英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク
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第108話
探索を再開したケビン達は”アルセイユ”を見つけ、船内を探索すると”封印石”を見つけ、中にいる人物を解放する為に庭園に戻り、そして”封印石”を解放した。
~隠者の庭園~
「こんな風に俺は解放されたのか……」
「………軍服………?」
「あ、あれって………」
「やっぱりな………アルセイユにあった時点で予想はしてたけど………」
「フフ……これはまた懐かしい人の登場ね。」
封印石が解放される様子を見たロイドは呆け、光の中から出て来ようとした人物にリースは首を傾げ、ティータは驚き、ケビンはどこか納得した様子で、アーシアは微笑みながら見つめた。そして光は消え、光の中にいた人物――ユリア大尉が現れた。
「くっ………エコー!いったい何が起こった!?……………え。」
地面に跪いていたユリア大尉は顔を上げて叫んだが、目の前にいる人物達に気付き呆けた声を出した。
「そ、その………」
「とりあえず………ユリアさん、お久しぶりですわ。」
「よっ、祝賀会の時以来だな。」
「………ケビン神父………それにティータ君にフレン殿にアーシア殿まで………」
ティータ達に話しかけられたユリア大尉は驚いた後、周囲を見回して自分が尋常ではない事に気づくとケビン達を見つめて静かに問いかけた。
「再開の挨拶をする前に一つ聞かせて欲しい。―――これは夢か?それとも幻なんだろうか?」
そしてケビン達はユリア大尉に現状を説明した。
「なるほど………俄かには信じ難い話だが受け入れるしかないようだな………」
「話が早くて助かりますわ。それでユリアさんの方は何があったのか覚えてます?やっぱり昨日の夜、白い光に巻き込まれたんですか?」
「昨夜というか…………つい先程の出来事のように感じられるんだが………飛行演習が終わってちょうどレイストン要塞に帰還している最中でね。ブリッジの座席に座っていたらいきなり辺りが白くなって………どうやらそこで記憶は途切れているみたいだな。」
「なるほど………だいたい事情はわかりましたわ。」
「やはり我々の場合とほぼ同じ時間帯ですね………他のクルーがどうなったかご存知ではありませんか?」
自分達と同じ状況であるが、自分達と違い周りの人物達がいたユリア大尉の状況が気になったリースは質問した。
「いや………正直、見当もつかない。巻き込まれたのが私だけならまだ安心できるんだが………」
「アルセイユがあるっていう事は他のクルーの人達もいる………そういう事なんでしょうか?」
「まあ、普通に考えたらそうだが……」
「……だとしても、ユリア大尉の封印石しかなかったのは違和感があるわ。」
「何か法則性のようなものがあるのかもしれませんね。」
ティータの疑問を聞いたフレンやアーシア、ロイドはそれぞれ考え込んでいた。
「…………………………ケビン神父、それからシスター・リース。君達は既にこの場所の探索を始めているそうだな?」
一方考え込んでいたユリア大尉はケビンとリースを見つめて訊ねた。
「ええ、まあ。」
「………まだ探索を始めてあまり経ってはいませんが。」
「ならば………私も是非、協力させてほしい。部下達の安否も気になるしアルセイユが動かない理由も確かめる必要がある………そのためには君達に協力させてもらうのが一番の近道のようだ。」
「わあ………!」
「正直、願ってもない話ですわ。王国軍の若手随一の剣技、アテにさせてもらいまっせ。」
ユリア大尉の加勢の申し出にケビンはティータと共に明るい表情をした。
「はは………私の剣技などまだまださ。シスター・リース、アーシア殿、フレン殿、ティータ君、それからロイド君。若輩の身ではあるがどうかよろしく頼む。」
「………こちらこそ。」
「フフ、貴女と共に探索するのはこれが初めてだけど、よろしくね。」
「あんたの剣技、期待させてもらうぜ。」
「よ、よろしくお願いします!」
「ハハ、よろしく頼むのは俺の方なのですが……こちらこそ、よろしくお願いします。」
その後ユリア大尉も加えたケビン達はさらに探索をし続けるとまた封印石を見つけたので、一端庭園に戻り、封印石を解放しようとしていた。
「今度は一体どんな人が出てくるんだ………?」
「ドキドキ………」
「はは……それは解放してからのお楽しみやな。」
ロイドが考え込んでいる中次に現れる人物が誰なのか期待しているティータの様子に苦笑したケビンは封印石を解放した。すると今までのように光の球が降りてきて、そこからある人物が現れようとした。
「へ………」
「法衣……?し、しかし……」
「……少なくても七耀教会の関係者が身に纏う法衣ではありませんね。」
「もしかして七耀教会とは別の宗教の方かしら?」
「おいおい……七耀教会以外の宗教なんて、聞いた事がないぜ?」
光の中にいる人物が身に纏う法衣らしき服装にケビンは呆け、戸惑っているユリア大尉の言葉に続くようにリースは真剣な表情で呟き、アーシアの推測を聞いたフレンは困惑していた。すると光は消え、黒髪をツインテールにした娘が現れた!
「まぶし~……何なのよ、今の光は……―――!まさか……閃光弾!?―――伏せてフローリアン!どこのどいつか知らないけど、わたし達を狙った事、このアニスちゃんが心の奥底から後悔させてや――――って。え…………」
目を開けた娘は立ち上がると血相を変え、一旦後ろに跳躍して背中に背負っている人形を手に取ろうとしたが、ケビン達に気づくと呆けた。
「え、え~と……オレ達は嬢ちゃんの敵とちゃうから、構えをといてくれへんか?」
娘の様子を見たケビンは苦笑しながら話しかけ
「……敵じゃないんだったら、所属と名前を言ってくれない?そんな見たこともない怪しい恰好をした人達を信じろって方が無理な話だし。」
「あ、怪しい恰好って……これでも神父やねんけど。」
「む……ケビンのせいで、私まで同類扱いされた。」
娘の話を聞いたケビンは疲れた表情で溜息を吐き、リースはジト目でケビンを見つめた。その後ケビン達は娘に自己紹介を行った。
「”七耀教会”に”リベール王国”、それに”遊撃士協会”と”クロスベル警察”…………何それ。どれも聞いた事がないんだけど。わたしをからかっているの?」
「へ………」
眉を顰めて呟いた娘の答えを聞いたロイドは呆け
「……どういう事だ?そこの嬢ちゃんが挙げた単語はゼムリア大陸に住んでいたら、最低でも一つは絶対に耳にする単語だぞ?」
「………まさか。彼女はリオンやソフィのようにゼムリア大陸とは異なる世界の存在じゃないのかしら?」
「ふええええええ~っ!?」
「た、確かにそれなら彼女が先程挙げた単語を知らないのも無理はないが……私達は自己紹介をしたから、そろそろ君も名前と所属を言ってくれないだろうか?」
フレンの疑問を聞いてある事に気づいたアーシアの推測を聞いたティータは驚き、戸惑いの表情で同意したユリア大尉は気を取り直して娘に自己紹介を促した。
「……仕方ないわね。――――わたしの名前はアニス。神託の盾騎士団導師守護役所属アニス・タトリン響士よ。」
「へ……オ、神託の盾騎士団??一体何なんや、その組織は……」
「”騎士団”という言葉からして、恐らく軍が関係している組織なのだろうな。」
「”タトリン”に”フォンマスター”……?」
娘―――アニス・タトリンの自己紹介を聞いたケビンは困惑し、ユリア大尉は真剣な表情で呟き、アニスの自己紹介の中で何かが気になったリースは眉を顰めた。
「……?まさかとは思うけど神託の盾を知らないの?神託の盾は”ローレライ教団”が総本山の”ダアト”を自衛する為に結成した軍隊で、神託の盾の存在は世界中のみんなが知っている常識よ。」
「ロ、”ローレライ教団”……?聞いた事がない組織だな……」
「”教団”に”総本山”という言葉から推測すると、恐らく神託の盾騎士団と言うのは彼女の世界の宗教の”星杯騎士団”のような存在なのだと思うわ。と言う事は間違いなく彼女は―――」
「リオンやソフィのような異世界の人間ということになるな。」
ケビン達の様子を見て不思議そうな表情をしているアニスの説明を聞いたロイドは戸惑い、アニスが自分達が知る世界の人間ではない事を悟ったアーシアに続くようにフレンは真剣な表情で呟いた。
「異世界?一体何の事なのか、意味不明なんだけど………」
「あ~と……アニスちゃんやったか?信じられへん話かもしれへんけど、オレ達は―――」
そしてケビン達はアニスに自分達の世界や今の状況を説明し、またアニスにアニスの世界―――”オールドラント”と呼ばれている世界の常識などを教えてもらった。
「い、異世界って……何でそんな訳わかんない事にわたしが巻き込まれているのよ~!」
「ハハ、その台詞はオレ達にも言える事やねんけどな。それでアニスちゃんはこれからどうする?さっきも説明したように、オレ達は元の世界に戻る為にこの謎の異空間を探索しとるんやけど、もしアニスちゃんがよかったら手伝ってくれへんか?」
疲れた表情で声を上げたアニスの様子を見たケビンは苦笑した後アニスに協力してくれるように頼み
「ケビン………いいの?」
「アニスちゃんの話によるとアニスちゃんはオレ達の世界で言えば”星杯騎士団”のような組織に所属している上、しかもアニスちゃんの所の宗教組織の最高指導者の”導師”、やったか?その人の親衛隊みたいな所に所属しているねんから、戦力としてもありがたいやろ?」
「……………」
リースに確認されたケビンは説明をし、その説明を聞いていたアニスは一瞬辛そうな表情で顔を俯かせたがすぐに表情を戻して顔を上げた。
「それでどうや?」
「………ぶ~……ただ働きなんて、正直したくないけど元の世界に帰る為にあなた達に力を貸してあげるわ。」
そしてケビンの確認の言葉に少しの間考え込んだ後ケビン達に協力する事を決めたアニスは疲れた表情で溜息を吐いて協力する事を伝え、アニスの答えを聞いたケビン達は冷や汗をかき
(た、”ただ働き”って………本当に彼女は宗教組織に所属している人なのか……?)
アニスの口から出た言葉からアニスが宗教組織に所属している人物でありながら、お金も支払われないのにケビン達に力を貸すことを不本意と思っている事を悟ったロイドは冷や汗をかいて表情を引き攣らせてアニスを見つめていた。
「ハハ、よろしくな。ちなみにアニスちゃんは前衛か後衛、どっちの戦い方が得意なん?」
「ん~……一応前衛、後衛のどちらともできるから中衛かな。」
ケビンに前衛か後衛かを訊ねられたアニスは考え込んだ後答えた。
「ちなみに得物はその杖か?」
「杖を扱って前衛と言う事は……もしかして”杖術”を修めているのかしら?」
アニスの答えを聞いたフレンはアニスの腰に刺してある杖に視線を向け、アーシアはアニスに訊ねた。
「ううん、この杖は譜術の威力とトクナガの力を強化する為のもので、わたしは”これ”で戦うの。―――トクナガ!」
そしてアニスは背中に背負っている人形を取り出すと何と人形―――トクナガは巨大化し、アニスは巨大化した人形に乗った。
「……………」
「ふ、ふええええええ~っ!?」
「に、人形が巨大化した……!?」
「そ、その人形は一体何なんだ……!?」
巨大化したトクナガを見たケビンは驚きのあまり口をパクパクさせ、ティータとロイドは声を上げて驚き、ユリア大尉は信じられない表情で訊ねた。
「―――”トクナガ”。わたし達の世界の”譜業兵器”の一種にあたる”譜業人形”だよ。それでわたしはこの”トクナガ”を操って戦う”人形士”。」
「”人形士”………」
「”人形士”―――要するに人形使いやな。わかりやすいように例えるならパテル=マテルを遠隔操作か何かで操っているあのとんでもないお嬢ちゃんが、パテル=マテル自身に乗ってパテル=マテルを操作して戦うようなもんか……」
「…………ユウナちゃん………えとえと、アニスさん。その人形って、一体どんな仕組みになっているんですか?」
アニスの説明を聞いたリースは呆け、ケビンの推測を聞いてユウナの事を思い出したティータは複雑そうな表情をした後すぐに気を取り直して興味ありげな表情でアニスに訊ねた。
「それは”乙女の秘密”だから教えられないね~♪」
ティータの質問に対し、笑顔で誤魔化したアニスの答えを聞いたケビン達は冷や汗をかき
「ほら、さっさと行こう!わたしはとっととこのわけのわかんない世界から脱出して、元の世界に戻りたいの!」
アニスはケビン達に先に進むように促した。
こうしてアニスを仲間に加えたケビン達は探索に戻り、ある広い場所に到着すると、中央から妖しげな光陣が出現した!
~翡翠回廊~
「………来る!」
「予想通りや!」
「うげ~っ!?感じる気配からして、絶対このへんにいる魔物じゃないよ~!」
妖しげな光陣から何か出てくる事を察し、仲間と共に武器を構えたリースとケビンは全員に忠告し、同じように巨大化したトクナガに乗って戦闘態勢に入っていたアニスは光陣から出てくる相手が強敵である事を悟り、疲れた表情で声を上げた。すると妖しげ光陣から今まで戦った”魔物”の数倍の大きさはある”魔物”が現れ、さらに今まで戦った石像の”魔物”が4体現れた!
「ふええっ!?」
「な、なんだあれは………!」
「気を付けてください!あの大型の魔物は、ここに来るまでに戦ってきた魔物達とは”格”が違います!」
今まで戦った事のないタイプの敵の登場にティータは不安そうな表情で叫び、ユリアは驚きながらも警戒し、敵の強さが尋常ではない事を悟ったロイドはケビン達に警告した。
「黄泉の渡し守。死せる魂を導く霊櫃。聖典に記された七十七の悪魔の一匹、”嘆きの櫃”ベヌウ………!」
「名前からしてヤバそうな奴だな……!」
「聖典に記されている悪魔まで現界化するなんて、この空間は一体どうなっているのよ……!?」
敵―――ベヌウの説明を警戒しながら説明したリースの話を聞いたフレンは気を引き締め、アーシアは厳しい表情でベヌウを睨んだ。
「まさか本物の悪魔と対面できる日が来るとはな………上等や!女神の僕の力、思い知らせたる!」
そしてケビン達は現実の世界では決して存在するはずがない”本物の悪魔”との戦闘を開始した!
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