英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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第35話
街道に出たリィン達は目では確認できないくらい、バリアハート市から離れた。
~北クロイツェン街道~
「……今の所、追手の気配はありませんわ。どうやら撒いたようですわね。」
「……うん。何とか引き離せたみたいだ。エステル、一端休憩した方がいいんじゃないかい?」
バリアハート方面を見つめて呟いたフェミリンスとヨシュアはエステルに視線を向け
「そうね、リィン君達も疲れているようだし。」
エステルは頷いた後疲労している様子のリィン達に視線を向けた。
「みんな、一端ここで休憩だよ~!」
ミントはリィン達を見つめて言った。
「はあっ……はあっ……や、やっと……休憩か……」
「ぜいっ……ぜいっ………た、助かった…………」
「ハア……ハア……もう、追ってこないとは……だらしのない奴等だ………………」
リィンとマキアスは疲労によって息を切らせ、ユーシスも疲労した様子でバリアハート方面を見つめて領邦軍が追ってこない事を確認して口元に笑みを浮かべ
「み、みなさん、大丈夫ですか!?」
リィン達の様子を見たエマは慌てた様子でサエラブから降りてリィン達を心配した。
「全く、男のくせにだらしのない奴等だな。この程度の距離を走ったくらいで疲れるとは。」
「メ、メティサーナさん。」
「空を飛んで楽に移動していた奴にだけは言われる筋合いはないぞ!」
「同感だ!」
呆れた表情で指摘したメティサーナの言葉を聞いたツーヤは冷や汗をかき、ユーシスはメティサーナを睨んで指摘し、ユーシスの指摘を聞いたマキアスは頷いてユーシスと共にメティサーナを睨み
(……おい。いい加減に降りろ。)
「えー、どうせならこのまま最後まで乗せて行ってよ。」
サエラブの念話を聞いたフィーは静かな口調で答えた。
「我儘を言ってはいけませんよ、フィーちゃん。ここまで乗せてもらえただけでも、ありがたいのですから。」
「……はーい。」
エマの言葉にフィーは不満そうな表情で答えてサエラブから降り
「ご苦労様、永恒!一端戻って!」
エステルの指示によってサエラブはエステルの身体の中に戻った。
「男連中は中々見所があるわね!あれだけの距離を走り切ったんだから。」
「ハハ……どうも。」
「武術訓練であれだけ走らせられたら、嫌でも体力がつきますよ……」
「むしろツーヤやお前達の方がおかしいぞ。俺達と同じ距離を走りながら領邦軍との戦闘もこなした癖に、何故疲れていない?」
エステルに感心されたリィンは苦笑し、マキアスは疲れた表情で溜息を吐き、ユーシスは呆れた表情でツーヤたちに視線を向けた。
「ま、君達と比べるとあたしやツーヤ達は潜り抜けた修羅場の数が圧倒的に違うから仕方ないわよ。」
「まあ、好きで修羅場を何度も経験した訳じゃないんですけどね……」
「何度か、本当に死ぬかと思うぐらいの経験もあったもんね~。」
ユーシスの指摘に答えたエステルの話を聞いたツーヤとミントは苦笑し
(ど、どんな経験をしたのでしょうね……?)
(ちょっと気になる。)
エマは表情を引き攣らせ、フィーは興味ありげな表情でエステル達を見つめた。
「みんな、お疲れ様。ここまで走って喉も渇いているだろうから、よかったらどうぞ。」
その時ヨシュアが荷物から5本の何かの飲み物を取り出してリィン達に配り
「あ、ありがとうございます。ここまで全力で走って来て喉もカラカラでしたし……」
「ありがたく頂きます。」
「……礼は言っておこう。」
「ありがとうございます。」
「ありがと。」
ヨシュアに飲み物を配られたリィン達はそれぞれお礼を言って、瓶の口を蓋をあけて一気のみをした。
「んく………んく……プハ~……ご馳走様です。」
「凄く美味しかったです。何だか一気に疲れが吹き飛んだ気分ですよ。」
「おかわりはないの?」
飲み薬を呑み終えたリィンはお礼を言い、マキアスは口元に笑みを浮かべて自分が飲んだ飲み物が入った瓶を見つめ、フィーは興味ありげな表情で尋ね
「蜂蜜水でしょうか……?」
「……蜂蜜水にしては甘さも絶妙で、喉ごしも悪くなく、至高の一品と言ってもおかしくない飲み物だ。一体どこでこれ程の物を手に入れた?」
エマは興味ありげな表情で瓶を見つめ、ユーシスはエステル達に尋ねた。
「その飲み物は”ユイチリ族”の蜜が混ざっている飲み物でメンフィル領となった事でユイドラ地方からも入荷できるようになったお蔭で、入荷したケルディックの”大市”の商人さんの一人が入荷した飲み物だから、ケルディックに行けば売っているわよ。」
「でも毎回の入荷数はそんなにないから、売り出した日は一人一本限定で売り切れが毎回起こっているらしいけどね。」
「天使であるメティも並んで購入してやったんだから、ありがたく思え!」
「それを言うなら”女神”である私もなのですが……」
エステルとミントの説明に続くように胸を張って答えたメティサーナの話を聞いたフェミリンスは呆れた表情で指摘した。
「へ……」
「あ、あの。今そちらの女性から信じられない言葉が聞こえてきたのですが。」
「”女神”って言ってたね。」
フェミリンスの言葉を聞いたマキアスは呆け、エマは信じられない表情で、目を丸くしているフィーと共にフェミリンスを見つめた。
「―――まさか。どこかで聞き覚えのある名前だと思っていたけど……貴女がメンフィル帝国に伝わる伝承で出てくるあの”姫神フェミリンス”なんですか!?」
その時ある事に気付いたリィンが目を見開いてフェミリンスを見つめて声を上げ
(ああ、思い出したわ……聞き覚えのある名前だと思っていたけど”姫神フェミリンス”の事だったのね……って、どうして女神が人間達と一緒に行動しているのよ!?しかもあの”姫神”が!)
リィンの言葉を聞いたベルフェゴールは頷いた後信じられない表情でフェミリンスを見つめ
「リィンさん?」
「何か知っているのか?」
リィンの様子を不思議に思ったエマは首を傾げ、ユーシスが尋ねた。
「ああ――――」
そしてリィンはエマ達に自分が知る限りの”姫神フェミリンス”の伝承を説明した。
「な、なななななっ!?という事はそちらの女性―――フェミリンスさんは異世界の女神なのか!?」
「あ、ありえん!一体何故それ程の存在が唯の人間である”ブレイサーロード”達と共にいるのだ!?」
「女神まで味方にしているなんて、”ブレイサーロード”って、非常識すぎ。」
「………………」
説明を聞き終えたマキアスは混乱し、ユーシスは目を見開いてフェミリンスを見つめ、フィーは呆れた表情で呟き、エマは信じられない表情で絶句してフェミリンスを見つめた。
「言って置くがエステルは”唯の人間”じゃないぞ。」
「なっ!?」
「ええっ!?」
メティサーナの話を聞いたリィンとエマは驚き
「メティったら、しっつれいね~。これでも”唯の人間”よ!」
エステルは頬を膨らませてメティサーナを睨んだ。
「えっと……それ、本気で言ってるんですか、エステルさん。」
「今の君の状態を考えるとどう考えても”唯の人間”の枠に当てはまらないと思うのだけど……」
「同感ですわ。アストライアの魂をその身に宿し、アストライアの神剣を扱える者が”唯の人間”という枠に入る訳がありませんわ。」
「ア、アハハ………ティオちゃんやシェラお姉さん達もママの事、”人外”って言ってるもんね……」
エステルの言葉を聞いたツーヤは表情を引き攣らせ、ヨシュアとフェミリンスは呆れた表情で指摘し、二人の指摘を聞いたミントは苦笑し
(アストライアって………まさか”古神アストライア”の事!?”古神アストライア”の魂が人間に宿っていたり、アストライアの神剣を扱えるとかい、一体どうなっているのよ!?)
ある人物の名前を聞いたベルフェゴールは混乱した様子でエステルを見つめ
「ツーヤ達まで、酷いわね~。あたしは正真正銘、”唯の人間”よ!」
エステルは頬を膨らませてツーヤ達を睨み、次々ととんでもない発言を口にするエステル達の会話を聞いていたリィン達は全員冷や汗をかいた。
(い、一体何者なんだ、エステルさん達って!?)
(エステルさん達って、もしかして遊撃士の中でもかなり特別な存在の方達なのではないでしょうか……?)
(間違いなくそうだろうね。)
(奴等だけでも軍隊とも渡り合えるような気がしてきたぞ……)
「(ハ、ハハ……)えっと、体力も回復してきたし、このまま一気にケルディックに向かいましょうか。」
小声でそれぞれ会話するマキアス達の様子に苦笑したリィンは提案し
「そうね。グズグズしていたら追手が来るかもしれないし、行きましょうか!」
リィンの提案にエステルは頷いた。その後リィン達はケルディック方面に早足で向かい、”ケルディック要塞”が遠目で見えるほどの位置まで近づいた。
「あ……!あの建造物は……!」
「メンフィルの”ケルディック要塞”……!助かった……!これで何とかトリスタに帰れるな……」
遠目で見える建造物を見たエマとマキアスは明るい表情をし
「ああ。後はメンフィル兵達が俺達をケルディックに通してくれるかだが……その点も心配は無用なのだろう?」
「ええ。あたしが皆さんの事を証明しますから、大丈夫です。」
ユーシスに視線を向けられたツーヤは頷いた。するとその時何かが地面を走る音が聞こえてきた。
「?何だこの音は。」
音を聞いたユーシスは眉を顰め
「!まさか………!」
「やっぱり、まだ諦めていないようだよ。」
リィンは血相を変え、フィーは警戒の表情で音が聞こえてくる方向を睨んだ。
「へ――――」
フィーの言葉を聞いたマキアスが呆けたその時、バリアハート方面から”アハツェン”や装甲車の軍団が近づいてきていた!
「なあっ!?」
「そんな……ここまで来たのに……!」
領邦軍の軍団を見たマキアスは驚き、エマは不安そうな表情をし
「とにかく追いつかれる前に走って!」
エステルの指示によってリィン達は再び走り始めたが、戦車や装甲車のスピードには敵わず、瞬く間に包囲された!
「くっ……ここまでなのか……!?」
包囲された事にマキアスが唇を噛みしめたその時、隊長が姿を現してリィン達を睨んだ。
「貴様ら……よくもふざけた真似を……レーグニッツだけでなく、全員で捕まりたいらしいな!?」
「ああ……捕まえてもらおうか。」
隊長が声を上げたその時、ユーシスが前に出て隊長を睨んだ。
「ユ、ユーシス様!?どうしてレーグニッツ達の脱走行動に協力していらっしゃるのですか!?」
ユーシスの登場に驚いた隊長は信じられない表情で尋ね
「フン、実習を再開しただけだ。―――それよりも、どうする?こいつらを逮捕するならば、俺も同罪という事になるが……」
ユーシスは鼻を鳴らして答え、目を細めて領邦軍の兵士達を見回した。
「……そ、それは……」
「さすがに若様に銃口を向けるわけには……」
アルバレア公爵家の次男に危害を加えるという事に兵士達は戸惑ったが
「ええい、狼狽えるな!いくらユーシス様でも軍事施設への無断侵入は許されるものではありません!ましてや公爵閣下の命に背き、勝手に容疑者を逃がすなど――――」
隊長が一喝し、ユーシスを睨んで何かを言いかけたが
「―――いい加減にしろ。」
静かな怒りを纏ったユーシスの言葉に驚いて黙り込んだ。
「そりが合わないとはいえ、同じクラスで学ぶ仲間――――その者があらぬ容疑を掛けられ、政争の道具に使われるなど……このユーシス・アルバレア、見過ごせると思ったか!?」
「……っ……」
「ユ、ユーシス様……」
領邦軍を睨んで怒鳴ったユーシスの決意に兵士達は驚き
「……………」
マキアスは呆けた表情でユーシスを見つめ
「……ユーシス。」
「よく言ったわ!」
「ええ。貴方のような誇り高き者こそ、”真の貴族”ですわ。」
リィンは口元に笑みを浮かべてユーシスを見つめ、エステルとフェミリンスは感心していた。
「くっ、何を言われようと我らにも使命がありまする!お前達、こうなったらユーシス様ごと武装解除をしろ!」
「ハッ!」
そして隊長の指示によって兵士達がリィン達を包囲して攻撃しようとしたその時!
「そうはさせないわよ!――――先制攻撃よ、永恒!」
(承知!―――空牙!!)
「ががっ!?」
「ぐあっ!?」
エステルの指示によって召喚されたサエラブが神速で兵士達に次々と襲い掛かって、怯ませ
「クーちゃん、尻尾で周囲の兵士達を薙ぎ払って!」
「クー!!」
「ぐあっ!?」
「なっ!?がっ!?」
「り、竜!?ぎゃあっ!?」
更に続けて召喚された”白水竜”クーが尻尾を振るって周囲の兵士達を吹っ飛ばした!
「な、ななななななっ!?」
突然の出来事に隊長は混乱し
「り、竜……!?」
エマは信じられない表情でクーを見つめた。
「―――パズモ、テトリ、ニル、カファルー!出番よ!」
そしてエステルは風の最上位精霊―――”ルファニー”族のパズモ・メネシス、木の妖精族の最上位妖精―――”ニルユイチリ”族のテトリ、”第四位”を冠する天使―――”主天使”のニル・デュナミス、炎を纏いし巨大な獣―――”魔神”カファルーを自分の傍に召喚した!
「ようやく私達の出番ね!」
「が、頑張ります!」
「グオオオオオ――――ッ!!」
召喚されたパズモ達はそれぞれ戦いの構えで周囲の兵士達を睨み
「天使として、身分に囚われた愚かな人間達に裁きの鉄槌を与えてやるわよ、メティサーナ!」
「はい!我ら誇り高き天使の力、存分に見せつけてやりましょう、ニル様!」
ニルの言葉にメティサーナは力強く頷いて大鎌を構えた!
「こ、これは……」
「な、ななななななっ!?」
「………………」
「”ブレイサーロード”を守護する6人の異種族の”守護者”達―――”六異将”が勢揃いだね。」
「ま、まさかこの方達全員がエステルさんに従っているのですか……!?」
召喚されたパズモ達を見たリィンは驚き、マキアスは混乱し、ユーシスは口をパクパクして絶句し、フィーは静かに呟き、エマは信じられない表情をし
「正確に言えば”従う”ではなく”協力”です。皆さん、様々な経緯によりエステルさんに協力して下さっているんです。」
「そして私もエステルの”光”に導かれ、他の異種族達のように、その娘を見守る事を決めた者の一人。」
エマの言葉にツーヤは答え、ツーヤに続くようにフェミリンスも静かな表情で答えた。
「ええっ!?という事は……!」
「”女神”自らがたった一人の人間に協力しているというのか!?」
(……………………う、嘘でしょう!?あの”姫神”が人間と契約しているなんて……!)
フェミリンスの答えを聞いたリィンは驚き、ユーシスは信じられない表情で声を上げ、ベルフェゴールは口をパクパクした後信じられない表情でフェミリンスを見つめていた。
「みんな、ママの人徳のお蔭だよ!……あれ?でもみんな”人”じゃないから、なんて言えばいいのかな??」
「ミント、今はそんな事を気にしている場合じゃないから。」
嬉しそうな表情で言った後首を傾げたミントの様子を見たヨシュアは呆れた表情で指摘し
「さ~てと。これ程の数を相手にするなんて久しぶりね!―――リィン君!」
エステルは意気揚々と”姫神フェミリンス”の加護が宿る棒―――”ラクスフェミリンス”を構えてリィンに視線を向けた。
「は、はい!何でしょうか!?」
「あたし達はここで大暴れして何とかケルディック要塞までの道を作るから、君達はその隙にケルディック要塞に逃げて!」
「ケルディック要塞にさえ辿り着けば領邦軍も手出しできないはずだ!それまでは何とか頑張って耐えてくれ!」
「そ、それは…………」
エステルとヨシュアの指示を聞いたリィンは戸惑った後エマ達を見回した。するとエマ達は全員互いの顔を見合わせた後決意の表情で頷き
「―――いえ。俺達も戦います!―――今こそ、力を貸してくれ!ベルフェゴール!」
「フフ、この程度の数、私一人でも充分だから安心しなさい♪」
「エステルさん達の援護をする事ぐらいならやれます……!」
「ん。それに久しぶりに”本気”を出すのにちょうどいいしね。」
「元はと言えば僕のせいでこうなってしまったのですから、当然僕も戦います!」
「共に戦う仲間を見捨て、自分は背を向けて逃げるような”貴族の義務”に反する愚かな真似は絶対にせん!」
それぞれ決意の表情で戦いの意思を伝え
「フフ、どうやら皆さん、やる気のようですよ、エステルさん?」
リィン達の決意を微笑みながら見ていたツーヤはエステルに視線を向けた。
「みんな、いい度胸じゃない!正直、驚いたわ!そんな度胸を見せてくれるみんなを絶対に誰一人欠けずにケルディックに送り届ける為にも、あたしも本気を出さないとね!―――サティアさん、みんなを守る為に力を貸して!ハアッ!!」
「―――”姫神フェミリンス”。女神として誇り高き魂を示してくれた若き戦士達の為にこの力……存分に振るいましょう!」
リィン達の答えを嬉しそうな表情で見つめていたエステルは己の身体に宿る”正義の大女神アストライア”の魂に呼びかけ、エステルの呼びかけに応えるかのようにエステルの全身から膨大な神気や霊圧がさらけ出されると共にエステルの髪の色が夕焼けのような赤色に、瞳は青色に変わり、変貌したエステルの髪の色と同じ夕焼け色の髪と青色の瞳をしている美しい容姿をしている女性の幻影が優しげな微笑みを浮かべてエステルの背後に現れ、フェミリンスはエステルと共に膨大な神気と霊圧をさらけ出した。更に自然が二人がさらけ出す神気や霊圧を恐れるかのように地鳴りが起こると共に風が吹き始め、天候は晴れから曇りになった!
「な、なななななななななっ!?何なんだ、貴様らは!?」
「ヒッ……!」
「ば、化物……!」
変貌したエステルとフェミリンスがさらけ出す神気や霊圧に気圧された隊長は混乱し、兵士達は悲鳴を上げて恐怖の表情でエステルとフェミリンスを見つめ
「なんて霊圧……!」
「フフ、まさかこの私が女神や天使と共闘する日が来るとはねぇ……さすがご主人様ね♪」
「いや、そこで俺に感心されても困るんだが。」
二人からさらけ出されている霊圧と神気にエマは驚き、ベルフェゴールは口元に笑みを浮かべ、ベルフェゴールの言葉を聞いたリィンは呆れた表情で指摘した。
「き、貴様ら何者だ!?士官学院の生徒達ではないな!?」
一方すぐに気を取り直した隊長はエステルを睨んで声を上げ
「―――遊撃士協会・ケルディック支部所属―――エステル・ファラ・サウリン・ブライトよ!協会の条約により、”民間人”である士官学院の生徒達を守る為に、貴方達を今から全員ブッ飛ばすから覚悟しなさい!」
「ゆ、遊撃士!?」
「し、しかもあの”ブレイサーロード”だと!?」
「な、なんでそんな連中がユーシス様達の味方をしているんだ!?」
エステルが名乗ると兵士達は驚き
「おのれ……成り上がり風情の遊撃士如きが……!このバリアハートで好き勝手はさせんぞ!全軍、かかれ――――――ッ!」
隊長は怒り心頭の様子で身体を震わせた後指示をした。
「それじゃあ、みんな……行くわよっ!!」
「おおっ!!」
そしてエステルの号令を合図にリィン達は戦闘を開始した!
今ここに!”空の女神”の一族にゼムリアの”英雄”の一族―――”ブライト”家との共闘が始まった……!
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