Blue Rose
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第五話 姉の苦悩その十九
「どうもね」
「そうしたふうなのね」
「どうしてかね」
「そうね、まあ気にしないでいいわ」
「別になんだ」
「そう言っておくわ」
弟に優しい微笑みを向けて言った。
「そうね」
「それじゃあ」
「さて、ゆっくりとお風呂に入って」
「寝るんだね」
「そうするわ」
こう言ってだ、実際にだった。
優子はこの日は風呂で温まった身体でじっくりと寝た、そして朝優花が作ってくれたオムレツとトーストを野菜ジュースと一緒に食べながら言った。
「久し振りによく寝られたわ」
「あれっ、寝ている時間は」
「これまでもよね」
「結構長かったけれど」
「お酒で寝ていたでしょ」
「ああ、睡眠自体はね」
「それ程深くなかったから」
アルコールで寝るとどうしても眠りが浅い、だからというのだ。
「ここまではね」
「深く寝ていなかったんだ」
「けれどね」
「今はだね」
「ええ、よくね」
それこそとだ、オムレツを食べながら微笑んで言った。
「だからすっきりしてるわ」
「それは何よりだね」
「だからこの朝御飯食べてね」
そしてというのだ。
「後はね」
「病院のジムでもだね」
「それはお仕事が終わってからよ」
「思いきり汗かくんだね」
「身体も動かさないとね」
「健康によくない、だね」
「ストレス解消にもなるし」
だから欠かさないというのだ。
「特に自転車よ」
「それで思いきり汗かくんだね」
「そうしてくるわね、あとね」
「あと?」
「昨日言ったけれど」
「ああ、何処かに行く話」
「それするから」
だからだというのだ。
「楽しみに待っていてね」
「それで何処に行くの?」
「まだ決めていないわ」
それはというのだ。
「何時行くかも」
「大阪とか?」
「大阪行きたいの?」
「何となく言ったけれど」
「まあ大阪もね」
大阪と言われてだ、優子はトーストにレーズン入りのマーマレードを塗りながら言った。これも優子の好物である。
「いいわね」
「そうだよね」
「美味しいもの食べられるし」
「お好み焼きとかおうどんとかね」
「安いものばかりね」
「そうかな」
「他にはたこ焼きとかよね」
笑ってだ、弟に言った。
「そういうのもよね」
「難波とか行ってね」
「まあ何処に行くかはね」
「これからだね」
「考えて決めるから」
「それじゃあ」
「楽しみに待っていてね」
決めたその時をというのだ、優花とそうした話もしてだった。
優子は食べ終えて歯を磨くとズボンのスーツに着替えてだ、後片付けをしている弟に対して言った。
「じゃあね」
「うん、行ってらっしゃい」
「今日は元気に頑張って来るわね」
「お酒がないから」
「その分だけね」
「お酒もいいけれどね」
「わかってるわ、楽しくね」
笑顔で応えてだった、優子は明るく家を出た。そのうえで決意に向けて足を踏み出した。
第五話 完
2016・1・18
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