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英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)

作者:sorano
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第29話

~隠者の庭園~



「あ、あれ………!?」

封印石を解放したケビンは光の中から現れようとした人物を見て驚き

「シェラさんじゃない…………?」

ヨシュアは真剣な表情で呟いた。そして光の中から以前と違い、短い髪にし、さらに仕事着も変わったシェラザードが現れた!

「う、うーん…………」

光の中から現れたシェラザードは目を閉じて唸っていた。

「あ………」

「え………」

シェラザードを見たティータとヨシュアは呆け

「「まあ…………」」

「………おお………」

クローゼとプリネ、オリビエは驚きの表情で見つめ

「ふむ………髪を切ったのか。」

「ええ、一月くらい前にバッサリやったみたいです。それと合わせて仕事着も新調したみたいで。」

ジンの言葉にアネラスが頷いた後、説明した。

「くっ、おかしいわね………このあたしが、この程度の酒で目を回しちゃうなんて………いやっ、なんのこれしき!」

一方目を覚ましたシェラザードは戸惑った表情で呟いた後、顔を上げ

「さあアイナ!今夜こそどちらが上か―――あら?………………………」

大声で叫んだ後、目の前にいるケビン達に気付き、不思議そうな表情をした。

「………シェラさん。どうもお久ぶりです。」

「ヨシュア………!?一体いつ戻って………エステルとミントはどこにいるの?というか、あんた少し逞しくなったみたいじゃない。」

「はは………どうも。」

「フッ………このボクも忘れては困るね。シェラ君の忠実な下僕にして永遠なる恋泥棒のことをっ!」

「オ、オリビエ!?」

「フフ、久しぶりですね、シェラザードさん。」

「プ、プリネさん!?っていうか、見覚えがある顔や初対面の人達がこんなに………し、しかも何だかあたりが妙なことに………ああもう、一体なんなのよ!?」

ヨシュア達からそれぞれ声をかけられたシェラザードは驚いた後、周りを見回し、混乱した様子で叫んだ。

「先輩、先輩。どうか落ち着いてください。」

「ふふ………驚かれるのも無理はないです。」

シェラザードの様子を見たアネラスは苦笑しながら宥め、クローゼは苦笑して呟き

「ま、これが普通の反応だよね。」

ジョゼットはシェラザードの様子を見て頷いた。そしてケビン達はシェラザードに状況を説明し、自己紹介をし合った。



「コホン…………話はだいたいわかったわ。しかしまあ、普通だったらとても信じられる話じゃないわね。まだ、酔い潰れて見てる夢とかルシオラ姉さんの幻術とかの方が説得力あるんだけど?」

「はは………そう仰るんも無理ないですわ。」

「おお、何という悲劇!シェラ君がこのボクを見て本物だと信じてくれないとは!」

シェラザードの言葉を聞いたケビンは苦笑し、オリビエは冗談か本気かわからない芝居がかかった悲しみ方をして叫んだ。

「はいはい。普通だったらって言ったでしょ。第一、こんな馬鹿げた幻術、誰が仕掛けたりするもんですか。それに夢にしてはあまりにも整合性が取れすぎているしね。」

「はは、違いない。」

「信じてもらえて何よりです。さっそく協力してもらってもええですかね?」

シェラザードの答えを聞いたジンは豪快に笑い、ケビンは頷いた後尋ねた。

「ええ、もちろんよ。聞いた感じだと、エステルとミント、それにもしかしたら師匠も取り込まれているみたいだしね。遊撃士として、姉貴分として、弟子として喜んで一肌脱がせてもらうわ。」

「シェラさん………」

「ありがとうございます。」

「フフ………良い弟子をお持ちになったのですね、ペテレーネさん。」

「ええ。お母様は『自分なんかには勿体ない』と仰ってますが、2人とも良い師弟関係ですよ。」

「フッ、さすがシェラ君。相変わらずの気っ風の良さだ。」

シェラザードの答えを聞いたヨシュアとツーヤは感謝した表情で見つめ、ティナは微笑んで呟き、ティナの言葉を聞いたプリネは微笑みながら頷き、オリビエは感心した様子でシェラザードを見つめた。

「おおきに、助かりますわ。―――状況についてはだいたい説明した通りです。今はその”第四星層”を探索してるまっ最中ですわ。」

「ふむ………ル=ロックルの訓練場か。あたしも何年か前に訓練生として使った場所だわ。その意味では………あそこで訓練したことのある人間が放り込まれたのかもしれないわね。」

「なるほど………あり得るかもしれんな。」

「エステルちゃんとミントちゃんは当然として…………クルツ先輩にグラッツ先輩、カルナ先輩も候補に入りそうですね。」

シェラザードの推測を聞いたジンは頷き、アネラスは不安そうな表情で呟いた。

「ふむ、どうかしらね。あの3人は、どちらかというと教官として行ったみたいだし。たしか3人とも純粋な訓練生として使ったことはなかったんじゃないかしら?」

「そうだったんですか…………」

「あ、あの、シェラさん………アガットさんってその訓練場を使ったことは………?」

シェラザードの話を聞いたアネラスは意外そうな表情をし、ある事に気付いたティータは不安そうな表情で尋ねた。



「うん………確かあったはずよ。カシウス先生にまんまと乗せられて酷い目にあったとか言ってたから。4年くらい前じゃないかしら。」

「そ、そーですか…………お姉ちゃんとミントちゃんとレンちゃんも、アガットさんも捕まっているかもしれないなんて………」

「ティータ………」

「………大丈夫。きっと大丈夫ですよ。」

ティータの言葉を聞いたヨシュアは表情をわずかに暗くし、クローゼは優しい微笑みを浮かべて励ました。

「いずれにせよ………3つあるという『修練場』も残るは一つだけということですね。」

「ああ………誰が囚われているかなど挑んでみればすぐにわかるだろう。」

そしてユリアの言葉にミュラーは頷いた。

「………ただもし、今まで戦った”グリモア”がエステルさんやミントちゃんに変身していたら厄介ですね……」

「…………竜に変化するミントも厄介だが、最も厄介なのはさまざまな者達と契約しているエステルだろう。恐らく使い魔達までは召喚できないとは思うが………」

「………万が一召喚できたら厄介だね。特にカファルーあたりとか召喚されるとかなり手こずるよ?」

一方ある事に気付いたツーヤの言葉を聞いたリフィアとエヴリーヌは真剣な表情をして呟いた。

「それにしてもエステル………か。ご主人様の過去の使い魔達と契約しているなんて奇妙な娘ね………」

「ええ。それにご主人様の過去を詳しく知っていらっしゃるという事ですし………」

「早く会って、ご主人様の昔の話を聞きたいです~。」

「うむ、そうじゃな。」

マリーニャとシュリは考え込み、サリアの言葉にはレシェンテが頷いた。

「いずれにせよ、次の『修練場』に挑んでみないとわかるでしょう。」

「ええ。それじゃあ準備を終えたら、挑むとしましょうか。」

そしてセラウィの言葉にケビンは頷いた後、メンバーを編成し、ケビン、ヨシュア、ティータ、アネラス、ウィル、エリザスレインのメンバーで解放された最後の『修練場』―――『グリムゼル小要塞』の探索を開始し、探索の途中に現れる敵やトラップを排除しながら終点に到着した。すると牛のような姿をした獣人達と共に虚ろな目をしたアガットが妖しげな光陣から現れた!



~グリムゼル小要塞・終点~



「…………………」

「あ………!」

「アガットさん………!」

虚ろな目をしたアガットを見たティータは不安そうな表情をし、ヨシュアは叫んだ。

「はあ………あのアガット先輩が相手か………」

「………どうやら相当、キツイ戦いになりそうやな。ティータちゃん、気合い、入れていくで!勝ってその手でアガットさんを取り戻すんや!」

一方アネラスは溜息を吐き、ケビンは真剣な表情で呟いた後、ティータに呼びかけた。

「はいっ………!」

「………来るわ!」

「行こう、みんな!」

ケビンの呼びかけにティータは強く頷き、エリザスレインは仲間達に忠告し、ウィルは仲間達に戦いの合図をした。



そしてケビン達は戦闘を開始した………!


 
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