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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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炎の声

 
前書き
ブレイブサーガのクエスト行くときにウェンディが「このオスネコ!!あ・・・ごめんねハッピー」って言うのが可愛くて萌える♥ 

 
「来やがれ!!」

巨大な一つ目の鳥へと全速力で駆け出すナツさん。彼は強そうなその相手を目の前にして、不敵な笑みを浮かべている。

「ギヤアア!!」

迫ってくるナツさんを迎え撃とうとする鳥。そいつは人ひとりをまるごと乗り込めそうなほどの大きな口を開け、鋭く並ぶ牙を見せる。

「あいつ!!やっぱり食べるつもりだよ!!」
「「ナツさん!!」
「危ない!!」

かなりの速度で突っ込んでいるナツさん。彼が相手の大きな口にこのまま飛び込んでしまいかねない状況。しかし、

「そう簡単に、食われるかよ!!」

彼は炎を足に纏わせジャンプすると、そのままの勢いで蹴りを放つ。まともに彼の攻撃が入った巨大な鳥は、何回転もしながら吹き飛ばされていく。

「ナツぅ!!」
「やるじゃない!!」
「さすが~!!」

それを見てイケイケムードになっているエクシードたち。蹴り飛ばされた鳥は、羽根をバタつかせて体勢を整えると、空中で重力に従い落ちているナツさんに向かって加速する。

「ギヤアア!!」

雄叫びをあげながらナツさんに足を向ける鳥。勢いに押されたナツさんは、足に捕まった状態のまま、氷の地面に叩きつけられる。
そこから、鳥は捕まえたナツさんを再び動きを封じるために空へと投げる。

「ナツ!!」
「俺は大丈夫!!氷を・・・永遠の炎を復活させるんだ!!」

炎を両手に纏い、バランスを修正した彼は、その両手を合わせて敵へと向き合う。

「きっと炎がこの村を救ってくれる!!」

下に落ちていく力も活用しつつ、敵の顔面に煌炎をぶつける火竜。まさか足場のない空で攻撃をしてくるとは思ってなかった鳥は、先程と同様に飛ばされている。

「任せとけ!!」

全員がナツさんと巨大な鳥との戦いに釘付けになっている中、氷の魔導士は永遠の炎へと駆けていく。

「この村を覆う氷は得体が知れない。操ることも溶かすこともできなかったが、俺の体を通すことができた。これは同じ氷の属性ゆえなのかわからねぇが」
「氷の魔力を体に通す!?」
「え!?どういうことですか!?」
「通した後、どうするんですか?」
「アイスメイクだ!!」

彼が何を言っているのか一瞬理解できずにいたが、それを解説している余裕もないし、彼自身もイマイチわかっていないらしい。グレイさんは凍りついた永遠の炎に到着すると、早速自分の手をそれに当てる。

「この村の氷を、俺の形に作り替える!!」
「すごい・・・そんなことが・・・」
「できるかはわからねぇ。だから巨人に使うのは後だ!!まずはこの山・・・永遠の炎を復活させる!!」

彼はそう言うと自分の魔力と氷の魔力を合わせていく。

「みんな!!離れてろ!!」

彼の指示に従い距離を置く。そして、彼が魔力を高めていくと、次第に巨大な氷の塊が、光を発し始めた。

「やああああああ!!」

声を張り上げ力を入れるグレイさん。すると、永遠の炎を覆っていた氷が、蒸発しているように見える。

「氷が蒸発してる!!」
「おし!!」

少しずつ、少しずつ小さくなる氷の山。それを見てグレイさんも手応えを感じているようだ。

「やったぁ!!」
「氷が溶けるわ!!」
「すごいすごい~!!」

さらに彼が力を入れると、蒸発する速度がさらに上がる。それを見てフレアさんが嬉しそうに笑顔を見せる。
そして、ついに・・・大きな爆発音とともに、巨大な氷の塊が消えてなくなった。

「「「「「!!」」」」」

氷が溶けた跡を見て、全員が目を見開く。なぜならそこには、あるべきものがなかったからだ。

「あれ?」
「どういうこと?」
「なんで~?」

ハッピー、シャルル、セシリーが固まったままそう呟く。その視線の先にいる、氷を溶かした青年も唖然として身動きが取れなくなっている。

「炎が・・・ない・・・」
「ウソ・・・」
「バカな・・・」
「そんな・・・」

凍らされていたはずの永遠の炎。しかし、いざ氷を溶かしてみると、それはどこにも見当たらない。村の守り神がなくなってしまったとあって、ここの出身であるフレアさんは、その場に崩れ落ちてしまった。

「あ・・・ああ・・・」

しかし、そんな彼女と同じくらい驚いている人物がいた。その少女は、俺の隣で小さな体をブルブルと震わせている。

「ウェンディ?」

何かに怯えているような反応を見せる少女の顔を覗き込む。彼女はそれに気付いていないのか、全くこちらを見ようとしない。

「何・・・この感じ・・・この魔力は・・・」
「魔力?」

微かに聞こえるような声で、額に汗を浮かべながら呟く少女。彼女に言われて意識を集中させてみる。すると、俺もどこかで感じたような魔力に気付く。

「永遠の炎が・・・消えた!?」
「そんな・・・そんな!!」

俺とウェンディが何かの魔力を感じ取っている最中も、予想だにしなかった展開に驚愕することしかできないルーシィさんたち。

「凍らされちゃった時点で、消滅しちゃったのかしら?」
「いや・・・俺が、失敗したのかもしれねぇ・・・」

シャルルの言葉に対し、体を震わせながらそう言うグレイさん。彼は悔しい気持ちを落ち着けるように一度一息つく。

「これじゃあ巨人の氷を溶かすのは・・・無理だ」
「何百年も燃え続けた炎が消えるなんて・・・この村はもう・・・ダメなの?」

泣きそうな声で話すフレアさん。他の皆さんも同様で、せっかくの希望が消えてしまったと思い、ただその場に立ち尽くしていた。

「消えてません!!」

しかし、全員の絶望を取り払う声が周囲に響き渡った。

「強力な残留思念!!これは、生きてる証拠です!!」
「残留思念~?」
「生きてるって・・・何が?」

ウェンディが感じ取ったもの。それは何かの残留思念。彼女がそれを探している間に、俺も感じた魔力の居場所を探す。

「あー!!」
「何?どうし・・・」

しばらく周囲を見回していると、俺とウェンディが感じた謎の魔力の正体と思われるものを発見し、そちらを指さす。その声に驚いたルーシィさんがそちらを見ると、彼女もそれに気づいた。

「あれ見て!!」

彼女の声で全員がそちらを向く。

「あれは?」
「炎の祭壇」
「そっちじゃないです!!」
「よく見て!!」

氷の中から現れた炎の祭壇。その上には、鮮やかな赤い色をした、炎が確かに燃えていた。

「微かに火が残ってる」
「でも、すごく弱々しい」
「このままじゃ消えちゃうよ~」

燃えてはいるが、いつ消えてもおかしくないほどに小さくなっている炎。突風でも吹いてしまえば、たちまち消えてなくなってしまうのが目に見えている。

「ナツさんの炎なら。ナツさんならきっと、あの炎を復活させられます!!」
「そうか!!」
「その手があった!!」
「桜髪」

ウェンディの名案で全員がそのキーマンの方を見上げる。彼は今、敵と交戦中ではあるけど、それでも彼以外にやれる人物はいない!!

「ナツー!!」
「ああ!!任せとけ!!」

鳥に捕まって接近戦をしていたナツさん。一つ目は一度距離を置こうと考えたのか、体を回転させてナツさんを引き剥がす。

「ギヤアア!!」
「うぐ!!」

飛ばされたナツさんに尻尾で攻撃する鳥。彼はそれをモロに受けてしまったが、その尻尾を掴んで地面に投げつける。
投げ飛ばされた一つ目。そいつは大きな翼でナツさんに正体すると、目から一本のレーザーを発する。

「うあああああっ!!」
「ナツ!!」
「「ナツさん!!」」

巨人な鳥はナツさんに攻撃するだけではなく、体を反転させて地上にいる俺たちにもレーザーを放ってくる。

「来るぞ!!」
「みんな避けて!!」

向かってくるレーザーから大急ぎで逃げていく妖精たち。後を追いかけられる格好になったが、グレイさんがルーシィさん、俺がウェンディを抱えて横に飛び、九死に一生を得る。
だが、奴のレーザーはあろうことか、氷付けになっている巨人の方へと飛んでいく。

「巨人さんに当たっちゃう!!」
「まずい!!」

倒れながら交わしたせいで巨人に当たる前に敵を何とかすることができそうにない。

「うらぁ!!」

レーザーが巨人に当たる寸前、ナツさんが咆哮を鳥に向かってぶっ放す。その結果、レーザーを放っていた敵は上空に打ち上げられ、レーザーの軌道が巨人の目の前で変化し、最悪の事態は免れた。

「おっちゃん!!頭借りるぞ!!」

咆哮によって後ろに投げ出された形のナツさんは、ちょうどよくいた巨人の頭を踏み台にする。全身に炎を纏った彼は、さっき自身の攻撃を受けた一つ目に一直線に飛んでいく。

「うおらああああ!!」
「ギヤアア!!」

一つ目に頭突きを食らわせたナツさん。彼はその勢いを活かしたまま、一つ目を地上に思いきり投げ込む。

「火竜の煌炎!!」

さらに、その敵に向かって両手の炎を合わせた球体を投げ込む。一つ目の鳥は、祭壇に叩き付けられたと同時に、上から降ってきた炎に押し潰された。

「祭壇に!!」
「うおおおおお!!」

右手に炎を纏わせそれを投下する火竜(サラマンダー)。彼は両手に魔力をどんどん集め、次から次へとそれを投げつけていく。

「まだまだぁ!!」
「やりすぎよ!!ナツ!!」

彼の炎の雨によって震動する村。さらには攻撃によって周辺のものが砕け飛び、危険を感じた俺たちは頭を抱えて避難している。

「滅竜奥義!!紅蓮爆炎刃!!」

そして、トドメの一撃を放つナツさん。すでに動くことすらできなくなっていた一つ目の巨人生物は、なす統べなくそれを受け、悲鳴をあげていた。そしてその結果、先程まで弱々しく、なんとか生き残っていた永遠の炎が、かつての猛々しさを取り戻した。

「炎が・・・守り神が・・・灯った・・・」

それを見て嬉し涙を溢すフレアさん。俺たちはその炎の勇ましさに釘付けになっている。

「ハッピー。俺を永遠の炎のそばに連れてってくれ」
「えぇ!?なんで!?」

地上に着地したナツさんは、すぐさま相棒にそう言う。離れていても汗をかいてしまう炎のそばに行きたくなかったハッピーだったけど、ナツさんのお願いとなると聞くしかなくなり、彼を掴んで炎のそばに飛んでいく。

「俺が聞いた声」
「俺が感じた魔力」
「私が感じた残留思念。そっか」

それぞれが自身の感じていたものの正体がわかり、納得する。ウェンディはすぐに両手を合わせると、ドムス・フラウの地下でしたように魔力を高めていく。

「え!?」
「永遠の炎って・・・まさか・・・」

ルーシィさんとグレイさんも、永遠の炎が何なのかわかったらしく、驚愕の表情を浮かべている。

「お前だったのか」
「400年ぶりか、イグニールの子よ」

炎の体、そこからこちらを見据える目。それは、以前エクリプスの扉から現れ、俺やレオンと戦ったドラゴン、アトラスフレイムだった。

「あいつは・・・」
「エクリプスから出てきた、ドラゴンの一頭」
「ええ?」

グレイさんとルーシィさんの声を聞いてフレアさんは驚いている。ルーシィさんの話だと、彼女もあの近くにいたそうだけど、たぶんアトラスフレイムを見る機会はなかったのかもしれない。

「なんでここにいるの~?」
「400年前に、帰ったはずじゃ・・・」

エクリプスの扉を破壊したことで未来が変わり、過去の世界へと帰っていたはずの炎竜。それがまた、俺たちの目の前に現れたことで、シャルルとセシリーはどういうことなのかわからずにいた。

「400年。うむ、400年我は燃え続けておる」
「生きてたんだな、おっちゃん」
「お久しぶりです」

アトラスフレイムは400年前に確かに帰った。だけど、生きていればこうしてまた出会うことができる。400年も人間なら生きられないから、シャルルたちはわかっていなかったんだろうな。

「生きて・・・いや、違うな」
「この姿は、私の魔法『ミルキーウェイ』で魂を具現化してものです」
「それって・・・」
「じゃあ」
「死んだ、ということか。それも遥かなる古」

ウェンディのミルキーウェイは死んだドラゴンの魂を蘇られ、具現化させる魔法。つまり、アトラスフレイムは死んでしまったと言うことなんだ。

「意識がはっきりしてねぇのか?」
「意識・・・というよりは、記憶が混濁しておる」

言葉が以前戦った時よりおかしいし、言葉の途中途中に間が空いている。まるで、忘れかけていた記憶を必死に思い出そうとしているかのような、そんな印象を与える。

「むぐぐ・・・これは・・・我は・・・」
「しっかりしろよ!!おっちゃん」
「イグニールの子は覚えておる」

すべての記憶が抜け落ちているわけではなく、印象に残っていることは覚えているみたい。その証拠に、ナツさんのことははっきりと覚えている。

「どういうこと?ジルコニスの時は、記憶もはっきりしてたのに」
「うるさかったよね~」
「お前が言うな」

地下でジルコニスの魂を呼び起こした時は、生前の彼と変わらなかった。だけど、今回のアトラスフレイムは、なぜか様子がおかしい。

「氷のせいかも」
「氷の?」
「元々、残留思念というものは、とても強い意志に反し、とても弱い魔力なの。それが氷の魔法によって、長時間凍結されたことで、記憶の一部が損傷した」
「だから記憶が曖昧になっているのか」
「うん」

ウェンディの解説のおかげでジルコニスと違っている理由がわかった。アトラスフレイムは、ウェンディの言葉を聞き、何かを思い出したように口を開く。

「氷・・・うむ、氷だ。世界は氷に包まれた」
「おっちゃん、この村のこと言ってんのか?」
「何があったのですか?あの・・・教えて・・・」

なんで村のすべてのものが凍らされたのか、その理由を問いかけるフレアさん。アトラスフレイムは、混濁している記憶を必死に思い出し、話し始める。

「あの男は我を・・・何かと・・・間違えて・・・」
「あの男?」

アトラスフレイムが誰のことを言っているのか、わからず首を傾げるルーシィさん。

「そうだ。たった一人の人間が、世界を氷に変えた」
「「「「「!!」」」」」

アトラスフレイムから真実を聞かされた途端、皆さんが驚いて固まる。最初に正気を取り戻したのは、氷のそ造形魔導士だった。

「氷の魔導士の仕業だったのか!!」
「たった一人の魔法で、この村をこんな風にしたの!?」
「どれだけの魔力を持っていればそんな・・・」

そこまで言ってから一人だけ思い付く人物が脳裏を過る。氷の魔導士で、この村を覆っている淡いピンク色に似たような色を使う、大魔力の持ち主。

「あの・・・それって金髪の男の子ですか?」

嫌な予感がしたので確認のために聞いておく。俺が考えたのは氷の滅神魔導士(ゴッドスレイヤー)レオン。彼の扱う氷は黒と赤。赤色の氷が何かしらの理由でこんな風に色落ちしたのかもしれないし、あいつならこの村ぐらいの大きさでも、凍らせた後「やべぇ、まぁいいか」とか言って逃げる体力もありそうだしな。

「いや・・・世界を凍らせたのは黒髪の男だ」

それを聞いてホッと一安心。レオンだったら本当に申し訳ないことをしたと土下座でもしようかと考えたからな。紛らわしい奴め。

「な・・・何のために?」
「あの男は・・・我を悪魔と思っていた。我を消すため村中を凍らせた。
悪魔払いの魔導士・・・滅悪魔導士(デビルスレイヤー)
滅悪魔導士(デビルスレイヤー)!?」

聞き慣れない単語にナツさんがそう言う。

「滅竜でも、滅神でもない。滅悪魔法!?」
「悪魔を倒す魔法でしょうか?」
「そんな魔法、初めて聞いたわ」
「氷の滅悪魔導士(デビルスレイヤー)・・・どんな奴なんだ?」

俺やウェンディが扱う滅竜魔法、レオンやシェリアが扱う滅神魔法。それと同じように、対象に絶大なダメージを与えるとされる滅悪魔法。この村を一人で凍らせることができることから、相当な魔導士であることが容易に想像できる。

「ぬぅ・・・思い出せん・・・我は・・・一体・・・」
「あなたは、この村の守り神!!巨人の炎!!」

今なお混乱しているアトラスフレイム。そんな彼に、フレアさんが呼び掛ける。彼女はアトラスフレイムに正座をし、頭を下げる。

「どうかお願いします!!この村に再び光を、この村を救ってください!!」
「フレア・・・」
「どうか・・・守り神様・・・」

自分を育ててくれた巨人たちを助けるために懇願するフレアさん。その彼女の祈りが届いたのか、アトラスフレイムの記憶が呼び覚まされていく。

「我は・・・そうだ。我が名はアトラスフレイム、巨人の炎。この村を作ったもの」
「いいぞ!!思い出してきたんだな!!」
「我が村の不幸は我が痛み。我が村の悲しみは我が涙!!我が、魂の最後の残り香と、イグニールの子の炎を持って、この村を解放せし!!」

そういうと体の炎を巨大化させていくアトラスフレイム。それはかつて戦った時と同じ大きな力だった。

「我が名は炎竜、アトラスフレイム。この村の守護竜なり!!」

さらに体温をあげていく炎竜。その炎は、火の魔導士であるナツさんさえも熱いと感じされるほどの威力を持っていた。

「魂が消えていく」
「魔力もなくなりつつあるよ」

燃え盛る体とは裏腹に少しずつその魔力と魂が失われつつある。そんな中、彼はさらに一つの記憶を思い出していた。

「イグニール・・・竜王祭・・・アクノロギア・・・ゼレフ・・・思い出した、思い出したぞ」

アトラスフレイムはすぐ目の前を飛んでいるナツさんを見据え、言葉を続ける。

「ゼレフ書最凶最悪の悪魔『END』イグニールは400年前、イグニールを破壊できなかった」
「!?」

アトラスフレイムは、その言葉を最後に完全に魔力が消失する。そして彼の最期の力により、氷に覆われていた村が、元の姿に戻っていく。

「見て!!村が!!」
「あぁ」
「元に戻ってく」
「うん」
「すげぇ」
「暖かい~!!」

寒かった世界が本来の暖かさを取り戻す。アトラスフレイムと会話をしていたナツさんとハッピーは、彼のその力に呆けていた。

「ああ・・・なんて暖かい・・・」

祭壇に灯る巨大な炎を見上げて懐かしそうにしているフレアさん。その炎のそばを守っていた巨人たちは、何が起きたのか理解しきれておらず、周りの仲間たちと話をしていた。

「アトラスフレイムの思念は、完全に消えました」
「現世に残るわずかな魂が、ここまでの力を出せるなんて」

彼の強い意志と、友であるイグニールが育ててくれたナツさんの炎。二つが合わさりあったことで、村人たちを救うことができたんだ。
すべてが元に戻った太陽の村。その光景を見て、フレアさんは一人、涙を流していたのだった。








 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
めずらしくテンポが速いような気がする。気のせいかな?
たぶん次で太陽の村編は終了です。 
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