レインボークラウン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三百二十話
第三百二十話 一億を
何はともあれ小田切君は一億円を手に入れた、正確に言うと一億一千万であるが一千万の誤差も気にならなくなっていた。
その小田切君にだ、タロとライゾウは研究所で尋ねた。
「一億貰ったけれど」
「どうするんだ?」
パソコンで仕事をしている小田切君にかなり率直に尋ねた。
「何か食べるの?」
「趣味に使うか?」
「それともお酒?」
「貯金か?」
「どうしようかな」
これが小田切君の返事だった。
「実際ね」
「どう使っていいかわからないんだ」
「そうなんだな」
「うん、どうもね」
実際にというのだ。
「一億なんていきなり貰っても」
「そう、じゃあ」
「これからどうするか考えないとな」
「どうしようかな」
またこう言った小田切君だった。
「本当に」
「貯金したらいいだろ」
ライゾウは自分の毛づくろいをしつつ小田切君に言った。
「使い道ないのならな」
「そうすればいいね」
「あと寄付かな」
タロは少し考えてこちらを提案した。
「困っている人にね」
「それもいいね」
「幾らかね」
「じゃあかなり貯金して」
小田切君は言った。
「幾らか寄付しようかな」
「そうすればいいよ」
「それで問題ないだろ」
タロもライゾウも小田切君の考えをよしとした。
「使い方がわからないのなら」
「無駄使いも何だしな」
「寄付は困っている人達を助けるし」
「悪いことはないぜ」
「しっかりとした団体か人に寄付して」
小田切君はそこも考えていた。
「それでいいね」
「しっかりしたところ選ぼうね」
「詐欺とかあるからな」
「うん、世の中悪い奴がいるよ」
小田切君もそうした連中には警戒していた、世の中には人の善意を利用して悪事を働く外道もいることを知っているからこそ。
第三百二十話 完
2016・2・28
ページ上へ戻る