八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十八話 出発前にその九
「奈良はその上をいっているな」
「何か聞く限りでは本当に奈良は酷い先生が多いみたいだね」
「うむ、剣道を教える立場でもな」
「剣道は人の道を教えるものでもあるって聞いてるけれど」
「剣を持つ資格すらない輩もいる」
留美さんはこの上ない軽蔑を込めて言った。
「中にはな」
「円香さんが言った人みたいに」
「何故中学生に突きをしてはいけないか」
留美さんは円香さんが話したことのことから言った。
「それはまだ中学生が発育途中でまだ身体が出来上がっていないからだ」
「そうした来に突きをしたら」
「危険だ、下手をすれば大きな怪我につながる」
「だからしたらいけないんだよね」
「ましてや一本を取られない様なシャベル突きか」
「思いきり下から上に突き上げる?」
僕はここで実際にシャベルで土を掘り起こす動作をした。下からすくい取ってそのうえで上に放り投げる動作だ。
「こういう感じで」
「そんな突きでは一本どころか警告だ」
「出したらいけない技だから」
「そんな技を生徒にするか」
ましてや中学生にだ。
「言語道断だ」
「そうだよね、素人が聞いても思うよ」
「他にも竹刀を蹴飛ばしたりしたそうだが」
「バスケで言うとボールを蹴る様な」
「バスケでするか」
「そんなことしたら怒られるよ」
ほぼ確実にだ。
「先生から本気でね」
「その様なことは剣道家はしない」
「絶対にだね」
「その教師は剣道家ではない、そして剣道をしていない」
「じゃあ何なのかな」
「暴力を振るっているだけだ」
はっきりとした嫌悪を向けてだ、留美さんは言い切った。
「外道だ」
「外道なんだ」
「そうだ、人としていてはならない外道だ」
「許しておけないんだね」
「そうした輩が剣道を腐らせるのだ」
「ううん、そこまで言うんだ」
「実際にそう思うからだ、奈良は美しい場所と聞いているが」
心で嘆息しながらの言葉だった。
「腐り果てた輩もいるな」
「ううん、そうみたいだね」
「そうした教師が懲戒免職にならないということは恐ろしい話だね」
「中々表に出ないらしいよ」
僕は部活で先生に言われたことを留美さに話した。
「どうしてもね」
「隠蔽されるのか」
「うん、学校の中でね」
「そしてそうした教師が大手を振って歩けているのか」
「そうみたいだね」
「おぞましいことだ、私ならそうした教師には近寄らない」
「絶対にだよね」
「近寄っていいことはない」
留美さんはここでも断言した。
「何一つとしてな」
「教わってもなんだ」
「その様な輩が人に教えられるか」
また言い切った。
「まともなことをな」
「それはないね」
「腐った輩が教えることは腐ったものだ」
「そうしたものしか持っていないからかな」
「そうだ、まともなことは教えられない」
「それでだね」
「近寄らない」
やはり絶対にと言う留美さんだった。
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