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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)

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第30話 憤怒

「ふー、終わった終わった」
診察を終えた佐天が伸びをしながら、エレベーターに乗り込んだ。
佐天の病室てサソリの病室は一階しか変わらないので、エレベーターに乗るよりも階段の方が早いが。

倒れていたのですから、エレベーターを使いなさい!
と看護師に念を押されているので、エレベーターには半ば強制的に乗らされている。

体調は絶好調だけど
この数日で体重の方がヤバイかも
運動もあまり出来ていないし、友達からのお見舞いでお菓子を渡されて、食っては寝て、食っては寝ての毎日だ。

だって、普通のチョコレートじゃなくて
高級なホワイトチョコレートだよ!
それは食べちゃうわよ
だって美味しいもん!
濃厚で上品な甘さが口の中いっぱいに広がるんだよ!
我慢できる訳ないじゃん

うまくいけば明後日には退院できそうだけど、この夏は膨大な課題だけじゃなくてダイエットもメインになりそうだわ。

「さて、サソリの所にでも行こうかしら。御坂さん達も来てそうだし」

まてよ
能力者って能力を使えば、痩せるのかしら?
あたしもせっかく氷が作れる能力に目覚めたし、氷ダイエットが出来そうね。
でもそれが出来るなら、なおさら能力者ってお手軽にダイエットが出来てズルいわね。
こちとら、暑い中でジョギングしたり、部屋の中で暇を見つけては踵を上げたりと地道に完璧なプロポーションになろうと努力しているのに......

ガラガラと引き戸を開けて、サソリの病室へと佐天は入った。

「遅いけど!おはよ......!?」
元気よく挨拶をしながら入るが、部屋のベッドには横を向いて熟睡しているサソリが佐天の目に映っていた。
「あら、まだ寝ていたのね。結構ねぼすけだったりして」
佐天は、近くにあったパイプ椅子に腰掛けて、サソリが寝ているベッドの柵に前のめりに体重を掛けた。
「サソリがこんなに寝ている姿って初めてかも」

でも当然だよね
レベルアッパーであたしが寝ている時に戦っていたんだもん
ケガをしても、初春や御坂さん、白井さんを守っていたんだし
あたしの為に、無茶してたんだもんね

でも、壁に掛かっている時計を見る。
時間はもう少しで午前十一時になりそうだ。
いくら眠いからって、ずっと寝ているのは身体に悪いんだっけ?
ネットで聞きかじった情報を頭の中で思い出す。

「ちょっと寝すぎじゃないかしら?おーい、起きないとイタズラしちゃうぞ」
手をわきわきさせながら、無防備に寝ているサソリに近づく。
「ん」
サソリが軽く寝返りを打った。
佐天がよく見えるように仰向けになり、子供のように無邪気な寝顔を見せている。

ドキッ!!

佐天の鼓動が一際強く鳴った気がして、拍動が激しくなる。
前に出していた、両手を引っ込めるとサソリのベッドの下に隠れて、ゆっくり柵の隙間からサソリの寝ている横顔を眺める。

「やっぱ、かわいい顔をしているわ」
サソリは、態度や言葉使いはしっかりしているが、顔や身体はどちらかと言えばあどけない子供のような印象を与える。
「サソリ」
佐天は、指先でサソリの頬を弾いた。
「ありがとうね」

まだ小さな子供みたいに無邪気な寝顔のサソリを佐天は、しばし飽きずに眺めていた。

******

泡浮を湾内から引き離した御坂は、泡浮を連れて近くソフトクリーム店に来ていた。
「パニラで良いかしら?」
「はい、すみませんわ奢ってもらうなんて」
「いいのよ、あたしが呼び出したんだし」
店先からソフトクリームを渡して貰い、御坂と泡浮は冷房の効いた店内にある椅子に腰掛けた。
泡浮はもの珍しそうに店内をキョロキョロ見渡している。

ここも初めて入ったらしい。

「それでお話しとはなんでしょうか御坂さん?」
ソフトクリームを舐めようとして舌を出している御坂に泡浮が聞いた。

「あ、うんとねー、湾内さんのことなんだけどサソリに大量にメールを送ったみたいなのよ」

「えっ!メールをサソリさんにですか?」

「そうそう、昨日の夜からずっと来ていたみたいでサソリも参ってたのよ」
泡浮は、店員に付けて貰ったスプーンをソフトクリームに差して、ソフトクリームを掬って食べ始める。

「それでベッドに入っても頻繁に携帯電話を弄ってらしたんですね」

「それで、サソリも直接言うみたいだけど、泡浮さんからも湾内さんに程々にするように言ってくれるかしら?」

「分かりました。すみませんご迷惑をおかけしてしまいまして」
「それほどでもないんだけどね」

あたし的には、面白いものが見れたしね

あんなに疲れきったサソリなんて初めてみたし

でも、湾内さんとサソリがくっ付いちゃったら......黒子は。

お姉様!
やはり、黒子にはお姉様しかいませんわ!
今こそ、真実の愛をくださいな!

やっと最近、ノーマルになってきたのにまたアブノーマルの世界に連れて行かれそうだわ
湾内さんも頑張って欲しいけど、黒子の方も頑張って欲しいかな

いっその事、二人まとめて......
なんてね。そんな事は出来るわけないか

御坂がソフトクリームを舐め始める。
熱を持った身体にアイスの濃厚なミルクが舌先で絡んで、口いっぱいに広がる。

「湾内さんってサソリに助けられたから好きになったの?」

「はい、湾内さんはあまり男性と話したことも、友達として付き合ったこともありませんでしたの。それでも殿方に声を掛けられたりして、怖い思いをしてきたらしいですわ。でも、サソリさんにお会いして、変わりましたわ」

「まあ、結構変わっているからね。アイツ」
「サソリさんはどちらの学校に所属してますの?」
「んー、それが分からないのよね。何処から来たのか訊いても知らない場所だし」
「そうでしたの」

なんか「里」って言ってたかしらね

「でも知らなかったわ。サソリの両親がもう死んでいるなんて」
「わたくしも、何か聴いてはいけない
ことを聞いた気がしますわ」

御坂は、ソフトクリームを舐めながらある事を疑問に感じた。

じゃあ、あの身体中の傷痕って何なの?
虐待で受けた傷じゃないのかしら
戦った傷なら、あんなに酷い事にはならないわよね

「それで泡浮さん、今日は湾内さんと買い物?」
「はい、ちょうど水着を新調したいと思いまして、買い物に行きました」

「ごめんね、それなのに」

「お気になさらず、わたくしもお礼が言いたいくらいですし、サソリさんに出会ってから湾内さんは本当に嬉しそうでした。肌身離さずに携帯電話を持って、サソリさんから返信があると喜んでいますし、不思議な方ですわね」

「ははは、まだまだサソリの操作は覚束ないけどね」

ん?
水着?
まあ、良いか
まだ、二人で買いに行くほどの仲じゃないしね
もう少しだけ、時間を稼ぎますかね

「それでかわいい水着あったら、あたしに教えてくれる?」
「わたくしが、言っても良いのですの?」
「もちろんよ。じゃあ、アドレス交換でも」
「はい」

御坂と泡浮が互いに携帯電話を取り出して、データのやり取りをした。
一方で湾内が大変な事になっているとは知らずに......

******

湾内の前から姿を消したサソリは、腕を組みながら考えていた。
建物の屋根に飛び移りながら忍で慣らした身体能力を駆使して、病院へ戻る。

ここに来てから色々な事があった。
レベルアッパー事件
出会った奴らに助けて、助けられて
ここに居る

御坂、白井、佐天、初春、湾内、泡浮

このまま、こいつらと一緒に居るのは悪くないと考えてしまっていた。
だが、それはオレの自分勝手かもしれない。
オレと居る事で危険な目に遭うかもしれない。

砂隠れの里を抜け出し、里の内部を知る者として、殺人を犯した犯罪者として今でも命を狙われ続けている身だ。
何時、追っ手が来て襲われるか分からない。
ここに来ないという保証なんてない。

そんな奴の側にあいつらを置く訳にはいかないな。
この場に留まる意味はない。
また独りで各地を放浪する身となろう。昔のように
サソリは、チャクラを溜めてスピードを上げようとした瞬間

助けて
助けて......ください
サソリさん

「!?」
サソリの耳に声にならないくぐもった声が響いた。
サソリは急停止をすると、辺りを見渡す。
「湾内?」
サソリは振り返る、遠くに離したはずの湾内の姿を探す。
自分の中でもケガをしているとはいえ、飛ばして来た方だ。
湾内のような娘が追い付いて来れる速さではない。

サソリの脳裏に嫌な予感が走った。
「ま、まさか」
サソリは、踵を返すと再び屋根を伝いながら、駆け足で湾内と別れた場所へと走りだした。

屋根から息を切らしながら飛び降りていくと、サソリが変化の術を使った路地裏には、数人の人集りが出来ていて、風紀委員と一般学生が話しをしている。
「ここに常盤台の子が?」
「はい、入っていきました。そのあとで何かを物音がして、何かあったんじゃないかと」
書類に確認事項を書き込んでいる。
「うーむ、それだけの情報だと我々は動けないな。一応、見回りをしてみますが」
角刈りのジャッジメントが頭を掻きながら、難しい顔をしてペンで紙をクセのように叩いた。

サソリは、角刈りの男を押し退けて路地裏の奥に入る。
「どけ」
「な、何をするんだ!」

サソリの視界に、先ほど湾内が買っていた買い物袋が汚れて転がっているのを捉える。

サソリさん喜んでくれますかね
サソリさんの好きな食べ物は何ですか?
サソリさん
サソリさんとお付き合いしたいと思いますわ

思い出すのは、昨日の湾内の姿だ。

オレのせいだ
オレが湾内を遠ざけたからだ
クソ!何をしているオレは

サソリは、抑えきれない怒りを殺気を身体から放出しながら、路地裏の奥に入っていく。
静かに己の中で殺意を認めながら、サソリは歩き出した。
忍独特の悟られぬ歩き方で確実にアジトを追い詰めるように

「き、君!そこに行ったら」
角刈りのジャッジメントが大きい声でサソリに注意を呼び掛けるが、サソリは一瞥もせず、光の射さない奥へと消えて行った。

何処のどいつだ
覚悟しろよ

そこには、人間としてのサソリではなく、犯罪請負組織「暁」の一角を占める残忍な忍。
殺した相手の返り血で大地が真っ赤に染まった事で広まった通称

赤砂のサソリがいた。

******

不良の男三人は、湾内をコードを纏めて留める結束バンドで湾内の手足を縛って、路地裏の中にある使われていない倉庫へと運び込んだ。
「んーんー!」
猿轡をされたままで湾内は、出来る限り暴れるが手足を縛られ身体の自由が利かないため、ただ地べたを這い回るだけだ。
「さてと、一応リーダーに伝えておくか?」
「そうだな。怒らせるとマズイから」
「まさか常盤台のお嬢様が捕まえられるなんて運が良いですね」
金髪の男がタバコを吹かしながら、灰を落とす。

「んーん!」
湾内のクセッ毛を無造作に掴むと、無理矢理顔を持ち上げた。
恐怖で震える身体に目には涙を溜めている。
それらの動作は、不良の男達には更に虐めたいという衝動に駆られる。
湾内のスカートから伸びている、真っ白な太ももを味わうように撫でた。

「!?」
太ももを這い回るおぞましい感触に湾内は、首をブンブンに横に振って、身体を捻じるが抑えられており、ただ太ももに触る手を自主的にズラす手助けをしているようにしかならなかった。

「うは、すげえスベスベで触り心地が良いぜ!」

嫌!いやあああ!
触らないでください
お願い、離して

暫く三人で堪能すると
「ダメだこれ以上やったら我慢できねぇ!」
「そうだな。俺らでリーダーに伝えてくるから、お前はこの娘を見張っていろよ」
「はい!」
不良の三人の内の二人が物置の外へと出て行った。
やっと少しだけ解放された湾内は、ブルブル身体を震えながら、涙を流している。
一人だけ、見張り役になった金髪の男は、頭を掻きながら座っている。

「ちっ!リーダーが来たら俺が出来なくなっちまうじゃねーか」
吸っていたタバコを地面に踏みつけて消すと、辛うじて座っている湾内の身体を押し倒した。

「こんな上玉を最初にヤレんなんて最高だな」
金髪の男は、ズボンのチャックに手を掛けて少しずつ開けていく。
湾内が逃げないように片手で肩を抑えている。
「ん、んんーー!!?」

反射的に湾内は、目を瞑った。
このまま開けていたら、自分の精神が持たないような、一瞬の防御反応なのかもしれない。

いや、いや
こんなの嫌!
助けてください
誰か、誰か
サソリさん!

金髪の男が湾内の上着の隙間へと手を入れようとした時、天井から黒い影が飛び降りてきて、金髪の男を殴り飛ばした。
「ぐはっ!」
壁際まて吹っ飛ばされて、尻餅を突く。
「な、何が?!良いところだったのに」
しかし、黒い影は一気に距離を詰めると右足で回し蹴りをして、横に金髪を蹴り飛ばした。

「??!」
抑えられていた腕がなくなり、湾内は閉じていた眼を開けた。
赤い髪に黒いブカブカの服を着た、想い人の「サソリ」が埃が立ち込める倉庫内に立っている。
「ん!?」
サソリさん!?
信じられないようなものでも見るように湾内は、目を見開いた。
そして、安心したようにサソリの後ろ姿を見続けている。

サソリは、一瞬だけ振り返り湾内の無事を確認する。
泣いている湾内の表情と埃で汚れた身体に、乱された制服を見てサソリは、更に殺意を高めた。

鼻から血を出している、金髪の男の首を掴むと軽々持ち上げて、壁に叩きつけた。
「何すんだよ!?せっかく」
「せっかくだと......」
サソリは、目を細めて掴んでいる腕に力を込めた。
必然的に金髪の男の首を容赦なく締めていくことになる。
「はが......がっ!」
苦しそうに、必死の形相で呼吸路確保しようとサソリの腕を握る。
だが、サソリは男の腕力をモノともしないように、少しだけ締める力を弱めた。

「お前一人か?」
「ケホ......ケホ、はあはあ」
金髪の男は、自分の呼吸をするのに精一杯でサソリの質問には答えない。
ボキッ!!
サソリは、金髪の男の人指し指を掴むと容赦なく折った。
「がああああああああああああああああ!!」
「答えろ」

サソリの冷徹な行為と言葉により、金髪の男の戦意は完全にヘシ折られて、男は震えだした。
「あ......ああ、あと三人......」
「聞こえん」
サソリは、折った指の隣を掴みだした。
「いいいい!分かった、分かったから!あと三人いる。その内の一人がリーダーだ」
「間違いないな」
「そ、そうだ!嘘は言ってねえ!」
サソリは、固定していた腕を金髪の男から外した。

仲間がいるなら、来る前に湾内を自由にしなければ......

その場に自由落下する男に目もくれず、サソリは縛られている湾内に近づいた。
手足の自由を奪っている結束バンドにチャクラで作ったメスで切り離した。

猿轡を解くと、自由になった湾内が駆け寄ってサソリの縋り付くように胸元に抱きついた。
「怖かったです......サソリさん本当に......うぐ」
「......悪かった」
だが、抱き付いてきた湾内に対してなんのアクションもとらなかった。

オレのミスが引き金だ
突き放しておいて、こんな風になってしまった
オレと居ると不幸になる

サソリは、自分で立てた命題の正しさを証明したように立ち尽くす。

「はあはあ!あいつかなりやべぇ」
金髪の男が折れた指を庇いながら倉庫から、サソリから逃げ出そうとするが、サソリはチャクラ糸を飛ばして拘束する。
抱き付いている湾内を引き離し、自分の背後へと移動させた。

「逃がすか」
サソリが指を動かしながら、金髪の男を自分の手元に引きずり入れる。
「まだまだ、キサマには訊きたいことがある」
「ひいひい、ひぃぃぃ」
男の顔は恐怖で歪んだ。
近くまで来るとサソリは、男の前に座る。
「そのリーダーとやら、何か能力を使うか?」
「いや......俺ここに入ったばかりで詳しくは」
「本当か?」
サソリが男の顔を覗き込んだ。
「ほ、本当だ!信じてくれ」
「まだ折り足らないみたいだな」
後ろ手に縛られた金髪の男の指を握り出す。
「まっ!?待ってくれ!能力は見たことはないが、主にナイフを使った技が得意だって言っていた!これ以上は知らない!だから、やめてくれぇぇ!」

コイツ自分の番になった途端に

「ちっ!」
サソリは、イライラから舌打ちを舌打ちをした。

湾内は、キサマなんかよりずっと......

サソリは、男の中指を掴んでいる手に力を込める。
すると、隣に居た湾内がサソリの腕を優しく握り始め、首を横に振る。
「!?」
「もう良いですわサソリさん」
「お前を襲った奴だぞ」
「わたくしは、サソリさんが助けに来てくれた事で満足ですわ。だから、許してあげてください」

サソリに笑顔を向ける湾内。
どこか誇らしげでもある。
湾内の安心しきった笑顔にサソリもう力が抜けてしまい、サソリは拘束した金髪の男から手を離した。
「はあはあはあ」
「今回は、湾内に感謝するんだな。もし同じような事をしたら、次は容赦しねえからな」

サソリの圧倒的な殺気に包まれた金髪の男は、身体中から冷や汗を流しながら、ガタガタ震えだした。
「だ、誰だてめえ!!?」
倉庫の入り口の扉が開けられて、先ほどの二人が入って来た。
「リーダー!すいません、新人がボカしたみたいです」
頭を下げる二人の不良の間から、ニッコリと笑顔を浮かべた男が入って来た。

「あれあれ?知らねえ男がいるねー」
迷彩柄のタンクトップを着た黒髪の筋骨隆々の男が倉庫の扉を破壊しながらサソリを見据える。

「なになに?彼氏さん?助けに来たのかな?泣かせるねー」
「リーダー!助けてください」
サソリの近くで倒れていた、金髪の男が助けを呼んだ。
「き、キサマ!」

「あらあら!俺様のかわいい舎弟をいたぶってくれたりしたわけ?覚悟は良いかなー」
不気味な笑みを浮かべると迷彩柄のタンクトップを着た男がユラユラと身体を揺らした。
男は、一瞬でサソリの視界から消える。
「!?」
サソリは咄嗟に湾内を突き飛ばし、距離を離した。
刹那、タンクトップの男がサソリの隣に移動して、常人よりも遥かにデカイ拳でサソリの頭を殴り飛ばそうとするが、反射的に右腕でガードをした。
「ぐっ!?」
倉庫に積まれたコンテナへと殴り飛ばされて、中身が散乱した。
辛うじて起き上がったサソリは痛みで顔を歪めた。
サソリは、なんとかガードしたがダメージを少しだけ軽減したに留まる。

何だコイツ!?
移動が見えなかった

「さ、サソリさん!!」
湾内が心配そうに叫んだ。

タンクトップの男は、ファイティングポーズを取りながら、その場で身体を慣らすようにジャンプをしている。
「あらあら!俺様のパンチを喰らっても起き上がってくるなんて久しぶりねー。少しは楽しめそうねー」

変に間延びした特徴的な言い回しでサソリを挑発するように指を振っている。

 
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