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血の髑髏

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第五章

「後はこうしてだ」
「夜に眠らせたうえで潜入したうえで盗む」
「じゃあすぐにはじめるぞ」
「よさそうなものは盗め」
 そしてそれを売り飛ばすというのだ、足がつかない形で。
 彼等は早速仕事にかかった、金になりそうな展示品を次々とケースを開けたり割ったりしてだった。盗んでいった。
 そしてその中でだ、一人が言った。
「奥の方にもあったぞ」
「博物館のか」
「奥の方にか」
「ああ、倉庫があってな」
 そこにというのだ。
「何かありそうだ」
「それならか」
「その倉庫の中のものも見るか」
「そして金目になりそうなものがあったら」
「それも取るか」
「眠らせてる連中が起きるまでにな」
 それまでの時間をリミットとして、というのだ。
「盗むか」
「ああ、そうだな」
「倉庫まで行って」
「金目のものがあるならそれも盗むか」
「そうするか」
 こうしてだった、彼等は。
 倉庫にも行った、そしてだった。
 金目になりそうなものを漁りだした、骨董品が色々とあった。この中にはあまりよさそうなものはなかったが。
 彼等は一つ面白いものを見付けた、それは。
「何だ、これは」
「髑髏か?」
「ただの髑髏じゃないぞ」
「これは水晶だ」
「赤水晶だぞ」
 暗がりに慣れた目でだ、その髑髏を見て言うのだった。
「赤水晶は売れるぞ」
「ああ、宝石だからな」
「しかもこの細工凄いぞ」
「かなり精巧だぞ」
「これだけ見事なものだったらな」
「売れるぞ」
 窃盗を行う者達としてだ、彼等は本能的にこのことを察した。
 それでだ、彼等はその髑髏を手に取ってだった。
 じっくりと品定めに入った、だが。
 ガスから目が醒めた博物館の当直員や警備員達は照明が就いていない博物館の中が荒れているのに気付いた、それでだった。
 この日は館長も当直にいた、彼はすぐに他の者達に言った。
「この状況は」
「はい、やられました」
「窃盗団です」
「奴等が来ました」
「かなり盗まれました」
「皆まずうは落ち着くんだ」
 こう返した館長だった。
「状況を調べるんだ、いいね」
「はい、そしてですね」
「すぐに他の勤務員の人達も呼びましょう」
「深夜ですが」
「それでも」
「そして」
 館長は警備員達に声をかけた。
「皆さんはです」
「はい、窃盗団をですね」
「今から」
「まだこの博物館の中にいれば」 
 彼等が残っていればというのだ。
「何とかしてです」
「捕まえて」
「展示品を取り戻すんですね」
「そうです、ただし」
 それでもともだ、館長は言った。
「無理はしないで下さい」
「相手は何を持っているかわからない」
「だからですね」
「勿論これはです」
 仕方ないといった顔でだ、ここで。
 館長はその懐から拳銃を出した、無論他の当直員も警備員達もだ。メキシコの治安を考えて彼等もこうした時に備えていたのだ。窃盗団に対してだけでなく。 
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