| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

歌集「春雪花」

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

213




 荒れ果てし

  主なきにし

    破れ家に

 花咲きにしも

    恋は咲くまじ



 その家の主が亡くなって久しいが、古くなったその家の庭にすら春になれば花が咲き乱れると言うのに…。

 私にはきっと春は来ないのだろう…。

 私に…恋の花が咲くことはないのだから…。

 どれだけ願い、祈ったとしても…彼と在り続けられるはずもないのだから…。



 ただ待ちて

  雨音聞かば

   侘び濡れし

 小鳥囀ずる

    春の暁



 ずっと待ち続ける…一方的な恋心は、ただのエゴでしかなく…虚しいだけの片想い…。

 彼は…私のために来てはくれず…私を愛してはくれないのだ…。

 そんな当たり前のことに淋しさと虚無感を覚え、一人部屋にいれば…いつしか小鳥の囀ずる時刻になっていた…。

 後どれくらい…この痛む心を抱えていれば良いのだろうか…。




 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧