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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Epico?再会の約束~Appointment for Reunion~

†††Sideなのは†††

夕方となって、最後に行くところは夕ご飯用の食材を買いに行くためのスーパーだと決めて、その前にもう1軒どこかに行こうって話をしながら街をみんなで歩く。その途中に、にゃあにゃあ、猫の鳴き声が聞こえて来た。と思えば、「シュテル・・・?」がバッバッと周囲を見回し始めた。

「わぁ、可愛いですぅー♪」

ユーリが鳴き声のするところへ向かってトテトテと駆け出した。その先にあるのは「猫カフェ・・・ですか?」アミタさんの言う通りたくさんの猫と戯れることの出来る喫茶店だ。シュテルはそそくさと猫カフェの窓へと早足で向かって、「にゃ、にゃ~?」張り付くように猫の鳴き声を真似た。どうしよう、シュテルが可愛過ぎる。

「シュテル! 可愛いですね~♪」

「はい。とっても」

「「「にゃー、にゃー♪」」」

アリシアちゃんとリインとレヴィも窓に張り付いて鳴き声を真似る。ディアーチェが「えーい! 客が困っておるだろう! 離れんか!」窓を隔てたすぐそこはテーブル席がある。当然お客さんも居て、窓にへばりついてるシュテル達に困惑してたからディアーチェからのお叱りだ。

「なのは。ここに入ればこの愛らしい子たちと触れ合えるのですか? そうですよね?」

「え、うん。その為のお店だから・・・」

「そうですか。王!」

「言わずともその顔と目を見れば解るわ。おい、子鴉。次はここだ」

「はーい♪」

というわけで、みんなで猫カフェに入店。お金は帰り際に支払う後払い制だから、そのまま私たちは猫のたくさん居る場所へ向かう。店内にはいろんな種類の猫が居て、それを見たユーリ達から「可愛いです~❤」ハート乱舞が起こる。

「にゃ~、にゃ~? にゃあ」

シュテルも自分に群がってくる猫と目線を合わせるためにしゃがみ込んで鳴き声を真似た。私の知る限り表情の変化がちょっと乏しいシュテルだけど、猫を相手にしたらかなり柔らかく微笑みを浮かべてる。私は携帯電話を取り出して、そんなシュテルの写真を撮る。
それから私たちもそれぞれ猫たちと戯れる。猫たちは本当に自由気ままで、私たちの注文したお菓子(ちょっとダイエットしないとダメかな~・・・)やお茶を狙って来る。まぁ、近付いて来てくれるのは嬉しいかも。

「なんかアイルちゃん。お嬢様って感じだね」

「気品あふれる私の元には、気品あふれる猫が近寄るのですわ」

肘掛椅子に脚を組んで座るアイルの膝に、真っ白なペルシャ猫が蹲ってる。確かにお嬢様って感じがする。すずかちゃんはそんなアイルの写真をカシャカシャっと撮る。そんなすずかちゃんの肩にはアビシニアンが1匹乗ってた。

「あはは! 王さまんところには来ぉへんな~!」

「ふ、ふん! 別段なんとも思わんわ。我のカリスマに怖れを成しているのだろう!」

ディアーチェの側には猫1匹と近寄らない。ディアーチェはそうは言うけど、ちょっと残念そう。猫じゃらしのオモチャを取って足元でフリフリすると、1匹のアメリカンショートヘアが近寄って来た。前脚で戯れるその猫にディアーチェの顔が目に見えて輝いた。

「良い笑顔ゲットや♪」

ソファに座るはやてちゃんも膝に座るシャムの背中を撫でながら、ケータイでディアーチェを撮った。

「おほー! 猫ってすごいな! めっちゃジャンプするぞ!」

レヴィのツインテールに跳びかかろうとしてる数匹の猫。レヴィはどこか猫っぽいからかよく集まってる。フェイトちゃんとアリシアちゃんの長い髪も、猫にとってはオモチャみたいで「わー!」「きゃー!」2人は大慌て。そんな3人を、私は写真を撮って残す。

「ちょっ、待って! あんた達にはちゃんとおやつがあるでしょ!」

「アリサ! 誘導であります!」

「にゃんと!?」

「馬鹿フラム! ティーカップをちゃんと掲げねぇと飲まれんぞ!」

「なんですと!?」

アリサちゃんとヴィータちゃんとフラムは、お菓子やお茶を狙って来る猫にてんやわんや。テーブルに手を出してくる猫からクッキー皿を抱え上げたアリサちゃんだったけど、タワー型のおもちゃの頂上に陣取ってた猫がその皿からクッキーを盗った。
フラムはそれに気付いたけど、その忠告の隙にテーブルに置かれたままのティーカップが載せられたトレイに舌や前脚を出そうとしていた猫への対応が遅れた。けど間一髪でヴィータちゃんがトレイを高く掲げた。でも・・・

「ちょ、おい! そりゃ反則だろお前ら!」

ヴィータちゃんの足に纏わりついたり、脚を伝って登ろうとする勇者な猫も居た。グラリと倒れこみそうになるヴィータちゃんだったけど、「しっかりしろ」シグナムさんがトレイを預かったことでティーカップを落とすことはなかった。まぁ「あいた!」ヴィータちゃんはうつ伏せで倒れることになったけど。

「助けろよあたしを!」

「まずはティーカップが割れないようにし、中身を零さないことが最優先だ」

そんなアリサちゃん達の写真も撮る。次は、長いソファに座って膝に猫を乗せてるルシル君、シャマル先生、アミタさん、キリエさんを見る。4人の猫を撫でてる姿はなんか大人って感じがしてすごい画になる。穏やかな空気なおかげか、他の猫もそっと寄り添ってく。そんな4人の姿も写真に撮って残しておこう。

「「「にゃ~、にゃ~、にゃ~❤」」」

可愛い鳴き声の真似の合唱。そっちにケータイを向ければ、猫と一緒に床に寝転がってるリインとアイリとユーリの姿があったからシャッターチャンスと思って、カシャッと写真を撮る。3人とも小さい子だから猫も警戒心が無いみたいで、背中に乗ったりお腹に乗ったりと自由に3人とスキンシップを取ってる。そして私も・・・

「にゃ~? にゃ~♪」

自分のところに来てくれる猫の顎や背中を撫でたり、「なのは。隣よろしいですか?」シュテルと一緒に写真を撮ったりと、猫カフェを楽しむ。

「?? 猫がゴロゴロ言い始めました。びょ、病気ですか? なにか体調が優れないのですか?」

「にゃはは。落ち着いてシュテル。それはリラックスしてるんだよ。シュテルの撫で方が良いんだね」

「そ、そうですか。良かったです」

シュテルはホッと安堵して「ここが良いのですか?」柔らかい微笑みを浮かべて膝に乗る茶猫の喉やお腹を撫で続ける。それを眺めてると、「あ、また新しい猫が来てくれました」シュテルの足元に真っ白な猫やって来た。そして私とシュテルをチラチラと見る。

「あれ? 口の周りを舐め始めた・・・?」

「餌の欠片でも残っているのでしょうか・・・?」

ぺろぺろって口の周りを舐める真っ白な猫。どうしたのかな?って口の周りを見ていると、「あー、それは迷っているんだな」大人モードのままなルシル君がやって来た。その肩には真っ黒な猫を乗せてる。

「転移行動というやつだな」

「「転移行動・・・?」」

「相反する思考がぶつかって、思考がもつれた際に起こる行動だな。人にも似たような行動があるんだ。こう困ったりすると頭を掻いたり、腕を組んだりするだろ? あれも転移行動の一種だ。おそらく、なのはかシュテル、どちらに構ってもらおうかって悩んでいるんだろうな」

とのことだった。私とシュテルの顔つきが似てることもあるのかな。シュテルと一緒に「にゃあ、にゃあ♪」って鳴き声を真似る。するとその猫は、フゥーってシュテルの膝に乗ってる茶猫に威嚇を始めちゃった。

「あぁ、いけません。喧嘩はダメですよ」

珍しく、というより初めて見るシュテルの困惑顔。でも膝に乗る白猫もとうとう、フシャーって臨戦態勢。そんな2匹の姿にシュテルが「喧嘩はダメです」ポツリと呟くと、2匹の猫は威嚇を止めて大人しくなった。

「良い子ですね。喧嘩はいけません。仲良くしましょう」

そう言ってシュテルは身を屈めると白猫を左手で抱え上げて、自分の膝に乗せた。茶猫と白猫はさっきの威嚇が嘘のように寄り添いながら蹲った。両手で2匹の猫を撫でるシュテルを撮る。今日1日で撮ってきた写真データ、あとでプリントアウトして渡そう。ゲームセンターで撮ったプリクラを張るために書店でプリクラ帳も買ったし、シールとしてプリントアウトすれば大丈夫だと思う。

「あの、そんなに吸ってもお乳は出ませんよ?」

2匹の猫がシュテルの服をちゅうちゅう吸っては前脚でギュッギュッと押し続ける。確か幼い頃のおっぱいを飲む癖が出てきちゃうこともあるんだっけ。すずかちゃんがそんなことを言ってたはず。

「少し待ってください。お乳は出ませんけど、吸わせることくらいは――」

「にゃっ!? ダ、ダメー!」

シュテルが服を捲くり上げようとするのを慌てて止める。店内には男の人も居るし、そもそもその行動は無意味だよシュテル。それに、シュテルの体って元は私をモデルにしてるんだし、こっちが恥ずかしいよ。

「あ、逃げて行ってしまいました・・・」

「あ、ごめん」

私の大声でシュテルの膝でリラックスしてた猫2匹や側に居た猫たちが一斉に逃げて行っちゃった。シュテルはしゅんと肩を落としたけど、「問題ありません。帰りまでまだ時間があります。なのは」私に手を差し伸べてくれた。

「一緒でもいいの・・・?」

「一緒がいいんです」

「っ! ありがとう♪」

シュテルの手を取って、私たちはまた猫が集まるところへ向かった。

†††Sideなのは⇒はやて†††

精いっぱい海鳴市の街を堪能したわたしらは最後にスーパーに寄って、夕ご飯の食材を買ってからアリサちゃんのお家に帰った。そんで今は・・・

「ええい! 王たる我が直々に夕餉を馳走してやろうと言うに!」

「ええやんか! せっかくの共同作業やし、仲良うやろう!」

わたしと王さまは夕ご飯を作ってる。まぁわたしらだけやのうてルシル君たちみんなも一緒に作ってるけど。それぞれ作業を分担しての作業。調理中にはレヴィがつまみ食いしたり、アイルがさぼったりと色々あったけど、なんとか「完成~!」した。

「結構な量になりましたね・・・。まぁ私とキリエもかなり食べますから問題ないでしょうが」

「それにレヴィやフラムという大食いが居ますから、おそらく問題ないかと」

「こっちにもアルフも居るし」

「リインとアイリもなかなかの大食いやから、大丈夫や」

チーム海鳴とフローリアン家の共同料理。書店で買ったレシピ本を早速参考にして作った料理の数々をダイニングテーブルへみんなで運び入れて、「いただきます!」食べ始める。笑顔と笑い声が溢れる夕ご飯の席。

「あー! ボクのから揚げ盗った~!」

「えっへっへ~! 隙ありだ・・・って、あー! わたしのコロッケー!」

「隙ありでありますよ、アリシア!」

「はい、あんたも隙だらけっと」

「んなぁぁぁぁーーーー!」

そんな争奪戦が繰り広げられる中、「む。美味いな」王さまがわたしの作ったハンバーグを食べて唸ってくれた。そやけど「このコロッケも美味しい」王さまの作ったコロッケも想像以上の絶品やった。アミタさん達の作った料理もとても美味しくて、尊敬とか負けてられへんって思いが生まれた。
みんな揃っての夕ご飯の後片付けを終えた後はお風呂や。アリサちゃん家の浴室はホンマに広いからルシル君とザフィーラを除く女子全員が余裕で入れる。

「王さま~! 背中洗い流しっ子しよ~!」

「良かろう。その手際を見せてもらおう」

案外あっさりとOKをくれた王さま。ちょう拍子抜けしたけど「うん!」王さまのすべすべな背中を泡立てたタオルで洗う。ホンマに不思議な感じや。悔しいことに胸の大きさには差が出てるけど、それ以外はわたしとおんなじ。自分の背中を洗ってる感じや。

「ほう。上手いではないか」

「わたしのツボなんよ、ここ♪」

シャマルやアインス、シグナムにヴィータと背中を洗ってもらってきた。わたしが気持ちええって思うたところを重点的に洗ってみれば、王さまもそこが気持ちええツボやったわけや。

「アリシア。背中向けな。あたしが洗ってやるよ」

「ありがとアルフ♪ あ、レヴィ! レヴィの背中も洗ったげる!」

「お? 姉っ子の力でボクを満足させられるかな~? オリジナル。背中を向けろ。ボクが洗ってやるぞ!」

「え、ありがとう。それじゃあ私はシュテルの背中を洗うよ」

「では私はなのはの背中を洗いましょう」

「ありがとうシュテル♪ 終わったら私もシュテルの背中を洗うよ」

「じゃあリインがユーリの背中を洗うです!」

「で、では私はアイリの背中を洗います!」

「う~んと、アイリは・・・アミタの背中を洗うね♪」

「ありがとうございます。では私は・・・シグナムさんの背を」

「む。そうか。・・・キリエの背は私が洗おうか」

「どうも~。ならわたしはシャマル先生のお背中を洗おうかしら~」

「なんかゾクッとしたけど、ありがとうキリエちゃん。それじゃ私はすずかちゃんの背中を」

「それじゃあ・・・アイル、私が洗ってあげる」

「お願いしますわ。アリサ。背中を向けなさいな」

「そ? じゃあお願いしようかしら。フラム」

「お、感謝でありますよ、アリサ。ではリインフォースの背中は私が洗うであります」

そんなこんなで背中や髪の毛の洗い流しっこを順番に繰り返して、「ふは~」湯船に一緒に浸かる。明日の今頃には王さま達はエルトリアに帰ってるんやろうな。隣で気持ち良さそうに目を閉じてる王さまを横目で見る。なのはちゃん達はそれぞれ自分をオリジナルとしたシュテル達と楽しそうにお喋りしてる。

「王さま、あのな・・・」

「ん~? なんだ子鴉。我は今、風呂の心地よさで寛大である。申してみよ~」

「今度はいつ逢えるん?」

「さてな。こちらとエルトリアは大きく離れておる。転送装置もそうそう何度も使える代物でもなし。我らも帰還後はエルトリアの復興に時間を割かれるため、数年は会いには来れん。うぬらが来るにしても、人間は転送に耐えられんと来ておる。博士が人間でも転移できるよう調整を終えるまではお預けよ」

「そっか・・・」

鼻下までお湯に浸かる。今度逢えるんはまた数年後。長いなぁ。王さまはそんなわたしに「時の流れなど、あっという間よ。思い出した頃にまた会えるわ」そんな優しい言葉を掛けてくれた。

「王さま~、優しい~」

「言うたであろう~? 我は今は寛大であると」

「ん」

そうしてわたしらはお風呂から上がって、「お待たせや~」冬休みの宿題をしてたルシル君にお風呂が開いたことを伝える。お風呂場に向かうルシル君を見送って、わたしらはテレビゲームやトランプ、ゲームセンターで撮ったシールや携帯電話で撮った写真をシールにしてプリントアウト。それらをみんなで買ったプリクラ帳に張るなどして遊んで時間を潰した。そんでルシル君がお風呂から上がって来たことで、客室の割り当てようとしたとき・・・

「手間が掛かるが、女子はアリサの部屋に布団を敷いて全員で寝れば良くないか?」

ルシル君からの提案にわたしらは賛成する。最後の夜やもんな。そうゆうわけでわたしらは布団を運ぶ作業を開始。夏やったらまた風呂に入り直さなアカンほど汗を掻くやろうけど、今は冬やから問題無しや。そんで布団1組に対して2人で寝る布団を敷き終わって・・・

「それじゃあ俺とザフィーラは客室を使わせてもらうよ。ザフィーラ」

狼形態のザフィーラを連れてアリサちゃんの部屋から出ようとしたルシル君に「ルシリオンさん!」アミタさんが呼び止めた。

「皆さん。ルシリオンさんとザフィーラさんも一緒で良いと思うのですけど・・・」

「そうね~。変な気を起こすような軽い子じゃないと思うし。狼くんはそもそもそう言った心配もないだろうしね~」

「我も構わぬ」

「私も構いません」

「ボクもー!」

「私もであります!」

「変な気を起したら当然覚悟をしてもらいますわよ」

「私も一緒で良いですー!」

アミタさん達に続いてわたしらも、ルシル君とザフィーラが同じ部屋に寝泊まりすることにOKサインを出した。するとルシル君は「あー、じゃあ俺の布団も持ってくるよ」そう言うて部屋を後をしようとしたんやけど・・・

「布団を敷くスペースが無い・・・」

アリサちゃんの部屋にもう1組の布団を敷くだけの余裕はあらへんかった。わたしとディアーチェ(一緒に寝てくれるよう必死に拝み倒した)、シグナムとヴィータ、すずかちゃんとアイル、なのはちゃんとシュテル、フェイトちゃんとアルフ、アリシアちゃんとレヴィ、アリサちゃんとフラム(の2人は、アリサちゃんのベッドや)、リインとアイリ、シャルちゃんとアミタさん、そんでシャマルとユーリ、キリエさんは1人ってゆう組み合わせ。

「ルシルく~ん? お姉さんと一緒に寝る~?」

キリエさんが一足先に入った潜った布団から、艶っぽい声を出してルシル君を誘った。ジトっとルシル君を見るわたしとシャルちゃん、そんでアイリ。

「いや。さすがにそれはちょっと。・・・やっぱり俺とザフィーラは客室に行くよ」

「待ってルシル!」

改めてアリサちゃんの部屋を出ようとしてたルシル君を呼び止めるんはアイリやった。そんで「いつものようにアイリがルシルと一緒に眠れば良いんだよね~」って、ルシル君と一緒に寝ることを提案。

「あ、じゃあわたしがリインと一緒に眠れば良いのね~♪」

「よろしくです、キリエさん」

「はーい、よろしくね~♪」

ザフィーラは布団には入らへんから、蹲って眠れるスペースが空いてればそこで眠るから、これで問題は解決や。さて。このまま大人しく眠るかどうかやな。何かお喋りの話題で持って考えてたら・・・

「うりゃあ!」

アリサちゃんの掛け声と共にルシル君の後頭部に枕が投げられる。そやけど、ルシル君は見ることなく体を傾けてたことで回避。そんで枕は「にゃっ!?」なのはちゃんの顔面に直撃。シュテルがアリサちゃんの投げた枕を手に取ると、「やりましたね、アリサ」アリサちゃんに狙いを定めるようにして枕を振りかぶり・・・

「あいたー!?」

王さまの後頭部にぶつけた。さらに「へい、パ~ス!」レヴィが王さまに枕を投げるんやけど、「うぬら、王に向かって無礼であるぞ!」枕をキャッチして、そのままレヴィに投げ返す。さらに足の甲を枕の下に差し込んで蹴り上げて、枕を空中でキャッチ。ソレを・・・

「ハズレよ~ん♪」

キリエさんに投げるんやけど、ひょいっと軽やかに躱した。でも残念。キリエさんの後ろに居ったアリシアちゃんがキャッチして「えーい!」即座にキリエさんの背中に投げると、「やん!」お尻にヒット。そんなアリシアちゃんへと「おーらよ!」ヴィータが枕を投げつけて、「ノゥ!?」後頭部に当てた。そっからは枕投げの開戦や。

「魔法やスキルは禁止だぞ~」

「っていうか、ルシルに全然当たらないんだけど!?」

勝ち負けなしの枕投げ合戦やから、何度も当てたり当てられたりの繰り返し。わたしもすでに6回くらい被弾してるんやけど、アリサちゃんの言うようにルシル君の回避率は100%。しかも「ほい、ほい、ほいっと」向かって来る枕をキャッチしては・・・

「ひゃん!」

「何故だぁー!?」

「あいたー!」

投げた枕をシャルちゃんと王さまとレヴィに当てた。そんでいつの間にやら枕投げは、ルシル君に枕を当てることが目的と化した。四方八方からの枕を投げられては空中キャッチ。即座に投げ返す。足元が布団ってこともあって「あたっ!」アミタさんと、「きゃんっ」ユーリと、「わぷっ!」アイルに直撃。

「ええい! ちょこまかと!」

王さまも本気で当てに行くんやけど、「あたっ!?」手痛い反撃がルシル君から戻ってくる。ルシル君はホンマに背中にも目があるみたいに完璧に避けてく。そやけど「えーい!」リインとユーリが枕を持って特攻。枕で直接叩いたり、手で捕まえたり攻撃するんは禁止やけど、投げる距離は自由や。

「はい。残念」

距離を開ける最中に枕を拾い上げたルシル君は、自分を追いかけてくるリインとユーリへ投擲。その瞬間を狙っての「えい!」わたしらの一斉攻撃。そやけどルシル君は大きくジャンプして全弾回避。そんで華麗に着地したルシル君は側に落ちてる枕を拾い上げようとして・・・

「あたっ?」

頭上から降ってきた2つの枕の直撃を受けた。すると「やったですぅー!」リインと、「やりましたー!」ユーリが大喜びでハイタッチ。わたしらも「作戦成功!」って喜び合う。不思議そうな顔をしてるルシル君に「実はですね~・・・」アミタさんが説明する。
リインとユーリの接近を枕で迎撃したルシル。その隙を狙ってのわたしらの一斉攻撃。それを躱したまでは良い動きやったけど、わたしらの一斉攻撃はあくまで目くらまし&その場に足止めするためのものや。迎撃されたリインとユーリは、わたしらの一斉攻撃の最中に枕を天井近くまで放り投げた。

「一斉攻撃の理由は、ジャンプさせて回避させるため。そしてルシリオンさんに枕を拾わせやすくするためなのです」

「そういうわけなのよん♪ あとは、弧を描いて落ちてくる枕にルシル君が気付かないで居てくれるように願って・・・、アウト~♪」

「やられた」

ルシル君のお手上げを見た瞬間、「はふぅ」リインとユーリがパタリと倒れ込んだ。シャマルとディアーチェが近寄って、ホッと安堵した。どうやら2人は眠ってしまったようや。ルシル君が「もう12時過ぎてるな」時刻を確認。時刻を聴いた瞬間に「ふわぁ」急に眠気が襲って来た。

「もう遅いし、寝ようか」

シャルちゃんに「さんせ~」したわたしらは、決めたペアと一緒に布団に入る。わたしの隣には「王さま~」が居る。王さまも「ふわぁ」大きなあくびをした。

「おやすみ~」

「うむ」

目を瞑れば、すぐにわたしは夢の世界に旅立った。

†††Sideはやて⇒ルシリオン†††

朝となり、朝食をみんなで頂いた後、いよいよフローリアン家の帰還の時間となる。昨日、商店街で購入した様々な物が収められたビニール袋を1か所に集める。クロノも荷物運びという理由をつけて、キリエと別れの挨拶をさせるために呼び出しておいた。2人の間に恋愛感情なんてものは一切ないが、事件当時に何かあったのかキリエはクロノを気に掛けているんだよな。

「もうちょいここに居ってもバチなんて当たらへんよ~・・・」

「午後からでも良いんじゃないかな~」

「そうだよ。午前の数時間を使えば・・・」

はやてとなのはとフェイトが名残惜しそうに引き止めようとしている。今はまだ午前9時。確かに3日目に帰ると言ってはいたが、さすがに早過ぎると俺も思う。しかし「ごめんなさい」アミタが謝り、「わたし達もそうしたいけどね~」キリエもまだ残りたいと言う。しかし・・・

「博士を置いて来てますし、そろそろ帰ってあげないといけないです・・・」

「側にエフェルが居るにしても生活能力が乏しいであるゆえな」

「私たちが側に居ないといけないのですよ」

「私たちの帰りを待っていますわ」

「それに、他の住民たちもきっと」

「だから、ボク達も本当はまだ居たいけど・・・」

キリエ達の居場所はやはりグランツ博士の側なのだ。それが解るからこそ「そっか」アリサが頷き、「それじゃあ早く帰ってあげないとね」すずかが目を擦った。はやて達もアミタ達の帰りを待つ人たちが居ることに、彼女たちを引き止める事を諦めた。

「みなさん、ルシリオン。本当にありがとうございました!」

「ではな。子鴉、それにリインフォース・ツヴァイ。良い時間であった」

「なのは。再戦はまたいずれの未来で。それまではさようならです」

「オリジナル、姉っ子! バイバーイ! アホ犬もついでだ!」

「アリサ、鉄槌の騎士。次に逢う時はもっと強くなっているでありますよ!」

「すずか。次に招待する時、茶葉のお土産をよろしくお願いしますわね」

「それでは。名残惜しいですが、私たちはこれにてお暇させていただきます。お世話になりました! みなさん、次に逢う時までお元気で!」

「それじゃ行くわね~。執務官も元気でね~!」

アミタ達はそれぞれ荷物を手に、俺たちに手を振る。

「またな、ユーリ!」

「王さま! 元気でな~!」

「バイバイですぅ~!」

「シュテル! またね、またね~!」

「レヴィ! 元気でね!」

「バイバーイ!」

「あたしの名前はアルフだ! いい加減に覚えろ!」

「ええ! あんたも強くなってなさいよ!」

「言ってろ! 次もあたしが勝つかんな!」

「判った~! 必ず持ってくから~!」

「アミタ、またね~!」

「ああ、元気でな!」

「お元気で~!」

「じゃあね~!」

「ああ! 元気で!」

俺たちも大手を振って、空へと上がって行くアミタ達へと再会の約束を返す。こうしてアミタ達は、広く澄みきった大空の中、彼女たちの家族が待つあるべき世界へと帰って行った。
 
 

 
後書き
ヨー・レッゲルト。ヨー・ナポット。ヨー・エシュテート。
あー、まさかの前後編になろうとは。ですが、なんとかすぐに後編も片付けることが出来ました。いよいよ次話は最終話の卒業式。4月までまだ時間はありますから、ギリギリ今月中にエピソードⅢを完結できそうです。
 
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