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マネージャーは大変

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7部分:第七章


第七章

 そこに細目でややふっくらとした感じの黒髪の大人の女性と一緒に入った。髪の毛はふわふらとした感じにさせている。服は赤地に白い水玉のワンピースである。
「ねえ有子ちゃん」
「はい」
 その女性が隣にいる房江の言葉に応えた。
「ここのお店は」
「よく行きますよ」
 にこりと笑って答える有子だった。
「このお店美味しいですよね」
「そうだったの。馴染みにお店だったのね」
「はい、そうです」
 笑顔で房江に応える有子だった。
「じゃあ早速座って」
「そうね。食べましょう」
 こうして席の一つに座って向かい合って座ってそのうえで食べるのだった。食べるのは房江は鴨なんば蕎麦で有子はきつねうどんだった。そして二人共同じ五穀御飯を頼んだのだった。
「やっぱりこのお店ではこれですよね」
「五穀御飯なの」
「ええ、私これ好きなんですよ」
 有子はにこにことしながら房江の言葉に応える。
「それに身体にもいいですよね」
「そうなのよね」
「ですから家でも結構こういう食べ物食べるんですよ」
「それはいいことよ」
 有子のそうした嗜好はすぐに褒めた。
「やっぱり声優も身体が資本だからね」
「そうですよね。長く続ける為には」
「そうよ。私も最近は」
「健康には気をつけて、ですか」
「娘にも言ってるんですよ」
 有子は今度は母親の顔を出してきた。声優といえど人間であり家庭がある。それも母親であるからその位置はかなり重要なものである。
「ヘルシーなのが一番だって」
「うちは」
 房江はそれを言われると少しばかり難しい顔になった。
「結構いい加減かしら」
「そうなんですか?」
「けれどお野菜は多く食べるようにしているわ」
「それはですか」
「あとお魚と」
 それもだというのだ。
「鶏肉もね。カロリーとコレステロールには気をつけて」
「じゃあお酒なんかは」
「ビールはできるだけ控えてるわ、それと日本酒もね」
「糖尿病にも気をつけてですか」
「そうなのよ。有子ちゃんは特に喉ね」
 そこを指摘するのである。
「いいわね。それをね」
「わかってます、それはいつも」
「御願いね、本当に」
 蕎麦をすすりながら切実な言葉を出す。
「それは。マネージャーの仕事はね」
「声優の体調管理もなんですね」
「そうよ。有子ちゃんだけじゃなく」
 彼女だけではないというのだ。
「麗子ちゃんも映見ちゃんも祐美ちゃんもね」
「三人もなんですね」
「だって皆私が受け持ってる声優さんだから」
 うどんをすする有子に対して述べる。見れば有子はうどんに唐辛子を入れていない。あえて刺激物を避けているようである。
「それはね。やっぱり」
「どうもすいません」
「何時までも声優さんやってね」
 また言う彼女だった。
「それは御願いね」
「はい」
「それでだけれど」
 そのうえでさらに話す房江だった。
「今度ね」
「今度?」
「四人一緒に私の家でパーティーしない?」
 こう言うのである。
 
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