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クロノス

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レポート№001 雨切 海斗

 
前書き
どうもお久しぶりです。
ぼちぼちですが、書いていこうと思います。 

 
"雨切 玄時(アマギリ ゲンジ)"。
俺の父さんの名前だ。
父さんはとある理由で連合軍に入ることになった。
というのも、軍に入るまで俺の父さんは"軍事学者"というのをやっていたらしく、
戦争についての知識や、戦略を練るなど軍にとってはこれ以上ない利益だったのだ。
当初、連合軍は父さんを連合軍の参謀に組み込もうとしたそうなんだが、

「自分が立てた作戦で多くの兵士が死んでしまうかも知れないのに、
 肝心の自分が戦場にいないなんてのはもってのほかだ。」

という言葉できっぱりと断られてしまったらしい。
その後、父さんのその度胸が認められ、日本国第4部隊に配属されることとなった。
配属から約3年半ほどのこと。
2189年、ブラジル奪還戦。
当時、二等兵だった父さんは先の戦闘で死亡した隊長に代わり、
戦略を立てて見事、死地からの脱出に成功する。
そのあとも華麗な作戦で次々とクロノス軍を翻弄していく。
2192年、ブラジル奪還戦終戦。
結果は大勝利になり、戦場にて数多くの部隊の指揮をとった父さんは
その業績が非常に高く評価され、二等兵から曹長に昇格する。
俺が13歳になる頃には、父さんは少尉になっていた。
尋常じゃないくらいのスピード昇格だった。
そんな俺の父さんは周りの友達たちの憧れになっていた。
気が付くと俺の父さんの話をしている。
俺も仲の良い友達から父さんの話をよく聞いていた。

「なぁ、海斗。
 お前のオヤジさん"日本の英雄"なんて呼ばれてるらしいぜ。 すげぇなーー。」

俺はそんな風に思われてる父さんが誇り高かった。
俺の母さんも父さんのことをすごく慕っていて、誇りに思っていた。
ただ、悲しいと思っていることもあった。
それは、俺が父さんの顔を知らないことだ。
だが、俺はそれでも満足だった。
たまに友達から父さんの話を聞くことで父さんが今も生きていることを確認できる。

しかし、そんな日々はある日、突然崩れることになる。
2205年、クロノス国脱出戦。
以前にクロノス国に潜入していた連合軍の部隊が突然クロノス軍に見つかり、
クロノス国から脱出するために起こった戦争であった。
これまでの戦争とは明らかに違っていたため、3日で戦争は終わった。
結果は惨敗。
多くの兵士がクロノス国を脱出することなく死んだ。
そのなかには日本国第4部隊の文字も書かれていた。
俺は咄嗟に背中に悪寒がした。
翌朝の日本の記事のトップには、今回の戦争で命を落とした日本兵の名前が書かれていた。
とてつもなく嫌な予感がして、俺はその記事を読まなかった。
気を紛らせるために目の前のテレビをつけたが、それは間違いだった。

「戦場から帰還してきた日本国第4部隊の方が抱き抱えていた右腕の
 DNA鑑定の結果ではこの右腕はかつて"日本の英雄"と呼ばれた
 雨切 玄時さんのものであることが判明いたしました。」

俺はそこで初めて父さんの顔を知った。
父さんは俺が生まれる直前に軍に戻ってしまってそれきりだった。
父さんが死んだ。
単純で現実味のない言葉は辺りの空気を一変させた。
その言葉を聞いて衝撃を受けたのは、母さんのほうだった。
だがそれも当然と言えば当然だった。
途端に母さんはその場で気を失い、糸が切れた人形のように崩れるように倒れた。
それからは精神が不安定な母さんの介護をひたすらするだけだった。
脱け殻のようになった母さんに話し掛けようと努力したためか、
1年以上経過したある日、
母さんが久しぶりに俺に話をしてくれた。

「あなたに教えていない秘密があるの。
 父さんの部屋に置かれたままになっている本棚があるの。
 その本棚の中央にある赤い本を押してみなさい。」

俺は少し驚いて母さんにまた声を掛けたが完全に耳に入っていないようだ。
仕方ないので俺は例の本棚の中央にある赤い本を押してみた。
すると父さんの部屋の床が稼働し、隠し通路が現れた。
恐る恐るなかに入ると、そこにはありとあらゆる戦術の知識や戦闘の技術などが
書いてある書物が何百冊と保管されていた。
それと同じように大量の保存食も保管されていた。
今となっては食料は配給のため家族の一食を補うので限界である。
いざとなればここに逃げ込むことができる。
その安心感はすごいものだった。
それからさらに時が進み俺は16歳になった。
この日は母さんのお葬式だった。
もともと病弱だった母さんは父さんが亡くなったことで精神的ショックを受け、
病状が悪化したのだそうだ。

そうして、こうも簡単に俺は1人になってしまった。
俺は1つの覚悟を決めた。
連合軍に入って必ず父さんの敵をうってくると。 
 

 
後書き
いやぁ、我ながら頑張りました。
ですがエピソード1にしときながら結果はまだプロローグと変わりませんね。
次回をお楽しみに。 
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