英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第150話
~トールズ士官学院・グラウンド~
「あ、貴女は……!」
「確かプリネと同じメンフィル帝国の皇女の……」
「レン姫……一体どうしてこちらに……」
「……”殲滅天使”。”特務支援課”に協力するみたいな事を言っていたけど、それが終わったからこっちに戻ってきたの?」
レンの登場にセレーネは驚き、ゲルドは目を丸くし、エリスは複雑そうな表情をし、フィーは真剣な表情で尋ねた。
「ええ。正確に言えば”碧の大樹”から脱出した後ロイドお兄さん達と別れて昨日のお昼過ぎにパパ達に合流して、パパ達と一緒にカレル離宮に向かったの。――――帝都防衛部隊の旗色が悪くなったのを知って敗北を悟った後セドリック皇子を連れ去ろうとするカイエン公や”蒼の深淵”、後は”C”を拘束する為にね。」
フィーの問いかけに対し、レンは凶悪な笑みを浮かべて答え
「え―――カイエン公達がセドリックを!?セドリックは無事なのですか!?」
レンの答えを聞いて呆けたアルフィン皇女は血相を変えて尋ねた。
「ええ、ちゃんと傷一つなく無事に取り戻したから、ユーゲント三世達と共にこっちに向かっている最中だから安心していいわよ。」
「待ってください!今、クロウを拘束するような事を仰っていませんでしたか!?」
「そ、それにヴィータ姉さんも……!」
アルフィン皇女の問いかけにレンが答えたその時ヴァリマールからリィンの声が聞こえ、続くようにエマがレンを見つめて問いかけた。
「うふふ、”帝国解放戦線”リーダー”C”――――クロウ・アームブラスト並びに”身喰らう蛇”の”蛇の使徒”の第二柱”蒼の深淵”ヴィータ・クロチルダは昨日拘束されて、今は牢屋に拘禁されているわよ?」
「!!」
「そ、そんな!クロウ君が……!?」
「クロウ……」
「最悪の展開だね……」
「そ、それに姉さんまで……」
レンの答えを聞いたリィンは目を見開き、トワとジョルジュは悲痛そうな表情をし、アンゼリカは悔しそうな表情で呟き、エマは表情を青褪めさせた。
「話によりますと、”C”は激しい抵抗をしようとしたそうですが、エリゼによって僅か数秒で制圧されたそうですわ。」
「何だって!?」
「そ、そんな……ね、姉様がクロウさんを……」
「エリゼは一体どんな気持ちでクロウを制圧したのかしら……?」
「エリスお姉様……」
「リィン…………エリス…………」
シグルーンの口から出た予想外の話にリィンとエリスは信じられない表情をし、アリサとセレーネは悲しそうな表情をし、ガイウスは複雑そうな表情でヴァリマールとエリスを順番に見回し
「クロウは仮にも僕達相手に一人で互角に戦う程の腕前だったのに、エリゼ君一人に僅か数秒で制圧されるなんて……!」
「確かにエリゼが相当な使い手である事には違いないが……まさか、そこまで”力”の差があったとは……」
「エリゼは”剣聖”よ。”執行者”クラスの実力があるクロウといえども、”剣聖”相手には荷が重すぎるわ。」
マキアスは信じられない表情をし、ラウラは真剣な表情で考え込み、サラ教官は重々しい様子を纏って呟いた。
「……ヴィータも拘束する際、抵抗をしたのかしら?あの女がそんなあっさり捕まるような性格とはとても思えないけど。」
その時セリーヌが複雑そうな表情で尋ねた。
「うふふ、”蒼の深淵”なら”結社”の”盟主”の遺体――――生首を見せられた後他の”蛇の使徒”達は全員レン達―――メンフィルによって討ち取られた事を知ると絶望して戦意を失くしたから、あっさり拘束されたわ。」
「な――――”結社”の”盟主”や”蛇の使徒”たちが殺されたですって!?」
「生首を見せるとかえげつなさすぎでしょう……」
「…………(”蒼の聖典”から”盟主”は既に殺された事は聞いていましたが……まさか他の”蛇の使徒”まで討ち取られていたとは。)」
レンの答えを聞いたサラ教官は信じられない表情で声をあげ、マカロフ教官は厳しい表情で呟き、トマス教官は目を細めて考え込んでいた。
「ちょっと待って!アンタたちメンフィルは一体どうやって”結社”の”盟主”や他の”蛇の使徒”達の居場所を知ったのよ!?」
セリーヌは血相を変えて尋ねたその時
「―――それは私が改めて忠誠を誓ったリウイ陛下達に”盟主”達の居場所を教えたからですよ。」
何とリアンヌが転移でその場に現れた!
「な―――――」
「ほえっ!?何でレグラムの石像と同じ姿や容姿をしているの!?」
「ば、馬鹿な……その容姿と姿は……!」
「”槍の聖女”じゃと!?」
リアンヌの容姿や姿を見たラウラは絶句し、ミリアムとユーシス、ヴァンダイク学院長は信じられない表情をし
「”結社”の”蛇の使徒”の第七柱にして、”結社最強”の使い手――――”鋼の聖女”アリアンロード!まさかアンタがメンフィルに寝返ったって言うの!?」
「ええっ!?あ、あのクロチルダさんと同じ”結社”の……!?」
「それ以前に貴女は本物”槍の聖女”なのだろうか……?」
セリーヌの声を聞いたエリオットは驚き、ガイウスは目を丸くしてリアンヌを見つめた。
「……―――久しいですね、”灰の騎神ヴァリマール”。」
するとその時リアンヌは静かな笑みを浮かべてヴァリマールを見つめ
「りあんぬカ。250年ト128日前ブリダナ。」
「何だって!?じゃあ目の前の人は……!」
「ほ、本物の”槍の聖女”という事になりますね……」
ヴァリマールの答えを聞いたリィンは驚き、エマは信じられない表情でリアンヌを見つめ
「馬鹿な……250年前の人物が何故まだ生きているのだ!?」
「もしかして異世界にいると言われている”神格者”と同じような存在だからでしょうか……?」
「しかもエレボニアの伝説の英雄が何故メンフィルに……」
「それに……何故貴女程の方が”結社”に属していたのですか!?」
ユーシスは驚きの表情で声をあげ、セレーネは戸惑いの表情で推測し、エリスは呆けた表情でリアンヌを見つめ、ラウラは厳しい表情でリアンヌを見つめて尋ねた。
「……―――それを貴女方に話す義理はありません。どうしても私の話を聞きたければ、”特務支援課”のように相応の”力”を示して見せなさい。」
「……ッ!」
「何という闘気じゃ……!」
「ア、アハハ……さすがは”槍の聖女”ですね~。」
「伝承以上の”化物”じゃねえか……!」
「フフッ、さすがは伝説の”英雄”って所かな……!?」
「……その口ぶりだと”特務支援課”は貴女に勝ったの?」
全身から溢れ出る程の闘気を纏ったリアンヌに視線を向けられたラウラは息を呑み、ヴァンダイク学院長は驚き、トマス教官は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、マカロフ教官とアンゼリカは厳しい表情をし、フィーはリアンヌを警戒しながら尋ねた。
「ええ。彼らは私の兜を破壊した所か、私に膝をつかせました。」
「ええっ!?」
「ロ、ロイドさん達が”槍の聖女”である貴女に膝をつかせたというのですか!?」
「”特務支援課”……信じられない程実力をつけたみたいね……!」
「確か”特務支援課”はリィン君達よりちょっと上くらいの実力だって話だけど……」
「……彼らはリィン君達とも比べ物にならないくらいの修羅場を潜ってきたようだね……」
リアンヌの話を聞いたアリサとエマは驚き、サラ教官は真剣な表情で呟き、不安そうな表情をしているトワの言葉にジョルジュは重々しい様子を纏って答え
「―――ちなみにその中には貴方方の血縁者――――エリゼ・シュバルツァーも入っていますよ。」
「何だって!?エ、エリゼが!?」
「ね、姉様があの”槍の聖女”に勝利するなんて……」
「一体エリゼお姉様はクロスベルでどれ程の厳しい戦いを潜り抜けたのでしょう……?」
「……少なくても私達以上の厳しい戦いは経験していると思うわ。」
リアンヌの答えを聞いたリィンは驚き、エリスは呆け、セレーネの言葉にゲルドは静かな表情で答えた。
「――――お初にお目にかかりますわ、リアンヌ様。かつて”メンフィルの守護神”と称えられ、そしてリフィア皇女殿下の祖母であるシルフィア様の生まれ変わりである貴女に会えて光栄ですわ。」
するとその時シグルーンがリアンヌに会釈をして、リィン達にとって驚愕の事実を口にした。
「貴女がリフィアの親衛隊の副長を務めている者ですか。”影の国”の際、リフィアから貴女と貴女の番いの事は聞いています。いつも我が孫娘のお世話をして頂き、ありがとうございます。」
「そんな……お世話だなんて……私達は殿下に仕える騎士として当然の事をしているまでですし、殿下には返し切れぬ恩があるのですから、お世話をして頂いているのはむしろ私達の方ですわ。」
「何ですって!?」
「”槍の聖女”がリフィア殿下の祖母だって!?」
「一体どうなっているの~!?」
二人の会話を聞いていたサラ教官とマキアスは信じられない表情で声をあげ、ミリアムは混乱した様子で声を上げ
「な――――シルフィア様だって!?」
「兄様……?」
「リィンはその人の事を知っているの?」
ヴァリマールから聞こえて来たリィンの声を聞いたエリスは不思議そうな表情をし、ゲルドは尋ねた。
「ああ。――――メンフィルの初代近衛騎士団団長シルフィア・ルーハンス。”メンフィルの守護神”と称えられたリウイ陛下の側室の一人にして現メンフィル皇帝であるシルヴァン皇帝陛下の産みの母親で、今でもメンフィルに伝えられ続けている伝説の聖騎士だ……!」
「何だとっ!?」
「げ、現メンフィル皇帝のお母さん!?」
リィンの説明を聞いたユーシスとエリオットは驚き
「先程シグルーン中将閣下が貴女をそのシルフィア殿という名の騎士の生まれ変わりと仰っていたが……まさかプリネやエステル殿と同じ……」
「うふふ、そうよ。”槍の聖女”もプリネお姉様のようなイレギュラーの形で生まれ変わって、今は”シルフィア・ルーハンス”としてかつての主であるパパ―――リウイ・マーシルンとイリーナ・マーシルンに忠誠を再度誓って、二人の護衛騎士になったのよ♪」
ある事を推測したラウラの言葉にレンは微笑みながら答え
「―――自己紹介が遅れましたね。メンフィル大使リウイ・マーシルン並びにその妻イリーナ・マーシルンの護衛騎士リアンヌ・ルーハンス・サンドロッド。それが”今の私”です。」
リアンヌが軽く自己紹介をした。
「”獅子戦役”でかのドライケルス帝と共に活躍したあの”槍の聖女”が今はリウイ陛下とイリーナ皇妃の護衛騎士…………」
「め、滅茶苦茶だ……!」
リアンヌの自己紹介を聞いたアルフィン皇女は呆け、マキアスは疲れた表情をした。
「―――話を戻しましょう。”蒼の深淵”は私の裏切りによって”盟主”や他の”蛇の使徒”達が死んだ事に絶望し、戦う事なく降伏しました。」
「姉さん…………」
「当然だけどカイエン公も拘束したわよ♪―――両腕が斬りおとされた状態でね。」
リアンヌの話を聞いたエマは悲しそうな表情をし、レンは凶悪な笑みを浮かべて答え
「え…………」
「両腕が斬りおとされた状態ですって!?」
「……何故そのような惨い仕打ちをして拘束したのですか?貴女達ならばそこまでしなくても五体無事で拘束できたと思うのですが。」
レンの答えを聞いたアルフィン皇女は呆け、サラ教官は厳しい表情で声をあげ、ヴァンダイク学院長は厳しい表情で問いかけた。
「だってあのオジサン、自分がユーゲント三世達より”尊い血”だ~、とかエレボニアの真の皇は自分だ~、とか色々と呆れるような事ばかり言っていたから余りの愚かさに怒ったパパとヴァイスお兄さんが両腕を斬り落としたのよ♪」
「カイエン公………」
「カイエン公はかつてのエレボニア皇帝の血を引いているとはいえ、今のエレボニア皇家は”アルノール家”の方々。それなのによくそんな事が言えますわね……!」
「不敬にも程があるぞ……!」
レンの話を聞いたアルフィン皇女は複雑そうな表情をし、セレーネとラウラは怒りの表情をし
「それにカイエン公爵はどうせ”処刑”するんだから、両腕を斬りおとした所で問題ないじゃない♪」
「よくもまあ、その年齢で楽しそうな様子でそんなエグイ事ばかり口にできますな……」
「……どうして貴女はそんな恐ろしい事を笑いながら言えるの……?」
「ま、”殲滅天使”だし。」
楽しそうな表情で説明するレンに厳しい表情で指摘するマカロフ教官と悲しそうな表情をしているゲルドにフィーは静かな表情で呟いた。
「それでクロウは!?本当にクロウは拘束されたのですか!?」
その時リィンは血相を変えて尋ねた。
「ええ。”無駄な抵抗”をしようとした所、パパに”C”の制圧を自ら申し出たエリゼお姉さんがパパに許可を貰って、まさに”瞬殺”と言ってもおかしくない速さで”C”を制圧したわ♪」
「な―――――」
「ね、姉様自らがクロウさんの制圧を申し出たのですか!?」
レンの説明を聞いたリィンは絶句し、エリスは信じられない表情で尋ねた。
「ええ。『兄様達を裏切った卑劣な愚か者とはいえ、かつては兄様達のクラスメイトであり、兄様達を支えていた方。せめてもの情けに”C”と”騎神”同士による決戦を”約束”していた兄様の妹である私がこの手で決着をつけたいのです』ってパパに言った後許可を貰って”C”を制圧したのよ♪」
「…………ッ…………!」
「姉様…………」
「エリゼお姉様…………」
レンの話を聞いたリィンは辛そうな表情で唇を噛みしめ、エリスとセレーネは複雑そうな表情をした。
「………一つ疑問があるわ。何で”起動者”であるあの男は”蒼の騎神”をその時呼ばなかったのよ。そんな危機的状況だったら、例え修理に出しても普通なら”騎神”を呼び寄せるわよ?」
「うふふ、だってその時点で”蒼の騎神”――――オルディーネは”既に破壊されていた”のだから、呼んでも来るわけがないでしょう?」
セリーヌの疑問を聞いたレンは不敵な笑みを浮かべて驚愕の事実を答えた!
「え…………」
「レ、レン姫……今、何と仰ったのですか……?」
レンの答えを聞いたリィンは呆け、エリスは信じられない表情で身体を震わせながら尋ね
「”蒼の騎神”オルディーネは”C”が拘束される以前から既に破壊されていたのよ♪」
尋ねられたレンは笑顔で答えた。
「オ、オルディーネが既に破壊されていたって……!?」
「一体いつ破壊されたんですか!?それに一体誰がそんな事を……!」
レンの答えを聞いたトワは表情を青褪めさせ、ジョルジュは怒りの表情でレンに問いかけ
「……まさかとは思うけど、レン君。その人形―――”パテル=マテル”を操っている君が破壊したのかい?」
ある事を察したアンゼリカは真剣な表情でレンに尋ねた。
「あ…………」
「……軍用飛行艇を一瞬で撃破できる程の導力砲も搭載されてある”パテル=マテル”の武装を考えれば可能だろうね。」
「しかもオレ達を逃がす為に戦っていた時も、オルディーネ相手に圧していたしな……」
アンゼリカの推測を聞いたアリサは呆けた表情で、フィーとガイウスは真剣な表情でパテル=マテルを見つめた。
「クスクス、惜しいわね。確かにレンとパテル=マテルもオルディーネ破壊の為に戦ったけど、ロイドお兄さん達も一緒になってオルディーネと戦って、レン達と一緒にオルディーネを破壊したのよ?」
「な――――」
「ロ、ロイドさん達がですか!?」
「あの人達、どこまで強くなっているの~!?」
レンの答えを聞いたリィンは絶句し、マキアスは信じられない表情で声をあげ、ミリアムは混乱した様子で声を上げた。
「ちょ、ちょっと待ってください!クロウの知らない内にクロスベルのロイドさん達がオルディーネと戦ったって事はクロスベルにオルディーネが現れて、クロウの操縦無しで戦った事になりますよ!?」
「い、言われてみればそうなりますわね……」
「……騎神は自動操縦でも動けるのかしら?」
「た、確かにある程度なら可能ですが……でも、幾ら何でも自動戦闘はできないはずです。」
エリオットの問いかけを聞いたアルフィン皇女は考え込み、サラ教官に尋ねられたエマは戸惑いの表情で答えた。
「クスクス、これがまた傑作なお話でね♪実は――――」
そしてレンがその場にいる全員にオルディーネが破壊された経緯―――クロチルダに無許可でオルディーネに手を加えたノバルティスによって暴走したオルディーネがノバルティスを殺害し、その後ロイド達によって破壊された事を説明した。
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