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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第225話

トリスタを見回った後学院の見回りを始めたリィンは校門で学院を見上げてジッとしているクレア大尉が気になり、話しかけた。



~トールズ士官学院~



「………………………」

「クレア大尉、学院をずっと見上げてるようですけど、何か気になる事があるんですか?」

「リィンさん。いえ、久しぶりに母校をじっくり見れる機会ができましたので、母校を見ながら昔を思い出していたんです。」

「そう言えばクレア大尉もトールズの卒業生でしたね。―――そうだ。もしよろしければ一緒に学院内を見て回りませんか?クレア大尉が知っている昔のトールズと俺が知っている今のトールズの違いもそうですが、学生時代だった頃のクレア大尉の話も聞きたいですし。」

クレア大尉がトールズ士官学院の卒業生である事を思い出したリィンはクレア大尉を見つめて提案した。

「ええ、構いませんよ。私もちょうど久しぶりの母校を見て回ろうと思っていた所ですし。」

その後リィンはクレア大尉と学院内を見て回りながら、昔のトールズと今のトールズの違いの話に花を咲かせ……最後はⅦ組の教室に訪れた。



~1年Ⅶ組~



「ここが”Ⅶ組”の教室ですか……リィンさんはどの席に座ってらっしゃっているのですか?」

「俺はここですね。」

リィンはいつも自分が座っている席に向かい、懐かしそうに自分の机を手で撫でていた。

「ここが……フフッ、不思議な偶然ですね。学院に通っていた頃の私の自分の教室での席の位置も2年間リィンさんと同じ位置でしたよ。」

リィンの席の位置や教室を見回したクレア大尉は目を丸くした後微笑んだ。



「へえ……っ!それは凄い偶然ですね。教室と言えば……クレア大尉は平民クラスだったんですか?」

「はい。私がトールズを選んだ理由は奨学金の制度が充実していたからもありましたので。」

「奨学金……と言う事はクレア大尉もエマと同じ主席だったんですか!?」

クレア大尉の口から出た言葉を聞いてある事を推測したリィンは驚きの表情でクレア大尉を見つめた。

「ええ、お恥ずかしながら。卒業するまでの2年間、主席をキープするのは大変でしたけどね。」

「そ、卒業するまでずっと主席だったんですか…………ハハ……でもクレア大尉なら納得ですね。ちなみに学生時代のクレア大尉はどんな生活をしていたのですか?」

クレア大尉の学生時代を聞いて表情を引き攣らせたリィンは苦笑した後、気を取り直してクレア大尉を見つめて問いかけた。



「どんな……と言われましても特筆するような事はない生活でしたよ。授業が終わっても予習、復習の勉強尽くしでしたから部活にも入っていませんでしたし、アルバイトもしていませんでした。遊びに誘われてもほとんど断っていましたから、クラスメイトの人達からは付き合いの悪いつまらない女子生徒だと思われていたでしょうね。」

「ちなみにクレア大尉を遊びに誘った生徒は女子生徒ばかりだったんですか?」

「いえ、男子生徒もいました。……今思い返してみますと私を誘った生徒は男子が多かったような気がしますね……しかもその中には貴族生徒もいましたね……」

リィンの質問を聞いたクレア大尉はかつての出来事を思い返した。



「ハハ、やっぱり男子の方が多かったですか。」

「?リィンさんは理由がわかるのですか?」

自分では不思議に思っている事をリィンが理解している事にクレア大尉は不思議そうな表情で尋ねた。

「ええ。これはあくまで俺の想像ですけど、男子生徒達はクレア大尉と男女の間柄になりたい為にクレア大尉を誘ったのではないでしょうか?」

「………………え。」

リィンの答えを聞いたクレア大尉は固まった後我に返ると呆けた声を出し

(……理解不能です。何故こういう時に限ってマスターは恋愛方面に鋭くなるのでしょう?)

(そうですよね……リィン様が御自身に向けられる女性達の感情に鋭かったら、お父様のようにもう少し上手く立ち回れる気がするのですが……)

(ふふふ、全く持ってその通りですね。)

(そこが鈍感男の不思議な所よね♪)

(フフ、でも鈍感な所もまたリィンらしい所だから私は変わらない方がいい気もするけどね。)

リィンの鋭さを知ってジト目になったアルティナの念話を聞いたメサイアは疲れた表情で頷き、静かな笑みを浮かべるリザイラと共にからかいの表情になっているベルフェゴールの意見を聞いたアイドスは苦笑していた。



「あ、あのリィンさん。何故そう思ったのか理由を尋ねてもよろしいでしょうか?」

「ええ、いいですよ。と言っても理由は到って単純――――クレア大尉が美人だからですよ。」

「!!!!???」

リィンの答えを聞いたクレア大尉は顔を真っ赤にして混乱し

「大人の今で凄い美人なんですから、学生時代も美人だったに違いありません。普通の男子ならクレア大尉みたいな美人の女子生徒に見惚れると思いますよ?」

「~~~~~~っ!!そ、その……もし私が学生だったら、リィンさんも学生の私に見惚れていたのですか?」

リィンの説明を湯気が出る程顔を真っ赤にして聞いていたクレア大尉は顔を俯かせて尋ねた。



「ええ、勿論俺も見惚れていたと思いますよ。クレア大尉と最初に出会った”ルナリア自然公園”の時も、凄く綺麗な人だなって思っていましたし。」

「~~~~~~っ!!わ、わかりました!わかりましたから、もうこれ以上言わないで下さい!」

「ハ、ハア……?」

顔を真っ赤にしたクレア大尉に制されたリィンは戸惑いの表情で説明を止め

(うふふ、さすがご主人様♪釣った魚にもちゃんと餌を上げるのは偉いわよ♪)

(あ、あのベルフェゴール様……もう少し遠回しな言い方に変える事はできないのでしょうか……?)

(ふふふ、というかこの調子だとここで交じり合いをしそうな雰囲気ですね。)

(………不埒過ぎるマスターなら、十分にありえるでしょうね。教室でするなんて不埒過ぎますし。)

(まあ今までのパターンを考えたら、そうなる可能性は高いでしょうね……)

クレア大尉の様子を微笑ましそうに見守っているベルフェゴールの念話を聞いたメサイアは表情を引き攣らせ、リザイラとアルティナの推測を聞いたアイドスは苦笑していた。



「フウ……リィンさん?既に何度も言ったと思いますが、リィンさんのその不意打ちによる発言で私を含めた多くの女性達が被害に遭うと説明しましたよね?私の説教、本当に覚えているのですか?」

「す、すみません……(というか何故説教される事になったんだ……?)」

溜息を吐いた後真剣な表情で自分を見つめるクレア大尉にリィンは心の中で疑問を抱きながら謝罪した。

「謝罪をするくらいならその悪い癖を何とか治すように努力してください。」

「は、はい!」

「全く……………………」

「クレア大尉?」

呆れた表情をした後急に黙り込んだクレア大尉が気になったリィンは不思議そうな表情をした。



「……私ってば、駄目ですね……リィンさんに頼みたい事があるのに、話をする前につい説教をしてしまうなんて……」

「へ?俺に頼みたい事ですか?一体何でしょうか?」

クレア大尉が呟いた言葉を聞いたリィンは不思議そうな表情で尋ね

「その……私とリィンさんの関係を脚色した内容の新聞を発行する許可を頂きたいのです。」

クレア大尉はリィンにとって予想外の話を口にした。


「ええっ!?俺とクレア大尉の関係をわざわざ新聞にするんですか!?というか脚色した内容と言いましたけど、一体どんな内容に脚色するのでしょうか?」

「…………『オズボーン元宰相のやり方に前々から疑問を抱いていた”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の一人―――”氷の乙女(アイスメイデン)”クレア・リーヴェルト大尉はエレボニアの”英雄”リィン・シュバルツァーとの出会いを切っ掛けにオズボーン元宰相のやり方が間違っている事に内戦の最中に気付き、オズボーン元宰相と決別。そしてクレア大尉の説得によって”鉄道憲兵隊”と”情報局”、残りの”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の目も覚め、オズボーン元宰相と決別し、リィン・シュバルツァーに忠誠と共に恋心を持っていたクレア大尉はオズボーン元宰相からリィン・シュバルツァーへと鞍替えした。』……大体こんな内容になりますね。」

「なっ……!?…………………その、オズボーン元宰相を否定する内容が目立っていましたけど、もしかしてゼムリア大陸の人々のクレア大尉達―――”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の人達や鉄道憲兵隊、情報局に対する印象を少しでも良くする為ですか?」

クレア大尉の口から語られた驚愕の内容を聞いたリィンは少しの間考え込んだ後複雑そうな表情で自身の推測を口にした。



「……はい。リィンさんも既におわかりかと思いますが、双界を滅亡させようとしている宰相閣下に対する人々の印象は最悪と言っても過言ではありません。当然宰相閣下の子飼いと見られている私達も世間からすれば世界を破壊しようとした者の元部下と見られるでしょうから、私達に対する風当たりも強くなるでしょう。それを少しでも軽減する為にエレボニアの”英雄”であるリィンさんのご協力が必要なのです。」

「……あの。前々から疑問に思っていましたがみんな、俺の事を”英雄”って言っていますけど、俺は何もしていませんよ?内戦を終結させる事もできませんでしたし。」

「フフ、リィンさんは内戦終結に向けての行動をしていた”紅き翼”のリーダー的存在ですし、ヴァリマールを使った今までの活躍、そしてアルフィン殿下の救出の件とエレボニア存亡会議に出席した件を考えれば”英雄”扱いされる要素は十分ありますよ?」

「ハ、ハア…………その……クレア大尉はそれでいいのですか?今まで慕っていたオズボーン元宰相を否定するような事をして。しかも先程クレア大尉が仰っていた内容だとクレア大尉が世間から好奇の目で見られる事になる可能性も十分ありますよね?」

苦笑しながら答えたクレア大尉の話をリィンは戸惑いの表情で聞いていたがすぐに気を取り直し、心配そうな表情でクレア大尉を見つめて問いかけた。



「…………はい。部下達や”革新派”の人々の未来の為にも私達自身が閣下を否定しなければならない…………私はそう思っています。部下達の未来を少しでも良くする事ができるなら、私は世間からどんな風に見られても構いません。」

「クレア大尉…………――――わかりました。俺なんかでよければ、幾らでも協力します。」

決意の表情で語ったクレア大尉を見つめたリィンは静かな表情で答えた。

「本当にありがとうございます、リィンさん…………私達―――エレボニアは本当に情けないですね。エレボニアの未来の為にまだ学生のリィンさん一人に様々な重荷を背負わせているのですから………」

「……俺の事はどうか気にしないで下さい。エレボニアは俺にとって元祖国ですし、それに士官学院に入学してから今まで接して来たエレボニアの人々の力になれるのなら、お安い御用です。」

辛そうな表情で肩を落としているクレア大尉にリィンは優しげな微笑みを浮かべて答えた。



「リィンさん………………その、先程の話とは別に”私自身のお願い”もあるのですが、よろしいでしょうか?」

「”クレア大尉自身”の、ですか?えっと……とりあえず話を聞きますので、話してもらっも構わないでしょうか?」

「―――わかりました。ですがその前に…………」

リィンの答えを聞いたクレア大尉は教室の灯を消し、更に教室の扉の鍵を内側からかけた。



「え。クレア大尉、一体何を―――――」

「…………………」

クレア大尉の行動にリィンが戸惑ったその時リィンに近づいたクレア大尉がリィンの目の前で服を脱ぎ始めた。

「!!??な、なななななななっ!?」

(うふふ、やっぱりこうなったわね♪それじゃいつものように邪魔者が入らないようにしないとね♪)

クレア大尉の行為にリィンが慌てている中ベルフェゴールは結界を展開し、そして下着姿になったクレア大尉は一括りにして縛っていた髪留めを外して髪を下ろした状態でリィンに抱き付いた。



「リィンさん…………今私を抱いて私にリィンさんの子供を孕ませて下さい……それが”私自身のお願い”です。今日は危険日ですから今日、中に出せば高確率でリィンさんの赤ちゃんを孕むと思います。」

「ええっ!?そ、その……どうしてそんなとんでもない事を……?というかシュバルツァー家の跡も継いでいない俺に子供なんてまだ早いと思うのですが……」

「私が産んだリィンさんとの間にできた子供は私が育てますのでその点は心配しないで下さい。……………私は怖いんです……弟を失った時のようにまた行き場を失う事が…………閣下に”不要”と判断されて捨てられ、鉄道憲兵隊の今後も危うい私にとっての唯一の支えは私の初恋の相手であり、”全てを捧げた”私が心から愛しているリィンさんだけなんです……」

「あ…………その、俺がトールズ士官学院を退学した際アリサやクレア大尉達とも籍を入れなければならない事は知っていますよね?それに俺はクレア大尉を捨てるつもりなんて事は絶対にしません。」

身体を震わせながら語ったクレア大尉の本音を知ったリィンは辛そうな表情をした後静かな表情で答えた。



「リィンさんがそんな酷い事をするような方でない事はわかっています!それでも…………私がリィンさんに愛され、求められているという”証”が欲しいんです……!だから――――んんっ!?ちゅ……れる……ふぁ……」

辛そうな表情で語り続けたクレア大尉の唇をリィンは舌を絡めるほどの深い口付けで制止してクレア大尉を優しく抱きしめた。

「リィンさん……」

「……それ以上は言わなくていい。――――”クレア”、本当にいいんだな?」

「はい……!私に貴方の子供を孕ませて下さい……!」

そしてリィンはクレア大尉と深く愛し合い始めた。



その後”行為”を終えて二人で後始末をした後、互いに恥ずかしそうな表情をしながら教室の前でキスをしてわかれ、リィンは学院の徘徊を再開した。 
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