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支持率

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第三章

「しないといけなかったから」
「やりましたね」
「最後までね」
「それでよかったんだ」
 しみじみとした口調でだ、篠宮は言った。
「これでね、けれどね」
「支持率は下がりましたから」
「それを挽回しないといけないんだよ」
「それが現実ですね」
「そうだよ、選挙はまだ先でも」
「支持率は下がったからには」
「上げないといけないからね」
「だから政策を考えておられますね」
「しっかりとね」
 それこそというのだ。
「どんな政策がいいか」
「具体的にはどんな政策ですか?」
「教育だよ」
「先生は文部科学省の審議官ですしね」
「その役職にあるからね」
「だからですね」
「さて、その教育だけれど」
 腕を組んだままだ、彼は渡辺に言うのだt6た。
「どんな政策がいいかな」
「人気取りですね」
「そう、しかも実効のあるね」
「中々難しい注文ですね」
「教育はね」
 この分野についてだ、篠宮は言うのだった。
「重要だけれど」
「有権者が注目していることは事実ですね」
「それでもね」
「外交や安全保障、税制に比べますと」
「ずっとね」
「注目度が低いですね」
「優先度もね」
 その両方でというのだ。
「あまり支持率にはね」
「関わらないですね」
「けれどね」
「いい政策なら評価されて」
「それで国民に生きるからね」
 この現実もだ、彼は話した。
「実際に」
「そうですよね」
「福沢諭吉は教育の失敗は骨にまで至ると言ったよ」
「それも脊髄みたいなですね」
「重要な部分にまで至ると言ったから」
「重要ですね」
「うん、それで支持率にもね」
 そちらにもというのだ。
「関わるから」
「少しでも」
「僕は総理に直々に言われたんだよ」
「いい政策を出してくれと」
「そうなんだけれど」
「教育で人気のある政策」
 ここでだ、渡辺もだった。
 腕を組んで考える顔になってだ、こう自分の先生である篠宮に言った。
「やっぱり学費ですか」
「学費の軽減だね」
「国公立の学校の」
「生憎今はどの大学もね」
「お金がですか」
「なくてかえってね」
 こう渡辺に返すのだった。
「高くなりそうなんだよ」
「そうですか」
「それで言われることは」
 やはりマスコミにだ。
「教育の格差社会だよ」
「そこでも格差者j会ですか」
「マスコミの大好きな言葉の一つですね」
「マルクスみたいな言葉ですね」
「狙っているんだろうね」
 なくなった筈の共産主義をというのだ。
「今も」
「そういえば」
 渡辺も言われて気付いた。 
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