決戦!!天本博士VS超時空天下人ヒデヨシ
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7部分:第七章
第七章
「まあそれが歴史じゃがな」
「で、どうするんですか?」
小田切君はいよいよ戦闘がはじまりそうなので気が気でない。
「このままだと本当にベルサイユ壊すんですよね」
「形あるもの何時かは必ず壊れる」
博士が言うととんでもない暴言になる台詞であった。
「それだけじゃ」
「それだけですか」
「うむ、何も悲しむことはない」
博士は今にもそのカイザージョーを動かそうとしている。そうなればベルサイユ宮殿がどうなってしまうかは最早自明の理であった。
「それではじゃ」
「って博士、そんなことしたら」
小田切君も今回ばかりは顔を顰めさせて止めようとする。
「歴史が変わってしまいますよ」
「あんなちっぽけな宮殿一つ壊してか」
「ちっぽけってベルサイユ宮殿がですか」
思わず抗議してしまった小田切君だった。
「何処がなんですか、ベルサイユの」
「下らんものじゃ」
博士は主観のみの言葉をなおも続ける。
「あんな派手派手だけのものはな」
「それで壊すんですか」
「そうじゃ。まあ歴史なんぞ後でどうとでも訂正されておるわ」
カイザージョーへの攻撃が行われている。しかしこの時代のものが巨大ロボットに効果がある筈もない。全く平気なものでその場に立ち続けている。
「そんなものはな」
「やっぱりこの博士って悪役だよな」
「完璧なマッドサイエンティストだね」
ライゾウとタロは今更な言葉を出す。
「平気で何でも破壊するし」
「もう何を言っても無駄だしね」
「では行くがよいカイザージョーよ」
彼はまさに攻撃を仕掛けようとしている。その携帯式の操縦機を動かせばすぐにであった。ベルサイユ宮殿が跡形もなくなくなるのが。
そして今遂に操縦がはじまった。そうして動きはじめたカイザージョー。それでまずは軍隊を蹴散らそうとする。しかしそれより前にであった。
「待つだぎゃ、ちょっと待つだぎゃ!」
「日本語!?」
「しかもこれって」
ライゾウとタロは突然聞こえてきた言葉を聞いて声をあげた。
「名古屋弁だよな」
「うん、間違いないね」
「黙って見ておったら何ちゅうことをするんだぎゃ!だからこの博士は放ってはおけんがや!」
「あれっ、この声って」
小田切君もその声に気付いたのだった。
「あれじゃないんですか。さっきの」
「ふむ、ヒデヨシじゃな」
「左様」
そしてそのヒデヨシが姿を現わしたのだった。彼は宙に浮かびそのうえでカイザージョーと対峙していた。
「何処かの世界に送ればそれで少しはましになると思ったがのう」
「あの人博士と付き合いが長いのに全然わかってないよな」
「だよね。絶対にましになんかなれないのに」
またライゾウとタロが話をするのだった。
「それこそ南極とか宇宙空間に放り込まれても帰って来るのに」
「何で別の時代の別の国に送り込んだ位でましになるのかな」
「思えばこうして御主を別の時代の何処かの国に送り込んだのは何百回目か」
ヒデヨシはカイザージョーと対峙したまま博士に告げる。その声だけを博士にかけそのうえで巨大ロボットと対峙を続けているのであった。
「それでもやることは変わらんようじゃな」
「わしを誰だと思っておる」
博士は相変わらず平然としている。
「天本破天荒じゃぞ」
「そうだったのう。わしの宿敵であるな」
「それだけ長いお付き合いなんですか」
小田切君は二人の関係をあらためて知るのであった。知ったところでどうにかなるものでもないが。
「そんなに」
「そうじゃ。わしが気に入らぬ輩を成敗しようとしたり好かぬ建築物を破壊しようとしたりするといつもわしの前にやって来るのじゃ」
「つまり正義の味方ってわけだな」
「そうだね」
ライゾウもタロも博士を完全に悪役と認識していた。
「流石は超時空天下人だよな」
「全くだよ」
「ベルサイユ宮殿を破壊させはせぬ」
ヒデヨシはその礼服姿で宙に漂い続けている。
「ここでカイザージョーを止めるぞ。覚悟するのじゃ」
「貴様にこのカイザージョーを止めることができるのか?」
博士は何時の間にかカイザージョーの左肩のところにワープしていた。そうしてそのうえで黒いマントをたなびかせ立っているのだった。
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