魔法少女リリカルなのは平凡な日常を望む転生者 STS編
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IFストーリー 互いの想い………
前書き
凄く長くなった………その分時間もかかりました。
「ヴィヴィオ、遅れるぞ!!」
「分かってる!!」
慌てて制服に着替えて首元のリボンを締める。
「うっ……ちょっと横腹にお肉が………」
スカートを履く時に思わず触れてしまったくプニプニ横腹。3年になって受験勉強が始まり、運動する時間が減ったからだろう。
「今日帰ったら走ろ………」
そう心に決め部屋を出た………
IFストーリー 互いの想い………
「おはよう」
「ああ、おはよう」
そう言ってコーヒーを飲みながら新聞を読むバルト。
年齢は30後半に達したが、逆に深みが出て、ヴィヴィオの同級生から凄い人気がある。本人もまんざらじゃないようで、ヴィヴィオはちょっと気に入らないでいた。
「何睨んで………ヴィヴィオ、ちょっと丸く……おう!?」
それ以上言わせないようにわき腹に拳を打ち込む。何時筋トレしてるのか分からないけど、その年にもなって引き締まった筋肉をしていた。
「何すんだよ……」
「私、太ってないから!!」
「んなこと言ってないだろ………全く、その暴力性は誰に似たんだか………」
(昔暴れていた本人の言葉とは到底思えない………)
と思いつつ、用意されたソーセージをかじった。
「それよりも行かなくて良いのか?今日早めに出るとか言ってたよな?」
「あっ!!」
今日は友達とちょっと約束があり、早く出る予定だったヴィヴィオは慌てた。
「い、行ってきます!!」
「ちょっと待てヴィヴィオ」
慌てて出て行こうとするヴィヴィオをバルトが止めた。
「お前寝癖………」
「あっ、別に良いよ、学校で直すから」
「年頃の娘なんだから気を使え」
そう言ってバルトはヴィヴィオを逃げないように掴み、少し跳ねている上の髪を直している。
(身体が近い……!!)
目の前にはバルトの胸板があり、包み込まれているようで恥ずかしい。
「………よし、駄目だな。お前の髪結構サラサラだから直ると思ったが、手じゃ直んないな」
「そ、そう………」
顔だけじゃなくて身体全体が熱い。最近バルトに触れられるとそう感じてしまう自分がいた。
「うん?どうした?急いでるんだろ?」
「あっ!?うん!!行ってきます!!」
惚けてた私は恥ずかしさを隠すように慌てて家を出た………
「う〜〜〜」
そう唸り、ヴィヴィオは机に突っ伏した。
「何ヴィヴィオ、もうダウン?そんなんじゃ空手日本一が泣くわよ?」
「勉強と関係ないじゃん………」
朝早い教室に2人、親友の恵と机を向かい合わせて勉強していた。
恵はヴィヴィオの数少ない家の事情を知っている親友で、少々口が悪いが、頭脳明晰でヴィヴィオの心を開ける大事な親友だ。
「ヴィヴィオ、あんた幾ら推薦で大学行けてもこのままじゃ入ってから苦労するわよ?」
「大学かぁ………」
「あら?決めたと思ってたけど、まだ迷ってるの?」
そんな問いに突っ伏したまま頷く。
「私なら嬉しいけどなぁ………スポーツ推薦だけど有名大学からほぼ推薦の話が来てるんでしょ?」
「うん、でも………」
「バルトさんと離れたくない……って事?」
「………」
ヴィヴィオは突っ伏したまま何も答えなかったが、観念したのかゆっくりと頷いた。
「あんたねえ………いい加減親離れしたら?」
「違うよ、私はバルトが1人になっちゃうのが心配なの!!!しっかりしているようでズボラだし、料理は見た目は酷いし、昨日だって私のブラとパンツはネットに入れて洗濯機回してっていつも言ってるのに、入れないで回しちゃうし………兎に角やる事がいつも大雑把なのよ………」
「まるで奥さんね………」
「奥……さん?」
「まあバルトさん、結婚目前で奥さん亡くしたのよね………それで2人で暮らしてきたら自然とヴィヴィオもそうな………何惚けてるのよ?」
「ふぇ?」
気の抜けた返事に恵はため息を吐いた。
「あんた最近ファザコンがさらに酷くなってない?」
「何よファザコンって………私は元々そんなんじゃ無いわよ」
「そうかしら?あんたは男子に告白された時何て断ってるっけ?」
「『バルト以上にかっこよくなったらね』でしょ?」
「いや、何を当然のように言ってるのよ!それって要するに『大好きなお父さんよりもかっこいい人じゃないと付き合いません』って事じゃない!!」
「普通でしょ?」
「はぁ………」
そんなヴィヴィオの答えに今度は恵が机に突っ伏した。
「でもそう言うとみんな諦めてくれるのよ!!」
「当たり前でしょ!!この学校にバルトさん以上の良い男なんていないわよ!!いえ、あの歳であの筋肉、性格見た目と完璧に揃った大人な男性なんていないわよ!!親友のお父さんじゃなかったら私もアタックしてるわ」
「まあね。だから助かってる」
と軽く答えるヴィヴィオに恵は再びため息を吐いた。
「あんたに彼氏は当分………ってかできる日なんて来るのかしら………?」
「さあ?」
そんな事よりもヴィヴィオの頭の中は別の事で頭が一杯だった。
(管理局かぁ………)
大学の推薦入学以外にヴィヴィオに1つの進路が現れた。以前からはやてに頼んでいた管理局の入局試験の案内。
『バルトさんに内緒で準備するのに苦労したで。一応それが今年の入局案内や。もし受けるんなら2ヶ月後に試験があるから準備してほしい。………と言っても魔力ランク高い者に関してはほぼ落ちひんからヴィヴィオの場合はほぼ受かったようなもんやと思うけど、もしいくなら予め魔法の訓練しとかなきゃあかんで』
とバルトに内緒ではやてと電話した内容だ。
(空手の強い都市部の大学か、ここから通える大学か、管理局か………それか………)
最後に願う進路。表や言葉にも出さず、自分でもまだハッキリとは気付いていない気持ち。その気持ちが段々と大きくなっていく中、ヴィヴィオも揺れるが時間は待っていてくれない………
「いらっしゃ………何だお前か」
「お前かじゃないよ!」
その日の放課後、ヴィヴィオは真っ直ぐ家へと帰った。
喫茶店を営むバルトは翠屋の士郎に学んだコーヒーの腕前は町一番と呼ばれ、テーブル席が20席、カウンターが15席ほどと、決して広くない店内にいつもお客が絶えない。更にヴィヴィオが高校に入学してからは高校生の人数も増えていっていた。
「恵もいらっしゃい」
「お、お邪魔します………」
親友のあまり見ない照れた顔を見てヴィヴィオはバルトを睨む。
「……何だよ」
「い〜え、娘とは違う優しい声で声を掛けられ不満とかそう言うんじゃないからね〜」
「はぁ………」
そうため息を吐くとバルトはカウンターから出てきてヴィヴィオに迫った。
「な、何よ………!!」
何も言わず近づくバルトに後ずさるバルト。
「あっ……!?」
気がつけば店の柱が背にあり逃げられない。
「バルト、怒ってるの………?」
怯えながらも顔がすぐ目の前にあり、心臓の鼓動が激しくなる。
(嘘っ、これって………もしかしてキス!?)
どういう心境の変化か分からないが、もう直ぐそこまで顔がある。
バン!!と柱に手を付き、更に顔を近づける。
(ママ、ごめんね……!!)
と心の中で謝りつつも、内心期待で胸が一杯だった。
そして目を閉じたヴィヴィオだが、唇には何の感触もない。
その代わり………
「おかえり……」
「ふにゃあ!?」
耳持ちで囁かれ、ヴィヴィオはその場に座り込んでしまった。
「「「「「キャアアアアアア!!!」」」」」
「「「「「うおおおおおおお!!!」」」」」
その後に店内に響く歓声。
「うるせえよ。………ったく、やっぱり恥ずかしいなこの壁ドンってのは……」
「バルトさん私にも!!!」
「私も!!!」
「やかましい!!自分の彼氏にやってもらえ!!恥ずかしくて他人になんて出来るか!!」
騒ぐな、静かにしろ!!と怒鳴りながら店のカウンターに戻るバルト。
「やっぱり人気者ねバルトさんは………ヴィヴィオ?」
「ご、ごめん!!私店の手伝いするから着替えてくるね!!!」
そう言い残し、ヴィヴィオは慌てて家の中へ走って行った………
「静まれ………静まれ………」
自分に何度も言い聞かせ、バクバクと動く心臓を落ち着かせる。
しかし唇同士で触れ合う距離まで行ったあの光景は中々頭から離れなかった。
「バルトのバカ………」
「何だ遅かったなトイレ痛っ!?」
出てきて早々そんな事を言うバルトの尻を蹴り、エプロンを着けて隣に並ぶ。
「何だよ、冗談だろ?」
「煩い………」
「何かご機嫌ななめだな………まあいい、ちょっと洗い物まで手が回らないからそっちを頼む」
小さく頷きヴィヴィオは作業に入る。
洗い場に少し溜まったコーヒーカップ焼きそばグラスを業務用の食器洗い器に入れ、回す。軽食で出した皿は場所を取るので全て手洗いだ。しかし軽食はあくまでもついでなので量はそれほど多くない。
「ほらお待たせ」
「「「ありがとうございます!」」」
カウンター席に座っていたヴィヴィオと同じ学校の男子はコーヒーを一口飲み、息を吐いた。
「んで?相談って何だ?」
「その………進路の事で悩みが………」
「俺も………」
「自分もっす……」
人の手があり、バルトに余裕が出来ると始まるのが悩み相談だ。これがあるため、放課後になると悩める学生がこぞってやってくる。一応コーヒー一杯が条件になっているので売上の邪魔にもならない。そしてヴィヴィオが手伝いに入った時がスタートと暗黙の了解となっている。
「……んで何だ?」
「俺、進路まだ決まってなくて………担任は取り敢えず経済学部にしておけば就職の幅が広いぞって言われたんですけど、考古学に興味があって………でもそれを言うと就職先が限定されるぞって言われて………どうすれば良いん良いんですかね?」
「んなもん決まってるだろ。自分の興味ある道へ進む」
即答したバルトの言葉に男子生徒達は驚いた。
「何でそんなに驚いているんだ?迷う必要は無いだろうが、自分のやりたい事興味がある事があるなら当然そっちだ。将来の幅が広がる?そんなの関係ねえよ。若いうちにしかやりたい事なんて中々できねえんだから興味があるならチャレンジするべきだ」
「で、でも就職は………」
「専門的な知識が必要なのは確かに無理だろう。だが、一般企業なら関係ねえよ。よく考えてみろお前ら、就職した奴らが皆経済学部ばっかで、皆似た様な事しか勉強していない奴等に更に会社大きくしていけると思うか?」
そう問うバルトの言葉に3人は答える事は出来なかった。
「人間社会、文化、科学等、全ては今までに無い発想から生まれてんだ。誰かと同じで良いやって考えは良くない。俺はそう思うね」
バルトの言葉を良く飲み込む、頷く3人。
「………と偉そうに色々と言ったがあくまでも俺の意見だからな」
「分かってます、ありがとうございました」
そう言って深くお礼を言って男子生徒達は帰っていった。
「すいません次僕が………」
「ああ、分かった聞いてやるよ」
そして閉店になるまで悩み相談は続くのだった………
「ヴィヴィオ、店の方はもういいよ。後は公子さんと璃子に手伝ってもらうから。お前も一応受験生だろ?」
公子さんとはこの店で働いている従業員だ。バルトと同じくらいの歳でパートである。主に軽食を担当している、璃子は近くの大学に通う学生で、バルトのコーヒーにハマりバイトを始めた子である。
「分かった。じゃあ後お願いします………」
「勉強頑張ってね~」
「お夜食作っておくから良かったら食べてね」
「ありがとうございます、公子さん」
お礼を言ってヴィヴィオは自分の部屋へと向かった………
『やっぱり人気者ねバルトさんは』
親友の言葉が未だに引っかかる。確かに同い年の父親はバルトほどカッコいい人はいない。
あのクールで渋カッコいいとヴィヴィオの学校ではかなり有名であった。
「………どうして」
お客の女の子と話しているとイラッとくる。チヤホヤされて満更でもない反応なのも気に食わない。
そして甦る唇が重なるかもしれないほどの距離。
「バルトのバカ………」
ヴィヴィオはその夜悶々と過ごしたのだった………
「「ありがとうございました」」
夏休み前にあった三者面談が終わり、ヴィヴィオとバルトが並んで帰路につく。
「進路、まだ決まってないんだな」
「………」
ヴィヴィオは何も言わず頷いた。決まってない訳ではない。やっと自分の中では決めた。………のだが、それを選ぶことにバルトは大反対するだろうと分かっており、中々切り出せずにいたのだ。
「まあヴィヴィオが本当にやりたいと思う道を選んでくれればそれで良い、ただ適当にだけは決めるなよ」
「うん………」
「久々に何か食いに行くか?寿司でもどうだ?」
「うん、行こう」
「ふぅ………たまには贅沢も良いな」
バルトが連れて行った店は何時もの回転する寿司屋では無く、カウンターの寿司屋だった。
最初は驚いたものの、遠慮無く食べるバルトに釣られ、ヴィヴィオも食べる食べる。
「美味しかった〜」
夢見心地な顔でお茶を飲むヴィヴィオ。
「さて、ヴィヴィオ、お前俺に隠してる事あるだろう?」
「な、何のこと?」
不意な質問にドキッとするヴィヴィオ。そんなヴィヴィオの様子を気にせず話を続けた。
「管理局の招待状」
「!!………見たの?」
「悪いがどうしてもカッターが見当たらなくてヴィヴィオの部屋に取りに行った際な。はやてに聞いたが、ヴィヴィオが頼んだって?」
「………」
その問いにヴィヴィオは答えられない。いたずらがバレた子供の様に縮こまっている。
「別に怒ってないぞ?ただお前の本当の気持ちを聞きたくてな」
そう言っているバルトの顔は確かに怒っておらず穏やかだった。
「私は………小さい時からみんなの為に戦うなのはママが眩しかった。とてもカッコよくて強くて、そして優しい………そんな女性になれたらな……って今でも思ってる。だから私も先ずはなのはママと同じ様にやってみようと思ったの。なのはママの様にいかなくてもなのはママを目指して頑張ろうって」
「そこまでしっかりと自分の意思があるなら何故それを言わなかった?」
「バルトは絶対に反対するって思ったから。それになのはママは………」
なのはママはバルトとの結婚式が間近になった時に亡くなった。実際は救難中に行方不明になり、見つからなかったのだが、もう生きてはいないと思う。
あの時、ミッド近くの海が大嵐に見舞われ、運搬の巨大タンカーが波に足を取られ、岩盤に激突し、流されつつ沈没。救助部隊が救助に当たるも人が足らずなのはママもその救助に向かった。
後は聞かなくても想像できた。なのはママの事だ。1人でも多く助けるために奮闘してそして………
「 バルトは私になのはママの様になるんじゃないのかって思うと思って言えなかった。きっとバルトは私以上に辛かったと思うから………」
そう言うとバルトは何も言わず黙り込んでしまった。
暫く無言でいると、「出るぞ」と不意に立ち上がり会計を済ませ、店の外に出た。
「………」
「………」
2人で無言で歩く。
「少しあそこによるぞ」
そう言ってバルトは公園の方を指差した。
「何か飲むか?」
「じゃあお茶………」
そう言うとバルトは自動販売機でお茶を買いベンチに座るヴィヴィオに渡した。
夜の公園には誰もいない。遠くから走る車の音が聞こえるだけで静かな空間が2人を包む。
「ありがと………」
バルトは水を買い、飲まずにタバコを吸い始めた。
「ふぅ………さて、話の続きだが………」
そう言ってバルトは語り出した。
「先ず俺は、ヴィヴィオが管理局に勤めたいと思うのなら反対しない」
「えっ、でも………」
「実を言うとはやてに管理局の入隊の推薦状を用意してくれないかと密かに頼んだでたんだ」
「えっ!?」
「はやても忙しいからダメ元だったんだが……お前自身の希望もあって送ってくれてたんだな」
「そうだったんだ………でも何で………」
「お前が俺に気を使ってる位分かってるんだよ。まあ実際管理局に勤めて欲しいとは思ってなかったけどな。………だそれは俺の想いであってお前を縛るものじゃない」
タバコの灰をポケット灰皿に捨て、再び話し始める。
「それにお前はなのはの娘でもあり、俺の娘でもある。頑固だし折れない不屈の心を持ってる。俺が心配しなくとも俺ならやれるさ」
少し心がチクリと痛んだが、ヴィヴィオにその原因は分からない。それよりもバルトが管理局行きを認めてくれていることがヴィヴィオには嬉しかった。
「それじゃあ本当に………?」
「ああ。やるからにはしっかり鍛え直せよ?」
「ありがとうバルト!!」
「うおっ!?火!タバコの火!!」
思わず抱きついたヴィヴィオだが、それほど嬉しかったのだ。
ヴィヴィオ達が地球に住む事を決めた後も、ヴィヴィオには密かな想いがあった。
(私もなのはママの様に………)
気高く強く優しい、そんな母の背中に憧れいつか自分もあんな風になりたい。そんな想いが月を重ねるごとに強くなっていた。
だがバルトの事を考えてその想いにずっと蓋をしてきたのだ。
「ありがとう………私頑張るね………」
「やるからには気合入れろよな」
「うん………」
涙目になっていた目を拭いながら離れるヴィヴィオ。
「まあこれで俺も肩の荷が下りるな………しばらく旅にでも出るかな」
「えっ………?」
そう聞いて不意に広がる不安。それは今までそうなる事が分かっていた筈なのに、自然と頭の中から消え去っていた事だった。
「いやな、地球に住んでいる内に海外の色んな場所を見てみたいって思ってな。これを機に世界1周なんてのもいいじゃないかと考えてたんだよ」
「何……それ………?」
「まあちょっとした趣味みたいなもんだ。ヴィヴィオがミッドに行けばあの家も必要無くなるだろ?元々高校に行くのにと思ってオープンした店だし。そうだ!貸店舗にすりゃ収入も入るし良いかもしれないな!どうだヴィヴィオ?」
「えっ?あっ、うん………」
「?……まあそれはおいおい考えるか………取り敢えず今日はもう遅いしさっさと帰るぞ」
「うん………」
ヴィヴィオの覇気のない返事を聞いて2人は帰路に着いた………
それからのヴィヴィオは忙しかった。季節も夏から秋を過ぎ、冬に差し掛かろうとしていた。
話が終わってからのヴィヴィオは、学校へ行きながらその後ミッドではやての運営している道場での魔法訓練をほぼ毎日行っていた。今までヴィヴィオ自身が魔法を使う機会はほぼ無く、かなり初歩からの訓練であったが、類い稀なるセンスでどんどん吸収していった。
『流石バルトさんの娘やね〜凄いセンスや』
「まあだろうな」
はやてからの報告を受け満足そうに返事をするバルト。しかし気になっている事があった。
「なあはやて、最近ヴィヴィオの奴おかしなところ無かったか?」
それは最近のヴィヴィオの様子であった。
ミッドチルダに行くようになってから帰りも遅く、会話する機会が極端に減った2人だが、それでもバルトはヴィヴィオの変化に気がついていた。
「何か最近ずっと暗いんだよ………疲れてんのかとも思ったけどそれとはまた違う感じ。………心当たりないか?」
『………いいや、私の見た感じじゃいつもと変わらへんで。やる気に満ちとるよ』
「そうか………」
はやての答えを聞いて安心よりも更に心配が大きくなった。
(あの様子、どう見ても様子がおかしかった。あいつは昔から自分の悩みとか外に出さないタイプだからな………気がつくのは俺か恵くらいか………何にせよ一度聞いてみるか)
ヴィヴィオはまだ帰ってきてないので取り敢えず待つ事にした………
「ただいま………」
深夜0時過ぎ。
クタクタになりながら帰宅したヴィヴィオ。
「転送装置を使っても帰れるのはこの時間だもんね………」
いつもより眺めに訓練していたため、これほどまで遅くなってしまった。
ため息を吐きつつ、リビングに向かう。
「電気ついてる………」
バルトは店の準備にいつも起きるのが早い。なので夜遅くまで起きている事も少ないのでいつも部屋は暗い筈だった。
「バルト?あっ………」
リビングに入るとそこにはソファーに座って静かに寝ているバルトがいた。
「もしかして待ってくれてた………?」
その様子からそう判断したヴィヴィオ。ソファーの前の机には飲みかけのコーヒーも置いてあり、間違いなさそうだ。
「何か私に話でも………」
そこまで言ってヴィヴィオは固まった。目の前には眠っていて無防備なバルト。
(意外と可愛い寝顔………)
こんなに無防備なバルトを見たのも初めてかもしれない。そう思ったヴィヴィオは自然と顔が近づいて行く。
そしてある部分に視線が釘付けになった。
(バルトの唇………綺麗だな………)
そこで思い出すクラスメイトの女子の会話。聞き耳を立てて聞いていた話であったが、初めての彼氏とのキスの話だった。
(初めてのキス………バルトはどんな味がするんだろう………)
その会話の主の話では柑橘系の味がしたらしい。バルトの場合はコーヒーだろうか?
『でも味よりも私、心の中が幸せで一杯で………』
と嬉しそうに話す会話の主にその後、他のクラスメイトから嫉妬の凸ピンを受けていたが………
『幸せ………』
好奇心が抑えられなくなったヴィヴィオは恐る恐る唇を近づける。
そしてあの壁ドンされた時の事も思い出していた。あの時に感じられなかった体感を今、まさか行おうとしていた。
(もうちょっともうちょっと………)
そして………
「バルト………」
ヴィヴィオは寝ているバルトに唇を重ねた。
(やっぱりコーヒー………?でもこれ………)
そしてヴィヴィオは気づいてしまった、自分の本当の想いを。
「………ん?」
何かが触れる感触を感じ、ゆっくりと目覚め始めるバルト。
「ヴィヴィオ帰ったのか………うん?」
ヴィヴィオは既に顔を離していた。………だが、
「ヴィヴィオ、泣いてるのか?」
ヴィヴィオは溢れる涙を拭っていた。
「どうした?何はあった?」
「………!!」
ヴィヴィオは何も言わず自分の部屋へと走って行った。
「おい、ヴィヴィオ!!」
何が起こったのか全く分からなかったが、見てみぬふりは出来なかった。ヴィヴィオを追い、部屋へと向かう。
「ヴィヴィオ、入るぞ!!」
そう言って部屋に入ろうとするが、扉が開かない。
何か重い物が扉を塞いでいる様な………
(ヴィヴィオか!!)
その正体は直ぐに分かった。
「おい、ヴィヴィオ何をして………」
「来ないで!!」
ヴィヴィオの叫びにバルトの手が止まる。
「………どうしたんだ、一体何があったんだ?」
「バルトには関係ないよ!!」
泣きじゃくる声で叫ぶヴィヴィオ。そう答えられたが、放っておけなかった。
「最近のお前の様子がおかしいから変だと思ったんだ。一体何があったんだ!?」
「放っておいてよ!!」
「んな事できるか!!」
「私に優しくしないでよ!!!」
大きな声を上げて拒否し続けるヴィヴィオ。
「取り敢えず部屋から出ろ。それで先ずは話し合おうじゃないか。俺が何かして気にくわないならちゃんと………」
「私はバルトが好きなの!!!」
不意に放たれるヴィヴィオの言葉。その言葉に一瞬固まったバルトだが、直ぐに我に返った。
「お、俺もヴィヴィオは好きだが、一体それが………」
「私は1人の男性として好きなの、愛してるの!!!」
そんな悲痛の叫びにバルトはとうとう言葉を失った。
(俺が好き………?ヴィヴィオが?)
「だから優しくしないでよ………辛いだけなの………」
それ以降その日、すすり泣きは聞こえるものの、ヴィヴィオが話す事は無かった。
バルトも気が抜けた人形のように自分の部屋に戻る。
今日になって初めて2人の間に大きな溝ができた………
その翌日からヴィヴィオは部屋を出なくなった。声を掛けても返事も無く、開ける勇気もバルトには無かった。正直バルトも動揺していたのだ。決して自惚れているわけではないが、ヴィヴィオの態度が高校生になってからおかしいのは多々あった。ただそれは思春期特有の親が居て恥ずかしいとかそんな風に思っていたため、今回のような事は自然と頭から消え去っていた。
「はぁ………」
それでもバルトは社会人であり、店の経営者としても休むわけにはいかない。
「ヴィヴィオ、俺は仕事だから下にいるけど、お前もいつまでも部屋に引きこもってないで出てこいよ」
そう言い残し一階の店へと降りていった。既にこの生活が3日過ぎている。
(このままじゃマズイよな………)
ヴィヴィオの親友の恵も流石におかしいとここにやってくるかもしれない。どう説明すればいいのかバルトには頭痛の種が絶えない。
(俺も戸惑ってるしな………)
そんなバルトはこのままでは行けないと意を決して行動に移った………
「悪いな、仕事中に」
『いいですよ、同僚に頼んで少し抜けさせてもらいましたから』
決めたら善は急げのバルトは直ぐさま連絡を取った。
「悪いな零治」
『今度コーヒー奢ってくれればいいです』
ある意味他とは特異な家族構成をしている男に………
『なるほど………星の予感は的中してたって事か』
そう話すのは電話の有栖零治だったうぇ
「予感してたのか!?」
『冗談交じりですけどね。本当にそうなるとは思ってないと思いますよ』
「でも他人からも親子のようには見えなくなっていたって事だな…………」
そう言って小さく溜息を吐く。
『あの時にフェイトと上手くいってればこんな事にはならなかったんですけどね』
「もう終わった事だ。それにあいつは今幸せだろ?」
なのはの行方不明後、バルトとヴィヴィオを支えたのはフェイトだった。ヴィヴィオの母の様に、バルトの妻の様に振る舞うフェイトに、バルトも再婚するだろうと皆そう思っていたが、結局上手くいかなかった。
理由はやはりまだ未練があった、それが主な原因だろう。
『そうですね、すいません………バルトさんはヴィヴィオの事どう思ってるんです?』
「それは当然娘としてだよ。だからこそ大いに悩んでる」
『いや、悩む必要ないじゃないですか。だって娘としてしか見てないんですよね?』
「それはそうだが………」
『ヴィヴィオも吹っ切れたい気持ちもあるんじゃないですか?今まで自分でも気がつかなかった気持ちに気がついて、でも相手は自分の事を娘としか見てなくて、だからこそ徹底的にバルトさんから離れて吹っ切れようとしてるとか………』
「なるほど………」
だとしたらハッキリと言うべきかもしれない。でなければいつまでもヴィヴィオは変わらない。
だが、何故か心にしこりが残ったような感覚があった。
「サンキュー零治。今度店に来いよ。奢ってやる」
『ありがとうございます、時間があったら是非』
そう言って電話を切った。
「さて話すのは何時が良いか………」
これ以上はお客も増えていくし、話すとしたらしっかりと伝えなくちゃいけない。
「閉店後だな………」
そう決めて仕事に集中した………
しかし事件は閉店前に起きた。
「バルトさん!!」
「おう、恵か」
閉店の30分ほど前、恵が慌てた様子で店に入って来た。
「ヴィヴィオは!?」
「ヴィヴィオなら部屋から出て来てないと思うが………」
「ちょっとお邪魔します!!」
と言ってずかずかと2階へと上がっていってしまった。まあそもそもほぼフリーパスで家に上がっていたので気にはしないのだが………
「………静かに出来ないのか」
どたばたと音が聞こえ、2階が騒がしい。
「………ちょっと様子見てくる」
「分かりました」
苦笑いしながら答える公子さんに任せ、バルトは上へ向かった………
「おい、何を騒いで………っ!?」
部屋に入ると同時にヴィヴィオが部屋から出て行った。
「何だアイツ………」
「バルトさん!!」
そんなヴィヴィオを追ってか慌てて恵が出てきた。
「どうした?何があった?」
「わ、私………ヴィヴィオに酷い事………あんなに想ってるなんて思わなくて………」
いつもしっかりした彼女にしては珍しく動揺していた。
「おい、取り敢えず落ち着け、深呼吸だ」
「そ、そんなの良いですから私よりヴィヴィオを………あの子、今何するか分からないから!!」
それを聞いてバルトの行動は早かった。
(ヴィヴィオ!!)
ヴィヴィオは恐らく店とは反対側の裏口から出て行った様だ。
「くそっ………あのバカ何処へ………」
既に姿は無く、何処に行ったか分からない。
「バルバドス!!」
バルトは慌てて長い間使っていなかったデバイスを使い、ヴィヴィオの魔力を追う。
「あいつバス乗ってやがるな!!」
かなりのスピードで移動している事が分かった。
何を考えているか分からないが、普通に追いかけたのならとても追いつけない。
「………後で謝ればいいか」
周りに人が居ない事を確認した後、店の上に移動。
「バルバドス、セットアップ」
バルトはバリアジャケットを展開し、空へ駆け出した………
「………どこだろここ?」
咄嗟にバスに乗り長い事乗り続けて着いた海岸。
海鳴市の海岸の外れのビーチで季節外れのビーチには当然誰もいない。
「寒い………」
上は上着を羽織っているが、中はパジャマでノーブラ、下はスウェットと、とても外へ出られるような恰好では無かったが、咄嗟に出てきてしまった。
原因は恵との口論である。
(恵なら理解してくれると思ったのに………)
学校で一番の親友で、唯一魔法の事を知り、家庭の事情も知っている親友から連絡が来て、相談したのだが、帰って来た答えはヴィヴィオの思っていた答えとは違っていた。
『ヴィヴィオ、それは叶わない愛だと思うよ。ただのファザコンだと思ってたけど、それほどだったんなんて………バルトさんはヴィヴィオはずっと娘として接してきたのにいきなり1人の女性として愛して欲しいなんて無理な話だよ』
もっともな正論である。それはヴィヴィオも分かってる。
だけど自分の気持ちが抑えられなかった。いままで溜まりに溜まった想いが暴走しているのか、それともずっと我慢して解き放たれた影響か、ヴィヴィオ自身もどうすれば良いのか分からないのである。
「苦しいよ………なのはママ、私はどうすれば良いの………?」
砂場に転がっている丸太に座り、自分を抱え込むように丸くなるヴィヴィオはとても弱々しかった。
「こんなに好きなのに………愛してるのに………」
このまま管理局に行けばバルトは旅に出る。次に何時会えるか分からない。それだけでも心が苦しい。
「ううっ………」
涙が溢れ、止まらない。
波の音が聞こえる中、すすり泣く音が共に響き合う。
「ヴィヴィオ!!!」
「!!」
そんな中、自分を呼ぶ声にヴィヴィオは震えた。
弱々しく立ち上がり、その声の主を見る。
「何を考えてんだお前は!!」
その姿は小さい時に見た騎士の恰好をしたバルトだった。手には懐かしい大きな斧を持っている。
「私は!!私は………」
何かを言おうとしたが、言葉が出ず、黙り込む。
「………取り敢えず帰るぞ。恵も心配してた」
そう言って手を差し出すバルトだが、ヴィヴィオはその手を払った。
「ヴィヴィオ?」
「私の事はもう放っておいて!!」
「出来る訳ないだろ、今のお前はどこかおかしいぞ」
「おかしいよ!!でもそれはバルトのせいなの!!!」
そう言われたバルトはたじろいだ。
「バルトのせいなんだよ!!こんなに胸が苦しくてどうしていいか分からなくて、でも本当は離れたくなくて………私はバルトが誰よりも好きなの!!!もう抑えきれないの………私、どうすれば良いのバルト!!!」
涙を流し訴える様に叫ぶヴィヴィオの様子にバルトは言葉を失う。
(何をしてる。もう答えは決めただろ………)
零治と話し、もう心は決まっていた。………だが、言葉を発せない。
「答えてよ………」
そう呟いてその場に崩れるヴィヴィオ。
(俺は本当はどうしたいんだ………)
ヴィヴィオを見ながらそう自分に問いかける。
(なのは、俺は………)
愛する人の名前を出した時に、不意に思い出す記憶。
今まで2人で過ごしてきた日々、笑い合い、喧嘩しあい、それでも毎日が充実していた今までの時間。
その時間はとても………
(そう、楽しかった。俺はお前が居てくれた事でなのはが居ない喪失感をいつの間にか克服出来てたんだ)
今のヴィヴィオがバルトに依存している様にバルトもまたヴィヴィオに依存していたのだ。
(これが本当に好きと言う気持ちなのか………正直ヴィヴィオも分かってないんじゃないか?)
当人にそれを聞いても絶対に譲らないだろう。
(それと同時に俺もまたヴィヴィオから離れたらもしかしたら………)
それに気が付いてしまったバルトもまた考えを改めなければならないと感じた。
「はぁ………俺達は結局互いに知らぬうちに離れられないほど依存しあってたのかもしれないな………」
「?」
目を真っ赤にしながらヴィヴィオはそんな事を言うバルトの顔を見る。
バルトは気恥ずかしそうに頭を掻きながらヴィヴィオの視線に合わせる様にしゃがんだ。
「なあヴィヴィオ。結論を直ぐに出さなくてもいいんじゃないか?お前はまだ18だ。これから先も様々な出会いもある。今すぐ俺にしがみつかなくていいだろ」
「そんなの………!!」
「だが、それは俺も一緒なんだよな………」
反論しようとしたヴィヴィオをバルトは抱きしめた。
「俺もお前と同様にヴィヴィオの居ない生活を知らない内に恐れていたんだ。今ままで一緒に居て、お前が俺のかけがえのない人になっていたんだよ」
「うそ、それって………」
「だが、俺はこの想いが本当にお前を1人の女性として好きなのかと聞かれれば素直に頷けない。俺達は互いに依存しあってそれで離れるのが怖いのではないかとも思ったんだ」
「そんなの………」
「絶対に違うって否定出来るか?」
そう言われてヴィヴィオは何も言い返せなかった。
「だからヴィヴィオ。取り敢えず俺達は試さなくちゃいけないと思う。そこでだ、1つ提案なんだが………」
「何………?」
「4年。4年後にまた再び会おう。そしてその時、互いにその気持ちを確かめ合ってこれからの事を決めよう。お前は管理局へ、俺は世界を旅して自分を見つめ直してみる。そしてまた再会して気持ちを確かめ合うんだ。それでもこの想いが本物なら間違いないだろ」
4年。この時間を使って互いに離れ、自分達を見つめ直そうと考えたのだ。
「………」
そんな提案にヴィヴィオは何も返さない。
「4年は長いか?………だが、大学を卒業して社会人として世に出る年が22だ。それにあわせたんだが………それとも自信が無いか?」
そんな挑発めいた言葉に、ヴィヴィオは意を決した顔でバルトを見つめ直した。
「良いよ、分かった、4年後にまた会おう。私はきっと変わらずバルトの事を好きなままだよ絶対に」
いつもの様に力強く答えるヴィヴィオ。その様子とその言葉に思わず笑みが零れるが、慌てて表情を整える。
「ま、まあヴィヴィオがそうだとしても俺は………」
「大丈夫」
「………何が?」
「バルトも私が大好きだから」
そう言ってヴィヴィオはバルトの唇に自分の唇を重ねた。
「!?」
「………ふふっ」
驚くバルトにヴィヴィオは悪戯っ子の様な笑みを見せた。
「お前………」
「先に言っとくよ、4年後覚悟してよね!!」
そう言って元気よく立ち上がる。
(………まあ取り敢えず吹っ切れたみたいだし良いか)
先ほどの弱々しさは何処へ行ったのか、新たな目標を見つけた様に目を輝かせてステップを踏む。
(もしかしたら勝負にならない賭けだったかな………)
そう思いながらもバルトは悪い気分では無かった………
それから4年が過ぎた………
「ふぅ………久々だな」
約束の4年が経ち、バルトは久々のミッドチルダの大地に立った。
「もう何の面影も無いな………」
記憶とは違う街並みにため息を吐きながら荷物を横に立てて置き、近くのベンチに座る。
「ふぅ………」
タバコに火をつけ、一息。
何となく落ち着かない気持ちが徐々に落ち着いて行く。
「さて………どうなるかな」
既に自分の気持ちは決まっていた。後はヴィヴィオの………
「こら!ここは禁煙ですよ!!」
「あっ………!!」
声を掛けられ、声の主を確認した時だった。
見慣れたサイドポニーの髪形。そして忘れる筈もない管理局の制服を着た姿はまさに………
「バルト、公共のルールは守らないと」
だが、その姿は思っていた人の姿とは少し違っていた。………だがそれでいい。
「………なのはに似たなヴィヴィオ」
「えへへ、私の目標の人だから」
頬を染め、照れながらそう答えるヴィヴィオ。
(ああ、やっぱりこうなったか………)
その結果に不満は無い。バルト自身も気持ちは変わらなかったからだ。
「ヴィヴィオ」
「うん?」
「愛してる」
「………私も!!」
勢いよく抱き付くヴィヴィオをベンチに座るながら支えるバルト。人目を気にせず今までの空白の時間を取り戻すかの様にしっかりと抱きしめ合った。
そしてそんな2人を祝福するように優しい風が2人を包み込んだ………
後書き
取り敢えずこれでIFは終了の予定です。
次は後日談でギャグ予定。
ドキッ、問題だらけの慰安旅行です。
多分2話構成かな………
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