Ｂｌｕｅ　Ｒｏｓｅ

「僕が子供の頃に死んでからね」
「ずっと二人で一緒だっただろ」
「二人で暮らしてきたよ」
「二人だけの家族だろ、だからな」
「余計になんだね」
「御前と優子さんの絆は強いんだよ」　
　他の家族よりもというのだ。
「血だけじゃなくてな」
「絆だね」
「凄く強いそれがあるからな」
「そういうことだね」
「それに優子さんは一本気な人だよ」
　これ以上はないまでにというのだ。
「だからな」
「僕をだね」
「絶対に守ってくれる、そうした人だからな」
「安心してだね」
「あの人を頼れ、いいな」
「うん、わかったよ」　
　優花は龍馬のその言葉に頷いた、そしてだった。
　あらためてだ、龍馬にこう言った。
「姉さんを何があってもね」
「信じるな」
「そうするよ」
「そうあるべきだな」
「姉さんもだね」
「うん、絶対にね」
　確信してだ、優花は言った。
「姉さんは僕を信じているからね」
「何があってもな」
「ずっとそうだったし」
　それにというのだ。
「今もこれからもね」
「優子さんが御前を信じていない筈はないんだよ」
　龍馬もだ、絶対にと言う。
「御前が優子さんを信じているのと同じでな」
「そうだよね」
「ああ、だからな」
　それでというのだ。
「優子さんもだからな」
「そうだよね、姉さんも僕のことをね」
「だから安心しろ、御前には優子さんがいてな」
　龍馬は優花にだ、さらに言った。
「俺もいるからな」
「龍馬もだね」
「優子さんには負けるさ」
　優花の唯一の家族である彼女にはというのだ。
「そうしたことは、けれどな」
「それでもなんだ」
「俺だってな、御前と物心ついた時から一緒にいただろ」
「友達としてね」
「俺も御前に何があってもな」
「傍にいてくれるんだ」
「このことは約束するさ」
　強い、それこそ鋼の様に強くそうでいて絹の様に優しい言葉だった。
「俺は約束を破ったことあるか？」
「いや、ないよ」
　優花は自身の記憶から龍馬に答えた。
「僕の知る限りね」
「出来ないことは最初からな」
「約束しないんだね」
「俺はな、だからな」
「僕とのことも」
「ああ、約束する」
　絶対にという言葉だった。
「俺も何があっても御前といつも一緒だ」
「傍にいてくれるんだね」
「何かあったら俺にも言ってくれ」
　やはり強く優しい言葉だった、ここでも。
「いいな」
「うん、僕には姉さんと龍馬がいるんだね」
「御前がどうなってもな」
　龍馬は自分が考える限りで事態を想像してだった、そのうえで優花に言った。
「俺は御前の傍にいるからな」
「僕が人間じゃなくなっても？」
「サイボーグとかか？」
「うん、化けものになったりとか」
「そんなことあるか、けれどな」
　そうした仮想的なものは否定した、だが。