英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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外伝~聖魔の魔人姫との契約~前篇
~マルーダ城・客室~
「リィン様、少しよろしいでしょうか?メサイアです。」
「メサイア皇女?はい、どうぞ。」
「―――失礼します。」
メサイアの訪問に首を傾げたリィンが入室を許可するとメサイアが部屋に入ってきた。
「それで俺に何の用でしょうか?」
「はい、改めてお礼をしようと思いまして。」
「へ?」
メサイアの言葉の意味がわからなかったリィンは首を傾げた。
「リィン様が私に気付いて助力してくださなければ、私は危うく命を落とす所でした。本当にありがとうございます……」
「あ……い、いえ。どうかお気になさらず。自分は人として当然の事をしたまでですから。それよりお怪我はありませんでしたか?」
「はい、お蔭様で。それより先程から皆さんにも言おうと思っていましたが、私の事は敬わなくていいですよ?元々妾の娘ですから敬われるような立場ではないですし、この世界では本来存在しない私は皇女ではありませんから。」
「そ、そんな!例え世界が違えど貴女が皇族である事は違いありません!妾の娘であろうと、貴女は皇族。どうかご自分を蔑まないで下さい。」
メサイアの言葉を聞いたリィンは慌てた様子で答えた。
「フフ、真面目な方なのですね。―――リィン様、一つだけお尋ねしたい事があるのですが構いませんか?」
「ええ、何なりと。」
「リィン様は”魔”の存在をどう思われていますか?」
メサイアは真剣な表情でリィンを見つめて尋ねた。
「”魔”というと……悪魔とかですか?」
「はい。やはり滅ぼすべき存在だと思いますか?」
「いえ。人間に悪人や善人がいるように、”魔”にも様々な存在がいると思います。実際俺の使い魔の一人―――ベルフェゴールは”はぐれ魔神”ですがそんな悪い奴じゃないですし。」
(あら?これは何だか面白い展開になってきたわね♪)
(ふふふ、そんな気はしていましたけどね。)
メサイアの質問に答えるリィンの様子を見ていたベルフェゴールはからかいの表情になり、リザイラは静かな笑みを浮かべた。
「まあ……”はぐれ魔神”を従えているなんて、お若いのに随分とお強いのですね。」
リィンの話を聞いたメサイアは目を丸くしてリィンを見つめた。
「いえ、力で従えた訳ではなくベルフェゴール自身の気まぐれで力を貸してくれているんです。―――それより何故そんな事を?」
「…………私の両親は両方共純粋な”人間”なんです。」
「両親が”人間”?あれ……メサイア皇女は亜人族ですよね?一体何故……」
メサイアの出生を知ったリィンはある事に気付いて首を傾げた。
「―――私はメルキアの戦力として”魔物配合”によって生み出された”魔物”なんです。」
「なっ!?で、ですが自己紹介の時に…………」
「私を産んだ母体はお母様、そして魔物との配合儀式によって孕まされたお母様をお父様が抱いて自身の遺伝子を魔物との配合儀式によってできた私に植え付けましたから、私の両親は一応先程説明した通りになるんです。」
「…………………………その、ご自分の出生を知ってどう思われたんですか?」
メサイアの壮絶な出生に絶句したリィンは複雑そうな表情で尋ねた。
「最初に自分の事を知って理解した時は色々と複雑でしたね。私はいわば”戦力”として生み出された存在なのですから。」
「……………………」
寂しげな笑みを浮かべて語るメサイアにかける言葉がないリィンは黙り込んでいた。
「あ、勘違いしないで下さいね?私は別にお父様達の事は恨んでいません。」
「え……そ、そうなんですか?」
「はい。幼い頃からお母様からはお母様が産んだ純粋な人間の妹や弟達と差別される事無く可愛がってもらいましたし、お父様にも娘として扱ってもらって、大切にしてもらいましたから。」
「そうですか…………………しかし何故メサイア皇女の御父上はそのような事を?」
メサイアの話を聞いて安堵の溜息を吐いたリィンは考え込んだ後真剣な表情で尋ねた。
「当時メルキア軍を率いるお父様がアンナローツェ王国を制圧した際に捕縛したお母様は”籠の鳥”の状態で育った為女王としての能力はあまりにも未熟で、武将としての能力は勿論、政治能力も皆無でしたから慰み者として扱うしか使い道がなく、他に使い道を探っていた時に見つけた魔物との配合儀式で慰み者としての使い道しかなかったお母様を使ったとの事です。」
「…………ッ………………!」
メサイアの話を聞いてメサイアの父親の非道なる行為に怒りを感じたリィンは目を伏せて静かな怒りを纏って唇を噛みしめて黙り込み
「フフ、その様子ですとお母様にそのような仕打ちをしたお父様に対して怒りを抱いているのですね?」
「……………―――正直な所を言えばそうですね。敗戦した国の王族が殺されてもおかしくない立場なのは理解していますが、幾ら何でも酷すぎます……!―――すみません、メサイア皇女自身はご両親を慕っているのに気分を害されるような事を言ってしまって……」
微笑むメサイアに指摘されたリィンは静かに頷いて真剣な表情で答えた後すぐに謝罪した。
「気にしないで下さい。私の身の上の話を聞けばほとんどの方達がリィン様と似たような反応をするのが”普通”でしょうし。それで今の私の身の上の話を聞いてリィン様は私の事をどう思いますか?”魔物”か、”人”か。」
「―――”人”です。俺の仲間達も全員同じ答えを口にすると思います。」
「ありがとうございます。……おかげで今の答えを聞いて決意が固まりました。」
「へ…………」
メサイアに微笑まれた言葉の意味がわからないリィンが呆けたその時なんとメサイアは服を脱ぎだした!
「ちょ、ちょっと!?一体何を……!」
メサイアの行動にリィンが慌てたその時、服を脱いだメサイアは白のレースの下着姿になった。
「―――リィン・シュバルツァー様。私メサイア・シリオスはこれより貴方にお仕えする使い魔の一人になりますので、不束者ですがよろしくお願いします。」
「………………………え”。」
会釈したメサイアに微笑まれたリィンは石化したかのように固まり
(うふふ、これでまた増えたわね♪)
(ふふふ、しかもまたもや皇族ですか。)
ベルフェゴールとリザイラはそれぞれ興味ありげな表情をしていた。
「えええええええええええええええええっ!?な、ななななななな、何故ですか!?」
一方我に返ったリィンは混乱した様子で尋ね
「リィン様のお蔭で今の私がこうして無事で生きていられるのですから、その恩返しです。」
「そ、そんな!もっと自分を大切にしてください!俺は別に恩を売るつもりで助けた訳ではありませんし、他にも恩返しの方法はありますよ!」
メサイアを何とか思いとどまらせる為に必死に諌めようとしていた。
「フフ、私を助けに颯爽と現れてくれたリィン様に私自身心を奪われましたから、これは私の望みでもあるのですよ?ん…………」
「!!!???」
そしてメサイアに唇に口付けをされて混乱し
「……お恥ずかしながら今のが初めての口付けで、私はまだ”処女”で経験がなく、殿方にする奉仕はお母様から習っただけですので拙い所もあるかと思われますが、精一杯ご奉仕させてもらいますね、リィン様。ん……」
「ちょ、ちょっとそこは!?んむ!?」
メサイアはリィンの口を自分の唇で塞ぐと同時にリィンを押し倒してある行為を始めた。その後ある行為―――”性魔術”でリィンの使い魔になったメサイアはリィンの身体の中に入った。
「ううっ……エリゼとエリスにどう言い訳したらいいんだ……?」
メサイアが自分の身体に入って消えるとリィンは疲れた表情で頭を抱え
(うふふ、よろしくね、メサイア♪)
(ふふふ、ご主人様に仕える者同士、共にがんばりましょう。)
(はい、よろしくお願いします。)
リィンの身体の中では新たな使い魔の参入に残りの二人の使い魔達が歓迎していた。
そして翌日…………
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