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ソードアート・オンライン~連刃と白き獣使い~

作者:村雲恭夜
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第十話 追跡の風、黒き帳

 
前書き
VSクラディール戦……の筈がまさかのあの人乱入 

 
『ヒースクリフには気を付けなさい』
そう言われた俺は、何とも釈然としないままにキリトの対決が終わってから迷宮区に籠って探索をしていた。
時間としてはかなり立っており、迷宮区を出た時点で朝になっていた。
「……結局か」
自分でも呆れると、メッセージが届く。差出人はアスナだ。
「アスナ……?キリトが早速何かやらかしたか?」
そんな調子でメッセージを見る。
『クウト君、ちょっと頼み事をしたいのでグランザムの転移門まで来てください』
そんなメッセージを見て、少し不思議に思いながら転移結晶を取り出す。
「転移、グランザム」
すると、青い光を纏い次の瞬間グランザムに転移していた。
「あ、クウト君だー」
「クレイ!?」
そこにはアスナとクレイが立っていた。
「クレイは私が呼んだの、クウト君」
と、アスナが説明を入れる。
「所で頼み事と言うのは?」
「うん、今日キリト君がうちのメンバーとパーティー組んでここの迷宮区を突破するんだけど……そのパーティーの一人が少し因縁があってね……」
「それで?」
「クウト君とクレイでキリト君の後を追いかけてほしいの。少し嫌な予感がするから」
「勘弁してくれ……お前の予感はよく当たるんだから」
溜め息を付くと、追跡スキルを発動させる。
「まぁ、了解した。クレイ行くぞ」
「りょーかい!」
クレイも追跡スキルを発動すると、疾走スキルを発動した俺が先行し、その後をクレイが続いた。

「邪魔だ!」
この様な時に限ってモンスターが幾つも現れ、足を止められるはめになる。
本来ここ五十五層のフィールドは荒野だ。モンスターのポップは少なく、本気でやれば一定時間は湧出しない仕様になっている。
「あーもう!いつになったら付くんだよ!!」
一刀のもとに切り裂き、コートを払う。クレイも短剣の一閃でモンスターを葬り、腰に仕舞う。
「急ごう!」
「ああ」
時間にして現在正午近く。休憩が挟まれるのであれば恐らくは迷宮区近くである。
すると、一陣の風が俺達を追い越す。
「ねぇ……、今のって……」
「……ああ、まちがいなくアスナ、だな」
見間違えるはずもない。栗色の髪に白と赤の服。アスナだ。
そのあとからバハムートに掴まれたホーリーナイトも追い掛けてくる。
「お前らまでどうした!?」
「きゅるる!!」
その声音から、焦っているのが分かる。勘だが。
「急ぐぞ!!」
「うん!」
ゼロからの爆走。瞬時にトップギアに入った俺は、クレイやパートナーを置いて荒野を走る。
やがて幾つかの小高い岩山を越えると、それは見えた。
「キリト!!」
キリトが地面に倒れ、一人が剣をキリトに突き刺していた。
「ヤロォ……!」
アスナがあと少しで到着する。しかし、それでは遅いかもしれない。
「どっせぇえええい!!」
爆走からの跳躍。俺は宙に浮き、幾つかの道を通りすぎ……
「ハァッ!!」
連刃からの着地ゼロ爆走。
敏捷の限界を越えてアスナを抜くと、剣ごとキリトを刺していた男を吹き飛ばす。
「フン……」
刀を六本構えた俺はキリトを見る。それと同時にアスナも追い付き、キリトに近付く。
「……間に合った……間に合ったる……神様……間に合った……」
その声は美しく響く。本能の最中にいる、俺の心にも。
「生きてる……生きてるよね……キリト君……」
「……ああ……生きてるよ」
「アクウンガツヨイモノダナ」
「今のお前よりはマシだと思うけどね……」
連刃の代償に気付いている事を仄めかすキリトに目をそらして言う。
「アスナ、キリトヲタノム。オレハヤツヲ」
「でも……!」
「オレハダイジョウブダ」
言うと、刀を六本、構えて突撃する。
「テメェごときが俺に勝とうなどと!!」
男は両手剣を持つが、それよりも早く男の顔と腕を切り裂く。
「ぶあっ!!」
右腕は欠損し、左手で口を押さえる。一瞬動作を止めると、憎悪の色が顔に浮かぶ。
「て、テメェ……調子に乗りやがってぇ……」
だがその台詞の続きは中断を余儀無くされた。俺が攻撃を再開したからだ。
「おっ……くぉぉ……!」
「ムダダ」
両手剣を必死に使ってガードするが、それも片手が無ければないに等しい。
俺は容赦なくその体に傷を与え続ける。
「わ、解った!!わかったよ!!俺が悪かった!!」
男が叫ぶ。
「も、もうギルドは辞める!あんたらの前にも二度と現れねぇよ!!だからーーー」
「ナラバオソウアイテヲマチガエタナサイジャクノクズガ!!」
怒りを露にそれを放つ。
連刃重二連続攻撃『ブライニクルブレイド』。
それは十字に放たれ、男のHPを吹き飛ばした。
「この……人殺し野郎が」
くくっ、と笑い。
男はその存在を硝子片に変えた。
「クウト君……」
遅れてきたクレイが、その声を発した。
「クレイ……」
手を伸ばそうとして、止めた。
今さわれば、文字通り『壊してしまうかも』知れないから。
「アスナ……キリトヲタノム」
「う、うん……」
おれはそう言うと、迷宮区の方へ走る。

「ハハッ、ツイニココマデキテシマッタカ……」
連刃の代償、それは精神の変質。
製作者である俺はその様に設定した。何故か?どうせ使うのは俺だと分かっていたからだ。
最大の攻撃速度を持つのはこの世界に置いてただ俺一人。他には誰もいない。
連刃は使用者の精神を乗っとる代わりに強大な力を与える。最終的に、それはモンスターのAIとなんも変わらなくなり、唯の殺人者へとその身を変貌させる。死を貪る獣。今の姿はまさにそれだ。もう連刃を使用しなくてもその在り方が変わっているのだ。
「あら、いい格好ね」
顔をあげると、そこにはシュラウドが居た。
「シュラウド……!」
「連刃がまさかここまでとは……。最後で憎悪を持って使ったのが止めだったかしら。『この層で茅場晶彦を殺してもらおうと思って画策してたのに』」
「ナンダト……!?」
茅場晶彦がこの世界にいる……シュラウドはそう言った。
「まぁ良いわ。ちょうどいい。まずはこの世界を崩壊させましょうか」
すると、結晶みたいなものを取り出すと、俺は拘束される。
「ナンダト……!?」
「これは催眠結晶。これを使われたプレイヤーは使ったプレイヤーの意のままに操ることが出来る。ま、試作段階だから副作用は分からないけどね?」
すると、催眠結晶は怪しく光る。
「キサマッ!!」
牙を剥き出しにして吠える。
「オレニヒトヲ……プレイヤータチヲコロセトイウノカ!!」
「茅場晶彦を殺すためなら手段は選ばない……それが私よ」
そして、催眠結晶が砕かれた瞬間、俺は意識を刈り取られた。

同時刻コリニアゲート市……
人のいなくなったコリニアの転移門が、淡く青に輝いた。
そこから飛び出してきたのは、金色の髪に、翡翠色の目をした長身の男だった。
「いったぁっ!!」
頭から地面に激突した男は涙目になり起き上がると、再び転移門が淡く青に輝いた。
次に飛び出してきたのは、獣のようなぬいぐるみ。
『うふっ!』
訂正、ぬいぐるみの様な獣だった。
「大丈夫か!?」
『心配要らない』
獣は言うと、体を震わせる。
『ここは……SAOの中か?』
「どーやら実験中に引き込まれたみてぇだな」
腕に付けられている翡翠色の丸いものを取り外すと、言う。
「これ帰れるのか?ディケイドノリじゃねぇけど」
『それが在るなら帰れるだろうな。これも一時的な物らしいし』
獣はペシペシと床を叩くと尻尾を揺らす。
『それとも……実験中に引き込まれたのにはここで我々がやるべきことがあるからかもしれんぞ?』
「勘弁しろよ!!俺はもう普通の!名もない!人間だっつうの!!」
男は騒ぐ。名もないと言っている時点で人間ではない気がするが。
『ともあれ、まずは宿を取るとしようか』
「あーもう!俺はもうこう言うのには勘弁してほしいのに!!」
『諦めろ、人類最強の守護者よ。我々は生きても死しても尚、守護者としての任務と使命を果たさなければ行けない。これは契約だろう?』
「ちっ、わーったよ!!」
男は頭を欠くと、獣を肩に乗せて街を歩き始めた。 
 

 
後書き
グダグダです。
ゼロ「全くだな」
で、シュラウドのせいでクウト連刃が操られるはめに。
ゼロ「何がしたいんだろうな」
まぁ、それは普通に茅場さん殺したいだけじゃない?
ゼロ「それだけじゃないだろ絶対」
次回、連刃!操られし風!あらぶるは雷鳴の獣!
ゼロ「次回もよろしくな!!」 
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