女子高生!?
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4部分:第四章
第四章
「しているのよ。中学からずっとね」
「そうだったんですか」
「それでももう三年だから」
一応はそういうことにしている。流石に一年という設定は無理があるとわかっていた。だがそれでも相当年齢をサバ読みしているのは確かだった。
「もうすぐ引退ね」
「あとは受験勉強ですね」
「いえ、私は就職するつもりよ」
「私も」
ここではリアルの自分達に合わせた。
「就職するつもりなの」
「OLになるつもりよ」
「そうですか、OLさんですか」
「君達はどうなの?」
自分達のことは隠して二人に問う洋子だった。
「就職するつもりかしら、やっぱり」
「いえ、僕達は」
「その」
何故かここで目を少しだけ泳がせる二人だった。しかし洋子も倫子もその泳がせたことにも気付かないのだった。自分達の芝居と食べ物と話に集中していたからだ。
「まあ大学に行こうかなって」
「思ってるんですけれど」
「ふうん、そうなの」
洋子が二人の言葉を聞いて頷いた。
「それもいいわよね」
「そうね。私達は大学って知らないけれど」
倫子も相槌を打つ。
「楽しいらしいわね」
「楽しいですよ」
何故か切れ長の目の子はそれを知っているようだった。
「やっぱり行ってよかったって思える位に」
「そうなの」
「やっぱり」
二人はそれを聞いて納得した。だが納得するだけで今の言葉が持っている重要な意味には気付いていなかった。これもまた迂闊だった。
「まあ今も充分楽しいし」
「そうよね」
二人もまたポロリとやっていたがやはり気付かない。それよりも話とハンバーガーだった。
「ところでさ」
「はい」
洋子の言葉に丸い目の子が応える。
「これから何するの?」
「何っていいますと」
「だから。デートよ」
にこりと笑って言ってみせる。
「デートはただマクドナルドでは終わらないでしょ」
「そうですよね、確かに」
「だから。何処に行くの?」
「私達は何処でもいいけれど」
倫子は少し戸惑いながら洋子に合わせた。
「何処に行くのかしら」
「エスコートしてくれるかしら」
「おい、じゃあ」
「あそこか?」
二人の高校生達は洋子達の言葉を受けて顔を見合わせる。そのうえでまた話をしていた。どうやらあそことは二人がよく知っている場所のようだ。
「あそこがいいだろ、やっぱり」
「じゃあそうするか」
「ああ」
とりあえず二人の中では話は決まったようだった。それからまた洋子と倫子に顔を向ける。それから言葉を切り出すようにして言ってきた。
「それでですね」
「何処かしら」
「ここから少し行った場所に映画館がありまして」
「そこへどうでしょうか」
「映画館ね」
「はい」
切れ長の目の子が倫子の言葉に必死な顔で頷く。
「丁度ほら、あの魔法の映画がやっていて」
「それで」
「ああ、あれね」
話題のイギリス映画だ。倫子も好きで映画も原作の小説も全て見ている。だが彼女だけではないのでもう一人にも声をかけたのだ。
「洋子はそれでいいの?」
「勿論よ」
また顔をくしゃりとさせていた。やはり女子高生の制服には似合わない感じだがどうにもこうにも気付かれてはいないようである。これが倫子にとっては不思議だが。
「じゃあそこでね」
「は、はい」
「御願いします」
こうして四人は映画館に行くことになった。しかしまだ一つやるべきことがあった。
「話は決まったけれど」
「何でしょうか」
「一つやることがあるわね」
洋子が言うのだった。
「やることって?」
「まだ随分残ってるじゃない」
テーブルの上のマックシェークやチキンナゲットを見ての言葉だった。
「全部食べてから行きましょう」
「あっ、そうね」
それに倫子が頷く。
「食べ残しはいけないものね」
「そうよ。何でも残さずよく食べる」
やはりその顔をくしゃりとさせての言葉だった。
「そういうことよ」
「そうね。それじゃあ頑張って」
「わかりました」
「じゃあ僕達も」
二人の高校生達も洋子の言葉に頷く。こうしてまずは食べ物を全部食べてそれから映画館となった。その映画館において。まずはチケットを買うことになった。
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