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英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク

作者:sorano
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外伝~鉱夫達の救出~後篇

その後隠れている鉱夫達を全員見つけてエレベーター前に避難させたエステル達はリッジを救出する為に最後にリッジが目撃された魔獣の巣に向かった。



~マルガ鉱山~



エステル達が魔獣の巣に到着する少し前鉱夫達の護衛をしていた遊撃士―――リッジは満身創痍の状態で魔獣の大群に囲まれていた。

「うっ、うう……」

満身創痍でありながらも未だ戦意が衰えていないリッジは立ち上がって武器を構えようとしたが魔獣の攻撃によってふっ飛ばされた!

「ぐあっ……!う、ううう……」

「リッジさん!」

「大丈夫ですか!」

ふっ飛ばされてもなお戦闘を続行しようとしていたリッジの元にエステル達が駆けつけ、リッジを庇う陣形で武器を構えた。

「あ、あれ……エステルにヨシュア。な、なんで……こんな場所に……?」

「もちろん、助太刀に来たのよ。」

「後は僕達に任せてください。」

「そ、そうか……助かるよ……で、でも、気を付けて。敵は目の前だけじゃ……」

エステル達の登場に安堵したリッジはエステル達に警告をした後気絶して地面に跪いた。



「あら……?――!下がって!」

何かの気配に気づいたアーシアが警告してエステル達と共に下がると天井から巨大な甲殻型の魔獣が現れた!

「は、はわわっ!」

「な、なによアレ!」

「まあ、状況を考えるとあの魔獣達の親玉やろうな。」

「強さはA―――いやSランクの手配魔獣クラスと言った所か。」

巨大な魔獣の登場にティータは慌て、厳しい表情で声を上げたエステルの疑問にゼノは自身の推測を答え、レオニダスは魔獣の強さを推測し

「正体はともかく……歓迎されていないのは確かだね。」

ヨシュアは魔獣達を警戒しながら呟いた。

「!?」

「気を付けて、来るわ!」

そしてエステル達は魔獣達との戦闘を開始した!



「まずは雑魚を一掃した方がいいわね……!ゼノさん、頼める!?」

「任せとき!」

エステルの指示に頷いたゼノは6本のジャベリンを投擲して猟兵達の周囲に突き刺した後跳躍し

「どれにしよ?――――決めた!!」

ブレードライフルで怒涛の銃撃を放って魔獣達にダメージを与えると共に周囲に突き刺したジャベリンを誘爆させて更にダメージを与え

「まだまだ行くで……!これで終いや!――――ジェノサイドレイン!!」

最後に空中から突進して魔獣達の中心地にブレードの部分を突きさして大爆発を起こし、ゼノのSクラフトによって巨大な甲殻型の魔獣を除いた魔獣達は一掃された!

「………」

「おっと、危ないな。こいつでも喰らえや!」

Sクラフトを放ち終えたゼノは敵の反撃を後ろに跳躍して回避しながら毒が調合されてある閃光弾――――P(ポイズン)グレネードを投擲してダメージを与えた。



「せいっ!!」

「絶影!!」

「アクアレイザー!!」

「行け―――――インフィニティスパロー!!」

ゼノが下がるとエステル達はそれぞれ遠距離攻撃のクラフトで敵に追撃し

「うおぉぉぉぉ……吹き飛べぇっ!!」

「ほいっと!もひとつオマケや!!」

レオニダスはエステル達の攻撃に敵が翻弄されている間に敵に近づいてマシンガントレットを豪快に振るってダメージを与え、レオニダスに続くようにゼノはクラフト―――ストームレイドで追撃した。



「…………」

「キャッ!?」

「ッ!?」

「はうっ!?」

「クッ!?」

6人に攻撃された敵は反撃として岩石を放り投げてエステル達にダメージを与え

「………」

「グッ!?」

「ガッ!?」

ゼノとレオニダスには攻撃範囲内の敵達の足元から地震を起こしてダメージを与えるクラフト―――深遠よりの激震でダメージを与えた。

「今助けるわ―――それっ!!」

ダメージから立ち直ったアーシアはクラフト―――セイクリッドブレスで自分達の傷を回復し

「が、頑張って!!」

ティータはゼノとレオニダスの頭上に回復用の砲弾を放って二人の傷を回復した。



「助かったで~、ありがとな。―――さっきはようもやってくれたな。お返しや!」

口元に笑みを浮かべてティータに視線を向けたゼノは時限式で爆発する3本のジャベリンを投擲し、投擲されたジャベリンは敵の周囲に突き刺さり

「おぉぉぉぉ……!」

敵の周囲に投擲されたジャベリンが何なのかを瞬時に理解したヨシュアはクラフト―――魔眼で敵の足止めをした。するとその時ジャベリンに設定されていた時間が過ぎてジャベリンは爆発して敵にダメージを与えて敵を怯ませ

「オォォォォ………ダイナストスパイク!!」

その隙に敵に近づいたレオニダスは敵の体の一部にマシンガントレットを突き刺して爆発を起こし、その衝撃によって硬い甲殻は吹っ飛び、甲殻が吹っ飛んだ部分は傷口が出来た。

「ハァァァァァ……金剛撃!!」

「せいっ!!」

「そらっ!!」

「そこっ!!」

それを見たエステルとヨシュア、ゼノとアーシアはそれぞれ敵に詰め寄って傷口を集中攻撃して傷口を広げた。

「みんな、下がって!オーバルドライバー、出力最大!」

仲間達が攻撃している間に導力砲にエネルギーをチャージし終えたティータは仲間達に警告し、ティータの警告を聞いたエステル達は敵から離れた。

「エーテル―――カノン!!」

その瞬間ティータの導力砲から凄まじい導力エネルギーが解き放たれ、敵を飲み込んだ!

「…………!」

最大限に溜めこんだ導力エネルギーを解き放つティータのSクラフト―――エーテルカノンを受けた敵は大ダメージを受けたが未だに戦闘続行の様子でいた為、エステル達に反撃する為に溜めの構えで力を溜めていた。



「ふえっ!?ま、まだ倒せないの……!?」

「気を付けて!何か大技をするつもりよ!」

敵の行動を見たティータは驚き、アーシアは仲間達に警告した。

「―――ならば大技を放つ前に倒すだけだ!―――吹き飛べぇっ!!」

するとその時レオニダスはマシンガントレットを振るった事によって発生した凄まじい衝撃波を地面を走らせて敵に命中させて怯ませた後、その巨体に似合わない凄まじいスピードで突撃した!

「ここからが本番だ……ディザスター―――――アーム!!」

敵に突撃したレオニダスが敵にマシンガントレットを突き刺すと同時に大爆発が起こした!

「――――――!!??」

そしてダメージに耐えきれなかった敵は断末魔を上げて消滅した!



「や、やっつけた……!?」

「うん………どうにかね。」

「ほっ……や、やっと終わった~。」

「中々歯ごたえのある相手やったな。」

「フッ、ちょうどいい運動になったな。」

「もう魔獣の気配もない……ケリがついたみたいね。」

「そ、そうだ!リッジさんは!?」

魔獣達を撃破した事に仲間達が安堵している中リッジの容体が気になったエステルはリッジに視線を向けた。



「どうやら疲れて気を失ったみたいだね。」

「でも、早く町へ連れて帰らないと……」

「ん、そうだね。」

「では、鉱夫さんと合流して地上に戻りましょう。」

「ええ、行きましょう。」

導力停止現象に端を発したマルガ鉱山の危機はこうして無事に終結を迎えた。鉱夫達と無事を喜び合い、彼らを地上へと脱出させた後……リッジを町へと送り届けるため、事件の報告に向かう鉱山長と共に一路ロレントを目指すこととなった。



~遊撃士協会・ロレント支部~



「―――なるほど、そんな事が。一歩間違えばひどい結末を迎えていたかもしれないわね。」

エステル達からマルガ鉱山での出来事の報告を受けたアイナは安堵の表情で溜息を吐いた。

「ああ、俺達が助かったのはここにいる姉ちゃんたちのお陰さ。前に助けてもらったときは危なっかしく感じたもんだが……今日は落ち着き払ってて別人を見てるみたいだったぜ。」

「え?そ、そうかな……べ、別にそんなに変わってないと思うけど。」

鉱山長の評価を聞いたエステルは恥ずかしそうな表情で謙遜していた。

「謙遜するこたぁねえぞ。こいつぁ、俺が感じた本当の話なんだからな。」

「謙遜というか……エステルの場合、本当に気づいてなさそうだけど。」

「えへへ、そうかも。」

「ふふ、ありえるわね。」

「む、むう……ほめられてるハズなのに何だか嬉しくないわね。」

しかし仲間達の評価を聞いたエステルは不満気な表情をした。



「誰しも自分自身の変化には気づき難しいものよ。少しずつ、時間をかけて変化していくものだから。」

「ああ、俺は久々だったから気づいたのかも知れねぇな。ともかく、遊撃士として立派な働きっぷりだったぜ。」

「エステルにヨシュア……そしてアーシアとティータちゃんまで……本当によくやってくれたわね。私もギルドの一員としてあなたたちを誇りに思うわ。」

「うん、どういたしまして。」

「これからもよろしくお願いします。」

「えへへ……」

「フフ、私達は当然の事をしただけよ。」

「それと………そちらのお二方も”他の依頼”を請けている最中だというのにエステル達に協力して頂きありがとうございました。」

エステル達を称賛したアイナは真剣な表情でゼノとレオニダスを見つめて感謝の言葉を送った。

「俺達のことは別に気にせんでええで。今回の件に対する”報酬”は既に依頼人から支払ってもらっているしな。むしろ良い運動にもなって、ちょうどよかったわ。」

「……俺達もお前達同様”プロ”としての仕事をこなしたまでだ。」

アイナの感謝の言葉に対してゼノは軽い調子で答え、レオニダスは静かな表情で答えた。



「さてと、まだきちんと礼もしてないのに悪いが……そろそろ鉱山の方に戻らせてもらうとするぜ。事故があった後とは言え、一応は操業を続けてるんでな。」

「あれ、そうなんだ。」

「ああ、上層の坑道でも十分仕事はできるからな。警備に来てくれた兄ちゃんによろしく言っておいてくれよ。あいつ、大丈夫だったのか?ひどくやられてたようだが……」

「ええ、あちこち痛めてるけど遊撃士にとってはかすり傷よ。もう意識を取り戻して今はホテルで休んでいるわ。」

「そうか……それなら一安心だな。そいじゃあ、これで失敬するぞ。まったく今日は助かったぜ。」

「親方さんも気を付けてね。」

「お仕事頑張ってください。」

「おう、またな。」

「――――さてと。俺達もお暇させてもらうで。”本来の仕事”はまだ続いているしな。」

鉱山長がギルドから出るとゼノもレオニダスと共にギルドから出ようとした。



「……”本来の仕事”―――レナさんの護衛ね。カシウスさんのご家族であるレナさんが”結社”に狙われる事は十分に考えられるから、今の状況で貴方達程の手練れがレナさんを護衛してくれることは正直ありがたいけど……ギルドとしてはできれば、最後まで護衛の際に発生する戦闘で民間人を巻き込んだりせずに仕事を終えて欲しいものね。」

ゼノの言葉を聞いたアイナは真剣な表情でゼノとレオニダスを見つめて呟き

「ま、そっちが心配しなくても”今回の依頼に限っては”可能な限りそっちの要望に沿ったやり方で護衛対象を守れってことやから、護衛の時に発生する戦闘の時も可能な限りは故意に民間人を巻き込んだりせんように配慮するつもりやで?しかも幸いにも俺達の護衛対象が住んでいる場所は街の郊外やから、護衛対象が街を訪れている間に狙われん限りは戦闘に民間人を巻き込む事はないと思うで。」

「……依頼人からのオーダーである事もそうだが、こちらとしても無闇に軍やギルドとやり合うような余計な手間をかけたくないと言うのが本音だ。”依頼”を請けたプロとして……そして大陸最強を誇る片割れの猟兵団に所属する猟兵として、依頼人のオーダーに応じるという当たり前の事をするのは当然の事だ。」

「……それを聞いて安心したわ。今回の件に対するせめてもの感謝の印として、王国軍の貴方達に対する対応の情報を提供するわ。」

ゼノとレオニダスの話を聞いて安堵の表情で溜息を吐いたアイナは真剣な表情で二人を見つめた。

「ほう~?せっかくやし、聞かせてもらおうか。」

「……レナさんを護衛する際に故意に民間人を巻き込んだりなどはしない限り、例え貴方達を見つけても静観――――つまり、見て見ぬフリをするそうよ。勿論レナさんの護衛の依頼を終えた貴方達が帰国する際も事情聴取等で足止めするつもりもないとの事よ。」

「ハハ、それはええ事を聞いたな。つー事はギルドや軍の目を気にせずに護衛に集中できるし、帰りは変装とかせずに飛行船を使って堂々と帰れるな。」

「情報提供、感謝する。それでは俺達はこれで失礼させてもらう。」

「あ、待って!」

二人がギルドから出ようとするとエステルが呼び止めた。



「ん?まだ何かあるんか?」

「えっと………鉱山の人達やリッジさんを助ける時に手伝ってくれた事もそうだけど、お母さんを”結社”から守ってくれて本当にありがとう!お母さんを守ってくれているもう一人の猟兵の人にもあたしが感謝していたって事を伝えてね!」

二人を呼び止めたエステルは頭を下げて二人に感謝の言葉を送った。

「「………………」」

エステルの行動に二人は一瞬固まったが

「クク………ハハハハハハハッ!嬢ちゃん、遊撃士やのに猟兵の俺達に感謝するなんて変わっているな?」

「俺達は依頼を遂行しているだけだ。感謝されるような事はしていないぞ。」

ゼノは腹を抱えて大声で笑った後口元に笑みを浮かべているレオニダスと共にエステルを見つめた。

「それでもよ。例え貴方達は仕事をしているだけのつもりでも、あたし達は貴方達のお陰で凄く助かっているんだから貴方達に感謝するのが人として当然の事でしょう?」

(フッ、”剣聖”の娘だけあって、普通の者達とは逸脱した考え方をしているのか、それとも天然で言っているのか、どちらだろうな?)

「(多分、あれは天然で言っているんやで。)―――ま、遊撃士に感謝されるなんて珍しい事はないし、嬢ちゃんの感謝は遠慮なく受け取って、ウチの姫にも嬢ちゃんが感謝していた事を伝えておくわ。そんじゃ、またな~。」

「次に会う形がどんな形であれ、お前達と再びあいまみえる日が来る事を楽しみにしているぞ。」

そして二人はギルドから出て行った。



「行っちゃった……大陸最強の猟兵団に所属している猟兵だからどんな人達かと思っていたけど、”結社”の猟兵達と比べると、何か普通の人達だったわよね?」

「う、うん。”猟兵”って怖い人達ばかりだと思っていたけど、二人とも気さくで、協力的な人達だったよね?」

「まあ、強化プログラムで育成された”結社”の猟兵達を例えにするのはどうかと思うけど、恐らく彼らのような猟兵が”一流の猟兵”なんだろうね。」

「いかに引き受けた仕事をスムーズにこなすかを考え、”報酬”を支払って貰えるのなら例え宿敵である遊撃士とも共闘する………それを理解した上で、レンちゃんは”結社”に対する”切り札”として”一流の猟兵”である彼らを雇ったのでしょうね。」

ゼノとレオニダスの印象についての感想を言い合っているエステルとティータにヨシュアとアーシアは静かな表情で自身の推測を答えた。

「それ以前に遊撃士が猟兵を雇う事自体が色々と間違っているわよ………とにかく、これで一件落着ね。リッジもあなたたちも、今回はよく働いてくれたわ。これからもその調子で活躍を続けてちょうだい。」

「はい!」

「それと今回のことは既に査定をしてあるわ。支払を受けたいときは改めて報告してね。」

「うん!了解よ。」

そしてエステル達もギルドから出ようとしたその時、通信器が鳴り始めた。



「あら……こちら遊撃士協会、ロレント支部ですが……ああ!そちらも直ったんですね。ええ、こちらも先程直してもらったばかりです。……彼女達ですか?ええ、ちょうど目の前に……」

(あたし達……?)

(どうやら話がありそうだね。)

アイナの通信を聞いたエステル達は自分達に関係があると思い、ギルドを出るのを止めて受付に近づいて通信が終わるのを待っていた。

「……はい……はい。……………わかりました。本人たちに伝えておきますね。こちらも状況については後程折り返して連絡します。……そうですね。お互い頑張りましょう。」

「アイナ、どこからの連絡だったのかしら?」

「王都支部のエルナンさんからよ。何でも、アリシア女王陛下があなた達に話があるみたいでね。グランセルに寄ったら王城を訪ねて欲しいとの伝言よ。」

「女王様が!?」

アーシアの疑問に答えたアイナの話を聞いたエステルは驚きの表情で声を上げた。



「それは驚きね……一体何の話かしら?」

「通信では伝えにくいこと……そっか、導力通信だと傍受される危険があるから……」

「どうやら機密性の高い話があるみたいだね。」

「ただ、今すぐ来てほしいという訳ではないらしいの。王都に寄る事があったらでいいそうよ。」

「そっか……わかったわよ。」

「折を見て訪ねてみるわね。」

その後ロレントでする事を終えたエステルとヨシュアは同行メンバーにバダック、フレン、アガット、アーシアを選んで王都に向かった。 
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