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リリカルなのは~優しき狂王~

作者:レスト
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第六話~ファースト・アラート~

 
前書き
やっと本編に絡んできます。

それにしても、ライがどんどんオリキャラ化してきてる気がします(ーー;)



 

 
聖王教会・一室

 その部屋では二人の人間が会話をしていた。片方は機動六課部隊長、八神はやて。そしてもう一人は聖王教会騎士団の騎士、カリム・グラシアである。
 彼女たちは古くからの友人で、今はお互いの現況報告や新型ガジェットのデータを渡していたりしていた。

カリム「それで、部隊の方は順調?」

はやて「もちろん。カリム達のおかげで順調に部隊も整ってきとるよ。新人のFW四人も訓練を重ねとるから、何時でも出動できるし。」

 はやてが「カリム達のおかげ」と言ったのには理由がある。機動六課は設立の際にある理由から様々なところから批判があったのだ。そこで部隊の後ろ盾としてはやて達の頼れる人脈を使い、少し強引ながらも六課を設立している。その為、管理局の一部では未だに機動六課に対して良くない感情を持つ者も多く、非協力的な人々も多いのだ。そんな中、後ろ盾になっているカリム達は、六課に積極的とは言えないまでも出来るだけの支援を行っているのだ。
 はやてからの返事を聞き、微笑を浮かべカリムは言葉を続ける。

カリム「あなたにそう言ってもらえるのなら協力した甲斐があるわ。……そういえば報告にあった彼は?」

はやて「ここに来る途中にシャマルが目を覚ましたっていう連絡をくれたから、これから詳しく話を聞くつもりや。」

 ライのことをきかれて答えるはやて。カリムは少し表情を真剣なものにして口を開いた。

カリム「……はやて、貴方は彼をどう思っているの?」

はやて「…正直、分からん。でも……」

カリム「でも?」

はやて「あまり、悪い人には見えんかったな…」



機動六課・医務室


 はやてとカリムが話し合いをしている頃、ここ機動六課の医務室ではライが自分の世界についてフェイトとシャマルに話していた。ブリタニア帝国についての事から始まり、KMF、世界情勢、ナンバーズについて、そしてエリア11・日本で起こったブラックリベリオンが起こるまでの経緯と結果について、まずは説明した。その説明をしている間、終始フェイトとシャマルの二人は驚いていた。

ライ「…取り敢えずここまでで一段落だ。何か質問はあるか?」

フェイト「……」

ライ「…信じられないか?」

フェイト「というよりも驚いてる。私もあなたと似たような世界で育ったから。だから日本が侵攻されて他国の領土になっている世界があるなんて…」

ライ「あなたの育った世界にも日本があるのか?」

フェイト「うん。多分ライは私達のいた世界と限りなく近い世界、平行世界の出身になるんだと思う。」

ライ「……あなたの世界には戦争は?」

フェイト「え?戦争が全くない世界ではないけれど、少なくとも日本は平和だったよ。」

ライ「そうか。」
  (カレンや黒の騎士団のみんなが聞けばどう思うかな……)

シャマル「……」

フェイト「それでライのことだけど…」

ライ「ああ、それは今から…」

 ライが次は自分のことを話始めようとした瞬間、警報が鳴り響いた。

ライ「…この警報は?」

フェイト「出撃警報!」

はやて『フェイトちゃん。』

 警報にそれぞれが反応していると、はやてからの通信が繋がる。

はやて『聖王教会からの報告でレリックらしき物を見つけた。』

フェイト「ホント?!それで場所は?」

はやて『対象は山岳リニアレールで移動中や。』

ライ(移動中ということは、制御を取られているな。)

はやて『現在、リニアはガジェットに制御を取られとる。なのはちゃん達にはもう出てもらったからフェイトちゃんも今すぐ出撃や。私もすぐに六課に戻る。』

ライ「ガジェット?」

 ライははやての言葉に少し反応するがそれに気付いた人はいなかった。
 はやてとフェイトが通信を終わらせフェイトが退室しようとする。部屋の扉の前に行くと立ち止まり、振り向きシャマルとライに声をかける。

フェイト「シャマル先生、ライの事を頼みます。私は現場へ。」

シャマル「分かりました。」

フェイト「ライ。戻ってきたら話の続き聞かせてね!」

 そう言い残すとフェイトは退室した。少しの間、沈黙が続いたがライがそれを破った。

ライ「…シャマルさん。」

シャマル「何かしら?」

ライ「僕が信じられないのは分かるが黙って人の心を読むのはどうかと思う。」

シャマル「!!!」

 ライは説明をしている時と会話をしている時に、自分が何か思う度にシャマルの表情が僅かに動くのを見逃していなかった。そこでその理由に予想をたて、カマをかけてみたのだがその予想は見事に的中していた。
 驚くシャマルを視界から外し、ライはこれまでのことを整理し始める。

ライ(さて、これからどうなるのだろうか?さっきは騙されたと思っていたが少なくともルーにアギト、ゼストさんの三人にウソや僕に対する後ろめたさはなかった。…あの三人は信じていたいな…)



機動六課・司令室


 機動六課としての初任務が始まった。少々のトラブルはあったものの特に問題も無くガジェットを破壊しレリックを確保するFWメンバー。聖王教会から戻り、指揮をとっていたはやても皆に労いの言葉をかける。誰もが任務終了を確信した瞬間に新たにレーダーが反応し、管制官の一人であるシャリオ・フィニーノが声を上げた。

シャリオ「レーダーに新たな反応!数は三、真っ直ぐリニアの方に向かってきます!」

はやて「今更増援?それにたった三機って…」

シャリオ「反応から先ほど破壊したガジェットⅢ型の倍ほどの大きさがあります!それにかなり早いです!」

はやて「新型?シャーリー、映像は拾える?」

シャリオ「はい、なんとか。」

 そう言うと管制のコンソールを操作し、ディスプレイに新たな映像を映し出される。そこに映されたのは人型をした三機のロボット。その見覚えのないものを見てはやては眉を潜めた。

はやて「なんや?ガジェットと比べてずっと人間らしい形やな。」



機動六課・医務室


 その時医務室ではライが驚愕していた。医務室にもリニアレールの戦闘をうつしていたのだ。そして、始めは冷静に戦闘状況を把握していたライだったが、最後に姿を見せた新型が映された瞬間、ライは冷静ではいられなくなった。ライの動揺に気付いたシャマルがライに声をかけようとした瞬間に先にライが口を開いた。

ライ「……無頼と月下…」

シャマル「えっ?」

ライ「しかもあの左腕は!」

月下の左腕を確認した瞬間、ライはシャマルの方に振り向く。シャマルは驚き体を硬直させるが、ライはそれを気にせずにシャマルの肩を掴み話し出す。

ライ「すぐにあの子達を撤退させろ!」

シャマル「えっと?…え?」

 シャマルの反応に歯噛みしながらライは説明した。

ライ「あれはさっきの説明で言ったKMFだ。早くしないと彼らでも大怪我するぞ!」

 その説明を聞き納得したのかシャマルはすぐに司令室に通信を繋ぎ説明を始めた。



機動六課・司令室


 司令室では出現した新型の対応に悩んでいた。現時点では敵かどうかも分からないのだ。しかしそんな疑問も次の報告で吹き飛ぶ。

シャリオ「ガジェット二型の増援多数!リニアに近づいてきます!スターズ1とライトニング1が迎撃に向かいます。」

 その報告を聞きはやては新型を敵と判断し、迎撃の指示を出そうとした瞬間新たな通信が繋がった。

シャマル『はやてちゃん。』

はやて「シャマル?悪いけど今は……」

シャマル『FWの四人を撤退させて!』

はやて「あの新型を知っとるん?」

シャマル『ええっと…あれを知ってるのは、私じゃなくて…』

はやて「?」

 シャマルの歯切れの悪い言葉にはやては困惑する。そこにはやてにとって初めて聞く声がそこに割り込む。

ライ『何をしている!早く彼らを撤退させろ!』

いきなりのライの登場に少し驚くがすぐにはやてはライに尋ねた。

はやて「あなたはあの人型を知っているんですか?」

ライ『…ああ、よく知っている。先ほどの戦闘を見させてもらったが、あれを知らない彼らではかなわない。だから早く!』

はやて「…それはできません。」

ライの言葉に少し考える素振りをはやては見せてから言葉を返す。ライは返された言葉に驚く。

ライ『なぜ?!』

はやて「今現在、上空を敵の別働隊に抑えられています。下手に撤退させようとすれば追撃を受けます。」

ライ『……』

はやての言葉を聞きライは苦い顔をする。そしてはやても新人四人に新型を任せることに苦い顔をする。そこで先ほどのライの言葉をはやては思い出しライに尋ねた。

はやて「…貴方はあれを知らんあの子らには無理と言いましたね?」

ライ『ああ』

はやて「なら、あれを知る貴方があの子らに指示を出したらあれを倒せますか?」

ライ『……』

はやて「沈黙は肯定と取らせてもらうで?」

ライ『…できないことは無い。ただ彼らの詳しい戦闘データを知らない。だから確実とは…』

はやて「……シャマル、彼にFW四人となのはちゃんとフェイトちゃんの能力を教えてあげて。」

シャマル『いいんですか?!』

 はやてからの指示に聞き返すシャマルの顔は驚愕に彩られていた。それは司令室にいる六課メンバーとライも同様だった。

はやて「今、あの子達を失うわけにはいかん。だから彼の言葉を信じてあれを確実に無力化するのがベストや。」

ライ『…いいのか?』

はやて「これでも人を見る目はあるで!」

自信満々で答えるはやてにライは苦笑し笑顔で返した。

ライ『ありがとう』

 それを見て一瞬はやてとロングアーチスタッフの女性陣はドキリとしたが、すぐに気持ちを切り替えて自分の作業に戻っていく。はやてもライに声をかける。

はやて「私はこの機動六課の部隊長をしてる八神はやてや。」

ライ『僕はライ、ライ・ランペルージだ。』

 そして、ライの機動六課での初仕事が始まる。
 
 

 
後書き
戦闘描写と機体説明は次回に持ち越しです。でも決して上手い描写ではないのであまり期待しないでください。

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