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遊戯王GX 〜漆黒の竜使い〜

作者:ざびー
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episode6 ーQueenー

 授業終わり、何をするでもなくぶらぶらと校内を散歩しているとデュエルコートのある方角へ駆けていく生徒たちが目についた。何か行われるのだろうか? などと考えていると、見知った人物を見かけ思わず声をかけてしまっていた。

「ジュンコ先輩! モモエ先輩!あの……どうしたんですか?」

「……っ! 華蓮さん」

 急に声をかけられ驚いた様子の二人。だが、両者顔を見合わせ、先輩たちの間でアイコンタクトが行われると、両腕をそれぞれに捕まれてしまう。

「……え?」
「ちょうどいいところにいましたわね」
「あなたも来なさい」

 困惑気味な私を無視し、両腕を引かれ、強引に連れて行かれてしまう。

 ◆◇◆

 デュエルが行われる、という私の予想はあっていたようで皆、それを観に急いでいたらしい。それも対戦カードは、学年トップクラスである明日香さんと万丈目さん。

 どうやら、〈光の結社〉とやらに入会した万丈目さんがデュエルをふっかけては、オカルト宗団に引きずり込んでいるらしく、それを見かねた先輩がデュエルを挑んだらしい。

 なんでも、〈光の結社〉の一員にデュエルして敗北した人たちは皆、信者になっているらしい。モモエ先輩たちから聞いた話では、「斎王様の素晴らしさに気づかされた」とか言っているようだ。なんとも不思議な話だ。

 先輩方に引かれ、デュエルコートに着いた頃には、すでに中央のデュエルコートで白いコートを羽織った万丈目さんと、青色の制服を着た明日香さんが向かいあっていた。
 ギャラリーもそれなりにいて、万丈目さん側には白の制服を着た生徒が、明日香さん側には赤・青・黄と入り混じって座っていた。白の制服が、〈光の結社〉の証みたいだ。

「おっ、華蓮も来たのか!」

 最前列にはいつもの三人と、彼らの親しげに話すイエローの生徒が居た。先輩に尋ねてみると、ラー・イエローの首席、三沢 大地さんと言うらしい。

 遊戯先輩方の近くに座ると、中央のステージがよく見えた。ツンツン頭の万丈目さんと対峙していた明日香さんが一度振り返ると笑みを浮かべた。誰に向けたものかはわからないが、「勝ってみせる」と強い意志を感じさせるような表情だった。

「さて、天上院くん。ギャラリーも集まってきたことだしそろそろ始めようか」
「ええ、そうね」

 万丈目さんの言葉に同意し、互いに決闘盤を構える。

「ふ、このデュエルが終わった暁には君も光の結社の素晴らしさに気づくことだろう」
「それはどうかしらね。逆に目を醒ますことになるのは、あなたよ。万丈目くん?」

 キザっぽい口調の万丈目さんにたいし、鋭い口調で返す明日香さん。
「明日香さん、頑張って〜!」とエールを送られる中、アカデミアトップクラスの二人のデュエルが開始された。

 [万丈目 準]LP4000
  VS
 [天上院 明日香]LP4000


「先行は貰ったわ!私のターン、ドロー!」


 先に手札を5枚ドローし、先行を取ったのは明日香さん。


「魔法カード〈融合〉を発動!手札の〈エトワール・サイバー〉と〈ブレード・スケーター〉で〈サイバー・ブレイダー〉を融合召喚!」

 〈サイバー・ブレイダー〉☆7
 ATK/2100


 いきなり手札三枚を使用して、召喚されたのは〈サイバー・ブレイダー〉。攻撃力は低いが、それを補う強力な効果を秘めている。


「知っているとは思うけれど、〈サイバー・ブレイダー〉は、相手フィールドのモンスターの数によって効果が変化するわ」

 一体の時は、自身の戦闘破壊を無効にする〈パ・ド・ドゥ〉。
 二体の時は、攻撃力を倍加する〈パ・ド・トロワ〉。
 三体の時は、相手のあらゆるカード効果を無効にする〈パ・ド・カトル〉。

 どれも強力な効果だが、0体。もしくは、四体以上の時では効果を得られないという弱点を持っている。だが、さすがはトップクラス。しっかり弱点を克服してくる。

「永続魔法〈地盤沈下〉を発動!万丈目くん、あなたのモンスターゾーン二箇所を使用不可にするわ!」
「なるほど。俺のモンスターの展開を妨害し、さらに〈サイバー・ブレイダー〉のための舞台を整えてくるか」


 万丈目さんサイドのフィールドの一部が陥没し、モンスターがとても出せるような状況ではなくなる。これで、〈サイバー・ブレイダー〉の効果は遺憾なく発揮されることになる。

 自分に有利な盤面を作り上げつつある明日香さんに対し、万丈目さんは一切焦りを感じさせない、余裕のある表情を浮かべる。まるで「このくらい想定済み」とでも言っているかのようだ。

「その余裕すぐに消し飛ばしてあげるわ。カードを二枚伏せ、ターンエンド!」


 [天上院 明日香]
 LP4000
 手札0枚
 魔法・罠:伏せ二枚
 〈地盤沈下〉

 場
 〈サイバー・ブレイダー〉


「いくぞ、俺のターンドロー!〈天使の施し〉を発動し、三枚ドローして二枚捨てる。さらに、手札から捨てられた〈おジャマジック〉の効果によりデッキからおジャマ3兄弟を手札に加える!そして、通常魔法〈おジャマ・ゲットライド!〉発動!手札からおジャマ3兄弟を捨て、デッキからレベル4以下の機械族・ユニオンモンスター三体まで守備表示で特殊召喚する!来い、〈W_ウィング・カタパルト〉!〈Y_ドラゴン・ヘッド〉!」

 〈W_ウィング・カタパルト〉☆4
 DEF/1500

 〈Y_ドラゴン・ヘッド〉☆4
 DEF/1600


 手札が物凄い速度で、入れ替わり現れたのは、二体のユニオンモンスター。ユニオン合体と特殊な融合方法を持つモンスターたちだが、パーツが足りない。

「俺はまだ召喚を行っていない。手札から〈V_タイガー・ジェット〉を召喚!そして、フィールドのVXを除外し、合体しろ!〈VX_タイガー・カタパルト〉!」


 〈VX_タイガー・カタパルト〉☆6
 ATK/2000


 変形、合体。二体のモンスターが連結し、新たなモンスターとして現れる。少年の心を擽るような演出に、遊戯先輩がおおっ!と嬉しそうな声を上げた。


「さらに〈融合識別(フュージョン・タグ)〉を〈ドラゴン・ヘッド〉に発動する。融合デッキの〈XYZ〉をオープンし、このターン対象モンスターを融合素材とする場合、〈XYZ〉として扱う!さぁ、合体だ!〈VX〉と〈ドラゴン・ヘッド(XYZ)〉を除外し、融合合体!出でよ、〈VXXYZ_ドラゴン・カタパルトキャノン〉!」

 〈VXXYZ_ドラゴン・カタパルトキャノン〉☆8
 ATK/3000

「うわっ……凄い」

 悠然と佇むその勇姿を見上げ、思わず感嘆の声を漏らしていた。
 召喚自体が困難なはずのVXXYZをわずか1ターンで、しかも相手の妨害がある状況下でだ。この人、強い……!

「天上院くん、済まないが〈サイバー・ブレイダー〉には召喚早々に退場してもらう!〈VXXYZ〉の効果発動!〈 サイバー・ブレイダー〉をゲームから除外する!」
「くっ……!」

 〈VXXYZ〉の両肩に取り付けられた砲塔が、明日香さんの〈サイバー・ブレイダー〉を補足し、砲口にあらゆる障害を消し飛ばすエネルギーが収束されていく。これが決まってしまえば、相当の痛手。緊張で汗が頬を伝う。

「そう思い通りにいくと思って? リバースカードオープン!〈スキル・プリズナー〉発動!〈サイバー・ブレイダー〉を対象した〈VXXYZ〉の効果を無効にする!」

 凄まじい轟音を響かせ、エネルギー砲がサイバー・ブレイダーめがけ発射。しかし、ブレイダーは、目の前に発生した力場によって消滅を免れた。

「ならば、バトルだ! 〈VXXYZ〉で〈サイバー・ブレイダー〉を攻撃! VXXYZ_アルティメット・ディストラクション!!」
「〈サイバー・ブレイダー〉の効果により、戦闘破壊を免れるーー」

 エネルギーの奔流がサイバー・ブレイダーめがけ放たれる。戦闘破壊こそされないものの、ダメージを受けるのは確実。だが、攻撃が放たれる瞬間、先輩が伏せていたもう一枚のカードが表になった。

「ーーなんて言うと思ったかしら? 甘いわよ!」
「なにっ!?」
「リバースカードオープン!〈ギブ&テイク〉発動!万丈目くん、あなたのフィールドに〈ブレード・スケーター〉を守備表示で特殊召喚し、ターン終了時までそのレベル分、私の〈サイバー・ブレイダー〉のレベルをあげる! 」

 〈ブレード・スケーター〉☆4
 DEF/1500

 〈サイバー・ブレイダー〉☆6→10


 万丈目さんのフィールドにモンスターが召喚され、明日香さんのモンスターのレベルが増える。一見相手の壁を増やしただけで無意味に思える。だが、その意味は十分にある。

「あなたの場のモンスターが二体となった事で〈サイバー・ブレイダー〉の効果が切り替わり、攻撃力が倍になる!パ・ド・トロワ! さらに、フィールドのモンスター数が増えたのは、万丈目くん……攻撃側のため、戦闘の巻き戻しは発生しないっ!!」
「なにぃぃぃ!?」
「迎撃しなさい!〈サイバー・ブレイダー〉! グリッサード・スラッシュ!」

 〈サイバー・ブレイダー〉
 ATK/2100→4200

 [万丈目 準]LP4000→2800

 力を溜め、放たれた強烈な蹴り技がVXXYZに炸裂し、その巨大なボディに罅を入れる。小さな罅は、やがて亀裂となり、合体ロボは脆くも崩れ去った。

「ふっ、私だって成長しているのよ、万丈目くん。油断してたら、残りライフもすぐに吹き飛ぶわよ」
「くっ……!」

 肩にかかった艶やかな金糸を払い、優雅に挑発する先輩。私には、到底出せないであろう大人な魅力に思わず見惚れる。万丈目さんは、悔しげに表情を歪めたのは一瞬だけ、すぐに余裕のある笑みを浮かべて見せた。

「さすがだ、天上院くん。まさか反撃されるとは思ってもみなかったよ。だが、俺の運命はこれしきでは揺るがない!カードをセットし、ターンエンド」


 [万丈目 準]
 LP2800
 手札二枚
 魔法・罠:伏せ一枚
 場
 〈ブレード・スケーター〉


 最上級モンスターを召喚したはずなのに、手札は二枚残っており余力を残している。対する明日香さんは、〈VXXYZ〉を倒すために手札・フィールドのほとんどを使ってしまっており、残っているのは〈サイバー・ブレイダー〉しかいない。
 ここは、相手に反撃の機会を与える前に攻めたいところだろうか?

「私のターン、ドロー!〈強欲な壺〉を発動し、二枚ドロー!そして、儀式魔法〈高等儀式術〉を発動!デッキからレベル6通常モンスター〈逆転の女神〉を墓地に送り、手札の〈サイバー・エンジェルー韋駄天ー〉を儀式召喚!」


 〈サイバー・エンジェルー韋駄天ー〉☆6
 ATK/1600


 奇跡のドローで、見事エール級のモンスターを召喚した明日香先輩。だが、彼女の猛攻は止まらない。

「韋駄天の効果により、墓地の〈強欲な壺〉を手札に加え、発動!二枚ドロー!〈儀式の準備〉を発動し、デッキから〈韋駄天〉を手札に加え、〈高等儀式術〉を墓地より回収し、発動!二枚目の〈逆転の女神〉を墓地におくり、〈韋駄天〉を儀式召喚!効果で、〈強欲な壺〉を手札に戻し、発動。二ドロー!さらに〈サイバー・プチ・エンジェル〉を召喚!デッキから〈機械天使の儀式〉を手札に加えて、発動!レベル2〈プチエンジェル〉とレベル6〈韋駄天〉を生贄に現れろ!最強の機械天使!〈サイバー・エンジェルー荼枳尼ー〉!」そして、〈荼枳尼〉の効果でモンスターを破壊してもらう!ライフ800を払い、〈契約の履行〉を発動!墓地から〈韋駄天〉を特殊召喚して、装備!そして、〈韋駄天〉の効果で〈儀式の準備〉を手札に加え、発動!〈韋駄天〉を手札に加え、〈高等儀式術〉を手札に戻し、発動!三体目の〈逆転の女神〉を墓地に送り、〈韋駄天〉を儀式召喚!効果で、〈強欲な壺〉を手札に戻し、発動!二枚ドロー!!」


 〈サイバー・エンジェルー荼枳尼ー〉☆8
 ATK/2700

 [天上院 明日香]LP4000→3200

 止まらない効果、召喚、そしてドロー。勝利へのラインが繋がったと言わんばかりにモンスターが次から次へと呼び出され、儀式モンスターが四体並び、フィールドが埋まり、その片手間に万丈目さんの壁も粉砕されている。
 これら全てが一呼吸のうちに行われ、会場にいる誰もが唖然とさせられた。
『最強のデュエリストのドローは、全て必然』という格言があるが正しく今の状況を指すのではないか、と思うような神懸かった引きだった。

「さぁ、覚悟しなさい! 私のモンスターたちであなたの目を醒ましてあげるわ!〈荼枳尼〉でダイレクトアタック!」

 薙刀を振り上げ、万丈目さんへと斬りかかる。攻撃が通れば、勝ちなのだがやはり上手くはいかない。
 振り下ろされた薙刀は、赤黒い光が渦巻く力場によって防がれる。

「リバース発動。〈攻撃の無力化〉!バトルフェイズを終了してもらおうか」
「……やっぱり伏せていたわね」


 ハンドレスから始まり、フィールドに強力なモンスターを並べた明日香さんを前にしても、万丈目さんは一切動じた様子を見せない。まるで自らの勝利を確信しているかのよう。
 だが、明日香さんもモンスターを召喚し、手札を補充した事で余裕が生まれたのか初めより、表情がいくらか明るい。


「カードをセット。さぁ、来るなら来なさい!」


 [天上院 明日香]
 LP3200
 手札二枚
 魔法・罠:伏せ一枚
 〈地盤沈下〉
 〈契約の履行〉

 場
 〈サイバー・ブレイダー〉
 〈サイバー・エンジェルー韋駄天ー〉
 〈サイバー・エンジェルー韋駄天ー〉
 〈サイバー・エンジェルー韋駄天ー〉
 〈サイバー・エンジェルー荼吉尼ー〉


 明日香さんのフィールドに存在する五体のモンスターが凄まじい圧力を放つなか、万丈目さんが2ターン目を迎える。

「俺のターン、ドロー!まずは〈強欲な壺〉を発動。二枚ドローさせてもらおうか」

『〈強欲な壺〉が入ってないデッキはデッキじゃない』と言わしめた魔法カードを、やはり、万丈目さんも手札に加えてきた。手札を4枚へと増やした彼は明日香さんのフィールドを制圧するべく動き出した。

「永続魔法〈異次元格納庫〉を発動!デッキから〈B-2 クワガターボ〉、〈B-3 スパイダーベース〉、〈オイルメン〉の三体を除外!さらに手札から〈予想GUY〉を発動し、デッキから〈B-1 カブトップ〉を特殊召喚!そして、この瞬間、〈異次元格納庫〉の効果発動!出でよ、〈クワガターボ〉!〈スパイダーベース〉!」


 宙に浮かぶコンテナが開かれ、今収納されたばかりのモンスターたちが飛び出してくる。これで、B-1、B-2、B-3の三体が揃った。

「さぁ、斎王様から授かった俺の新たな力を見せてやろう!カブトップ、クワガターボ、スパイダーベースの三体を除外し、融合合体!出撃せよ、〈アサルト・キャノン・ビートル〉!」
「……また、合体モンスター!」

〈アサルト・キャノン・ビートル〉☆8
ATK/2400

よこ一列に並んだモンスターたちが空中へと飛び上がり、合体。連結し、一体のモンスターになる。三体のモンスターが並んだ時点で〈サイバー・ブレイダー〉の効果無効効果は発動されているが、この融合召喚はルール効果。如何に〈サイバー・ブレイダー〉と言えども防げない。

「〈アサルト・キャノン・ビートル〉の召喚時に〈異次元格納庫〉の効果が発動され、除外されていた〈オイルメン〉が特殊召喚される。そして、〈アサルト・キャノン・ビートル〉の効果発動!〈オイルメン〉を墓地に送り、800ポイントのダメージを与える!ファイヤァー!」
「くっ……!」


[天上院 明日香]LP3200→2400


ビートルの角から雷撃が放たれ、明日香さんを襲う。これでライフは逆転してしまう。

「まだだ!〈Z_メタル・キャタピラー〉を召喚!そして、〈アサルト・キャノン・ビートル〉の効果で墓地に送り、800ポイントにダメージだ!」
「くっ……姑息な手を」

[天上院 明日香]LP2400→1600

再び雷撃が角から放たれ、明日香さんを襲う。効果ダメージの不快な衝撃に晒されながらも、その瞳は諦めていない。

「さぁ、これで終わりにしてやろう!〈アサルト・キャノン・ビートル〉で、〈サイバー・エンジェル ー韋駄天ー〉を攻撃!」
「やらせはしないわっ。リバースカードオープン!〈魔法の筒(マジック・シリンダー)〉発動! その攻撃、そのままお返しするわよ!」

アサルト・キャノン・ビートルの一斉掃射は魔法の筒によって、捻じ曲げられ、自身を襲うハメになる。万事休すかと思われたその時、フィールドからアサルト・キャノン・ビートルの姿が忽然と消える。
そして、重々しい羽音を響かせ、アサルト・キャノン・ビートルのいた位置へと新たなモンスターが降り立った。

「なにっ!?」
「何も驚くことではない。俺は〈魔法の筒〉に対し、〈フロント・チェンジ〉を発動させたまで。それによって、〈アサルト・キャノン・ビートル〉は融合デッキへと戻り、〈コンバット・シザー・ビートル〉が召喚されたのだ!」

〈コンバット・シザー・ビートル〉☆8
ATK/3800

〈アサルト・キャノン・ビートル〉より一回り大きく、そして厳つい機械族モンスターが、明日香さんの前に立ち塞がる。しかも、反撃の〈魔法の筒〉は不発に終わり、バトルフェイズ中の召喚のため、万丈目さんには攻撃権が残っている。絶対絶命だ。

「さぁ、今度こそ終わりだ、天上院君!〈コンバット・シザー・ビートル〉で〈韋駄天〉を攻撃!」
「明日香さんっ!」


コンバット・シザー・ビートルが鋼鉄の羽を震わせ、韋駄天へと突撃を開始する。韋駄天こそ、鉄扇を構えるも攻撃力の差は歴然。コンバット・シザー・ビートルの前に呆気なく粉砕される。

「そして、〈コンバット・シザー・ビートル〉は戦闘で相手モンスターを破壊した時、1000ポイントのダメージを与える!受け取れ、我らが斎王様の光の洗礼をっ!!」
「っ!? キャァァァァァ!」

[天上院 明日香]LP1600→0

不必要なはずの追撃。放たれた光線が明日香さんの体を貫き、衝撃に震える。力なくフィールドの上で倒れ伏す明日香さんへと万丈目さんが歩み寄る。一方で、ふらふらとおぼつかない様子で、立ち上がる明日香さんを心配し、十代先輩達と一緒に駆け寄った。心配させまいと、笑みを浮かべるが、私たちを見ているようで見ていない。何所か別の場所を見ているような気がした。

「心配しないで、みんな。……私は素晴らしい体験をしたのだから」
「えっ……?」

虚ろな光が灯った瞳を天上へと向ける先輩。思いがけない言葉が私たちを驚愕させた。

「これで私も光の結社の洗礼を受けられたのね」
「ふっ、そういうことだ」

「そん、なっ……」

凛々しく、優しい明日香先輩の姿はなく、私の目の前に立っているのはまるでに明日香先輩に似た別人のようだった。

 
 

 
後書き
《おジャマ・ゲットライド!》
通常魔法
手札の「おジャマ・イエロー」「おジャマ・グリーン」「おジャマ・ブラック」を
1体ずつ捨てて発動する。
デッキからレベル4以下の機械族ユニオンモンスターを3体まで選択して
自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは表示形式を変更する事ができない。

《異次元格納庫》
永続魔法
永続魔法
デッキからレベル4以下のユニオンモンスター3枚を除外して発動する。
自分はモンスターを召喚・特殊召喚に成功した時、
そのカードに装備可能な除外された自分のユニオンモンスターを、
任意の枚数特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚されたモンスターは攻撃できず、
アドバンス召喚の為にリリースすることもできない。

《アサルト・キャノン・ビートル》
融合モンスター
星8/地属性/機械族/攻 2400/守 2800
「B-1 カブトップ」+「B-2 クワガターボ」+「B-3 スパイダーベース」
自分の場に存在する上記のカードをゲームから除外した場合のみ、エクストラデッキから特殊召喚できる
(魔法カード「融合」は必要としない)。
自分の場のモンスター1体を墓地に送る事で、相手に800ポイントのダメージを与える。

《フロントチェンジ》
速攻魔法
自分フィールド上に表側表示で存在する「アサルト・キャノン・ビートル」
または「コンバット・シザー・ビートル」1体を選択して発動する。
選択したモンスターをエクストラデッキに戻し、
もう一方のモンスター1体を召喚条件を無視してエクストラデッキから特殊召喚する。

《コンバット・シザー・ビートル》
融合モンスター
星8/地属性/機械族/攻 3600/守 1800
「フロントチェンジ」の効果によってのみ、エクストラデッキから特殊召喚できる。
このカードが戦闘でモンスターを破壊して墓地へ送るたびに、相手に1000ポイントのダメージを与える。

ホワイト万丈目サンダーの未OCGカードを載せておきます。《サイバー・エンジェル》は、TFを参考にしてくだされ。
 
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