Blue Rose
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第五話 姉の苦悩その十六
「私も」
「そうですね、ですから」
「姉弟の関係はですね」
「家族は確かに血縁によってはじまることが多いですが」
「それだけではありませんね」
「共に暮らしているうちにです」
「その絆が生まれていきますね」
優子はこの事実を言った、自分自身で。
「そうですね」
「はい、そして」
「今の私達はですね」
「絆があります」
紛れもなくというのだ。
「その絆によってです」
「私達は姉弟になっていますね」
「紛れもなく、ですから」
「だからですね」
「その絆によってです」
「私が弟守るべきですね」
「必ず」
何があってもというのだった、院長も。
「若し先生が弟さんを愛しておられるならば」
「愛情があるのなら」
「愛情とは何か」
こうもだ、院長は言った。
「それはその人を守れるかどうかですね」
「何があってもですね」
「私はそう考えていますが」
「そして私はどうか」
「そのことはです」
「私次第ですね」
「そうです、先生が弟さんを愛されていれば」
また言った院長だった。
「お願いします」
「愛とはですね」
「何かと守ることで」
「家族はですね」
「絆です」
「そうしたものですね」
優子は院長に問うて確認していたがそれは半分以上自分自身に言い聞かせているものだった。そしてその言葉を。
あらためてだ、彼女は言ったのだった。
「私はこれまでそうしたものはです」
「どう考えておられましたか」
「そこまで深く、強くは考えてきませんでした」
「そうでしたか」
「しかしです」
ここでも自分に言い聞かせる様にして言った。
「それは、ですね」
「はい、やはり深く強いものであり」
「愛があるのなら」
「そうしなければならないと思います」
「そうですか」
「決められるのは先生ですが」
優子自身だというのだ。
「しかしです」
「それでもですね」
「どうか弟さんをお守り下さい」
心からの言葉だった。
「何とぞ」
「今の状況からもですね」
「出来ればです」
今の様な酒を飲み現実という憂さを消そうとしている状況からというのだ。
「時間がかかろうとも」
「そうしてですね」
「何時か」
「わかりました、何とかです」
「弟さんに話され」
「それからです」
まさにというのだ。
「はじめられて下さい」
「それでは」
優子は院長の言葉に頷いた、そして。
そのうえでだ、こうも言ったのだった。
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