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英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク

作者:sorano
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第125話

~隠者の庭園~



「あ、あれ………!?」

封印石を解放したケビンは光の中から現れようとした人物を見て驚き

「シェラさんじゃない…………?」

ヨシュアは困惑の表情で呟いた。すると光の中から以前と違い、短い髪にし、さらに仕事着も変わったシェラザードが現れた!

「う、うーん…………」

「あ………」

「え………」

「「まあ……」」

「ほう……」

「………おお………」

シェラザードが目を閉じて唸っている中、イメージチェンジをしたシェラザードにティータとヨシュアは呆け、クローゼとカリン、バダックとオリビエは驚いた様子でシェラザードを見つめた。

「ふむ………髪を切ったのか。」

「ええ、一月くらい前にバッサリやったみたいです。それと合わせて仕事着も新調したみたいで。」

ジンの言葉にアネラスが頷いた後、説明し

「いっそ、お前もシェラザードみたいにイメチェンしたらどうだ?そうしたら二人がお前と再会した時色々な意味で驚くぜ?」

フレンはからかいの表情でアーシアを見つめて指摘した。

「あら……なら貴方は丸坊主にしてみたら?そうしたら貴方の婚約者さんも色々な意味で驚くでしょうしね。」

「すみません……丸坊主は勘弁してください……」

「ハハ……」

そして膨大な威圧を纏って微笑むアーシアの言葉を聞くとすぐに降参した様子のフレンをロイドは苦笑しながら見つめていた。



「くっ、おかしいわね………このあたしが、この程度の酒で目を回しちゃうなんて………いやっ、なんのこれしき!」

その時目を覚ましたシェラザードは戸惑った表情で呟いた後顔を上げ

「さあアイナ!今夜こそどちらが上か―――あら?………………………」

大声で叫んだ後、目の前にいるケビン達に気付き、不思議そうな表情をした。

「………シェラさん。どうもお久ぶりです。」

「ヨシュア………!?一体いつ戻って………エステルはどこにいるの?というか、あんた少し逞しくなったみたいじゃない。」

「はは………どうも。」

「フッ………このボクも忘れては困るね。シェラ君の忠実な下僕にして永遠なる恋泥棒のことをっ!」

「オ、オリビエ………!?っていうか、見覚えがある顔や初対面の人達がこんなに………し、しかも何だかあたりが妙なことに………ああもう、一体なんなのよ!?」

ヨシュアに声をかけられたシェラザードは懐かしそうな表情をしたがオリビエに声をかけられると驚き、更にケビン達に気づくと周囲を見回して混乱した様子で声をあげた。

「先輩、先輩。どうか落ち着いてください。」

「ふふ………驚かれるのも無理はないです。」

「ま、これが普通の反応だよね。」

シェラザードの反応を見たアネラスとクローゼは苦笑し、ジョゼットは納得した様子で頷き

「ガイ、説明を。」

「ちょっ、何でここであの女性と初対面の俺なんだよ!?」

ジェイドに説明を促されたガイは表情を引き攣らせて指摘した。そしてケビン達はシェラザードに状況を説明し、自己紹介をし合った。



「コホン…………話はだいたいわかったわ。しかしまあ、普通だったらとても信じられる話じゃないわね。まだ、酔い潰れて見てる夢とかルシオラ姉さんの幻術とかの方が説得力あるんだけど?」

「はは………そう仰るんも無理ないですわ。」

「おお、何という悲劇!シェラ君がこのボクを見て本物だと信じてくれないとは!」

シェラザードの答えを聞いたケビンは苦笑し、オリビエは冗談か本気かわからない芝居がかかった悲しみ方をして叫んだ。

「はいはい。普通だったらって言ったでしょ。第一、こんな馬鹿げた幻術、誰が仕掛けたりするもんですか。それに夢にしてはあまりにも整合性が取れすぎているしね。」

「はは、違いない。」

「信じてもらえて何よりです。さっそく協力してもらってもええですかね?」

「ええ、もちろんよ。聞いた感じだと、エステルも取り込まれているみたいだしね。遊撃士として、姉貴分として喜んで一肌脱がせてもらうわ。」

「シェラさん………」

「フッ、さすがシェラ君。相変わらずの気っ風の良さだ。」

シェラザードの答えを聞いたヨシュアは感謝した様子でシェラザードを見つめオリビエは感心した様子で呟いた。



「おおきに、助かりますわ。―――状況についてはだいたい説明した通りです。今はその”第四星層”を探索してるまっ最中ですわ。」

「ふむ………ル=ロックルの訓練場か。あたしも何年か前に訓練生として使った場所だわ。その意味では………あそこで訓練したことのある人間が放り込まれたのかもしれないわね。」

「なるほど………あり得るかもしれんな。」

「エステルちゃんとレンちゃんは当然として…………クルツ先輩にグラッツ先輩、カルナ先輩も候補に入りそうですね。」

シェラザードの推測を聞いたジンは頷き、アネラスは不安そうな表情で推測した。

「ふむ、どうかしらね。あの3人は、どちらかというと教官として行ったみたいだし。たしか3人とも純粋な訓練生として使ったことはなかったんじゃないかしら?」

「そうだったんですか…………」

「あ、あの、シェラさん………アガットさんってその訓練場を使ったことは………?」

シェラザードの話を聞いたアネラスは意外そうな表情をし、ある事に気付いたティータは不安そうな表情で尋ねた。



「うん………確かあったはずよ。カシウス先生にまんまと乗せられて酷い目にあったとか言ってたから。4年くらい前じゃないかしら。そう言えば……同じ時期にルークもちょうど訓練生としてル=ロックルを使っていたから、その時に二人が知り合ったと聞いているわ。」

「「「「!?」」」」

「みゅっ!?」

「………………(やはり異世界で生きていましたか……)」

(やれやれ……まさかこんな形で判明してしまうとはな。)

シェラザードの話からある人物の名が出た事に驚いたティア達が血相を変えている中ジェイドは冷静な様子で黙り込み、その様子に気づいたバダックは心の中で溜息を吐いた。

「そ、そーですか…………お姉ちゃんとレンちゃん、ルークさんとアガットさんも捕まっているかもしれないなんて………」

「ティータ………」

「………大丈夫。きっと大丈夫ですよ。」

一方ティア達の様子に気づいていないティータの言葉を聞いたヨシュアは表情をわずかに暗くし、クローゼは優しい微笑みを浮かべて励ました。

「いずれにせよ………3つあるという『修練場』も残るは一つだけということですね。」

「ああ………誰が囚われているかなど挑んでみればすぐにわかるだろう。」

そしてユリア大尉の意見にミュラー少佐は頷いた。



「ちょ、ちょっと待ってくれ!今、”ルーク”の名前が出たが……まさか、あいつもそっちの世界で生きているのか!?」

「へ…………」

その時ガイは真剣な表情でシェラザードに訊ね、訊ねられたシェラザードは何の事か理解できず呆け

「――――ラルゴ、単刀直入に聞きます。貴方を除き、”私達と共にヴァン達を倒したルーク”を含めて何人そちらの世界で謎の復活を果たしているのですか?」

ジェイドは冷静な表情でバダックを見つめて訊ねた。

「………フッ、あの小僧以外の人物達の復活の可能性まで読んでいたとはさすが”ネクロマンサー”だな。」

ジェイドの予想外の質問にバダックは静かな笑みを浮かべて答えた後話を続けた。

「お前の読み通りだ、ネクロマンサー。先程シェラザードの口から出てきた”ルーク”はお前達と共に俺やヴァン達を倒した”ルーク”で、ルークを含めて3人ゼムリア大陸で謎の復活を果たしている。ちなみに残りの二人はアリエッタとお前達と共に旅をした導師だ。」

「ルーク…………よかった……やっぱり生きていたのね………!」

「みゅう~……!ご主人様、生きていましたの~!」

「ったく、帰ってくる場所が間違っているぞ、馬鹿野郎が………!」

「ルークどころかイオン様とアリエッタまで生き返っているの!?」

「……お父様、何故ルーク達の生存を今まで黙っていたのですか?」

バダックの答えを聞いたティアは一筋の涙を流してルークの生存をミュウと共に喜び、ガイは涙ぐんだ声で呟き、アニスは信じられない表情で声をあげ、ティア達がそれぞれの人物の生存に喜んだり驚いたりしている中、ナタリアは不思議そうな表情でバダックに訊ねた。



「……奴等まで巻き込まれているという確証はないからな。ぬか喜びをさせるつもりはなかったから、奴等の内の誰かが現れるまで黙っていただけだ。」

「……ルーク達が生きていても、この”影の国”に巻き込まれていなければ私達が失意に陥ってしまうと思い、私達の為に敢えて黙っていたのですね……」

そしてバダックの答えを聞いたナタリアは複雑そうな表情をした。

「ちょ、ちょっと待ってくれへんか!?さっきから俺達の知り合いの名前が次々と出てきているねんけど、一体どういう事なんですか!?」

その時ケビンが慌てた様子で声を上げてティア達に訊ね

「ティアさん達の反応を考えるとルークさんとイオン様、アリエッタさんがティアさん達の世界の出身……と言う事になるわね。」

「うん……これでようやくわかったよ。何故遊撃士のルーク兄さんが守護騎士(ドミニオン)であるイオンさんと昔から親しい関係であったのかを。」

戸惑いの表情をしているカリンの推測に頷いたヨシュアは真剣な表情で呟いた。

「フム……場が混乱しているようですし、まずはルーク達の説明をした方がよさそうですね。―――ガイ、説明を。」

「また俺かよ!?えっと、実は――――」

ジェイドに説明を促されたガイは表情を引き攣らせたがすぐに気を取り直してルークが自分達の仲間であり、ヴァンとの決戦後生死不明になった事から”七英雄”の中で唯一死亡判定がされていたオールドラントの”英雄”の一人である事、イオンがローレライ教団最高指導者である”導師”であったが預言(スコア)を妄視する大詠師モースによって病弱な身体を持っている事から譜術を使う事や預言を詠む事が禁止されているにも関わらず無理矢理惑星預言を詠まされた事によって死亡し、そしてアリエッタはバダックと同じ”六神将”でありルーク達との戦いによって死亡した事を説明し、その後ケビン達はティア達の疑問―――ルーク達とケビン達が知り合いである理由を説明した。


「………………」

「まさかルーク殿達にそのような過去があったとは………」

事情を聞き終えたケビンは驚きのあまり口をパクパクさせ、ユリア大尉は驚きの表情で呟き

「……なるほどね。ルークには出身も含めて色々と謎な所があったけど、まさか異世界の英雄だったとはね………―――となると”導力停止現象”が起こった時”執行者”達の王都襲撃に対する対抗策の件を考えると先生は最初からルークの出自を知っていたのかもしれないわね。」

「ええ、恐らくは。彼らの話によると彼らの”敵”はバダックさんやアリエッタさんのような達人(マスター)クラスばかりだったそうですからね。そんな彼らを相手に勝利して生き残ったルーク兄さんの実戦経験は間違いなく異世界の強者や英雄であるソフィやリオンさんに劣らないでしょうから、”執行者”達を撃退する少数精鋭の一人として選んだのでしょうね。」

疲れた表情で溜息を吐いた後真剣な表情で推測したシェラザードの推測にヨシュアは真剣な表情で頷いて答えた。

「今の話を聞くとマジでゼムリア大陸は異世界の死んだ連中が生き返る場所じゃないかって、思うよな?」

「ハハ、確かに……」

「一体ゼムリア大陸で何が起こっているのかしら……?」

フレンの推測を聞いたロイドは苦笑し、アーシアは真剣な表情で考え込んだ。



「ルークが兄?ヨシュアだったっけ?何でルークの事を兄呼ばわりしているんだ?」

その時ヨシュアがルークを兄と呼んでいる事が気になったガイは不思議そうな表情でヨシュアに訊ねた。

「えとえと……ルークさんはエステルお姉ちゃんとヨシュアお兄ちゃん、それとレンちゃんの”家族”―――”ブライト家”の一員なんです。だからルークさんはヨシュアお兄ちゃん達にとって一番年上のルークさんはヨシュアお兄ちゃんたちのお兄さんなんです。」

「ちなみに父さんたちと血が繋がっている子供はエステルだけで、僕とレンは兄さん同様養子です。」

「そう……異世界でルークに新しい家族ができたのね………」

「フフ、ルークが兄になっているなんて、不思議ですわね。」

「そうだよね~。わたし達の中では実質7歳児と実質2歳児のイオン様を除けば最年少だったしねぇ。」

ティータとヨシュアの説明を聞いたティアは微笑み、ナタリアは苦笑し、アニスはからかいの表情で呟いた。



「へ……ルーク先輩が実質7歳児ってどういう事なんですか?」

「しかもイオン様を実質2歳児って仰っていましたけど、どういう事なのでしょうか?」

「ガイ、説明を。」

「また俺かよ!?というかルークやイオンの事については”専門分野”の旦那が話すべきじゃねぇのか?」

アネラスとカリンの質問を聞いてジェイドに説明を促されたガイは表情を引き攣らせた後呆れた表情でジェイドに指摘した。

「僕もそう思いますの。”レプリカ”について詳しいジェイドさんが”レプリカ”のご主人様やイオン様の事を説明した方がみんな、わかりやすいと思いますの。」

「おや、まさかミュウにまで指摘されるとは。」

「レ、”レプリカ”って………」

「確か生きた存在を”複製”する技術、だったな………まさか二人はその”レプリカ”という存在なのですか?」

ミュウの指摘にジェイドが目を丸くしている中、ティータは信じられない表情をし、ユリア大尉は複雑そうな表情でジェイドに訊ねた。

「それは…………」

「…………――――仕方ありませんね。順を追って説明させてもらいます――――」

ユリア大尉の質問にティアが辛そうな表情で答えを濁している中、溜息を吐いたジェイドは真剣な表情でルークとイオンの事情―――――ルークはヴァンが預言(スコア)の呪縛からオールドラントを解き放つ為にナタリアの夫であるオリジナルルークが10歳の時に誘拐して作り出された”レプリカ”である為実際に生を受けてから7年程しか経っていない事、イオンは病死した導師であるオリジナルイオンの代わりとして大詠師モースとヴァンによって生み出された7人つくられたレプリカのうち、7番目のレプリカであり、そのイオンは生を受けてから2年ほどしか経過していない事を説明した。



「ルークの出生にそんな秘密が………」

「兄さん…………」

「ハハ……まさかあの二人にそんなハードな出生があったとはね………あの二人に対する慰めの言葉が一言も思い浮かばないよ。」

「ああ……俺もだ。」

(なるほどね……だからジュエ卿は渾名として”七の導師(セブンスフォンマスター)”を名乗っているのね………)

事情を聞き終えたシェラザードとヨシュアは辛そうな表情をし、疲れた表情で呟いたオリビエの言葉にジンは重々しい様子を纏って頷き、アーシアは複雑そうな表情で黙り込んでいた。

「……一つ疑問がある。先程の説明でイオン殿のレプリカは7人作られたと言っていたが、残りのレプリカ達はどうなったのだ?」

「……わたしが保護しているもう一人のレプリカのイオン様―――フローリアンとわたし達との戦いで死んだ”六神将”のシンクを除いた残りのレプリカのイオン様達はザレッホ火山の火口に放り込まれて”処分”されたとの事だよ。」

「なっ!?」

「火山の火口に放り込んで”処分”って………!」

「下衆野郎共が……!人の命を何だと思っていやがるんだ!?」

ミュラー少佐の疑問に辛そうな表情で答えたアニスの答えを聞いたロイドは厳しい表情で声を上げ、ジョゼットは信じられない表情をし、フレンは怒りの表情で声をあげた。



「あ、あの……ルークさんがそのヴァンという方がルークさん達の世界から預言(スコア)の呪縛を解放する為に生み出されたと仰っていましたけど、一体ルークさんに何をさせる為にルークさんは生み出されたのですか?」

「それは………」

「みゅう~………」

「……………」

クローゼの質問を聞いたティアとミュウは辛そうな表情で言葉を濁し、ガイは辛そうな表情で黙り込んでいた。

「―――それについては本人が解放されてその事を話す機会ができた時に説明します。当事者であるルークもいないのにその事を説明するのは彼に対して失礼に当たりますし、何よりその件は彼にとって彼の人生を大きく変える事になった件ですので、それを本人の許可なく口にするわけにはいきません。」

「中将………」

「…………」

そして冷静な表情で答えたジェイドをナタリアは辛そうな表情で見つめ、バダックは目を伏せて黙り込んでいた。



「わかりました………それと最後に一つ。二人の件とは関係ないけどオレからも質問があります。アニスちゃん、一つ聞いてもええかな?」

「へ……わたし?」

ケビンに訊ねられたアニスは不思議そうな表情をした。

「さっきアリエッタさんとは敵同士って説明やったけど……アニスちゃんはアリエッタさんと姉妹の関係やったのに殺し合ったんか?」

「ハ?アリエッタがわたしと姉妹の関係って……何それ。わたしとアリエッタは家族の関係じゃないし、そもそもわたしは一人っ子だよ。」

「へ……でも、アリエッタさんのファミリーネームはアニスちゃんと同じ”タトリン”やねんけど。」

自分の疑問に心底不思議そうな表情で答えたアニスの答えを聞いたケビンは呆けた表情で指摘した。

「ハアッ!?何でアリエッタがわたしのファミリーネームを名乗っているのよ~!?」

「いや、それをオレに言われてもわからんねんけど。」

声を上げて自分を睨むアニスの指摘にケビンは疲れた表情で答え

「案外彼女なりのアニスへの”仕返し”かもしれませんねぇ。」

「うわっ、根暗ッタなら本当にありえるかも。わたし達のファミリーネームをわたし達に金も払わず使っているなんて……もし根暗ッタが巻き込まれていて、あいつが解放されたらファミリーネーム代と勝手に人のファミリーネームを使った賠償金を請求してやる。」

ジェイドの推測に同意した後意味ありげな笑みを浮かべて呟いたアニスの言葉を聞いたケビン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。



「全くもう……そのがめつい性格、いい加減何とかなりませんの?」

「貴女のせいでローレライ教団や神託の(オラクル)が誤解されたらどうするのよ……」

ケビン達の反応を見たナタリアはジト目でアニスを見つめ、ティアは呆れた表情で頭を抱えてアニスに指摘した。

「まあ、アニスですから無理でしょうねぇ。それにしてもイオン様がケビン神父達―――”星杯騎士団”という組織の幹部の一人である事にも驚きましたが、あのルークが仕事に就いている事の方の驚きが大きいですよねぇ。」

「確かにそうですよねぇ?”昔のルーク”を知っているわたし達からしたら、あのルークが真っ当な仕事に就職しているなんて天地がひっくり返ってもありえないって思えるくらいの出来事ですよねぇ?」

「フッ、確かに以前の奴を知る者達からすれば普通はそう思うな。」

それぞれからかいの表情をしているジェイドとアニスの言葉に同意するようにバダックは口元に笑みを浮かべて頷き、3人の会話を聞いていたケビン達は冷や汗をかいた。

「――――ハッ!?ヨシュア、ルークの同僚―――”遊撃士”だったか?その職業に就いている人達はさっき解放されたそちらの銀髪のお姉さん以外にもいるのか!?」

その時血相を変えたガイは真剣な表情でヨシュアに訊ねた。



「え、ええ。この中では僕とシェラさん以外の遊撃士だったらアネラスさんとジンさん、アーシアさんとフレンさん、後はバダックさんもそうですけど………」

「具体的に言えば俺は遊撃士じゃなくて、遊撃士の”協力員”だけどな。」

戸惑いの表情のヨシュアに続くようにフレンは苦笑しながら答えた。

「”協力員”だろうがなんだろうが、あいつと同じ仕事の同僚なら同じだ!遊撃士関係の人達、挨拶が遅れた上、挨拶用の品も渡せなくて本当にすまない!俺でできる事があったら、何でも言ってくれ!料理や掃除、洗濯と言った家事は基本的にできるし、マッサージの資格もあるぜ!」

そして真剣な表情でシェラザード達を見回して頭を深く下げた後申し出始めたガイの突然の行動にケビン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「えっと……ジン、だったか?この中ではあんたが最年長の遊撃士だよな?」

「いや、最年長だったらバダックの旦那なるんだが……俺って、そんなに年を取っているように見えるのか?」

「ハハ、そんな事はないさ。……ラルゴ、改めてになるが――――」

「ガイ………気持ちはわかるけど、さすがにそれはやり過ぎよ。」

「まあ、ガイからすればあれが当然の行動なんだろうねぇ?」

「ガイですからねぇ?」

更にシェラザード達――――遊撃士関係の人物達に順番に挨拶をし始めたガイの行動にティアは呆れた表情で頭を抱えて指摘し、アニスとジェイドはからかいの表情で呟いた。



「あ、あの~……どうしてガイさんは突然あんな事を?」

「フフ、ガイは事情があって昔ルークの実家―――”ファブレ公爵家”の使用人として仕えていて、年が近い事からヴァン達に生み出されたルーク―――つまり貴方達がよく知るルークの世話係兼親友として赤ん坊同然だったルークの面倒をずっと見続けていたのですが……ガイはルークを少々……いえ、かなり甘やかしていましたから、その事もあって昔のルークは極端な世間知らずで自己中心的かつ傲慢な性格だったのです。そして色々あってルークは旅の途中で貴方達がよく知るルークの性格になったのですが……昔のルークを知るガイからすれば、ルークが真っ当な仕事に就いて人々の役に立っている事を知って、嬉しさのあまりルークの保護者魂が久しぶりに目覚めて、彼の同僚である遊撃士の方達に対してあんな態度になっているのだと思いますわ。」

「ガイさんはご主人様の”保護者”ですから、ガイさんの行動は保護者として当然ですの!」

戸惑っている様子のロイドの疑問にナタリアは苦笑しながら答え、ミュウは胸を張って答え、それを聞いたケビン達は冷や汗をかいた。

「ふえっ!?昔のルークさんって本当にそんな人だったんですか??」

「私達が知るルーク殿は好青年な男性だが………」

「えっと……ナタリア陛下が仰っていた昔のルークさんの性格は少し前のデュナン小父様と似ていますね……」

「そんな我儘貴族があんなまともな性格になって遊撃士になるなんて、普通に考えたらありえなくない?」

驚いて声をあげたティータはユリア大尉と共に戸惑いの表情をし、苦笑しているクローゼにジョゼットは疲れた表情で指摘した。

「いや~、本人が解放された時が楽しみだねぇ。彼の知らない所で彼が隠していた過去がボク達に知られているのだからね。」

「おや、奇遇ですね。私も同じ事を思いましたよ。」

「わぁ~、二人とも声が同じだけあって、やっぱり気が合っていますね♪」

笑顔で呟いたオリビエにジェイドは口元に笑みを浮かべて指摘し、アニスは笑顔を浮かべて二人を見つめて指摘し、その様子を見ていたケビン達は冷や汗をかいた。



「ハッハッハッ、それ程でもないさ♪それよりもジェイド中将、後でルーク君の過去を教えてくれないかい?主に彼の女性関係で♪」

「ええ、私でよろしければ教えてさしあげましょう。」

「頼むからあの二人を止める方法を誰か教えてくれ………」

そして互いに笑顔を浮かべて会話をする二人の様子にケビン達が再び冷や汗をかいている中ミュラー少佐は疲れた表情で頭を抱えて呟いた。



その後ケビンはメンバーを再編成し、ケビン、ヨシュア、ティータ、シェラザード、アニス、バダックのメンバーで探索を再開した――――――


 
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