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究極変態スナイパーブリーフ13

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1部分:第一章


第一章

                究極変態スナイパーブリーフ13
 その日夜の街は物音一つなかった。静けさが辺りを支配していた。
 アスファルトの道を行き交う人も消え車も通らない。そうした静寂の中で二人の男がいた。彼等は公園のベンチに並んで座りそのうえで話をしていた。
「それで依頼ですが」
「うむ」
 年配の男が若い男の言葉に応えていた。
「あの男でいいのですよね」
「あの男しかいない」
 年配の男は強い言葉で答えるのだった。
「あの男しかな」
「ですが長官」
 若い男の言葉がここでくぐもり怪訝なものになった。
「あの男はあまりに危険です」
「危険だというのか」
「そうです。仕事は確かに確実にこなします」
 若い男もそれは認めているようである。
「ですがそれでも」
「既にスイス銀行に金は振り込んだ」
 だが長官と呼ばれた年配の男はこう返すのだった。
「既にな」
「ではもう」
「そうだ。賽は投げられた」
 彼は今この言葉を出したのだった。
「既にな。最早後戻りはできない」
「そうなのですか」
「先に進むしかないのだ」
 そしてこうも言うのだった。
「我々はな」
「それは確かに」
 若い男はここでまた納得するように述べた。しかしその顔も声も実に苦々しいものだった。夜の街の電灯の灯りの中でその顔が映し出される。
「その通りですが。あの者達は何としても消さなければなりません」
「国際的麻薬シンジケート」
 年配の男の言葉に緊張が走った。
「それを壊滅させる為にな」
「その通りですね。今その領袖達がこの日本に来ています」
 つまり彼等は日本の責任者達ということらしい。よく見ればその顔はアジア系のものであり髪や目の色も黒い。話している言葉は日本語である。
「ここで彼等を全て消せば」
「頭のなくなった組織なぞどうということはない」
 年配の男はまた言った。
「そうなればだ。後はだ」
「はい、我が国の警察力を総動員して国内の系列を全て叩き」
 年配の男の言葉がここでようやく弾んだものになるのだった。
「それを国際的に広めて」
「それで終わりだ。しかしその為にはまずだ」
「頭を潰す必要があるということですね」
「だからこそ『彼』の力が必要なのだ」
 年配の男は視線を少し上にさせて語った。
「今回はな」
「毒を以って毒を制するということですか」
「毒か」
 年配の男はまた若い男の言葉に反応を見せるのだった。そうしてそのうえでまた語るのであった。低い男の渋味というものを感じさせる声で。
「毒を使うのも政治の世界の基本だ」
「それはわかっていますが」
「毒に捉われるのは駄目だが使わなくてはならない」
 そしてこうも言うのだった。
「必要に応じてな」
「『彼』を使うこともですか」
「君の言いたいことはわかる」
 年配の男はそれは認めた。
「それはな」
「左様ですか」
「あの男とは既に何回か会っている」
 年配の男もここで言葉を曇らせるのだった。
「確かに仕事は確実にこなしてくれる。しかしだ」
「そうです。あまりにも危険です」
「毒は毒でも猛毒だ」
 年配の男の言葉は曇りから完全に否定するものになった。
「だが。今は猛毒を使わなければならない時なのだよ」
「必要だからですね」
「その通りだ。さて」
 年配の男はここで自分の左手の腕時計を見て声をあげるのだった。
「もう一時だ」
「あっ、もうですか」
「思ったより時間が経つのが早いな」
「そうですね」
 若い男は今度は素直に相手の言葉に頷くのだった。
「普通待つ時間は長く感じるものですが」
「話をしていたせいか。さて、彼の来る時間だが」
「はい」
「一つ忠告しておく」
 年配の男の言葉がここでまた鋭いものになった。
「彼と話す時は余計なことは言わないことだ」
「決してですね」
「彼は自分を詮索されることを極端に嫌う」
 まずはこのことを注意するのだった。
「そしてだ。決して後ろには立つな」
「後ろにはですか」
「最後にその姿について言わないことだ」
 最後はこれであった。
「最後が一番大事だ」
「それがですか」
「そうだ、決して言うな」
 言葉は命令になっていた。
「決してな。いいな」
「はい、わかりました」
 また年配の男の言葉に頷く。そうしてそのうえでその相手を待っていた。すると急に目の前に人影が現われたのだった。
「おやっ!?」
「用件を聞こう」
 その人影は言ってきた。だが若い男はその姿を見て思わず卒倒しそうになった。
 
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