

教師のコメント
上記三人以外の全員の答えがこれのなのに対し、先生どうしたらいいかわかりません
しかし、嫌いではないです。




西村教諭のコメント
後で先生も一緒に指導室に来てください
 
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