Blue Rose
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第六話 声も身体もその十
「美術部だから」
「また違うな」
「だからなんだ」
「別に書道やってないとな」
それこそというのだ。
「気にしなくていいだろ」
「そういうものなんだね」
「字もそれぞれだよ」
「成程ね」
「それが変わってきてもな」
その筆跡がだ。
「それもだよ」
「気にすることないんだ」
「それは変わりもするだろ」
「書いてれば?」
「それでな」
「そんなものなんだね」
「だからそうしたことは気にするな」
あくまで、というのだ。
「周りが言ってもな」
「じゃあ」
「別に何言われてもな」
「気にしなくてだね」
「御前は御前でいいだろ」
「そう言ってくれるんだね」
「そんなこと気にしてたらな」
それこそというのだ。
「きりがないだろ、大きくな」
「大きく生きろだね」
「そうだよ、人間大きくっていうだろ」
ここではだ、龍馬は笑って言った。
「よくな」
「そうだね、小さいよりもだね」
「大きくだよ、そうしていかないとな」
「龍馬がいつも言ってるね」
「海みたいにだよ」
それこそといった口調での言葉だった。
「大きくならないとな」
「そういうことだね」
「じゃあな、その二つのことはな」
「気にしないでいいね」
「小さいことだよ」
所詮はというのだ。
「髭とか字とか」
「気にすることはない位の」
「別に御前が死んだり急に何かになったりじゃないだろ」
「確かにね」
「だったらな」
それこそというのだ。
「気にしないでな」
「大きくだね」
「人間それこそな」
龍馬はうどんを食べつつ言う。
「器が大きくないとな」
「駄目っていうね」
「名前のせいか?」
ここで笑って言った龍馬だった、
「俺の名」
「あっ、龍馬だからね」
「坂本龍馬だろ」
「実際にあの人から取られたんだよね」
「親父とお袋が二人共あの人好きだからな」
その坂本龍馬をというのだ。
「それでなんだよ」
「そうだったね」
「ああ、それでこの名前付けられたけれどな」
「その坂本龍馬がね」
「大きな人だったからな」
「俺も大きくなりたいんだよ」
その器がというのだ。
「そう思ってるからな」
「そうしたことにはだね」
「こだわらないでな」
それでというのだ。
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