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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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魔導士vs.トレジャーハンター

 
前書き
七年間時が止まってたせいで、ラクサスとカグラって同い年になったんだな。
初めて気付いた・・・てかなんで急に気付いたのか自分でもよくわからない・・・ 

 
「着いたのか」
「ウォーロッド様のおかげで、あっという間だったな」
「すごい魔法ですね」
「さすがは聖十大魔道」
「こんな魔法もあるんだね~」

目的地付近に到着したため、ウォーロッドさんの魔法で作られた木から降りて深呼吸する。グレイさんたちはこの魔法に感心しているが、俺とナツさんはそれどころではない。その理由はお決まりのこれである。

「「ウプッ」」
「酔ったの!?」

顔を青くして吐き気に耐えている俺とナツさん。木に乗っていただけなのに乗り物酔いを起こすとは、厳しいな、真の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)というのは。

「ね~!!みんな!!」
「あれを見て!!」

(エーラ)を出して俺たちの頭上付近にいるセシリーとシャルルの声を聞き、彼女たちの視線の先を見据える。その先には通常の地面と、凍っている地面の境目になっている場所があった。

「岩肌が凍り付いてやがる」
「太陽の村は、確かこの先だな」

目印のようにもなっている氷の道を辿っていき、目的の村へと歩を進めていく。

「「「「「わあ・・・」」」」」

入り口と思われる巨大な門を見つけ、村の中へと侵入していく。そこはウォーロッドさんの言っていた通りの光景だった。

「本当に、建物も何もかも凍りついてる」
「ウォーロッド様の話では人も・・・ということだったが、見当たらないな」

辺りを見回して凍りついている建物や植物を見ているのだが、肝心の村人がどこにもいないように思える。でも、なんだかこの村の建物、やけに大きくないか?

「ん?」

しばらく歩いていると、ナツさんが何かに気づいたらしく足を止める。彼がゆっくりと顔を上げていくのに同じように合わせていると、視界に驚くべき光景が入り込んできた。

「・・・え?」

固まっている皆さんの脇で一人間抜けな声を出してしまう。しかし、それも仕方ないことだろう。だって・・・

「「デカーッ!!」」

村人たちが俺たちの何倍もの大きさの巨人たちだったのだから。

「デカーッ!!デカーッ!!デカーッ!!小っさ。デカーッ!!小っさ。デカーッ!!」

周囲の村人たちを見て飽きずに何度も同じリアクションを取っているナツさん。でも、途中の視線が明らかに悪意を感じたのは俺とウェンディだけだろうか?

「デカイのはわかったんですけど・・・」
「今私たちの方見て何か言いましたか?」

最初の方は確かに巨人たちを見ていたけど、途中からルーシィさんの胸を見たりウェンディを見たりエルザさんの胸を見たり俺を見たりと明らかにおかしかった。なんだろう、よく分からないけどすごく殺意を覚える。

「ここは巨人の村なのか!?」
「シカトしないでくださいよ!!」

俺とウェンディの突っ込みなど気にする様子もないナツさん。俺も気にしない方がいいのかな?うん、今はそうしておこうか。

「ウォーロッド様は今頃・・・」

『そういえば大事なことを伝えるのを忘れてたような・・・冗談じゃが』

「とか思ってるんでしょうね」
「自由な人だもんね~」

彼はきっと太陽の村が巨人の村だということを俺たちに伝え忘れていたんだろう。まぁ、依頼の内容を伝え忘れないようにしてたんだろうし、仕方ないと思う。

「ん?」

俺たちが巨人に唖然としていると、ルーシィさんがグレイさんの表情を見て何かを感じ取ったらしく、ゆっくりと歩み寄る。

「どうしたの?」
「いや・・・氷漬けのデケェのを見るとついな・・・」
「デリオラ・・・そっか」

以前グレイさんから話してもらったゼレフ書の悪魔のお話。彼は氷に閉じ込められている村人たちを見て、それがフラッシュバックしていたみたいだ。

「驚いたな。こんなに大きい人間がいるとは」
「犬も大きいです!!」
「犬なのかしら・・・」
「食わえてるの・・・魚?」
「大きいね~」

住んでいる村人だけが大きいわけではなく、飼われている動物や食べ物も大きいみたいだ。こんな犬に襲われたら、一たまりもないな。

「とにかく、早いとこ助けてやらないとな!!」

ようやく落ち着きを取り戻したナツさんは指をポキポキ鳴らした後、一人の村人の足に手を当てる。

「俺の炎で溶かしてやらぁ!!」
「ナツぅ!!頑張れぇ!!」

手から炎を出してガンガン氷を熱していく火竜(サラマンダー)。しかし氷は全く溶けている気配がない。

「うぐぐぐぐぐ」
「いけぇ!!やっちゃえ!!」

炎の勢いを上げていき、いつの間にか彼の体を包み込めるほどの大きさまで巨大化している大火。しかし、それでも巨人を覆う氷は溶けることはなかった。

「どうなってんだ、こりゃあ」
「あい」
「あんた、何もしてないでしょ」
「なんで脱力してるの~?」

溶かせそうになかったため、巨人の足を背もたれにして座り込んでいるナツさんとハッピー。シャルルとセシリーが的確に突っ込みを入れているが、ハッピーは何にそんなに疲れているのか、返す気力もないようだ。

「木のじいさんが、普通の氷じゃねぇって言ってたけど」

グレイさんはそう言うと、巨人の足に手を付ける。

「なんだ?この氷の感覚は・・・今まで感じたことのない魔力・・・」

不思議な魔力で構成されて氷。彼はそれが溶かせるかどうか自身の腕に魔力を持たせ、それを巨人を覆う氷に流し込んでいく。

「お前の魔法でも溶かせんか」
「そう簡単にはいかないわね」

ナツさんの炎でも溶けないし、グレイさんの魔法でも溶かせない氷。一体どうやったら溶かせるんだろうか?

「けど、誰かの魔力に似てんだよなぁ」

村を覆う氷に触れている氷の魔導士は不思議そうな顔をしている。彼の知ってる魔導士ということだろうか?
彼が頭を悩ませていると、後ろから何者かの足音が響き渡る。誰が来たのか確認しようと振り返ると、そこには四人の男たちが立っていた。

「おや?先客か?こりゃあ参ったね」
「超女子供ばかりだと?」
「てゆっか、面倒なことだな」
「ドゥーン、ドゥーン」

背中に銃を持った銀髪の男と同様に剣を背負った黒髪をツンツンと立たせている男、さらには茶髪の袖から鎖を見え隠れさせている者に、もみあげとアゴヒゲが繋がっている、手の形をした武器を背負ったリーゼントの男。四人組のそいつらは、建物の上から俺たちを見下ろしている。

「何者だ?」
「俺たちは」
「トレジャーハンターギルド」
風精の迷宮(シルフラビリンス)
「ドゥーン」
「・・・わかった」

仁王立ちして名乗りを上げる男たち。しかし、なんと反応すれば良いのかイマイチ理解できず、全員ただ呆然としていることしかできない。

「ダメだよみんな!!もっと驚いてあげないと!!」
「せっかく名乗ったんだよ~?無反応は可哀想だよ~」

あまりの反応の薄さにハッピーとセシリーがそう言う。だけどさぁ・・・

「どこに驚きゃいいんだよ」
「だな」
「出てきたタイミングが悪かったですね」

村が氷付けなんてインパクトがある光景の後に、トレジャーハンターなんか来ても、正直驚かない。むしろシカトしないだけありがたいと思ってほしい。

「トレジャーハンターギルドって?」
「宝探しが専門ってとこかしら」
「ギルドには魔導士だけじゃなくて、色々なギルドがあるんですねぇ」

適当に流していた俺たちとは異なり、感心している様子のウェンディとルーシィさん。二人とも優しいんだよなぁ、そんな感心するとこでもない気がするけど。

「悪ぃが、ここに眠る宝はうちらのもんだ。邪魔は勘弁な」
「宝?」
「んなもん興味ねぇよ」

銃を持っている人の言葉にナツさんとグレイさんがダルそうに答える。しかし、トレジャーハンターさんたちはそれを聞くと驚愕の表情に変わっていた。

「おめぇら!!永遠の炎狙いじゃねぇのかよ!!」
「てゆっか、それだったらなんで」
「魔導士がこんなところに超いるんだ?」
「ドゥーン?」

あのアゴヒゲリーゼントさんは「ドゥーン」しかしゃべれないのだろうか?そんな些細な疑問が頭の中を駆け巡っていると、ハッピーが彼らの問いに答える。

「ここの氷を溶かして、住人を助けに来たんだ」

彼がそう言うと、トレジャーハンターたちは視線を交わし、一度うなずき、こちらを睨んでくる。

「「「それを邪魔って言うんじゃねぇか!!」」」
「ドゥーン!!」
「「「「「??」」」」」

彼らが宝を取ることと俺たちが村人たちを救出すること。それがどう接点があるのか理解できず、俺たちは頭を抱えている。

「永遠の炎は、何百年も燃え続ける幻の炎よ!!」
「俺たちはトレジャーハンターの中じゃ、超S指定されてる超お宝だ」
「てゆっか、それはもう最高クラスのな!!」
「ドゥーン」

突然俺たちを敵視し始めたトレジャーハンターたちは、自分たちが狙っているお宝について語り始める。

「けど、村を守る巨人たちのせいで、お宝には近づけなかった」
「それがどういうわけか、巨人たちがドゥーンって凍っちまっただろ?」
「今が永遠の炎を手に入れるチャンスってわけ」
「そういうこと」

だから巨人たちを助けようとしている俺たちを敵視しているというわけか。すごく分かりやすかったです。

「でも、その炎はこの村の守り神で、とても大切なものだと聞きました!!」
「勝手に取っちゃうなんて、泥棒じゃない」
「いくら超お宝でも、それはいけないことですよ!!」

この村を守護するとされている永遠の炎を奪わせるわけにはいかない。そう考えたウェンディとルーシィさんと俺がそう言うと、彼らは再び互いに視線を交わらせていく。

「トレジャーハンターに宝を取るなっていうのかよ!!そんなもん!!取られた方が超悪いに決まってんだろ!!」
「ドゥーン!!ドゥーン!!」

しかし、俺たちの説得が逆に彼らに火をつけてしまったらしい。先程よりもさらにテンションが上がった彼らは、声を大にしてそう言っていた。

「こうしちゃいられねぇ!!魔導士たちに邪魔される前に、お宝頂いちまおうぜ!!」
「うし!!行くぞ!!」
「おうよ!!」
「ドゥーン!!」

今すぐにでも駆け出そうとしているトレジャーハンターさん。しかし、それを見てグレイさんが冷静に一言を放つ。

「いただくって、残念だがその炎も凍ってるって話なんだけどな」
「だから取りたくても取れませんよ?」

ウォーロッドさんの話で永遠の炎も凍り付いてしまっていると聞いた。なので、彼らがどれだけ頑張ろうともそれを奪うことはできないと思う。
しかし、その言葉を聞いても彼らは笑みを浮かべている。

「てゆっか、そんなことは事前に調査済みなんだよ」
「そう、トレジャーハンターの超お宝力、なめんなよ?」
「ドゥーン」
「この超秘宝があれば、氷を溶かすことが超できんだよ」
「超秘宝って、なんだ?」
「悲しいお知らせ?」
「それは悲報だよシリル~」

俺のボケにセシリーが突っ込みを入れたところで、トレジャーハンターの一人が服の中から瓶を取り出す。そこには、何か液体が入っている。

月の雫(ムーンドリップ)だ」
「「なーーーーっ!!」」

ツンツン髪の人にそう言われると、ナツさんとグレイさんが発狂する。どうしたんだ?急に。

月の雫(ムーンドリップ)って」
「ガルナ島で、リオンたちがやっていた魔法」

なんでも月の雫(ムーンドリップ)というのは、どんな魔法でも解除することができる魔法のことらしい。それで何者かの魔法によって凍らされた永遠の炎の氷を溶かすことができるとトレジャーハンターたちは考えているらしい。

「というわけで」
「超あばよ」
「ドゥーン」
「さらば」
「液体にできたのか」

得意気な笑みを見せてから背を向けて走り去っていくトレジャーハンターたち。エルザさんは彼らの持っていた月の雫(ムーンドリップ)のことを思い出しそう呟く。

「てか!!あれがあれば村を元に戻せんじゃねぇか!?」
「「「「「あーーーっ!!」」」」」

すると、走り去るトレジャーハンターたちを指さしナツさんがそう言う。彼のもっともな意見に言われてから気付いた俺たちはまさしく目から鱗が落ちる状態だ。

「追え!!トレジャーハンターを捕まえるんだ!!」
「言われるまでもねぇ!!」
「任せてください!!」
「俺に任せろ!!」

エルザさんの指示を受けて一気に加速する魔導士たち。

「魔導士なんかに捕まるかよ!!」
「てゆっか、体の鍛え方が違うんだよな!!」
「超逃げるぜ!!」
「ドゥーン!!」

後ろから追われていることに気付いたトレジャーハンターたちも、同様に加速を開始する。

「奪えぇ!!」
「取っちまえばこっちのもんだ!!」
「取られる方が悪いんだ!!」
「あいつら、さっきまでの超綺麗事どこいったんだ!?」
「ドゥーン!!」

さっきはさっき、今は今。とにかく村人たちを助けるために逃げるトレジャーハンターたちを追いかける俺たち。魔導士とトレジャーハンターによる奇妙な鬼ごっこが開幕した。

「待ってぇ!!」
「その雫があれば、巨人を助けられるんだ!!」
「お願いだから譲ってください!!」
「冗談じゃねぇ!!この月の雫(ムーンドリップ)を集めるのにどんだけ苦労したと思ってんだ!!」
「沈みそうな船に乗り込んで」
「超悪魔ばっかりの島に行って、超必死に探したんだ!!」
「つーか、巨人が甦ったら、ドゥーンって怖ぇだろうが!!」

ナツさんたちと一緒に瓶を渡してくれるように懇願してみるが、そこは彼らもハウンティングのプロとして譲れないようだ。

「あれ?そういえばエルザは?」
「何か、他の手がかりがないかって村に残ってます」

後ろでルーシィさんとウェンディがこの場にいないエルザさんについての話をしている。それを聞いたハッピーが、心配になるようなことを言い出した。

「巨人を壊しちゃったりしないよね!?」
「大丈夫って信じたいわ」
「さすがに大丈夫なんじゃないかな~?」

彼らの頭の中ではエルザさんは相当怖い人物のようだ。だけど、さすがに大丈夫だろう。と、ここは考えておかないとやってられない。

「待てドロボー!!」
「ドロボーじゃねぇよ!!」
「トレジャーハンターだ!!」
「てゆっかまだ何も盗んでねぇよ!!」
「ドゥーン!!」
「やかましい!!ドロボーはドロボーだ!!」

人の物を盗もうとしたことで彼らのことをドロボーだと位置付けしたナツさん。そんな彼の言葉に気を悪くしたのか、トレジャーハンターたちはコソコソと耳打ちした後、一人を除いて全員が立ち止まり、振り返る。

「ドレイク、位置につけ!!」
「おう!!」

どうやら戦ってこの追いかけっこを終わらせようとしているトレジャーハンターたち。それに対抗するべく、俺たちも立ち止まる。

「魔導士ごときにナメられちゃ、超終わりなんだよ」
「てゆっか、俺たちの恐ろしさ、その体に叩き込んでやる」
「邪魔な奴等は排除する。トレジャーハンターは、危険な仕事だぜ。ドゥーン」

立ち止まった三人はそれぞれの武器を手に取る。

「危険な仕事はお互い様だろ」
「やるなら話は早ぇ。ぶっ潰す!!」
「とっととケリつけて、巨人さんを助けさせてもらいますよ!!」

トレジャーハンターたちを倒すべく、片足を引いて半身になるナツさん、グレイさん、俺。ウェンディたちもいつでも動き出せるように、準備万端である。

「やれるもんなら、超やってみろ」
「自信満々な鼻、へし折ってやる」
「ドゥーン」

そう言うと敵の一人、手の形をしたハンターを持っている男が、それをナツさんへと降り下ろしてくる。

「ドゥーン!!」
「うおっ!!こいつは・・・」
「手の形の武器!?」

間一髪でそれを回避したナツさん。ハンマー使いは、見た目通りのパワー系のようで、彼の体よりも大きな武器を軽々と持ち上げていた。

強化甲型鎚(ストロンガー)の威力は、ドゥーンって来るぜ」

武器を構えて次なる一手を放とうとするハンマー使い。しかし、それよりも早くナツさんが動く。

「火竜の鉄拳!!」

炎を左手に宿してアゴヒゲを殴り付けるナツさん。しかし、その攻撃は彼のハンマーに防がれてしまい、逆に攻撃を食らってしまう形になっていた。

「うわ!!」

手に捕まれ、投げ飛ばされる火竜(サラマンダー)。彼は放物線を描きながら、氷の山へとめり込んでいた。

「ナツさん!!」
「まだまだ・・・」

大ダメージを負ったように見えたナツさん。それを心配し天竜が彼の名前を叫んでいたが、氷に食い込んでいた青年は、しっかりと目を開き大丈夫そうである。

「水竜の・・・(アギト)!!」

ナツさんがハンマー使いと戦っている間に、俺は剣を持ったツンツン頭を上から狙い撃ちする。しかし、

「超斬る!!」

両手で歪な形の大剣を持ったその男は、両手を合わせ降り下ろした水の攻撃を簡単に打ち返してくる。

「くっ!!」

空中でバランスを崩し、頭から落ちそうになる。しかし、なんとか体を一回転させ、地面に着地することに成功した。

「我が変形銃槍剣(チェインブレイド)、食らうがいい!!」

そう言って男は剣に取り付けられたレバーを操作すると、刃の部分が一気に伸びてこちらを突き刺そうとしてくる。

「わおっ!!」

でも剣筋が単純だったため、簡単に見切ることができてあっさりと交わす。それは後ろにいたウェンディとルーシィさんの間を通り抜け、高い一本の木を斬り倒していた。

「アイスメイク・・・氷槍騎兵(フリーズランサー)!!」

造形魔法の姿勢から無数の槍を放つグレイさん。それは一直線に袖から鎖を出している茶髪の男に飛んでいく。

「てゆっか、そんなの無駄だぞ!!」

鎖を出していない方の手でそれを掴むと、指パッチンの要領で見えている鎖を回転させる男。彼はそれを氷の槍へと振るうと、袖から鎖がどんどん伸びてきて、すべての攻撃を払い落としていた。

「俺の回転鎖鎌(トルネードチェーンシークル)は、如何なる攻撃も破壊できる!!」

男はそう言うと、左袖から鎖をすべて出すと、尾の部分につく鎌を手に持ちグレイさんへと斬りかかる。

「アイスメイク・・・(シールド)!!」

咄嗟に氷の盾を展開したグレイさん。しかし、それを鎖鎌を扱う男は、容易く真っ二つにして見せた。

「何!?くっ!!」

頭を下げて鎌を避けた後、後方に飛ぶようにして一度間合いを取るグレイさん。それに対する男は、鎖を回しながらニヤニヤと彼を見据えている。

「!!危ない!!」
「わっ!!」

俺の後ろで攻撃に参加するタイミングを測っていたウェンディとルーシィさん。そのうちの小さな少女が何かを察して金髪の女性を押し倒す。直後、彼女たちがいた場所に、銃弾が突き刺さる。

「銃!?」
「どこから!?」
「狙撃手!?」
「どこから来たの~!?」

周囲を見渡し敵の居場所を探るエクシードトリオ。しかし、どこにも敵の姿は見当たらない。

「ほう。よく交わしたな。だが、次は頭をぶち抜くぜ」
「声が拡散してて、位置がよくわからない」
「ずるいぞ~!!」

声の位置から敵の居場所を探ろうとしても、それにもきっちり対策を取っているトレジャーハンター。それに対し、天空の少女は鼻をヒクヒクさせて匂いの場所を探している。

「俺の七四式長距離砲(ナナヨン)が血を求めてんだよ」
「火薬の匂い・・・ルーシィさん!!あそこです!!」

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の特徴である嗅覚の発達。ウェンディはそれを使い、狙撃手の位置を特定したのだった。

「あんなところから!?任せて!!開け!!人馬宮の扉・・・サジタリウス!!」
「狙撃ならお任せあれであるかしてもしもし」

呼び出されたサジタリウスは弓を引き、矢を放つ。しかしその一撃は、相手の弾丸によって相殺されてしまった。

「そんな・・・」
「矢を撃ったの?」
「こやつは・・・」

まさかの出来事に愕然としているウェンディたち。魔導士たちは一度敵との間に距離を置き、次の動きに備えている。

「コイツら・・・意外とやるぞ」

予想とは全く違う展開になっているトレジャーハンターとの月の雫(ムーンドリップ)争奪戦。その頃村に残っているエルザさんの身にある異変が起きていたのだが、それを知るものは誰一人いなかった。










 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
トレジャーハンターたちにオリキャラを一人投下。
しかし、さして重要でもないので設定はかなり雑だったりします。
ちなみに名前はクサリガマ・バンダなんて言います。名前も言いやすかったからなったって感じですね。 
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