赤とオレンジ
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第1章 旧校舎のディアボロス
接触
第7話 接触
俺ーーー波風空は駒王学園の二年生になっていた。
この一年は恐ろしいくらいに静か過ぎた。はぐれ悪魔との戦闘もあまりなかった。流石にゼロとまではいかなかったのだが。
リアスちゃんからの俺に対する接触もなかった。自分の眷属悪魔がここにいることに気づいているのかどうか一度聞いてみたいところだ。
だが、俺から接触しようとは思わない。・・・なんでかって?めんどくさいことになりそうだからさ!だって俺らの他にーーー神器所有者がいるからだ。それもドラゴン系の神器。
もちろん俺自身が赤龍帝の籠手を持っているから敵が現れるのは遅かれ早かれそうなるのだが、俺の他に神滅具を持っていて、しかもドラゴンと言うのはかなりやばい状況だ。
めんどくさいことになるとは言え、リアスちゃんに接触しないとだめかなとは思う。俺の王を傷つけさせるわけにはいかないからな!
そして今、現在の俺も一つ間違えればかなりヤバイ状況にある。
それは・・・エリザベスが俺の横で寝ているんだよ!あ、もちろん服は着ているよ。
まだ、外は暗いな。何時だ?・・・5時か。もう少し寝よう。
そう。これがダメだった。この時起きていればあんな痛い目には合わなかったのに・・・。
「んっ・・・空様っ」
何か少しいやらしい声が聞こえる。甘いような声音。そして手には柔らかい弾力があるような感触。もう少し触っていると・・・
「んっ・・・あん。空様。起きてください」
これはまさか。
起き上がって見ると、横には服が捲れているエリザベス。その胸を触っている俺。誰かに見られたらとてもヤバイ状況だ。かなり誤解を招く状況であるのは間違いない。
「空様!おはようござい・・ます・・・」
そういい、部屋に入ってきたのはメイドのシルフィアだ。
「新学期の一日目から何をやっているのですか?」
顔は笑っているが目は笑っていない。そう。言うのであれば睨みつけられている。口調には怒気が含まれている。これは完全に怒っている時のシルフィアだ・・・。
「空様はちょっとこちらに来てください」
「はい」
こうなったシルフィアに従うこと以外はできないので二つ返事で着いていくしかない。
「シルフィア様!空様は悪くありません!」
「いいえ、どのような理由があれど、空様とは一度お話をしなければなりません。エリザベス様は服を着替えて学校の支度をしてください」
エリザベスが助けるかのように擁護してくれるがシルフィアは聞く耳を持たなかった。
怖かったのかエリザベスは言い返すことはなく、そのまま部屋を出て行った。
「さて、空様・・・いえ、空!ちょっとお話をしましょうね」
このあと、シルフィアから人には言えないような恐ろしいお仕置きをされたのは言うまでもない。この事は眷属の皆にも伝えられ、信奈やアリサにしばかれた。この時の記憶だけは吹っ飛んでいる。ただ『怖かった』としか覚えてない
・・・なんでこんなにやられるんだ。
ボコボコにされた体をエリザベスが治療してくれたのは言うまでもない。
こんな慌しい、朝を過ごして、駒王学園へ向かった。
この駒王学園は男女比率が3:7の学校だ。以前までは女子高だった。そのため女性のほうが多いのだ。偏差値も高めの学校であるため入学も容易ではないらしい。俺たちは去年サーゼクスさんの計らいで特待生として入学したからテストとかは受けてない。軽い面接は形式として受けただけだ。
今年のクラス分けの表を見ていると、俺たち四人は同じクラスのようだ。そして・・・性欲の権化イッセー・セクハラパパラッチ松田・スリーサイズスカウター元浜も同じクラスだった。入学してすぐにこのあだ名をつけられていた。三人合わせてエロバカトリオというのも不名誉過ぎる名だ。
入学した初日こそエリザベスたちに目をつけていたようだが、俺がOHANASHIしたらそんな事はなくなった。
それから軽く話す仲になったのだが、エロいところを除けばいいやつらだ。エロいところを除けばな!重要なところだから二回言ったぞ!
数日後、エリザベスとアリサは日直ということで学校に残っているので、信奈と一緒に帰宅している最中のことだった。
驚くべき現場に遭遇してしまった。
「好きです!わ、私と・・・付き合ってください!」
ーーーイッセーが歩道橋の上で黒髪の長髪の巨乳美少女から告白されているのだ。
これには俺も信奈もビックリして何度も目をパチパチとしてしまったものだ。
「あれはどういうこと!?」
「俺に言われてもわからない」
信奈が小声で指を指しながら俺に聞くのだが、俺に言われてもわからない。
だが、あの女は堕天使。それは信奈も分かっていることだろう。
「「神器が狙いか」」
声を一致させ、意見が合った。
やはり信奈もわかったようだ。
「今度の休みにデートしよう!だめ?」
「だめなものか!いいに決まってるだろ!」
「よかった!デート楽しみにしているね!」
イッセーは手を振って堕天使を見送って行った。
「ねぇ?空。私たちも次の休みに二人でデートしない?もちろん、兵藤の護衛を兼ねてね」
「二人か?構わんぞ?」
俺と信奈の二人っきりのデートを次の休みに行く事になった。護衛も兼ねてだが。信奈と二人っきりでデートは久しぶりだ。他の人がいると信奈はツンツンしてるから、信奈から誘ってくれるのは新鮮だ。
〜〜次の休み〜〜
予定通り俺と信奈はイッセーのデートを追跡している。
何々?最初は映画か。イッセーが見に行こうとしている作品は・・・。
「確かこの映画は信奈も見たがっていたやつだよな?」
信奈が見てみたいと言った映画だ。
「ええ、そうよ!早く行きましょ!」
手を引っ張られるようにして、中へと入って行く。やはり年相応の女の子だ。可愛い。
映画が終わると次はショッピングのようだ。小物屋さんへと入って行く。
「うぅ〜」
信奈の方を見ると泣いている。
出るときにこの作品を見た人を見ていると・・・泣いている人が多かった。つまり信奈もその中の一人ということだ!
「泣くな。次、行くぞ!」
涙をポケットから出したハンカチで拭いてあげて、俺たちもイッセーの入った店内へと入店した。
中々高価なネックレスを信奈にプレゼントした。
偶然にも信奈から俺がプレゼントしたネックレスと、同じものを貰った。お互いにそのネックレスをつけてデートをした。
夕暮れ時、人気のない噴水のある公園へ着いた。
「信奈、気をつけろよ」
「わかってるわ」
俺たちは茂みに気配を完全に消して隠れる。
堕天使がそろそろ行動に移すと思ったからだ。
案の定その行動に移った
堕天使はイッセーと手を繋いでいたが手を解いて、噴水の方へ急ぎ足で歩いて行き、イッセーの目の前に立つ。
「私のお願い聞いてくれないかな?」
「なにかな?」
どうせイッセーの事だからエロいことを考えてるのはわかってる。おおよその見当はつく。だが、お前の思うようにはいかんと思うぞ。
刹那、服が脱げていき、堕天使の象徴ともいえるカラスに似たような羽が背中から生える。
「空は見たら怒るわよ!」
「はい」
信奈から見たらダメだと言われるがもう遅い。見てしまった。
「死んでくれないかな?」
堕天使の笑いながら高らかに言った。
「楽しかったわ。あなたと過ごした初々しい子供の日々」
手元には光の矢。
その光の矢は投げ飛ばされる。俺と信奈は飛び出して、信奈は聖剣創造で聖剣を作り出し、光の矢を切り刻む。俺は堕天使の顔面を殴り飛ばす。
ゴッ!
派手な音を鳴らし、堕天使を後方へ吹き飛ばす。
「ぐはっ」
後ろから聞くはずのない、イッセーの吐血したような声が聞こえる。
「レイナーレ様、殺したっス」
イッセーの後ろには堕天使の羽を生やしたゴスロリの金髪の女がいる。
「ここは一度引くわよ」
それだけ言うと、レイナーレとゴスロリ女の二人の堕天使は空を飛んで何処かへ消えていった。
「あなた達は誰かしら?」
噴水の方から声がする。聞いたことのある声だ。そうそれは・・・リアスグレモリーだ。俺の主様でもある。
「・・・波風空だ。久しぶりだね、リアスちゃん」
「あ、空!久しぶり!なんでここーーー」
リアスちゃんは驚愕の声音で言う。だが、その声を遮るように言う。
「今は俺たちの事よりイッセーの事を頼む。それでも俺の友人だからな。また、後日にイッセーと一緒に呼んでくれ」
「ええ、わかったわ」
それだけ言い、俺と信奈はその場を去った。
眷属には俺とリアスちゃんの関係はちゃんと言ってあるのだが、なぜか信奈は過ごし怒っている様に見えた。
急に手を繋いできたので握り返したら、顔を赤く染めていた。夕暮れの空の色の様に。
イッセーside
ぐふふ。夕麻ちゃん、かわいいな。こんな巨乳美少女と手を繋いで歩けるなんて夢の様だ。俺も偉くなったものだな。松田と元浜には悪いが俺は大人の階段を上るぜ!
町外れにある公園の噴水の近くに着くと、夕麻ちゃんが手を振りほどき、目の前に立つ。
「私のお願い聞いてくれないかな?」
「なにかな?」
お願いってなんだろ。まさかキスゥゥウウウ。
刹那、服が脱げていき、背中に羽が生えていた。
おっぱい!
真っ黒い羽。例えるならば・・・カラス。
「死んでくれないかな」
「へっ?」
何かの冗談かな?
抜けた様な返事になってしまった。
「楽しかったわ。あなたと過ごした初々しい子供の日々」
夕麻ちゃんの声は冷たい。手元には一本の槍が現れた。光っている槍。
その槍を俺にめがけて投げた。
だが、その槍は金髪の女の子によって切り刻まれ、夕麻ちゃんは男の手によって殴り飛ばされていた。
ドン!
「ぐはっ!」
俺は倒れてしまった。
背中に何か刺さったような感じがする。
めちゃめちゃ痛い。こんな痛みは感じたことねぇ。
辺りには鮮血が。俺の血だ。腹は穴が空いている。血。リアス先輩と同じ紅い。どうせ死ぬならあの人の胸の中で死にたかった。
俺の視界に三人くらいの人が映りこみ、意識が暗闇へと落ちていった。
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