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アインクラッド篇
movement Ⅱ 絶望と希望の二重奏
五十層ボス攻略直前
アインクラッド第五十層迷宮区
sightアマギ
五十層攻略もいよいよ終盤。二日前にボス部屋が発見され、偵察戦も行われた。今日は討伐前の決起集会のようなものだ。既にレイドは組んだ。組んだのだが………。
「おいヒースクリフ、何で俺がお前のパーティーに入ってるんだ?」
「説明はしただろう。私自身はギルドの枠に囚われず、実力で選んだ精鋭を率いると。」
何故か俺がヒースクリフのパーティーに入れられた。納得がいかない。
パーティーの面子を簡単に紹介しよう
パーティーリーダー ヒースクリフ
メンバー キリト
ハフナー
エギル
クライン
アマギ
キリトは分かる。ハフナーはDDAの副長だし、エギルの火力も有名だ。クラインは………、うん、まあ実際強いし。だが……………何故俺まで。ヒースクリフの直率なんてイジメにしか思えない。
「いやなに、この間のデュエルが予想以上だったものでね。それに、君にはまだきってないカードがあるだろう?」
んなものない。なくはないけどない。
因みに星屑之歌の他のメンバーは予備の第二軍だ。ハーフポイントで何が起こるか分からないため、2レイド作られたのだ。
偵察によるとボスの名は《asura the fighting demon》。仏像のような外観で三面六手、六本の腕それぞれに違う種類の武器を持っている。HPは驚異の七段。移動速度はそうでもないが、固さと、腕の振りはとんでもないらしい。
っとキリトが近付いてきた。右手を挙げて挨拶する。
「よっ、どうだ?調子は。」
「ああ、大丈夫だ。」
「………ほんとか?」
「いつまでも外されてる訳にもいかないしな。」
どうやら無事立ち直ったようだ。とりあえず安心だ。
「と、言うよりお前の機嫌の方が悪そうだぞ。」
「………分かるか?」
「ど…どうした?そんな肩落として。」
「………お前は嫌じゃないのか?ヒースクリフの指揮下だぞ?」
「ああ、それか………。まあ確かに嬉しくはないけど……そこまでか?」
分かってない、こいつは。ソロだからか?
「あいつ、俺に会うたびに血盟騎士団はいれとか、デュエルしろとかうるさいんだよ。」
「………ドンマイ。」
「実力のある人間と戦いたい、実力のある人間を配下に加えたい、というのは自然のことだと思うが?」
「てめーは黙ってろ!ヒースクリフ!」
「おやおや、随分嫌われた様だな。」
好かれているとでも思ったのだろうか。
「最も、君を配下に加えると、それはそれで大変そうだが。」
「あ?」
「君は単なる戦闘要員ではない。その気になれば指揮も出来るだろう。そんな部下は使いにくいのは社会でも同じだ。」
「そんなモノか?ソラは平気で俺を使ってるけど。」
「それはソラ君に才能があるか、君との相性が余程良いのだろう。私は両方だと思うがね。」
「はぁ~~ん。」
よく分からないがそうなのだろうか?
出発三十分前
「アマギ。」
そろそろ準備しようと思ったら後ろから声を掛けられた。
「ん?ソラ、どうした?」
「いや、ええっと、その、………、」
「?」
「あの、気を、付けて……ね?」
「お、おう。どうした?なんか変だぞ?」
「ふぇっ?あ、うん!大丈夫だよ!」
「…………?」
やっぱり何処かおかしい。
「ああ、いたいた。此処だったかい。」
「あ、シエラさん。」
首を捻っているとシエラさんが現れた。
「どうだい?《聖騎士》様の配下になった気分は。」
「………最っっっ悪です。」
「君がそこまで言うとは……余程なんだろうね。」
「……まぁ、決まっちゃったもんは仕方ないんで、頑張って見ます。」
「うん、二軍の方は任せてくれ。」
「はい、あいつらのこと頼みます。それと………、」
少し声を小さくして、本人に聞こえない様に話す。
「ソラの様子が少しおかしくて……、ちょっと気を配ってやってください。」
それを聞いたシエラさんは、何だか微妙な顔をした。
「全く君という奴は………、何にも気付かないのかい?」
「へ?」
「………いや、何でもない。分かったよ。」
sightシエラ
アマギ君が準備の為に離れていく。その背中を見つつ傍らのソラ君に声を掛けた。
「心配かい?彼が。」
「……ええ、私がついている時は心配なんてしたこと無いのに………。」
「ほーーーう。」
気持ちはよく分かる。数年前の私にも似たような経験はある。つまり………
「好き、なんだろう?彼のことが。」
「!?」
ちょっとした爆弾を投げつけると、彼女は真っ赤になってあーだこーだとあたふたしていたが、やがて小さく「はい」と頷いた。
「そうか………。」
やっぱりと言うかなんと言うか………、問題は………
「彼が相手じゃ苦労するねぇ?」
フッフッフ、面白くなりそうだ。
後書き
個人的にアマギとヒースクリフの掛け合いが、書いてて楽しいです。
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