英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第83話
~カレイジャス・個室~
「フウ……(今日は本当に色々とあったな…………でも……ようやくエリスを取り返す事ができて一安心だな……それにしても相部屋の相手がエリスって……みんなに気を遣わせてしまったな…………けど、ゲルドのあの言葉は一体どういう意味なんだ?)」
身体を休める為に個室に入ったリィンはゲルドが自分に向けた言葉を思い出した。
雪山の墓地で新たな”絆”を結ぶ事になるわ。
(雪山の墓地と言う事は恐らくユミル郊外にある墓地の事だと思うけど……一体そこで誰と”絆”を結ぶんだ?)
ゲルドの予言を思い返したリィンが考え込んだその時
「兄様…………」
エリスがシャワー室から姿を現した。
「エリス、先に戻ってい―――――!?」
エリスの方へと振り向いたリィンはバスタオルを身体に巻いているエリスの姿を見て驚き
(あらあら♪再会して早々”する”つもりだったのね♪早速結界を展開しなくちゃね♪)
(ふふふ、最初からそのつもりでご主人様との相部屋を強く希望したのでしょうね。)
(ま、まあ今まで監禁されていたんですから、このくらいは仕方ないですね。)
(フフ、アリサ達もこうなる事がわかっていても、譲ってあげるなんて優しいわね……)
その様子をベルフェゴール達は微笑ましそうに見守っていた。
「!?これはベルフェゴールの!?ま、まさかエリス……!」
結界に気付き、ベルフェゴールの意図にすぐに気付いたリィンは表情を引き攣らせてエリスを見つめ
「兄様……今まで会えなかった分も含めて、たくさん愛してください……兄様達がいつか助けに来ると信じて待っていましたけど、ずっと心細かったのです…………」
バスタオルを外して清楚な白のレースの下着しか身につけていないエリスはリィンに抱き付き
「エリス………………わかった………………」
エリスの言葉を聞いたリィンはエリスを抱きしめてベッドに連れて行き、エリスと愛し合った。
~翌朝~
「兄様……♪」
翌朝眠り続けている互いに生まれたままの姿でいるエリスは幸せそうな表情でリィンに抱き付き
「…………………」
対するリィンもエリスを離さないように抱きしめて眠り続けていた。するとその時扉が開き、アリサとセレーネ、アルフィン皇女とクレア大尉が部屋に入って来た!
(あらあら♪さすがはご主人様♪相変わらず私達の期待を裏切らないわね♪)
(ふふふ、今の状況になっても恒例の出来事が起こるとはさすがはご主人様です。)
(ま、まあ新しい方が増えた時と比べれば、マシとは思いますが……)
(フフ、頑張って、リィン……)
アリサ達の登場を見て、次に何が起こるかをすぐに想像できたベルフェゴール達は微笑ましそうに見守っていた。
「まあ……!フフッ、予想はしていましたけど、”やっぱり”昨夜はお楽しみだったようですわね♪」
「え、えっと……エリスお姉様は今まで幽閉の身で心細い思いをしていたのですから、大目に見てあげた方がいいのでは?」
「ハア……まさかエレボニア皇族の所有艦である”カレイジャス”内で性行為をするなんて……」
二人の様子を見て目を丸くしたアルフィン皇女は微笑み、セレーネは苦笑し、クレア大尉は呆れた表情で溜息を吐き
「………………こうなる事がわかってはいたけど、やっぱり腹が立つわね……!」
顔に青筋を立てて口元をピクピクさせていたアリサはリィンの頬をつねった!
「痛たたっ!?……い、一体何が―――――え”。」
痛みによって目覚めて起き上がったリィンはアリサ達に気付いて表情を引き攣らせた。
「おはようございます、リィンさん♪昨夜はお楽しみだったようですわね♪」
「ア、アハハ……え、えっと……おはようございます、お兄様。もうすぐ朝食の時間ですから起こしに来ましたわ。」
「リィンさん?性欲に盛んな年頃である事は理解していますが貴方達はまだ学生なのですから、性行為は程々にするようにと以前注意したことをもうお忘れですか?」
「おはよう、リィン?エリスに伝え忘れていた事を思い出したから、起こすついでに来たのよ。」
「な、なななななっ!?何故殿下やクレア大尉、アリサとセレーネがここに!?」
アルフィン皇女達に見つめられたリィンが慌てたその時
「ん……?朝ですか、兄様……?…………え。ひ、姫様!?それにアリサさんやセレーネ、クレア大尉まで……」
エリスも目覚め、アルフィン皇女達に気付いて驚いた。
「おはよう、エリス♪将来リィンさんの妻になる事が決まっている上”カレイジャス”の持ち主でもあるこのわたくしを差し置いて、一番最初に”カレイジャス”の中でリィンさんと愛し合うなんて卑怯ですわよ♪」
「う”……そ、それは……その…………って、それより何故クレア大尉まで一緒にいらっしゃっているんですか!?」
アルフィン皇女に微笑まれたエリスは表情を引き攣らせた後アルフィン皇女達から視線を逸らして口ごもった後話を逸らすかのように慌てた様子でクレア大尉を見つめた。
「ああ、それはクレア大尉も”私達と同じ状況”になったから、エリスにも教えておこうと思ったのよ。」
「……………………え。」
「…………………………」
アリサの答えを聞いて石化したかのように固まっていたエリスは呆けた声を出し、リィンは表情を青褪めさせて身体を震わせていた。
「そ、その、クレア大尉……アリサさんの仰っていた事は本当なのでしょうか……?」
そしてすぐに我に返ったエリスは顔に青筋を立て、口元をピクピクさせながらクレア大尉を見つめて尋ね
「―――はい。一昨日の深夜にリィンさんに鳳翼館の露天風呂で”全て”を捧げました。本当はアリサさんに遠慮して、一夜限りの関係で終わらせようと思っていたのですが……リィンさんから状況を聞いた時に、その考えはすぐに捨てました。皆さんがリィンさんに責任を取ってもらうのですから、私も遠慮する必要はありませんので。」
「フフッ、わたくしも最初アリサさん達から聞いた時は本当に驚きましたわ♪わたくしの将来の旦那様は本当に罪深くて、手が早いですわね♪」
クレア大尉の後に答えたアルフィン皇女はからかいの表情でリィンを見つめた後ウインクをした。
「フ、フフッ、ウフフフフ……ッ!どうやら朝食の前に私が誘拐されて以降の詳しい話を”今すぐ”してもらう必要がありますね?に・い・さ・ま~~~~??」
「……………………」
そして膨大な威圧を纏ったエリスに微笑まれたリィンは表情を青褪めさせて身体を震わせた。その後服に着替えたリィンは同じように服に着替えたエリスやアルフィン皇女達に揃って、色々と言われ始めた!
~食堂~
一方既にそれぞれの用事の為に先に朝食を終えていた為その場にはいないトワとアルゼイド子爵、ジョルジュを除いた面々はリィン達を待っていた。
「遅いわね……四人共二人を起こしに行ってから、全然帰ってこないじゃない。」
「というか何でクレアまで一緒になって起こしに行ったんだろうね~?」
未だに来ないリィン達にセリーヌは眉を顰め、ミリアムは不思議そうな表情で首を傾げ
「ま、まさかとは思うが……クレア大尉までも”そうなってしまった”のか?」
「……言われてみればリィンを起こしに行ったメンバーはクレア大尉を除いたら全員リィンと付き合っているし、アルフィン皇女の場合はリィンと結婚する事が決まっているしね。」
「ア、アハハ……さすがにそれはないと思うのですが……」
ある事を察したマキアスは表情を引き攣らせ、フィーは考え込み、エマは冷や汗をかいて苦笑した。するとその時リィン達の様子を見に行っていたシグルーンが食堂に入って来た。
「―――お待たせしました。リィンさんはアリサさん達による説教があるそうですから、先に朝食を取っておいて欲しい事を皆さんに伝えてくれとクレア大尉に言付けされましたわ。」
「ええっ!?い、一体何で!?」
「フフッ、メンバーを考えれば何となく想像がつくねぇ?」
シグルーンの話を聞いたエリオットは驚き、オリヴァルト皇子は酔いしれた表情をし
「うふふ、もしかしてクレア様も”お嬢様達と同じ状況”―――――つまりはリィン様の恋人の一人になり、その件を知ったお嬢様やエリス様達がリィン様に説教をなさっているのでしょうか♪」
「ええ、まさにその通りですわ。フフッ、エリゼから話には聞いていましたが、ある意味凄い方ですね、リィンさんは。」
シャロンの問いかけを聞いたシグルーンは苦笑しながら答えた。
「…………………………」
「えええええええええええええええっ!?」
「あ、あああああああ、あのクレア大尉がですか!?」
「ほえええええええええっ!?本当にリィン、クレアまで落としちゃったの~!?」
シグルーンの答えを現実と判断するのが一瞬遅れたサラ教官は口を大きく開けたまま石化したかのように固まり、すぐに反応したエリオットやマキアス、ミリアムは驚きの表情で声を上げ
「ビックリ。”氷の乙女”まで落とすなんて。もしかして”鉄血宰相”の息子だから、”氷の乙女”も落ちたのかな?」
「オイオイオイッ!?一体どんな方法であの”氷の乙女”を落としたのか、本気で気になってきたぞ!?というかいつ落としたんだ!?」
フィーは目を丸くし、トヴァルは信じられない表情で声を上げ
「あらあらまぁまぁ♪アルフィン皇女殿下やエリス様達も強敵だというのに、更にとてつもない強敵が登場しましたわね、お嬢様♪」
「フフッ、どんな時でも変わらないのはある意味リィンらしいな……」
シャロンはからかいの表情で言い、ガイウスは静かな笑みを浮かべた。
「阿呆が。後何人増やす気だ……」
一方ユーシスは呆れた表情で呟き
「?どうしてみんなは驚いているの?それにアリサ達はどうしてリィンに説教をしているのかしら?」
周囲の反応を不思議に思ったゲルドは自分と同室の相手の一人でもある隣の席にいるエマに尋ね
「え、えっと……それは……―――って、ラウラさん!?そこでどうして剣を取りだしているんですか!?」
言い辛そうに言葉を濁していたエマは突如立ち上がって武器を取りだしたラウラの行動に気付いて慌てだした。
「……エリゼ達に怒られても懲りずに何度も”罪”を作り続けた挙句将来アルフィン殿下を娶る事になったリィンに帝国貴族の一人として、……そして将来のメンフィル貴族の一人として、今の内に色々と言っておこうと思ってな……!」
「だ、だからと言って剣――それもエイドスさんから授けてもらった”外の理”で造られた魔剣は必要ないでしょう!?落ち着いて下さい!」
全身に闘気を纏い、両手に持つ魔剣を金色に輝かせた状態でリィン達の許に向かおうとするラウラをエマは慌てた様子で必死に止め始め
「ハッハッハッハッ!まさか宰相殿に忠誠を誓っていたあの彼女を自分のハーレムの一員にするなんて、やるじゃないか♪いや~、さすがエレボニア皇女であるアルフィンをハーレムの一員にするだけはあるね♪本気で君を尊敬するよ♪ひょっとしたらあのヴァイスより上かもしれないね。未来の義理の兄として、今の状況になった話の経緯を是非後で聞かせてもらわなくちゃね♪」
「アハハハハハハハッ!よりにもよってあの女がリィン……それも7年も年下の男に靡いた上、ハーレムの一員になるとはね!こりゃ傑作だわ!まさか7年も年下の男が趣味で、しかもハーレムの一員になる事を受け入れるとはね~?お蔭であの女をからかう絶好のネタを手に入れたわ♪いや~、リィンの女タラシスキルもたまには役に立つじゃない♪」
「男の趣味に関してはお前もいい勝負だろうが……」
「ほえ~……クレアが落とされた事を死んだオジサンが知ったらオジサンもビックリするだろうな~。」
声を上げて笑ったオリヴァルト皇子は酔いしれた表情をし、我に返ったサラ教官は腹を抱えて大声で笑った後口元をニヤニヤさせ、サラ教官の言葉を聞いたトヴァルは呆れた表情で指摘し、ミリアムは目を丸くして呟き
「ハア……こんなんでこの先大丈夫かしら?」
周囲の様子を見守っていたセリーヌは呆れた表情で溜息を吐いた。
なおエリスと同室になっているリィンだったが、後にアリサ達の間で話し合いがされ、アルフィン皇女、セレーネ、アリサが1日ごとに就寝する前にエリスと交替してそれぞれ順番にリィンと愛し合うという4人の中で謎の協定が結ばれていたという…………
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