Blue Rose
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第八話 安息日にその十
「もう閉園だから」
「ここを出てだね」
「何が食べたいの?」
「それは」
そう言われてもだった、今の優花は。
優子に言われた自分の真実に驚愕していた、それもあまりにも。
だからだ、こう言うしかなかった。
「何も」
「考えられないのね」
「どうしても」
「食欲もないかしら」
「うん」
力なく頷いての返事だった。
「突然言われてね」
「そうよね、けれどね」
「それでもだよね」
「こうした時でも食べないとね」
「いけないんだね」
「人間食べてこそよ」
それからだというのだ。
「何かが出来るから」
「だからだね」
「まずは食べましょう」
それからというのだ。
「帰りにね」
「とは言われても」
「優花は考えられないわね」
「とてもね」
「だったらよ」
それならとだ、優子は微笑んで弟に言った。
「姉さんが選ぶわね」
「うん、それじゃあ」
「まずは帰りましょう」
「それじゃあ」
優花は姉の言葉に頷いてだ、そしてだった。
何も考えられない状況のままだが今は青い薔薇の前を去った、これが全てのはじまりだったが受け入れらるものではなかった。
第八話 完
2016・2・7
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