| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔法少女リリカルなのは~無限の可能性~

作者:かやちゃ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第2章:埋もれし過去の産物
  閑話4「偽善VS想い」

 
前書き
椿sideの話です。足止めの戦いを一応書いておきます。

なお、リーゼ姉妹はバックアップに行っているのでいません。(というか作者が扱いきれない。) 

 




       =椿side=



「っ!!」

  クロノに短刀を突きつけていた手が拘束される。

「クロノ!」

「ユーノか!助かった!」

  ...なるほど。彼はこういうのが得意だったわね。

「葵!」

「了、解っ!!」

     ―――パキィイン!

  葵がレイピアで私を傷つけないように拘束魔法だけを破壊する。
  私が霊力で無理矢理解除してもいいけど、こっちの方がいいからね。

「...相手は魔導師。なら、葵。」

「分かってるよ。ユニゾン・イン!」

  私は葵とユニゾンする。
  ...相手は全員空を飛べるもの。こっちも飛べないとさすがに不利すぎるわ。

「...さて、二人には遠距離の人を相手してもらうわ。」

「は、はいっ!」

「過去とはいえ、強敵揃いですから、侮れませんね...!」

  私が相手をするのは、近接戦にも優れている人達。
  ヴォルケンリッターとかいう四人の内三人と、天使奏、織崎神夜がそういう人物だ。
  ...王牙帝とか言うのは戦況をかき乱すだろうから、有効活用させてもらいましょう。

「...行くわよ!」

「「はいっ!!」

  別に、勝つ必要はない。これは足止めなのだから。
  ...だけど、私は勝つつもりで戦う。
  今までそうしてきたし、これからもそうするつもりだから。
  ...それに、こんな偽善者に負けたくない。
  優輝の想いを理解してない奴に、負けたくない。

「先制攻撃よ。“弓技・火の矢雨”!」

  炎を纏った矢の雨を繰り出し、全員に回避か防御をさせる。
  そこへ、ヴィヴィオとアインハルトが突貫し、遠距離組へと攻める。

「...ガードスキル...“Hand sonic(ハンドソニック)”!」

「っ、来たわね。」

     ―――ギィイイン!

  繰り出された刺突をレイピアで逸らし、避ける。

「(彼女を相手にしている内に他の連中に突破される...なら。)」

     ―――ギギギィイン!!

  両手からそれぞれ生えるように存在する剣をレイピアで防ぎ、大きく弾く。
  そして、私は懐から大量の御札を取り出す。

「葵!少しだけ、足止めよろしく!」

『りょー...かいっ!!」

  ユニゾンが解け、葵が奏の相手をする。
  その間に私は御札に霊力を込めて行く。

「(...私はまじない師じゃないから、こういうのはあまり得意と言う訳ではないけど...。)」

  今組み立てている術式は、霊力の檻で敵を逃がさないようにする結界。
  まじない師ならば範囲が狭ければ数秒でできるのだけど、私だともう少しかかる。

「...さぁ、括目しなさい。我ら式姫と陰陽の力を!!」

   ―――術式“五行結界”

  五行の力を得た五枚の御札は遠くへ散らばり、五芒星を描くように私達を囲うだろう。
  そして、他の御札は全て結界の維持に使われる。

「さぁ...これで私達を倒す事しかできなくなったわよ、管理局!」

「くっ...エイミィ!アリシア!...くそっ、通信が届かない!」

  空間を隔離するこの結界は魔法による通信も拒むみたいね。好都合よ。

「...行くわよ管理局。魔力の貯蔵は十分かしら?」

「くっ...この数の差で思い上がるなよ!」

  クロノも管理局の一員としての想いがある。
  それだけじゃない。管理局としてじゃなく、個人の意志も彼は強い。
  ...偽善者じゃないなら、また手加減はしてやるわ。

「かやちゃん!」

「っと、お返しよ。“弓技・旋風の矢”!」

  上から降ってくるように振り下ろされた鎚を躱し、お返しに旋風の矢を射る。
  ...鎚って事は、ヴィータね。

「ユニゾン・イン!」

「はぁあっ!!」

  葵がユニゾンしたのを確認し、また上から来た剣士...シグナムにレイピアを繰り出す。

「くっ...!」

「“戦技・四竜烈斬(しりゅうれつざん)”!!」

「なっ!?速い!?ぐっ...!」

  高速で四連撃を繰り出し、シグナムを後退させる。

「っ、これ、は...!」

   ―――“刀技・護りの構え”

  飛来してきた多数の武器相手に、レイピアを振い、全て弾いていく。
  っ...!速い上に重いわね...!

「だけど...!」

   ―――術式“全速鳥”

  御札を三枚取り出し、それの術式を開放する。
  これにより、私とヴィヴィオ達の体が軽くなる。

「わ、わっ!」

「これは...!」

「....行くわよ。」

  武器群の合間を駆け抜け、武器を射出している帝の懐に入る。

「“刀技・十字斬り”!!」

「っ、がぁあっ!?」

「おまけよ!」

   ―――術式“風車”

  帝を十字に斬り、さらに通り過ぎながら御札を三つ投げ、それらに込められた術式を開放、風の刃で切り裂く。

「てぉおおおお!!」

「っ!」

   ―――“戦技・鉄化”

  瞬間、狼の耳と尻尾を生やした銀髪の男が殴りかかってくる。
  ...確か、ザフィーラとか言ったかしら?

「なっ...!?」

「遠慮しては..勝てないわよ!」

   ―――“戦技・金剛撃”

  しかし、その拳は身体強化した私の手によって受け止められた。
  ...彼はこの状況の中でまだ葛藤しているみたいね。だからこそ、私への攻撃の際、少し遠慮していて威力が弱かった。
  だからこそ、反撃として霊力を込めた掌底を腹に繰り出す。

「がはっ...!?」

「っ、固いわね...。」

  それなりに霊力を込めたのだけど、手応えが固かった。
  鉄化程ではないけど、相当な防御力を持っているわね...!

「でも...これで終わりよ!」

「ガッ...!?」

  掌底で吹き飛ばしたのに追いつき、後ろに回り込みつつ、膝蹴りをお見舞いする。
  強烈な一撃だったため、これでしばらくは復帰できないわね。

「(次!)...っ!!」

     ―――ギィイイイン!!

  横からきた攻撃にレイピアを添わせ、弾く。

「(鉄の...棒!?)」

「なん、で...!邪魔をする!!」

  攻撃してきたのは織崎神夜。
  持っている物が鉄の棒....鉄パイプだったかしら?それだった。

「なんでって...あんた達を行かせても無駄...いえ、邪魔だからよ!」

「そんな事はない!俺だって力に...!」

「あんたみたいな考えの奴を、緋雪は嫌っているのよ!力になんかなれないわ!」

  空中で攻撃を受け流し続ける。
  くっ....!空中だから踏ん張りが利かない...!

「“皆で行けば大丈夫”?ええ、確かにそうでしょうね。でも、いくらそれが最善でも、正しい行いでも、“正解”とは限らないのよ!」

「くっ....!」

  踏ん張りが利かないとはいえ、戦いの経験はこちらの方が上。
  上手く攻撃を逸らし、その合間に刺突を叩き込む。

「あんたは優輝の気持ちも、緋雪の気持ちも汲んでない!ただ客観的に見て“これが正しい”と決めつけた行動をしているだけよ!」

   ―――“弓技・瞬矢”

「がっ...!?」

  一瞬で三連続の矢を放ち、神夜を吹き飛ばす。
  ...あまり効いていないみたいね。

「....あんた達はどうするのかしら?」

「..........。」

  いつの間にか私の後方にいた司とトーマに聞く。

「俺は...。」

「....正直、クロノ君達のやり方の方が確実に行えるとは思う。さすがに全員だと足手纏いが多すぎるからダメだけど、少数精鋭なら確実に止められる。」

  司は俯き、そう言う。

「そう....っ!?」

  瞬間、後ろから鎌を持った少女...フェイトが来るのを察知する。
  それに対して構えようとして...。

「っ!?くっ...!」

「....そう、それが貴女の答えね。」

  砲撃魔法が当たりそうになり、フェイトは回避する。
  ...放ったのは、司だった。

「....けど、それだとダメ。絶対ダメ。....そんなの、表面上しか解決できてないから。」

「そうね。それだと緋雪の心の問題は解決されない。」

「...だから、私は志導君を...優輝君を信じる!信じて、今は管理局と...皆と敵対する!!」

  薙ぎ払うように魔力を放出し、迫ってきていた者達を全員吹き飛ばす。

「...俺も行きます。優輝さんを信じて間違った事なんて、ないんですから....!」

「...なら、精々負けないように気を付けなさい。」

  どうやら、この二人は私達の味方に回ってくれるようね。

「なっ!?司!?裏切るのか!?」

「ごめん、クロノ君。...今回ばかりは、感情論を...想いを優先する!」

  そう言ってクロノと司はぶつかり合った。
  ...クロノは厄介だから警戒していたけど、これなら大丈夫ね。

「っ....リニス!」

「...司がその選択にするのなら、私は従うだけです。」

  司が名前を叫んだと同時に、リニスと呼ばれた女性は近くにいた二人を拘束する。

「ユーノ!アルフ!」

「な、なんで...!」

「...私も、司と同意見だからですよ。なので、大人しくしててもらいますよ!」

  味方が増える。嬉しい誤算ね。

「...あら、貴女もこちら側に回るのですか?...プレシア。」

「ええ。...あの坊やの覚悟、あの時の私と違って輝いていたもの。なら、それを見届けるべきだと思ってね。」

  刹那、(いかずち)が走る。
  っ....なんて魔力...。これほどまでの実力者がいたのね...!

「形勢は逆転ね。...これなら、本当に倒してしまうわね。」

『だからと言って油断はしないでねかやちゃん。』

「分かってるわ。」

  さっきまでは全力で足掻いていた。ここからは...全力で叩き潰す!

「母さん...!リニス...!どうして....!?」

「....時には、最善の手より、解決したい事柄を確実に解決できる手段を優先する事があるのですよ。フェイト。....覚えておいてくださいね。」

「別に、殺す事はないわよ。...ちょっと、大人しくしてもらうわ。」

  ....向こうは向こうで任せればいいわね。
  ヴィヴィオ達も拮抗した戦いが出来ているし、トーマはヴィータなどを相手してくれてる。

「....私の相手はアンタ達ね。...織崎神夜、天使奏。」

「そこを...退け...!」

「神夜の邪魔をしないで...。」

  ....飽くまで私達を突破しようと言う訳ね。

「『....葵、さすがに二対一は厳しいわ。地上戦に持ち込んだら、貴女は神夜の方をお願い。奏の方は私がやるわ。』」

『わかったよ。』

  ...さて、まずは地上戦に持ち込まなければね。

「...五行の力を以って、敵を圧し潰せ!」

「っ、させ...!」

   ―――術式“五行圧殺陣”

  霊力は感知されないのを良い事に、気づかれずに霊力を練り、術式を組み立てれた。
  止められるよりも早く術式を発動し、強力な重力を発生させる。

「なっ...!?」

「うあ....!?」

「っ....!」

  私を中心に発動させたため、二人は避けられずに落ちて行く。
  私も巻き込まれ、地面に向かっていく。

「っ....葵!」

『任せて!」

  地面にぶつかる前に術を解除し、着地と同時に葵がユニゾン解除。
  葵は神夜の方へ向かっていく。

「はぁっ!」

「っ....!」

     ―――ギィイイン!

  私もすぐさま短刀を構え、奏へと斬りかかる。

「シッ!」

「....!」

     ―――ギィン!ギギィン!ギギギギギィン!

  受け止め、払いのけ、相殺する。
  刺突をしゃがんで避け、足払いを放ち、躱された所で短刀を振り、上からの攻撃を防ぐ。

「くっ....!」

「はぁああああ...!」

  接近戦が私はあまり得意ではないけど、経験の差でなんとか押している。
  両腕から生えてるから私よりも手数は多いはずなのだけど...。

「私は、負けてられないのよ....!」

「っ.....!」

  一度大きく間合いを離し、矢で牽制する。

「あんた達のような、偽善者に....!」

  ...式姫と主である陰陽師は、霊力を供給している繋がりがあるからか、主の感情などが流れ込んでくる事がある。
  ...それによって、私は優輝の“想い”を一部とはいえ、知ってしまった。
  偽善者によって緋雪...シュネーが迫害されていた事。
  助けたくても助けれなかった無念。
  当人の気持ちを知ろうともせず、勝手な行為を押し付けられた怒り。
  私も、優輝自身も自分勝手なのは分かっている。だけど...。

「邪魔...されたくないのよぉ!!」

  霊力を爆発させ、奏を吹き飛ばす。
  すぐさま足に霊力を回して一気に間合いを詰める。

「っ...ガードスキル“Delay(ディレイ)”...!」

「甘い!」

   ―――ギィイン!

  一瞬で後ろに回られるも、それを読んで私は奏の攻撃を相殺する。

「速、い....!?」

「生憎、弓を扱う私は全方向、どこからの攻撃にも敏感なの。...そう簡単に倒せると思わないことね!」

「くっ....!」

  “ディレイ”...そう言った回避する術は、どうやら残像を残す程だけど、やはり戦闘経験が少ないのか、私の死角を突いてくる事はなかった。

「私の得意分野である弓を使わせてない時点で、貴女の負けよ。」

「っ....!」

   ―――術式“霊撃”

  短刀で両腕の刃を弾き、術式を込めた御札を押し当てる。
  瞬間、霊力による衝撃が奏を貫き、気絶させた。

「....貴女は、もっと強くなれるはずでしょうに。」

  奏の能力は詳しくは知らない。
  ...でも、直感的に彼女はまだまだ伸びるはずよ。

「....こっちは終わり、問題は.....。」

「っ、ぁあっ!」

  ダン!と、葵が地面に叩き付けられる。

「っ....!」

「...こっちね。」

  ....強さだけは一人前のようね。織崎神夜...!







       =葵side=





「はぁっ...!」

「くっ....!」

     ―――ギギギギギギギギィイン!!

  突く突く突く突く突く突く突く!
  かやちゃんの術で怯んだ隙を狙い、あたしはレイピアで刺突を繰り返した。
  ...けど、防御力が高いのか、甲高い音を立ててレイピアは弾かれる。

「っ....素の攻撃じゃ、びくともしない...か。」

「はぁっ!」

「くっ....!」

  振るわれる鉄パイプをレイピアで払いのけるように受け流す。
  だけど、吸血鬼なあたしの力に匹敵..いや、それ以上の力なのか、押されてしまう。

「(優ちゃん並の技量があればなぁ....。...あれ?あたし年下に技術で負けてる?)」

  何百年と生きたのに、百年も生きてない子供に負けてる事に少しショックだった。

「っ、っとぉ!?」

「逃がさない!」

「やばっ!」

  捌ききれなくなって飛び退いた所に魔力弾が飛んでくる。
  それを咄嗟にレイピアで切り裂くけど、隙を晒してしまった。

「“トゥウィンクルバスター”!」

「“闇撃”!」

  飛んでくる砲撃魔法に、黒い魔力を纏わせた手で対抗する。
  少しは拮抗したが、あっという間にあたしは吹き飛ばされそうになる。

「っ、らぁっ!」

  ギリギリで逸らす事に成功し、何とか凌ぎきる。

「そこだ!」

「しまっ....!」

  だが、その後に追撃を防げずに、あたしは吹き飛ばされる。

「(っ...!なんて力...!)」

「...今はデバイスがないから殺さずに済ます自信がない。そこを退け。」

「....なに?デバイスがなければ手加減もできないの?...そんなのでよく雪ちゃんを止めるとか言えるね!!」

  一瞬で間合いを詰め、レイピアに霊力を込め、刺突を繰り出す。

   ―――“戦技・四天突”

「ぐっ...!」

「一点に集中させた刺突...。一発一発では通じなくても、これなら...!」

  少しはダメージが通ったようで、神夜は呻く。

「...ぐっ...はぁっ!」

「っ!?ぁあっ!?」

  けど、レイピアを掴まれ、咄嗟にレイピアを手放したけど、間に合わずに殴られてしまう。
  ...ギリギリ腕で直撃は防いだけど...。

「はぁああっ!!」

「っ、くっ....!」

     ―――ギギギギギィイン!

  奪ったレイピアで攻撃してくるのを、新しく作ったレイピアで凌ぐ。
  ...あたしが作ったレイピアなのに、消せない...!?

「(レイピアの所有者を無理矢理書き換えた!?なんてデタラメ...!それに、強度とかも上がっている....!)」

  連続して繰り出されるレイピアの攻撃に、あたしは防戦一方になる。

「このっ...!」

   ―――術式“氷柱”

  目暗ましと時間稼ぎとして、氷の柱をぶつけ、あたしは間合いを取る。

「邪魔、だっ!!」

  ほんの一瞬で氷の柱は破壊される。...だけど、それで十分。

「はぁっ!」

「....“刀技・魂止め”。」

「っ、ぁ...!?」

  繰り出された刺突を、レイピアで横に滑らすように受け流し、あたしの頬を掠るのもおかまいなくレイピアに纏わせた霊力を神夜に撃ちこむ。
  それにより、一瞬だけ彼の動きが止まる。

「(体内...というより、身体の活動そのものを止めるように霊力を撃ちこむ。...ダメージは一切ないけど、通じてよかった。)」

  もちろん、動きを止めるだけでは意味がないので、すぐさま行動に移る。

「(呪属性の術は、かやちゃんよりもあたしの方が得意なんだよね。)」

「なっ....!?」

   ―――術式“死者の手”

  黒い手のようなものが、彼の足元から現れ、身動きができないように絡みつく。

「(あたしは飽くまで時間稼ぎ。倒す必要はない...!)」

  この術は、決して攻撃ではない。
  ただ、次の攻撃に繋げるためか、戦況を有利に進めるためだけにある術だ。

「.....ふぅー.....。」

  一息吐き、呼吸を整える。
  ...あたしは式姫だった頃よりもだいぶ力が落ちている。
  まだデバイスとして馴染んでいないのもあるけど、霊力も扱いづらくなっている。
  ....だけど、そんなのは関係ない。今出せる力で....止める!

「っ、ぁああああっ!!」

「っ、来た....!」

  死者の手が破られ、再びあたしに迫ってくる。
  あたしでは彼を倒せない。攻撃がほぼ効かない。
  だから、足掻く。とにかく足掻く。時間を稼ぐために...!

「(経験はあたしの方が圧倒的に上。だけど、相手はその経験を丸ごと叩き潰す程のスペックを持っている。技術で凌いでも...!)」

  レイピアの攻撃を逸らし、避ける。しかし....。

「っ、しま...!」

  ついにレイピアが大きく弾かれ、無防備になってしまう。

「はぁっ!!」

「ぐっ...!」

  そのまま回し蹴りで地面へと叩き付けられる。

「っ、ぁあっ!」

  叩き付けられたことにより、空気が漏れるように声が出る。

「っ....!」

  視界にかやちゃんが映ったので、すぐさま体勢を立て直す。

「...無事かしら?」

「なんとかね...。ごめんね、かやちゃん。あたしじゃ、足止めにもならなかった。」

  これでも式姫時代はもっと敵の攻撃を引き付けるのは上手かったんだけどなぁ...。

「...私達の役目は足止め。....なら、ユニゾンはしないわ。」

「あたしが攻撃を凌いで、かやちゃんで足止め...だね?」

「ええ。」

  簡単。本当に簡単な作戦。
  だけど、今はそれが一番有効な作戦だ。

「いつも通り。...ええ、何もあの時代の戦いと変わらないわ。」

「あはは、そうだね。....式姫の...あたし達のしぶとさ、見せてあげる!」

  そう言ってあたしは再び神夜の下へと向かっていった。







       =司side=





「“スティンガーレイ”!」

「くっ....!」

  クロノ君から放たれる直射型の魔力弾を、防がずに避ける。
  あの魔法は貫通力が高いから、避ける方が良いからね。

「邪魔をするなら、容赦はしないぞ!」

「当然...!優輝君の邪魔は、させないから!」

  実際、今優輝君がどんな思いなのか、私には分からない。
  だけど、きっと優輝君のやり方の方が緋雪ちゃんは救われると思う。

「だから...今はごめんなさい。」

〈“Saint rain(セイントレイン)”〉

  魔力弾を雨のように降らし、回避させずに防がせる。

「くぅぅううう....!!」

「...穿て、槍よ!」

〈“Saint lance(セイントランス)”〉

  そこへ、防御魔法をも貫ける近接魔法を発動し、シュラインを突くように放つ。

「っ!?」

「あまり...僕を舐めないでくれよ!」

   ―――“スティンガースナイプ”

「くっ....!?」

  だけど、その突きは手首辺りにバインドを仕掛けられることで不発する。
  それだけじゃなく、背後から魔力弾が襲い掛かってきて、バインドで動きが制限されながらも、辛うじて躱す。
  ...けど、今のでクロノ君が優位に立った。

「(...と、思うよね?)」

〈“バインドブレイク”〉

「それは、こっちのセリフだよ!!」

  バインドをすぐに破壊し、魔力弾を撃ち落としつつシュラインを持っていない左手に魔力を集める。
  同じようにクロノ君も魔力弾を操作しつつ、砲撃魔法を構えていた。

「“ホーリースマッシャー”!!」

「“ブレイズカノン”!!」

  白い砲撃と青い砲撃がぶつかり合う。
  相殺され、爆風に体が煽られる中、私はすぐに行動を起こす。
  多分、クロノ君も間髪入れずに行動してるだろう。

「(経験ではクロノ君が圧倒的有利!なら、私はこの“力”で打ち勝つ!)」

  身を捻り、飛んできた魔力弾を避ける。クロノ君のスティンガーレイだ。
  避けると同時に、私は祈る。私にあるレアスキルを行使するために。

「捕らえよ、戒めの鎖...!」

〈“Warning chain(ワーニングチェーン)”〉

  私の足元に発生した魔法陣から、白い鎖がクロノ君に向けて幾つも放たれる。
  クロノ君は避けるけど、鎖は追尾する。...ただ、その代わりに私はあまり動けない。

「くっ...!そこだ!」

「っ...!」

  クロノ君は鎖を躱しながらも、さっきの魔力弾を操作して私を狙ってきた。
  一度回避し、鎖が消えてしまうが魔力弾を撃ち落とそうと私も魔力弾を放つ。

「スナイプショット!」

「くっ...!断て!いかなる侵攻さえも!」

〈“Space cutoff(スペース・カットオフ)”〉

  だけど、魔力弾を躱すようにクロノ君の魔力弾は加速して私に迫ってきた。
  咄嗟に貫通されなさそうな防御魔法を張り、凌ぐ。

「聖なる光よ...降り注げ!」

〈“Holy rain(ホーリーレイン)”〉

  すぐさま祈り、細い砲撃魔法の雨を降らす。

「穢れなき光よ...我が身への干渉を打ち消せ!」

〈“Holy safety(ホーリーセーフティ)”〉

  光を纏い、さっきと同じように魔法の雨を避けているクロノ君に突きを放つ。
  用心深いクロノ君なら、またバインドを仕掛けてあるだろうけど...。

「なにっ!?」

「はぁっ!!」

  そんなのを無視して、私はそのまま突く。
  さっきの魔法で、バインドなどによる干渉を無効化したのだ。

「くっ...!」

「まだまだ!」

  これで搦め手は使えなくした。クロノ君は接近戦もできるけど、槍と杖なら、私の方が有利...!このまま押し切らせてもらうよ!

「捕らえよ、戒めの鎖!」

〈“Warning chain(ワーニングチェーン)”〉

  再度、鎖を放ち、槍を凌ぐクロノ君をさらに追い詰める。

「ぐ、く....!!」

「(...油断はしない。クロノ君は、確実に無力化する!)」

  クロノ君は強い。カートリッジとかのブーストがない限り、今だになのはちゃんもフェイトちゃんもクロノ君には勝てない。
  例え、私より強い神夜君を相手にしても、私以上に負けずに踏ん張る。
  そこから考えるに、クロノ君は最後の最後まで油断できない...!

「っ...!まだだ!」

「っ!?」

  私の刺突、二振りの鎖を避け、その一瞬の隙を突いて魔力弾をクロノ君は放つ。
  意表を突かれたので、思わずシュラインで切り裂くが...。

「っ!?しまっ....!」

「“ブレイクインパルス”!!」

  切り裂いたシュラインに杖をぶつけられ、放す事もできないまま魔法が発動する。
  ブレイクインパルス...目標の固有振動数に合わせた振動エネルギーで、敵を粉砕する少ない魔力で高い威力を持つ魔法...。

「ぐっ...!?」

「終わりだ!」

  クロノ君の魔法で、手に痺れが走り、シュラインを弾き飛ばされてしまう。
  そして、私を捕縛しようとするクロノ君だけど...。

「っ、ぁあっ!!」

「がぁっ!?」

  感情を高ぶらせ、上から下へと力場が働くように腕を振い、クロノ君を叩き落す。

「(搦め手は大体予想できる。なら、それらを悉く潰せばいい!)シュライン!!」

  シュラインを呼び戻し、再び構える。
  ...行ける。このまま、押し勝てる....!







       =out side=





「「はぁああああっ!!」」

  黒い大剣と白い剣が剣戟を繰り広げる。
  担い手はそれぞれトーマとシグナム。剣士同士の戦いだった。

「っ...なかなかやるな...!」

「まだまだ...!この程度では終わらない...!」

  筋の良さに賞賛の呟きを漏らすシグナム。
  それに対し、トーマは少々余裕がないが、冷静にシグナム見据える。

「それほどまでの剣術、どこで覚えた?」

「...師事する人物が優秀だっただけですよ...。貴女の手は分かっている!」

  実際、実力ではトーマよりシグナムの方が上だ。
  それでも拮抗...いや、ほんの少しトーマが押しているのは、トーマがシグナムの剣筋を知っているからだった。
  また、未来の優輝に教えて貰った戦い方によって、実力差を埋めていた。

「だが、解せんな。なぜ、そこまでして私達を止める。」

「....助けられる者の気持ちを、貴女は考えたことがありますか?」

「なに?」

  問うたシグナムに、敢えて問い返すトーマ。

「ただ、助けられただけでは、救われるとは限らない...。だから、優輝さんはあの選択をした!緋雪さんを一番理解している優輝さんが助けないと意味がないと、俺には分かるんです!」

「だが、それで助けられなければ意味がない。」

「助けられる!俺は、未来の優輝さんを知ってるからこそ、そう言えます!」

  きっと救える。そう信じてトーマは戦意をさらに昂ぶらせる。

「...そうか。お前があいつを信じるのならば、私は神夜を信じ、その意に従おう。」

「...そうですか。なら...。」

  再び、剣を構えなおして二人は対峙する。

「行くぞ、リリィ。」

『うん、トーマ!』

  空中を踏み込むように姿勢を低くし、トーマはシグナムに斬りこむ。
  それを、シグナムは落ち着いて後ろに受け流し、反撃を打ちこもうとする。
  トーマはその反撃を身を捻らせる事で避け、再び剣を振う。

「はぁっ!!」

「せぁっ!」

  斬りこみ、受け流し、反撃し、また斬りこむ。
  手を知り、実力で勝っているからこそ、二人の剣戟は続く。
  だが...。

「はぁっ!」

「っ、見切った!」

  反撃の一閃を、トーマは見切り、逆に受け流す。

「しまっ...!」

『トーマ!!』

「ああ。...喰らえ、“アォフブリッツェン”!!」

  その際にできた大きな隙を、二人は見逃さない。
  強力な魔力の一閃を、シグナムの胴に叩き込んだ。

「がぁっ!?」

「どうだ...?」

  近くにあったビルの屋上に叩き付けるように、シグナムは衝突する。
  その際の砂煙によってシグナムは見えなくなり、トーマは警戒する。

「....なぜだ...今のは、古代ベルカの一撃...。お前の魔法は....。」

『まだ倒れてないよ!?』

「...教えて貰ったんですよ...。」

  驚くリリィを余所に、トーマは答える。
  その魔法は、剣の師匠であるシグナムと優輝に教えて貰った技だった。
  だからこそ、トーマはその魔法で決着を付けたのだ。

  トーマに聞いたシグナムは、満身創痍だ。だが、トーマは手を緩めなかった。

「...今は、眠ってください!」

「ぐっ...!?」

  容赦なくさらに一撃を加え、シグナムは気絶した。

「....はぁ、師匠越え...にはならないよな...。」

『未来より圧倒的に弱いもんね...。』

「まぁ、一定の腕前は越えたって事だろう。」

  シグナムを倒して拘束し、一息つく二人。
  だが、まだ戦いは終わってない。そう思い、トーマは椿たちの方へと向かっていった。





  時は少し遡り、ヴィヴィオ達の方では...。

「でやぁああああっ!!」

「甘いです!」

  ヴィータの一撃をヴィヴィオは受け流し、隙を作った所ですかさずカウンターを加える。

「くそっ...!攻撃が当たらねぇ...!」

「攻撃を受け流すのは導王流の基本だもん!」

  ヴィータのような、ハンマーを使った攻撃は、ヴィヴィオのような導王流を使ったカウンター型にはカモとも言える程相性のいい相手だった。

「(援護を頼みてぇが、他の皆も抑えられている...!なんとか、コイツを倒さなねぇと...!)」

  ヴィータはヴィヴィオの攻撃を凌ぎながらも、辺りを見回す。

「はぁああっ!!」

「っ、はぁっ!」

  フェイトが高速で接近したのを、アインハルトは見切り、拳を繰り出す。
  速いが上に回避できたが、フェイトはアインハルトの技量に戦慄する。

「(母さん、リニス...。)」

  それだけではない。フェイトはプレシアとリニスが敵に回っている事もあって、いつものような実力が出せないでいた。
  チラリと目線を向けた先では、なのはやはやてと撃ちあい、シャマルやリインフォースと妨害し合っているプレシアとリニスがいた。

「っ、強すぎる...!」

「病気が治っているから、調子もいいのよ。さぁ、どんどん撃ってきなさい!全てを正面から押し返してあげるわよ。お嬢ちゃん達!」

「くっ...!この....!」

「させませんよ!貴女の相手は私です!」

  完全遠距離支援のはやてと、遠距離向きのなのはでさえ、プレシア一人に押されていた。
  また、シャマルも援護しようにもひたすらリニスに邪魔をされる。
  リインフォースは援護と攻撃を繰り返すが、元々主従だったプレシアとリニスのコンビネーションに、攻めあぐねていた。

  極近くで行われる三つの戦いで、全て優輝に味方している方が押していた。

「(どうにかしてこいつの動きを止めて、固まっているあいつらを叩き潰せば...!)」

  その中で、ヴィヴィオを相手にしているヴィータは、自分が流れを変えなければいけないと、ヴィヴィオを睨む。

「(けど...!)」

「やぁっ!」

  軽快なフットワークと共に、隙のない拳を繰り出すヴィヴィオ。
  それにヴィータは防げてはいるものの、押されっぱなしだ。

「(あたしも動けねぇのには、変わりねぇ...!)」

「(...ヴィータさん、さすがベルカの騎士...全然倒せないよ...。)」

  ヴィヴィオが押してはいるが、一進一退の攻防にヴィヴィオは悩む。
  ヴィータとヴィヴィオ、この二人の決着で戦況は大きく傾く。

「“フォトンランサー”...ファイア!」

「....“覇王旋衝波”!!」

  一方、アインハルトとフェイトの戦いでは、アインハルトが圧倒的に押していた。
  フェイトの速さは見切られ、射撃魔法は全て投げ返されてしまう状況に加え、フェイトは動揺しているため、アインハルトは全然体力を消費していなかった。

「(堅い...!隙が一つもないし、攻撃も通じない...!)」

「(...過去とはいえ、些か弱いですね。覇王流だけでも勝てます。)」

  焦りと動揺で余裕がないフェイトに対し、アインハルトはあまりに余裕だった。

  ...この戦いの決着もまた、戦況に大きく影響を与える。
  そして...。

「『ヴィヴィオさん!』」

「『分かったよ!』」

  アインハルトはプレシア達の戦いにも目を向けており、その状況から決着をつけるべくヴィヴィオに念話で呼びかける。
  呼びかけられたヴィヴィオは、ちょうど絶好のチャンスだった。

「導王流...“流水撃”!!」

「っ!?がぁっ!?」

  ヴィータの攻撃を水のようにスルリと受け流し、そのまま吹き飛ばすように掌底する。
  それをまともに受けたヴィータは、大きく吹き飛ばされ、無防備になる。

「はっ!」

「ぐっ...!?」

  アインハルトもまた、掌底をフェイトに当て、大きく吹き飛ばす。

「一閃必中!“セイクリッドブレイザー”!!」

「“覇王断空拳”!!」

  そして、虹色の砲撃が、強力な拳の一撃が、それぞれヴィータとフェイトに叩き込まれた。
  まともに攻撃を受けた二人は、大きく吹き飛ばされ、そのまま気絶した。

「あ、後で謝っておくべきかなぁ...?」

「...とりあえず、バインドで拘束してあちらの援護に行きましょう。」

  少しばかり罪悪感のあるヴィヴィオに、アインハルトはそう言う。
  ヴィヴィオも、そうするべきとは思っていたので、そのままプレシア達が戦っている場所へと、宙を駆ける。そして、そのまま加速して...。

「後ろからごめんなさい!」

「少し、眠ってもらいます!」

「へ?...っ!?」

  広範囲魔法が厄介だと判断し、はやてを背後から攻撃。
  完全に不意を突いたため、経験が浅いはやてはそれだけで撃墜された。

「はやてちゃん!?」

「主!?」

「次!」

  間髪入れずに今度はリインフォースを狙う。
  それを阻止しようとするシャマルとなのはだが...。

「させないわよ?」

「行かせません!」

  すかさずプレシアとリニスが妨害する。
  どちらも、一対一だとなのはとシャマルが押し負けるため、このまま終わるだろう。

「くっ...!」

「ベルカ式の防御魔法は...見飽きました!」

「これで終わらせます!“覇王断空拳”!!」

  ヴィヴィオがリインフォースの防御魔法を破壊し、すぐさまアインハルトが懐に入って重い一撃を繰り出し、リインフォースを吹き飛ばす。

「え?きゃあっ!?」

「っ、今です!」

   ―――“サンダーレイジ”

  吹き飛ばされたリインフォースは、偶々シャマルと激突してしまう。
  そこへ、好機と見たリニスが砲撃魔法を叩き込み、撃墜させた。

「後は....。」

「もう終わってるわ。」

  後はなのはだけ。そう思ってヴィヴィオがそちらを向くと、既にプレシアが撃墜していてバインドで拘束してあった。

「さすがですね。」

「まだまだ子供には負けれないわよ。」

  リニスの言葉にプレシアはそう答える。
  大魔導師と言うだけあって、プレシアはまだまだ余裕だった。

「さて...後は....。」

「司さんと椿さん達ですね。」

  未だに戦いが終わっていないのは二つ。
  司と椿たちの戦いだった。

「...あの坊やではあの子は倒せないわ。それよりもあっちの援護に行きましょう。」

「あ、はい!」

  プレシアは椿たちの援護に向かうべきだと判断し、皆を連れだって再度飛び立つ。

  ....戦いはもうすぐ終わろうとしている...。









       =椿side=



「はぁあああああ...!!」

「っ....!」

     ―――ギギギィイン!ギギギギギギギィイン!!

  逸らし、弾き、受け流す。そうやって葵は怒涛の攻撃を凌ぐ。

「...“弓技・螺旋”!」

「っ、く...!」

「そこ!」

   ―――“刀技・十字斬り”

  私が矢で防御魔法を使わせ、生じた隙を突き、葵が魔力を込めて十字に斬る。

「ぐ....!」

  その一撃を受けて神夜は後退する。...けど、効いてはいないみたい。

「(順調....に見えてギリギリね。一撃でも喰らえば戦況が崩れる...!)」

  私は言うまでもなく、葵でさえ奴の攻撃にはまともに受ければ耐えられない。

「(けど....。)」

  周りをざっと見回してみる。
  ヴィヴィオとアインハルトが前衛をして、リニスがサポート、プレシアが後方から大魔法を使う事で、ほとんどの魔導師と騎士を相手取っている。
  トーマはシグナムを相手に互角の戦いをしているし、司もクロノを押している。
  ....これなら...!

「(今は...耐えるだけね!)」

  再び矢を放つ。
  今度は、葵を狙う軌道を妨害するように腕に当てる。

「っ、っと....!かやちゃん!」

「分かってるわ!」

  当然、そんなわかりやすい前衛と後衛の戦い方をしていれば、後衛である私を狙ってくるに決まっている。

「はぁっ!」

「っ....!」

     ―――ギィイイイン!!

「“戦技・四天突”!」

  振るわれた攻撃を短刀でギリギリ受け流し、そこへ葵が刺突で割込んでくる。

「吹き飛びなさい....!」

   ―――術式“霊撃”

「ぐっ....!」

  御札を投げ、そこから霊力による衝撃波が発せられる。
  それによって、神夜は大きく吹き飛ばされた。

「足元注意だよ♪」

   ―――術式“呪黒剣”

  さらに追い打ちをかけるように足元から黒い剣を繰り出し、攻撃する。

「ぐっ....!」

     ―――ガガガガガガガガッ!!

  それらは防御魔法に阻まれて防がれてしまう。...けど。

「見切れるものなら...見切ってみなさい!」

   ―――“弓技・瞬矢”

「ガッ....!?」

  渾身の力を込めた矢を、私は放つ。
  瞬きもしない内にその矢は神夜に命中し、吹き飛ばす事に成功した。

「....時間切れよ。」

「なに...?っ...!」

  大した傷を負っていない神夜は、私の言葉に訝しむ。
  だが、次々と集まった気配に気づく。

「....残るは、アンタとクロノだけ。...さぁ、この人数相手に勝てるかしら?」

「くっ.....!」

  神夜の防御力を貫ける人は、結構いる。
  ...というか、工夫さえすれば魔力が少なくても貫けるらしいわね。優輝みたいに。

「(....優輝、そっちは任せたわよ....!)」

  ここから離れた場所で戦う優輝に想いを奔らせ、私はまた矢を番えた。









 
 

 
後書き
何かを助けたい、支えたい。そんな想いって、偶に圧倒的な差を覆す時があると思います。(小並感)

最初は四対十八人(+一人?)ですが、途中から司、リニス、プレシア、トーマ&リリィが仲間になり、それまでに四人(帝、ザフィーラ、ユーノ、アルフ)倒したので八(+一人?)対十という形になっています。
そこからは順調に倒して行き、最後は神夜とクロノ以外は全滅しました。

クロノと司はあのままずっと戦って、神夜が倒された所でクロノが降参します。

ちなみに、トーマの剣の師匠がシグナムと優輝と書いてありますが、独自設定です。
forceの時間では完全に原作なんてない状態なので、そんな感じになっています。


  ※7/4追記
感想で他のキャラが知らないうちに落とされていたのがもったいないとあったので、他のキャラの描写を加えました。(結果的にだいぶ長くなりましたが。) 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧