歌集「春雪花」
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眺むれば
寒き弥生に
光陰を
川面にうつす
夜半の月かな
夜中…仕事を終えての帰り道。橋を渡りながらふと川面を見れば…月明かりがさざめく水面に映っていた…。
揺らめく水面に光と影が交差し、恰も美しい紋様のように見える…。
暫しその河の流れを眺めていると、様々なことが思い出され…月日とは足早に去るものだと沁々思ってしまい、彼への想いすらもこのまま過去へと流れ行くのだろうかと…侘しくなってしまった…。
時虚し
想ふは侘し
花見月
春ほころべど
恋は咲くまじ
時間とは老いを齎しながら去りゆくもので…何とも虚しいものだ。
三月も終りに近づき、暖かな日々が増えようとも…彼のことを想えば、淋しくなって仕方ない…。
確かに春は訪れた…しかし、私の想いはきっと…花咲くことはあるまい…。
この恋は咲くことも実ることも…ないのだ…。
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