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コルト

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第一章

                 コルト
 北欧と聞いてだ、向出慎吾は同じ大学の同じ学部の神住吾朗に言った。
「バイキングか」
「まずそれか」
「ああ、それだろ」
「まあな」
 吾朗もこう返す、顔にかけている眼鏡に手を当てて。髪は黒の七三分けで細面だ。背は一七五で痩せた身体をしている。 
 その彼に対して慎吾は四角い顔で赤がかった茶色の毛をしている。この毛は地毛だ。目は大きく背は吾朗と同じ位でがっしりとした体格をしている。
 その慎吾がだ、吾朗にこう返した。
「それと北欧神話に福祉、オーロラか」
「後はあるか?」
「国旗が横に長い十字だな」
 吾朗は北欧諸国の国旗のことも話に出した。
「寒くて白夜でな」
「他はあるか?」
「そう言われるとな」
 吾朗は腕を組んで考える顔になって慎吾に返した。
「ないな」
「そうだよな」
「何かあまり知らないな」
「俺もだ、北欧についてはな」
「あまり知らないんだな」
「そうだ、それでだ」
 慎吾はここで吾朗に切り出した、二人で半ガーガーショップでアルバイトをしているが休憩中に休憩室で話をしている。
「ツアーに行かないな」
「その北欧のか」
「格安のツアーを見付けた」
 慎吾の趣味は旅行だ、それでそうしたツアーもチェックしているのだ。
「それに行かないか」
「俺もか」
「一緒にどうだ」
「それ何時行くんだ?」
「今度の冬休みだ」
「冬にもっと寒い場所に行くのか」
「そうなるな、だがどうだ」
 あらためてだ、慎吾は吾朗に言った。
「今回は」
「そうだな、金はあるしな」
 二人共アルバイトをしているだけに金はある、学費は親が出してくれていてしかもどちらも実家暮らしなので言うまでもない。
「それならな」
「いいな」
「ああ、行くか」
「よし、二人で参加だな」
「そうするか」
 こう話してだ、それでだった。
 二人はその格安ツアーに参加することを決めてだ、話を詰めていった。そしてそのうえでそのツアーに参加するとだった。
 二人はまずはノルウェーのオスロの空港に降り立った、そこからツアーがはじまったがガイドの初老の男はツアー客達に言った。
「今回は北の方にも行きますが」
「北欧の中でもですね」
「はい、オーロラを観に」
 こう吾朗にも話す。
「そうしますが」
「それツアーの予定にも入ってますね」
「そこでお買いものも出来ますので」
「確か」
 吾朗はそう聞いてだ、ガイドに言った。
「僕達が行くそこには」
「街は、ですね」
「大きな街がありますか?」
「いえ、ないです」
 ガイドもそれは断った。それも笑顔で。
「元々北欧は人口が少ないですし」
「そうですね」
「しかも北の方は」
「北極圏ですよね」
「はい、ですから大きな街は」
 それこそとだ、ガイドも話す。
「ないです」
「そうですよね、けれどですか」
「そこでもお買いものが出来ますので」
「だからですね」
「そちらもご期待下さい」
「そうですか」
「ではまずは色々と回りましょう」
 こう言ってだ、ガイドはまずはオスロを案内した。その中でだった。
 慎吾は吾朗にだ、こんなことを言ったのだった。 
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