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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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外伝~それぞれの”計画”の崩壊の鼓動~

~ユミル郊外~



「フーン、わりとやるようね。」

「ん。あれじゃあ、アリサ達では勝てないね。」

「ま、私達からすれば”ちょっと楽しめる”程度ね♪」

「セオビット、油断は禁物よ。」

ルーファスとⅦ組との戦いをユミルから少々離れた見晴らしのいい場所からリウイ達と共に見守っていたレンは興味なさげな様子で呟き、レンの言葉にエヴリーヌは頷き、真紅のドレスを身に纏い、背中に翼を生やし、頭には山羊のような角がある睡魔族の娘の言葉を聞いた娘の容姿に非常によく似たエルフの女性は娘の身を案じて娘を注意し

「ルーファス・アルバレアがいるなら”万が一”シュバルツァー達が”貴族連合”に囚われの身となっても、”シュバルツァー達とエリスを救出するまでの時間稼ぎの人質”として都合がいい。奴はここで確実に捕縛し、ミルスに連行するぞ。」

リウイは目を細めてルーファスを見つめて呟いた。



「―――リウイ陛下、”貴族連合”の”総参謀”ルーファス・アルバレアの相手並びに捕縛の大任、私が務めさせて頂いてもよろしいでしょうか?」

その時漆黒の鎧を纏った意志の強い瞳を持つ黒髪の男性がリウイに会釈した後リウイを見つめ

「あら……珍しいわね。貴方自ら手柄を求めて申し出るなんて。」

「む?何故じゃ、ゼルギウス。」

男性の申し出を聞いたファーミシルスは目を丸くし、リフィアは不思議そうな表情で尋ねた。



「皇族に仕える”貴族”として恥知らずな行動をし続けるあの愚か者に、メンフィル皇家より”伯爵”の爵位を承った”貴族”の一人として裁きを与える為に……そして私や妻にとって私達と同じリフィア殿下を支える大切な”仲間”であるエリゼの為にも、私が直々にあの愚か者の相手をしたいのです。」

「あなた…………―――フフ、でしたら私は”蒼の深淵”ヴィータ・クロチルダの相手をしますわ。殿下とエリゼは最優先で下手人アルティナ・オライオンの”処刑”を実行したいと思われますので、私は殿下達の代わりにエリスの誘拐を指示したあの魔女にメンフィルの”怒り”をこの子―――ルチアと共に思い知らせて差し上げますわ。リウイ陛下、どうか私に”蒼の深淵”との交戦のご指示をお願いします。」

「ブルルル……」

男性の言葉に微笑んだシグルーンは自分の傍にいる一本の角が生えたペガサスであり、自分の愛馬―――ルチアの頭を撫でた後リウイを見つめて会釈をし

「ゼルギウス様からそのようなお言葉を頂けるとは光栄です。」

「うむ、よく言った!さすがは余が最も信頼する騎士達!リウイ、本人達が強く望んでおるし別によいじゃろう?」

エリゼは男性に会釈をし、リフィアは嬉しそうな表情で頷いた後リウイに視線を向けた。



「ああ、お前達なら問題あるまい。奴等に思い知らせてやれ、メンフィルの”力”を。」

「「御意!!」」

「フフ、よりにもよってこの二人を相手にする事になる愚か者達は”哀れ”としか言いようがないわね。」

リウイの命令にそれぞれ敬礼して答える様子の二人を見たファーミシルスは不敵な笑みを浮かべた。



「―――陛下。”劫炎”のマクバーンは”結社最強”とも呼ばれている”執行者”であり、”影の国”の陛下達の”試練”で現れた”鋼の聖女”アリアンロードと互角の強さを持つと言われています。よって、ゼルギウス将軍達が他の者達の相手をするのならば”劫炎”は陛下もしくはファーミシルス大将軍が直々に相手をした方がよいかと。」

「ええっ!?と言う事はシルフィア様とほぼ互角と言う事なの……!?」

「”執行者”の中でそのような使い手がいるなんて……」

「へえ?いかがなさいますか、リウイ様?」

リウイに忠告するレーヴェの話を聞いたプリネとツーヤは驚き、ファーミシルスは興味ありげな表情でリウイに視線を向けた。

「―――奴は俺が相手し、滅する。レオンハルト、お前は”影の国”の時同様”神速”を相手しろ。」

「御意。」

「フフ、ならば私は”破壊獣(ベヒモス)”の首で妥協しておきますわ。………あら、失礼。ファーミシルスよ。…………ヒーニアス殿下でしたか。ええ……ええ……」

「プリネ、ツーヤ。お前達は”怪盗紳士”を相手―――いや、”確実に殺せ”。奴の変装能力は後々厄介になる事も考えられる。よって、奴はこの場で確実に仕留めろ。」

レーヴェの後に不敵な笑みを浮かべて答えたファーミシルスは自分が魔導技術による通信機から通信が来ている事に気付き、通信を開始し、リウイはプリネとツーヤに指示をした。

「……わかりました。」

「―――御意。」

(……かつて”美”を巡った好敵手である奴には、せめてもの手向けとして我も出陣()るか。)

リウイの指示に一瞬複雑そうな表情をしたプリネはすぐに気を取り直してツーヤと共に返事をし、プリネの身体の中にいるアムドシアスは静かな表情である決意をした。



「エリゼ、今は臥薪嘗胆の時。それはわかっているな?」

「……ええ。例え兄様がここで敗北して貴族連合に囚われの身となっても、どの道エリスの救出作戦と共に同時に行う”パンダグリュエル制圧作戦”の際に兄様の救出も行えるのだから問題ないし、兄様にはベルフェゴール様達がいるから兄様の身が危険に晒される事自体はそんなに心配していないわ。」

リフィアの言葉を聞いたエリゼは複雑そうな表情で頷いた後すぐに気を取り直して真剣な表情でオルディーネと戦っているヴァリマールを見つめた。

「…………―――リウイ様、精霊達による転移魔法の妨害、完了しました。これでこの一帯にいる私達に仇名す者達の”転移”に類する手段による撤退は完全に不可能となりました。」

その時詠唱を終えて魔術を発動したエルフの女性はリウイに報告し

「―――ご苦労。ペテレーネ、戦になった際手筈通りに頼むぞ。それとシルフィ、お前はシグルーンと共に”蒼の深淵”の相手をし、”魔術師”としての”格の違い”を思い知らせてやれ。」

「「はい!」」

リウイの命令にペテレーネと共に力強く頷いた。



「うふふ、まさか”パンタグリュエル”が”メンフィル帝国軍に常に包囲されている上、艦内にいる兵士や整備員達の中にメンフィル兵達が紛れ込んでいる”なんて、夢にも思わないでしょうね♪まあ、これで心置きなく”バルフレイム宮爆撃作戦”も行えるわね♪後はエリスお姉さん救出とリィンお兄さん救出の時に同時に行うエレボニア帝国によるユミル襲撃に対するメンフィル帝国の”報復”―――――”バルヘイム宮爆撃作戦”と”パンタグリュエル制圧作戦”によって、古くからの伝統を誇るエレボニア皇宮である”バルヘイム宮”が爆撃された上、貴族連合の旗艦である”パンタグリュエル”がメンフィルに強奪されたらどんな顔をするのかしらね♪」

「ふふっ、”飛んで火にいる夏の虫”とはこの事ね♪」

「セオビット、今は冬だから”冬の虫”だよ?……って、あ。そもそも冬には虫なんてほとんどいないね、キャハッ♪」

凶悪な笑みを浮かべるレンは上空にいる”パンタグリュエル”を見つめ、睡魔族の娘の言葉を聞いたエヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべて答えた。



「………了解しました。ご武運を。―――陛下、手筈通り先程エフラム皇子殿下達率いる部隊がアイゼンガルド方面に展開している貴族連合軍との交戦を開始したとの事です。貴族連合軍殲滅後はシュバルツァー卿達に挨拶をする為にエイリーク皇女殿下達と共にユミルに顔を出すとのことです。」

「報告ご苦労。エフラム達ならば、それ程時間はかかるまい。」

通信を終えたファーミシルスの報告を聞いたリウイは静かな表情で頷いた。

「文字通り貴族連合の”裏の協力者達”の”一網打尽”の時だな。」

「……そうね。」

「…………………」

「―――この戦いは貴様らの計画が崩壊する”序章”に過ぎない事をその身を持って思い知るがいい、貴族連合。メンフィルの逆鱗に触れた事、心の底から後悔させてやろう。」

そしてレーヴェの言葉にプリネは複雑そうな表情でアリサ達を見つめながら頷き、ツーヤは目を伏せて黙り込んでいたがやがて決意の表情になり、リウイは全身に凄まじい覇気を纏い、目を細めて”パンタグリュエル”を睨んでいた。 
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