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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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赤・水・青・金髪 大激闘

 
前書き
ガジルゥ!!死んじゃダメだガジルゥ!!
シリル「主さんガジルさん好きなんだっけ?」
ガジルが死んだら妖精たちのクリスマスがいつの話なのかわからないじゃないかぁ!!
シリル「・・・俺の心配返して」 

 
「クックックッ」
「フレア!?」
「フレア・・・さん?」
大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の・・・ですよね?」

転倒したウェンディに迫っていた弾丸をあっさりと受け止めてくれたフレアさん。彼女のおかげで、俺はウェンディとルーシィさんの元に戻るまでの時間ができた。

「一人増えやがった」
「なんだこの女」
「奴等の仲間か」

突然目の前に現れた女性を見て訝しげな表情をしているトレジャーハンターたち。しかし、それに関してはこちらも同じなので、ごく当たり前の反応と言っていいだろう。

「あの、ありがとうございます」
「おかげで助かりました」

敵を見据えている彼女に会釈程度ではあるがお礼をいうウェンディと俺。彼女がいなかったら、間違いなくウェンディがやられてしまっていた。

「なんであんたがこんなとこにいるわけ!?」

ルーシィさんがフレアさんがこの太陽の村になぜいるのか問い詰める。それに大して彼女はニヤリと不気味な笑みを浮かべる。

「金髪をつけてきた」
「え!?」

フレアさんの口からとんでもないことを発せられ固まってしまうルーシィさん。しかし、彼女の爆弾発言はこれだけでは終わらない。

「てゆーか、いつもつけてる」

街を散歩しているルーシィさん。部屋で眠っているルーシィさん。お風呂で脱力しているルーシィさん。フレアさんはそれらすべての時に近くで彼女を観察していたらしい。

「えぇぇぇぇぇ!?/////」

お風呂の時間も見られていたとなると恥ずかしくて顔を赤くさせているルーシィさん。それってストーカーなんじゃないかな?捕まえなくていいのかな?

「ウソ」
「あら」

そんな心配はいらぬものだったらしい。フレアさんは本当はルーシィさんの後をつけてなどいなかったらしい。ただ彼女をからかいたくて、そんなウソをついたみたいだ。

「私、いくとこ無くなった。だから、帰ってきた」
「帰ってきた?」
「??」

大鴉の尻尾(レイヴンテイル)が解散したという噂はどこかで聞いた記憶がある。しかし、それがなぜここに帰ってきたということになるのかよくわからない。

「そう。私の故郷。この紋章は、この太陽の村の紋章」

そう言って胸元にあるマークを見せるフレアさん。所属していたギルドが解散したから、生まれ故郷に帰ってきたということなのか。言われみてようやく理解する。

「フレアさんって、この村の人だったんですか!?」
「ウソ!?」
「ビックリです!!」

こんなところで思わぬ接点があったことに驚きを隠せない。なんという偶然なんだろうか。

「小さい頃巨人に育てられた。帰ってきたら村の人たちが・・・私の・・・家族が・・・」

そこから見える故郷の皆さんを見て悲しそうな表情を浮かべているフレアさん。その彼女の家族に対する気持ちは、痛いほど伝わってきた。

「許せない」
「てゆっか、勘違いすんなよ」
「氷付けにしたのは、超俺たちじゃねぇよ!!」
「俺たちは、永遠の炎をドゥーンといただくために――――」
「それもダメ!!」

トレジャーハンターたちを睨んでいたフレアさんが、彼らの目的を聞いて声を張り上げる。そんなに興奮している彼女を見たことがなかった俺やルーシィさんは、驚いて彼女のことをパチクリと見ていた。

「永遠の炎は、村の守り神!!大切なもの!!誰にも奪わせない!!」

フレアさんは自らの赤く長い髪を空に届くほどの勢いで伸ばす。

「髪が伸びた!?」
「怖っ!!」

普通の魔法とは異なり、異様な感じの魔法を操るフレアさん。それを見たトレジャーハンターたちは動揺している。

「任せろ!!」

しかし、冷静さを失っていた他のメンバーとは違い、すぐさまこの事態に対応するヒロシ。彼は自分たちを襲おうとする髪を持っている剣で粉々に切り刻む。

「あ・・・」

やはり髪だから剣とは相性が悪いのか。そう考えていると、ルーシィさんがホルダーから一本の鍵を取り出す。

「開け!!巨蟹宮の扉!!キャンサー!!」
「髪のことなら任せろ、エビ」

両手にハサミを持って現れたキャンサーさん。彼はルーシィさんの意図を瞬時に読み取り、切り刻まれたフレアさんの髪をマッサージする。

「育毛!!スカルプケア!!」
「あああ・・・気持ちいい!!」

髪のことならなんでもできるキャンサーさん。彼のそのスカルプケアのおかげで、ダメージを負ったフレアさんの髪の毛が元通りになっていく。

「金髪ぅ」
「巨人を守るのよ」
「やりましょう!!」
「一緒に戦いましょ!!」

自分を育ててくれた巨人たちと村を救いたいという彼女の想い。それに協力したいと思った俺たちは、共に戦うことを決める。それを聞いたフレアさんの表情は、すごく嬉しそうだった。

「復活!!」

当初の長くて艶のある髪が戻ってきたフレアさんは、すぐさま目の前の敵に向かって攻撃を仕掛ける。

「うわっ!!」

さきほど剣で彼女の髪を切り刻んだヒロシ。彼は今度も同じように対処しようとしたのだが、回復したフレアさんの前にあえなく叩き飛ばされる。

「ドゥーン!!」

続いてハンマーを振り上げたララがウェンディに向かってくる。

「天竜の・・・鉤爪!!」

ウェンディはそれに対し、足に風を纏わせると、地面を強く蹴ってハンマーを蹴る。

「ぐはっ!!」

勢いでは向こうが間違いなく上だった。しかし、成長したウェンディの魔力と、フレアさんの家族を守りたいという強い想いが勝り、ララさんはハンマーごと飛ばされ地面に叩きつけられる。

「てゆっか、お嬢ちゃん隙だらけ」

二人がトレジャーハンターを圧倒しているのに気を取られていると、背後からこちらに接近してくる気配に気づく。

「お嬢ちゃんじゃなくて、お兄さんだ!!」
「ぐはっ!!」

腕に水を纏わせ、振り向く力を利用してそれを広範囲に放つ。すると、それはこちらに突進してきていたトレジャーハンターの顔面にクリーンヒットした。

「この!!」

仲間が劣勢とあって焦っているスナイパーは、ルーシィさんの足を撃ち抜こうと何度も何度も引き金を引いている。しかし、焦っている分、狙いが疎かになっており、全く捉えることができていない。

「開け!!人馬宮の扉!!サジタリウス!!」

木の影に身を潜め、狙撃の名手であるサジタリウスさんを召喚するルーシィさん。呼び出された男は、やる気満々の表情で背中の筒から矢を取り出す。

「再び参上」

それを見たスナイパーは、一度邪魔されたからなのか、気合いが入ったようでサジタリウス目掛けて数発の弾丸を発砲する。それに対し、サジタリウスさんは矢を放つと、分身させてすべてを相殺させた。

「いいこと思い付いちゃった!!」

弓矢と銃による打ち合いが繰り広げられている後方で、何かを思い付いて新たな鍵を取り出す星霊魔導士。

「よーし!!開け!!処女宮の扉!!バルゴ!!」
「お呼びでしょうか、姫」

メイド服を着ているピンクの髪をした女性。久々に呼び出された彼女は気合い十分なポーズを決めている。

「この隙に、地面を通って狙撃手の背後に回るのよ!!」
「なかなかグッドな作戦です。では」

手を合わせて水に飛び込むように地面を掘ろうとしたバルコさん。しかし、彼女はガンッと大きな音を経てて、頭をぶつけて動けなくなっていた。

「ん?何してんの?」
「姫、潜れません」
「なんで!?」
「この氷、特殊な魔力が張られていて、貫通できません。お仕置きですね」

頭を地面につけたまま説明するバルコさん。しかし、彼女たちの後ろで戦っていたサジタリウスさんが大きな悲鳴をあげたことで、気が抜けていた二人はそちらを振り向いた。

「それがしが・・・撃ち負け・・・」
「サジタリウス!!」

ダメージを受けてしまい消えてしまったサジタリウスさん。敵が使っているのは近代兵器。連発には不向きな弓矢を使う彼には、相性が悪かったようだ。

「髪しぐれ!!狼牙!!」

赤い髪の毛で狼を作り剣を持つ男に襲いかかるフレアさん。

「所詮髪の毛!!剣の敵じゃねぇ!!」

その攻撃に怯むことなく、剣を振るって切り刻むヒロシ。だが、切り刻まれた髪の毛は宙に舞っていると、突然炎を発し始める。

「この髪は、永遠の炎から授かった、私の誇り!!髪しぐれ!!蛍火!!」

トレジャーハンターの周囲に舞っていた髪の毛。それが炎から光へと変化し、大爆発を起こす。

「どわぁっ!!」
「ヒロシ!!」

吹き飛ばされた仲間に意識を向けるハンター使い。その顔面に、幼き天竜は蹴りを決める。

「ララ!!」
「よそ見しないでください!!」

仲間のやられ方を見ていなかったのか、敵対していた相手から目を離す鎖鎌を扱うバンダ。その腹部に拳を叩き込み、続けざまに脇腹に回し蹴りをお見舞いする。

「この・・・小娘が!!」

すると、倒れそうになっていた体を踏ん張らせて、こちらに鎖を投げてくるバンダ。それを避けたつもりだったのだが、回転しているそれは空中で変化しながらこちらへと向かってきていて、手首に絡み付いてしまった。

「オラァ!!」
「あう!!」

すると、近くで戦っていた藍髪の少女も、手のハンマーに捕まってしまい、身動きを封じられてしまっていた。

「この強化甲型鎚(ストロンガー)は、並みの力じゃ外せねぇぞ!!」
「う・・・うぅ・・・」

手に握りつぶされそうになっており、苦しい表情を浮かべているウェンディ。

「ウェンディ!!」
「味方の心配してる場合じゃねぇぞ?」

彼女の方へと視線を向けたその一瞬で、手首に絡まる鎖を引っ張ってくるバンダ。そのせいで前のめりになりかけたが、なんとかバランスを立て直して踏みとどまる。

「シリル!!きゃっ!!」

俺とウェンディに駆け寄ろうとしたルーシィさん。しかし、そのタイミングで銃撃が飛んできたため、思わず転倒してしまう。

「金髪ぅ!!」

ルーシィさんの元に向かおうとしたフレアさん。だが、その場から動くことができない。その理由は、彼女の武器である髪の毛が、木に結びつけられていたからだった。

「髪が・・・」
「トレジャーハンタースキル『固結び』!!」

戦っている最中に髪の毛を掴んで動けないようにと行動していたヒロシは、悪そうな笑みを浮かべていた。

「どうだ!!これで髪の毛の魔法は超封じたぜ」
「一丁上がりってな」

押されていたトレジャーハンターたちだったが、一気に形勢を逆転されてしまった。流れが移り変わったことで、彼らは得意気な表情を見せている。

「ま、こんなもんだな」
風精の迷宮(シルフラビリンス)の実力、思い知ったか」
「魔導士ごときが俺らにケンカ売るなんて、超十年早ぇよ!!女は女らしく、男の前でケツ振ってりゃいいんだよ」

下品な笑いをしながらニヤニヤと俺たち全員を見つめているトレジャーハンター。その顔にイライラが溜まってきたのは、俺だけじゃないはず。

「おい!!ちょっとケツ振ってみろ!!」
「フハハッ!!いいな!!やれやれドゥーン」
「ヒューヒュー」

完全に調子に乗っている男たち。だが、その大ピンチにも関わらず、金色の髪をした女性は余裕の笑みを浮かべている。

「あんたらバッカじゃないの」
「私でよければ、いくらでも振りますが」
「バルコさん空気読んでください!!」

言われた通りにお尻をフリフリしているバルコさんに突っ込みをいれた後、手首に絡まる鎖に捕まっていない方の手を伸ばす。
ウェンディは捕まえられているその体勢で、力を入れやすくするために一度呼吸を吐いて脱力し、フレアさんは不敵な笑みでトレジャーハンターたちの方を見据える。

「魔導士にケンカ売るなんて、百年早いのよ!!」

彼女のその言葉と共に、窮地に陥っていた四人の魔導士が一気に反撃へと転換する。

「攻撃力強化・・・アームズ!!」

緑の魔力で能力を底上げし、自由を奪う巨大な手を破壊するウェンディ。

「こんな力に引き負けてたら、男が廃る!!」
「ナニ!?」

封じられている反対の手で鎖を掴み、逆にこちら側に相手を引きずり込んでいく水竜。

「結ばれてても私の髪伸びるし」
「何!?超聞いてねぇし!!」

固結びでフレアさんの魔法を封じたと勘違いしていた剣士。彼女はそいつを髪を伸ばして全身を縛り付ける。

「ぬっ!!おのれ!!」

三人を援護しようと引き金に指をかけるドレイク。しかし、彼の後ろには一人の男がやって来ていた。

「見~つけた」
「間に合った!!」

ルーシィさんの持っている星霊の中で最も戦闘に秀でているロキさん。彼はスナイパーを掴むと、ルーシィさんの方へと大遠投する。

「天竜の・・・翼撃!!」
「雲竜水!!」
「髪しぐれ!!千鳥!!」
「ルーシィキーック!!」
「&バルゴキーック!!」

四人のトレジャーハンターに全員の魔法が強襲する。武器を壊されたり封じられたりしていた彼らには、魔法に対抗する手立てなど残っておらず、四人は悲鳴をあげながら昼のお星さまへとなったのであった。

「さよなら~」

姿が見えなくなったトレジャーハンターに手を振るバルゴさん。俺たちは無事に敵を倒したことにホッとひと安心した後、フレアさんの方へと向き直る。

「やったわね!!」
「うん」

自分の故郷を、家族を守ることができたその女性は、今までの暗いイメージを吹き飛ばすような、明るい笑顔を見せていた。










 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
トレジャーハンターはこれにて退場です。ここからはシリルたちの戦闘もないので、一気に展開が進んでいくと思います。あらかじめご了承ください。 
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