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Blue Rose

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第九話 戸惑う心その二

「そうした人にはね」
「気をつけるんだね」
「おかしいって気付く人は出て来るから」
「絶対に?」
「そう思っていいわ」
 優子はそこまで考えているのだ。このことまで。
「そしてそこからね」
「マスコミにだね」
「情報が入るから」
「それで僕のところに来るから」
「そうした時には院長さんがおられるから」
「院長さんってそんなに凄い人なんだね」
 優子の勤めている病院のだ、優花は姉にこのことも尋ねた。
「そうなんだね」
「八条家の方だから」
「ああ、病院を経営してる」
「そう、あの八条家のね」
「世界的な企業グループの一族だから」
「変な記者が来てもね」
 例えそうなってもというのだ。
「安心してね」
「僕を守ってくれるんだね」
「そうよ、本当にね」
「じゃあ」
「何があっても」
 優子は何時になく強い声で弟に言った。
「大丈夫よ」
「うん、それじゃあ」
「優花は一人じゃないから」
「僕は一人じゃないから」
「安心してね」
「うん、それじゃあ」
「そういうことでね、今日はどうするの?」
 ここでだ、優子は弟に問うた。
「寝られなかったでしょ」
「殆どね」
「かなり疲れてるから」
 一目でわかる位だ、それで問うたのである。
「学校に行くの辛いわよね」
「大丈夫だよ」
 力ない声だったがだ、優花は姉に答えた。
「これ位ならね」
「そうなのね」
「そう、大丈夫よ」
 こう姉に答えたのだった。
「安心してね」
「そう、大丈夫なのね」
「学校に行けるよ」
「わかったわ、ただ体育の授業があったら」
「ないよ、今日は」
「じゃあいいわ、若しあったらね」
 その時はというのだ。
「見学しなさいって言ってたわ」
「そうだったんだね」
「ええ、そうしていたわ」
「そうだったんだね」
「本当にね」
「身体が辛いから」
「そんな調子だと」
 それこそというのだ。
「体育は無理よ、学校に出るのもやっとね」
「それは」
「無理はしないことよ」
「僕が姉さんにいつも言ってることだね」
「それは優花もよ」
 姉に言っている彼もというのだ。
「だからね」
「無理はしないで」
「こうした時はね」
「無理はしないことだね」
「休んでもいいのよ」
「そうなんだね」
「そう、けれどなのね」
 弟の判断を尊重してだ、優子は言った。 
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