英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第177話
~鳳翼館~
「―――”星杯騎士団”、ですか?」
ケビン達の身分を知ったリィンは不思議そうな表情でケビン達を見回した。
「”星杯騎士団”。古代遺物その調査・回収を担当する七耀教会のいわゆる”裏組織”さ。メンバーは非公開ながらかなりの凄腕が選ばれるらしいとの事だよ。」
「し、七耀教会にそのような組織があったなんて……」
「神父やシスターの方が戦うなんて、この目で見てもちょっと信じられないですね……」
「……けど話の通り相当な使い手だらけだね。」
「うむ………特にそちらのシスターの方は尋常ならざる使い手なのだろうな。」
オリヴァルト皇子の説明を聞いたアルフィン皇女は驚き、エリスは信じられない表情でケビン達を見つめ、フィーと共にケビン達を見つめていたラウラは真剣な表情で女性を見つめた。
「あら……」
「へぇ?総長の強さを見抜くなんてさすがは”光の剣匠”の娘って所かな。」
ラウラの言葉にルフィナは目を丸くし、ワジは興味ありげな表情をしていた。
「フフ……―――”星杯騎士団”総長にして”守護騎士”第一位――――”紅耀石”アイン・セルナートだ。」
女性―――セルナート総長はリィン達を興味ありげな表情で見回しながら自己紹介をした。
「”紅耀石”?確か以前サラさんが言っていた………」
「そ、”紅耀石”の君ってのは彼女の事よ。ついでに説明すると娯楽小説の”カーネリア”の主役のモデルとなった人物よ。」
不思議そうな表情をしているゲルドにサラ教官は頷いた後説明し
「ええっ!?あ、あの娯楽小説に出てくるヒロイン―――”カーネリア”のモデルを務めた方がそちらの方なんですか……!?」
「………前々から疑問に思っていたけどあんた達の存在がバレるかもしれないのに、よくあの小説の存在を見逃しているわよね?」
説明を聞いたエリスは驚き、セリーヌは呆れた表情でセルナート総長を見つめた。
「まあ、あれくらい芝居がかかった内容ならかえって良い目くらましやって事で見逃しているんや。ヒロインが死んだとかいうのも適当な攪乱情報になっとるし。」
「………それに”実物”を知れば、あの小説に出てくるヒロインと大違いって事はわかるだろ?」
「―――少なくてもあの小説のヒロインはこんな物は吸わないだろうな。」
ケビンとトヴァルの説明に続くように煙草を吸った後にすぐに煙を吐いたセルナート総長を見たリィン達は冷や汗をかいて脱力した。
「ううっ、最近今まで持っていた空想の人物のイメージが壊され続けているような気がするわ……しかも揃いも揃って七耀教会の関係者ばかりだし。」
「ア、アハハ……」
疲れた表情で呟いたアリサの言葉にセレーネは苦笑し
「め、滅茶苦茶だ……ん?”守護騎士”って言えば確か……!」
「ミリアムちゃんが言っていた七耀教会の裏組織を纏めている方でしたね………」
「しかも”総長”という事は”星杯騎士団”とやらのトップか。」
ある事に気付いたマキアスとエマは驚きの表情でセルナート総長を見つめ、ユーシスは静かな表情で呟き
「ほう?我々の情報も掴んでいるとはさすがは情報局と言った所か。」
「アハハ~、レクターから聞いていたけど本当に君も”守護騎士”なんだね~。」
セルナート総長に視線を向けられたミリアムは興味ありげな表情でワジを見つめた。
「フフ、僕の存在はケビン程ではないけど秘匿されていたからね。」
「……まさか”特務支援課”にまで”守護騎士”が紛れ込んでいたとはね。」
「ええっ!?と、”特務支援課”って事は……!」
「貴方も以前はロイドさん達と同じ”特務支援課”に所属していたのですか?」
真剣な表情でワジを見つめるサラ教官の言葉を聞いたアリサは驚き、ガイウスは不思議そうな表情で尋ねた。
「ああ。―――”守護騎士”第九位”蒼の聖典”ワジ・ヘミスフィア。君達と会う日を楽しみにしていたよ。―――特に”灰色の騎士人形”の操縦者である君とね♪」
「え……お、俺ですか?一体何故……」
「フフ、”守護の剣聖”や”姫君の中の姫君”達からロイドより凄い状況になっている事を聞いていたから、是非会いたかったんだよ♪」
「ロ、ロイドさんより凄い状況ってどういう意味ですか?」
ワジの言葉を不思議に思ったエリオットは戸惑いの表情で尋ねた。
「やだなあ、そんなの勿論色々とロイドと共通する部分がある上、ロイド同様ハーレムを築いている事に決まっているじゃないか♪それもロイドと同じ”天然”でね。」
「ハア……ヘミスフィア卿がこんな性格になったのもアイン。まさか貴女のせいじゃないでしょうね?」
「フッ、それは偏見というものだぞ、ルフィナ。」
そしてワジの答えを聞いたリィン達は冷や汗をかいて脱力し、ジト目のルフィナに見つめられたセルナート総長は口元に笑みを浮かべて答えた。
「ねえねえ。ちなみに特務支援課のリーダーは何人の女の子と付き合っているの?」
「ミ、ミリアムちゃん。」
ミリアムの質問を聞いたクレア大尉は冷や汗をかき
「ロイドかい?現時点ではえ~と…………8人だね。まあ、そこに加えて二人程後で加わると思われる娘もいるけどねぇ?」
「は、8人!?」
「ハッハッハッハッ!リィン君と良い勝負をしているじゃないか!」
「というかリィンの方が数では勝ってるんじゃない?」
「フフ、確かにそうだな。」
「……あの男もリィンと同じ罪深い男だったのか。」
ワジの答えを聞いたマキアスは驚き、オリヴァルト皇子は声を上げて笑い、ジト目のフィーの言葉にガイウスは苦笑しながら頷き、ラウラは真剣な表情で呟いた。
「うふふ、ちなみにそちらの方の正妻はもう決まっているのですか♪」
「ひ、姫様!?」
からかいの表情をしているアルフィン皇女の質問を聞いたエリスは慌て
「フフ、ロイドの正妻なら多分エリィになると思うよ。彼女がロイドから告白されてロイドの1番目の恋人になった女性の上、ロイドからプロポーズされた後に貰った婚約指輪を肌身離さず身につけているし。」
「ええっ!?」
「プ、プロポーズですか……」
「まあ……今度会う事があれば祝福をする必要がありますわね♪」
「エリィ?一体誰の事?」
「エリィさんはマクダエル議長の孫娘で特務支援課のサブリーダーを務めている人よ。」
ワジの説明を聞いたリィンは驚き、エマは顔を赤らめ、セレーネは微笑み、不思議そうな表情をしているゲルドにアリサが説明した。
「そう言えば今日会った時指輪みたいな物を付けていたよな?」
「フフ、男の度胸としては特務支援課のリーダーには勝てなかったようねぇ?」
「う”っ……」
ある事を思い出したトヴァルは苦笑し、口元をニヤニヤさせているサラ教官に見つめられたリィンは唸り声を上げて冷や汗をかいた。
「ああそうそう。ちなみにエリィ以外でロイドが付き合っている女性の中で君達も知っていると思うとんでもない有名人もいるよ♪」
「俺達も知っている有名人だと?誰の事だ?」
ワジの言葉を不思議に思ったユーシスはワジに尋ねた。
「”アルカンシェル”の新人アーティスト、リーシャ・マオって名前、聞いた事がないかい?」
「ア、アルカンシェルのリーシャ・マオだって!?」
「リーシャ・マオと言えばあの”炎の舞姫”イリア・プラティエと並ぶ程の人気を誇るトップスターですけど……ええっ!?ま、まさかあのリーシャ・マオがロイドさんの……!?」
ワジの問いかけにマキアスと共に驚いたエリオットは信じられない表情で尋ねた。
「フフ、ご想像通り彼女もロイドのハーレムの一員だよ♪」
そして笑顔で答えたワジの言葉にリィン達は大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「クッ、まさかあのリーシャ・マオが他の男のものになっているなんて……!まあ、リィン君も負けていないよねぇ?何せリィン君の場合はアルフィン皇女殿下どころか”氷の乙女”を落としているものねぇ?」
「うふふ、その通りですわね♪」
「ア、アンゼリカ先輩!?殿下!?」
「ア、アンちゃん……誰も勝負なんてしていないよ……」
「そこで何故私が出てくるんですか……」
悔しがった後口元をニヤニヤさせるアンゼリカの言葉に同意するアルフィン皇女の様子にリィンは慌て、トワとクレア大尉は疲れた表情で呟いた。
「いや~、マジでロイド君より凄い子やな~。」
「クク、自分が信頼している部下どころか自国の皇女まで落とした奴の事を知った”鉄血宰相”がもし生きていたら、どのような反応をしていたのであろうな。」
リィン達の様子をケビンは苦笑しながら見つめ、セルナート総長は口元に笑みを浮かべながら見つめ
「………ケビンがあの二人みたいな罪深い男性にならなくてよかったわ。」
「というかヘタレなケビンじゃ絶対無理だと思う。」
「おい、リース。聞こえとるで。どういう意味やねん、それは。」
疲れた表情をしたルフィナの言葉に答えたリースの話を聞いたケビンは疲れた表情で指摘した。
「アドルさんより酷い男性が二人もいるなんて……」
「むしろもっといるんじゃないんですか?」
「同感なの。」
「そして私達のような被害者は一体何人いるんでしょうね?」
「本当に”天然”程厄介なものはありませんね……」
(な、何でそこで僕が出てくるんだよ………)
(クレハとノイもそこでどうして僕を睨むんだよ……)
一方フィーナ達に視線を向けられていたアドルとナユタはそれぞれ疲れた表情をしていた。
「それにしてもリィンだっけ?さっきエイドス達に怒られている事情を聞いたけど、ロイドより天然だよね♪」
「……まさか私達どころか空の女神とその一族達の入浴姿を見るなんて……ロイドさんですらさすがにそのような不埒な罪は犯していないとの事なのに。」
「本来ならアルテリア法国に連行されて裁判が行われてもおかしくない事がわかっているのかしら?」
「うっ!ほ、本当にすみません……!」
ジト目のリースとルフィナに見つめられたリィンは唸り声を上げて頭を深く下げた。
「というか君達も自分達の身内が入浴している所を覗かれたのに、何も言わなくていいのかい?」
「ア、アハハ……クレハ達にあれだけ怒られている所を見たらそんな気にもならないですよ……それに話によればクレハ達のアーツをその身に受けたとの事ですし。」
「むしろ同情心が湧いてくるくらいだよ……」
ワジに尋ねられたナユタとアドルは苦笑していた。
「というか私達はまだ怒り足りないくらいよ。」
「全くですね。本来なら”お仕置き”として”アークレイズ”か”グランドクロス”を叩き込んでいるのですが。」
「クレハ様や私達の湯着姿を見たのは絶対に許さないの!」
「事故とは言え、さすがにあれはどうかと思いますね。」
「ま、まあまあ……わざとじゃなかったのですし、リィンさんも罰を受けましたからそのくらいにしてあげたらどうですか?」
一方リィンをまだ許さない様子でいるクレハやエレナ、ノイとエイドスを見たフィーナは苦笑しながら諌めていた。
「………リィンさん?状況が落ち着いたら先程の件も含めたお説教がありますからね?」
「―――そうね。私達の方はまだ終わっていないわね。」
「その時は姉様にも加わってもらいますので、覚悟していてくださいね?に・い・さ・ま~~~??」
「うふふ、ここは流れに乗ってその時はわたくしも加わりますわね、リィンさん♪」
「す、すみません、お兄様。今回も庇えませんわ……」
「………………」
「アハハハハハハッ!”そう言う所”もロイドとそっくりだね♪」
それぞれ膨大な威圧を纏っているクレア大尉やアリサ、エリスに微笑まれると共にからかいの表情をしているアルフィン皇女と疲れた表情をしたセレーネの言葉を聞いて表情を青褪めさせて身体を震わせているリィンをワジは腹を抱えて笑いながら見つめた。
「本当にあの人、神父なのかな………?」
「とても神父とは思えん言動ばかりだぞ。」
「法衣姿じゃなかったら、絶対信じないだろうな。」
「フフ、それに神父と呼ぶには若すぎるしな。」
ワジの様子を見ていたエリオットは冷や汗をかき、ユーシスとマキアスは呆れた表情をし、ガイウスは苦笑し
(な、何となくあの人、アンちゃんに似ているよね……)
(フフッ、そうかい?)
トワに視線を向けられたアンゼリカは静かな笑みを浮かべていた。
「ハハ……――――それにしても君達ともこんな所で再会する事になるとは思わなかったよ。ケビン神父、リース君。」
「いや~、それはお互い様ですよ。」
「オリヴァルト殿下もご無事で何よりです。」
「お兄様?」
「殿下のお知り合いなのですか?」
ケビンとリースと親しそうに話しているオリヴァルト殿下の様子を不思議に思ったアルフィン皇女は首を傾げ、ラウラは尋ねた。
「ああ。ケビン神父とは”リベールの異変”で……リース君とは”影の国”で知り合ってね。アルフィンにも彼らの事を話したはずだよ。」
「まあ……!でしたらそちらの方々が。兄がリベールと”影の国”ではお世話になりました。本当にありがとうございます。」
「ハハ、世話になったのはお互い様ですよ。」
「それには同意。どっちかっていうとお世話になったのはケビンの方だと思う。」
アルフィン皇女にお礼を言われ、謙遜しているケビンの言葉にリースは静かな表情で頷いた。
「貴方達も”守護騎士”という存在なの?」
「ああ、オレ――――ケビン・グラハムが”守護騎士”第五位――――”千の護手”でそっちのシスター―――リース・アルジェントが”守護騎士”であるオレを補佐する星杯騎士――――”従騎士”や。」
「”従騎士”……あの、”帝国解放戦線”の幹部――――”S(スカーレット)”の事は知りませんか?彼女もかつては”従騎士”だったと聞いていますし。」
ゲルドの質問に答えたケビンの話を聞いてある事が気になったリィンは目を丸くした後尋ねた。
「何ですって!?」
「”S”が”星杯騎士団”の”従騎士”だったなんて初耳だぞ!?」
「……もしかしてバリアハートで奴に見舞いに行った時に聞いたのか?」
リィンの言葉を聞いたサラ教官とトヴァルは驚き、ある事に気付いたユーシスは尋ねた。
「ああ。」
「という事は彼女はかつてシスターでもあったのか……」
「とてもそんな風には見えなかったぞ……」
「へ~、そうだったんだ……もしかして、”S”って君達の中の誰かの”従騎士”だったの?」
スカーレットの事情を知ったガイウスは目を丸くし、マキアスは信じられない表情をし、ミリアムは興味ありげな表情でセルナート総長達を見つめた。
「おい、ワジ。確か以前ちょっとだけお前んとこにいた”従騎士”の中でそんな名前の奴がおらんかったか?」
「……ああ、彼女か。家庭の事情とやらですぐに辞めたから、あんまり話した事はないんだけどね。」
ケビンに視線を向けられたワジは考え込んだ後静かな表情で呟き
「ええっ!?じゃ、じゃあ貴方が”S”のかつての上司だったんですか!?」
「い、意外な接点ですね……」
ワジの答えを聞いたアリサは驚き、エリスは目を丸くしてワジを見つめた。
「とはいってもケビンにも言ったように彼女が僕の”従騎士”だったのは本当に短い期間だったから、そんなに接した事はないよ。どっちかというと”星杯騎士”の見習いたちを鍛えていた総長の方が知っているんじゃないの?」
「……まあな。当時の奴は奴の同期達と比べると人一倍努力家だった。”星杯騎士団”を去ってからの奴の消息は不明だったが、まさかテロリストに墜ちていたとはな……」
「……複雑ね。”星杯騎士”の力がテロに使われていたなんて。」
「どんな経緯があって、テロリストにまで墜ちたのか聞いていませんか?」
ワジに視線を向けられたセルナート総長は重々しい様子を纏い、ルフィナは複雑そうな表情をし、リースは真剣な表情でリィンを見つめて尋ねた。そしてリィンはその場にいる全員にスカーレットの事情を説明した。
「クロウさんと同じく故郷を奪われ、家族の人生が滅茶苦茶にされた復讐ですか……」
「そしてそれらの”原因”となったのはオズボーン宰相肝入りの国家事業である帝国各地に鉄道網を敷く事業だったのですね……」
「あの事業で故郷を奪われた人々も少なくはないという話だったからね。っと、失言だったね。」
「……私の事はお気になさらないで下さい。閣下や私達が理想の為に犠牲になった民達の怨嗟の声を無視して来たのは事実なのですから……」
「クレア大尉……」
事情を聞いたセレーネとアルフィン皇女は複雑そうな表情をし、オリヴァルト皇子は重々しい様子を纏い、辛そうな表情で答えるクレア大尉をエリスは心配そうな表情で見つめ
「ま、実際オジサンの部下のボク達も”帝国解放戦線”に憎まれていたみたいだしね~。」
「そう言えばノルドの地で相対した”G(ギデオン)”はミリアムちゃんを憎しみが籠った目で見ていましたね……」
ミリアムの話を聞き、かつての特別実習で初めて出会い、戦った”G”のミリアムを見る目を思い出したエマは悲しそうな表情で呟き
「”帝国解放戦線”。クロウが言っていたように、”鉄血宰相”を討ち取る事が最終目標の組織だったようだね。」
「実際リィンの話では”帝国解放戦線”は”鉄血宰相”が狙撃された後は一気に勢力を減らしたそうだから、人生の全てを費やしてでも”鉄血宰相”を討ち取りたかったのね……」
フィーの推測に続くようにサラ教官は重々しい様子を纏って呟いた。
「それで彼女はどうなったんだい?」
そしてリィン達はスカーレットを捕縛した経緯や、スカーレットの現在の状況などを説明した。
「……そうか。短い間だったとはいえ、かつての部下の命を救ってくれた事には感謝するよ。」
「いえ、彼女は生きて罪を償うべきだと思ってましたし。」
ワジに感謝されたリィンは静かな表情で答えた。
「しかし何でまたリィン君の使い魔の”魔神”の”使徒”とやらになったんや?」
「ア、アハハ……その件はリィンが一番関係していると思いますよ。」
「へっ!?な、何でだ!?」
ケビンの疑問に苦笑しながら答えたエリオットの答えを聞いたリィンは驚いた。
「――――リィンさん。ルクセンベール卿からお聞きしましたよ。”S”に”生きる目的”を与えた”方法”を。」
「え”。な、何でツーヤさんがその件を……!?」
しかしジト目で自分を見つめるクレア大尉の口からある話が出ると表情を青褪めさせた。
「そ、その、お兄様。スカーレットさんが療養している部屋に設置されている監視ビデオの存在には気付かなかったのですか?」
「…………あ”。」
そしてセレーネの口からある問いかけが出ると冷や汗を滝のように流し始め
「後でアリサさん達やエリゼさんにも事情を説明しますので、覚悟していてくださいね?」
「……………………」
クレア大尉の言葉を聞くと石化したかのように固まった。
「私やエリゼ達に……?――――!!ま、まさか……!」
「に・い・さ・ま~~~~??」
「うふふ、さすがはわたくしの未来の旦那様ですわ♪」
「ハア……どこまで節操なしなのよ。」
「リィンさん。私も後で事情をお聞きしますからね?」
「リ、リィン君、後でお説教だよ!」
「フフ、どうやら早速トワの願いに応じた私の拳が唸る時が来そうだねぇ?」
クレア大尉の言葉である程度事情を察したアリサやエリスは血相を変え、アルフィン皇女はからかいの表情をし、セリーヌは呆れた表情で溜息を吐き、エマとトワは真剣な表情でリィンを見つめ、アンゼリカは口元に笑みを浮かべていた。
「アハハハハハハッ!こりゃ傑作だよ♪まさかテロリストまで落とすなんて♪リーシャを落としたロイドと互角以上の勝負をしているよ♪」
「阿呆が……お前には限度というものがないのか?」
「全く……君は何故自分の状況を自覚せずに状況を悪化させ続けるんだ?」
「フフッ、それはリィンだから仕方ないかもしれないな。」
(みんな、いいなぁ……リィンの恋人になれて……)
一方リィン達の様子を見守っていたワジは腹を抱えて大声で笑い、ユーシスとマキアスが呆れている中、ガイウスは苦笑し、ゲルドは羨ましそうにアリサ達を見つめ
「リィン。そなた、後何回罪深い事をすれば気がすむのだ?」
「……そう言えば今思い出したけどスカーレットも胸、大きかったね。」
ラウラは厳しい表情でリィンを見つめ、フィーはジト目でリィンを見つめた。
「敵組織の幹部を惹きつけるなんて、アドルさんならありえそうですね。」
「そうですね。それには私も同意です。」
「ええっ!?」
フィーナとエレナの意見を聞いたアドルは驚き
「フフ、敵と言えば元々私とナユタは敵同士だったわね。」
「クレハ様達が思いとどまったのもナユタのお蔭なの!」
「ア、アハハ……えっと、褒められているんだよね……?」
クレハとノイに微笑まれたナユタは苦笑し
「クスクス……」
リィン達やアドル達の様子をエイドスは微笑ましそうに見守っていた。
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