BRAVE LOVE
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4部分:第四章
第四章
その彼女にだ。僕は言った。
「来たよ」
「まさか」
「うん、日本から来たんだ」
笑顔で彼女に言った。
「君の声を聞いてね」
「まさか。本当にそうなるなんて」
「呼んでくれたよね、僕を」
「ええ」
驚きながらもだった。彼女はそのことを認めた。
「確かに」
「だからね。来たんだ」
僕はまた彼女に言った。
「ここにね」
「私も。実は」
「実は?」
「ずっと待っていたの」
微笑んでだ。僕に言ってくれた。
「貴方がここに来てくれるって」
「そうだったんだ。信じていたんだ」
「私はここに一人で住んでいて」
「学生さんかな」
「そうよ」
職業は同じだった。
「それで湖の管理人でもあるの」
「この湖の」
「釣り堀やボートがあって」
一人でもそれで生計を立てているみたいだ。実は僕はそこまでは考えていなかった。
「そうして暮らしているの」
「一人でだよね」
「そう、一人で」
それを確かめ合うやり取りになった。
「ずっと一人だったけれど」
「けれど僕が来たから」
「二人になったわね」
彼女は笑顔で僕に言ってくれた。
「貴方が来てくれたから」
「そうだね。それじゃあ今から」
「まずはお茶にしましょう」
「お茶だね」
「この運命に導かれた出会いをお祝いする為に」
その為にだと。僕を誘ってくれた。
「そうしましょう」
「そうしてくれるんだ」
「来てくれたから。私の声を聞いて」
「君の心の声を」
勿論メールやそうしたものは一切使っていない。彼女はここから日本にいる僕を呼んだ。超能力か何か知らないけれど彼女は確かに呼んだし僕も確かに応えた。
「それで来てくれて」
「一緒になってくれるから」
「だからなんだね」
「ええ。これからね」
これから。どうなるかというと。
「一緒になるから」
「それじゃあ」
「中に入って」
その水色の家の中にと。彼女から行ってくれた。
「そうしてこれからはね」
「二人でね」
「ずっとここで暮らしましょう」
こうした話をしてだ。僕は彼女の家の中に入った。あとはこっちの大学に編入したり住所を移したり荷物を送ってもらったりしたけれどそうしたものも終わって。
僕は彼女とずっと一緒になった。ここまで一人で来て。希望の灯台に照らされながら。
BRAVE LOVE 完
2011・7・7
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