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Gカップ★グラドル

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1部分:第一章


第一章

                    Gカップ★グラドル
「ううん、もう一杯」
 ベッドの中で下着姿の女が寝言を言っている。
「もう一杯だけ頂戴、もう一杯だけでいいから」 
 下は白のショーツで上はショーツと同じ色のタンクトップである。胸はかなり大きく寝返りをうつ度に胸が揺れる。胸だけでなく全体的なプロポーションもいい。
 髪形は短めでショートよりも少し長いといった程度である。黒い髪の量はかなり豊かで癖のある髪だ。そのせいでショートにはとても見えない。
 閉じられた目は二重で顔全体としては童顔である。奇麗ではないが可愛いといった顔立ちであった。歳は二十位であろうか。高校生よりも大学生の感じがする。
「飲ませてよ。そうしたら帰るからあ」
「帰る前に起きなさい」
 そう言っていきなり頭を叩く者がいた。
「ふえ!?」
「ふえ!?じゃないわよ」
 彼女がぼんやりとした目を覚ますとそこには白いカッターを上に着ただけの女がいた。黒く腰まである髪を後ろで束ねて切れ長の二重の目に透き通った鼻立ち、引き締まった唇をしていた。大人びた感じの美女であった。
「いい加減起きなさい。もう朝よ」
「あれ、あたし何時の間にベッドに!?」
「昨日苦労してここまで担ぎ込んだのよ」
 カッターの女は目を怒らせてこう述べた。半ば開いた胸元と白い素足がやけに艶かしい。ベッドの上で目をぱちくりさせている彼女とは違った意味で色気が漂っている。
「全く、お酒ばかり飲んで」
「カロリーは控えめにしてるわよ」
 女はそう言って起き上がる。そしてベッドの上であぐらをかきながらカッターの女に答えた。
「これでもね」
「それでもあれだけ食べたら同じでしょ」
 カッターの女はむっとした声で述べる。
「暴飲暴食は肥満の元」
 こうも言う。
「グラドルなんだからね、注意しなさい」
「厳しいなあ、山本ちゃんは」
 女は怒られながらベッドの上で頭をかいていた。
「大丈夫よ、ランニングもしてるじゃない」
「それでも節制は必要なのよ」
 山本と呼ばれたカッターの女は怒ったまま言い返す。
「只でさえそれだけ大きな胸持ってるのに」
「ああ、これね」
 応えるかの様に自分で二つの胸を持ってみる。乳首がタンクトップの上から浮かび上がる。
「これがあたしの売りなのよね」
「そうよ、今のところはね」
 山本はその大きな胸を見ながらまた述べた。
「けれどあんたはそれだけじゃないでしょ」
「そうかなあ」
「そうかなあって」
 彼女の素っ気無い言葉につい怒りを覚えた。
「あのね、あんたは私が見つけたのよ」
「山本ちゃんが?」
「オーディションで。あんたはできるのよ」
「芸能界で?」
「その顔と胸だけじゃないんだから、それはよく認識しなさい」
「他にあったっけ」
「歌上手いじゃない」
「カラオケ好きだから」
「お笑いもできるし」
「子供の頃から吉本とか観てたしね」
「お芝居上手いし」
「高校の頃演劇部だったから」
 彼女は次から次に答えていく。実に淀みない返事であった。
「それだけのものがあるのよ。だから選んだのよ」
 山本の言葉は異様なまでに力がこもっていた。
「奥田恵理香」
 そして彼女の芸名を呼んだ。本名でもある。
「期待しているのよ、絶対にやれるって」
「けれどオーディションも何となく受けたものだし」
 本人はあまりやる気のない仕草で頭をかきながら述べた。
「それにマンションで暮らせるって聞いて喜んで事務所に入ったのに。詐欺よ」
「マンションじゃない、しかも都心の立派な」
「山本ちゃんと一緒じゃない。何でよ」
「当然でしょ。タレントの健康管理の為に」
 山本は毅然として答える。
「一緒にいないと。あんた唯でさえ自堕落なんだから」
「あたしは伸び伸びとしたいのよ」
「伸び伸びしてたらあっという間に太るわよ」
「別に太ってもいいし」
「あんたはよくても私はそうはいかないの」
 声が厳しくなった。
「タレントなんだからきちっとしなさい」
「別にタレントじゃなくてもいいんじゃ、それじゃあ」
「文句言わない。さあ、早く起きなさい」
「はぁい」
 言い合いは山本の勝ちであった。恵理香は仕方なくベッドから出る。そしてまずは赤いジャージの上下を着た。山本はその横でカッターを脱いでいた。白いシックな下着姿で彼女もスレンダーないい身体をしていた。

 
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