ゴブリンになった・・・・・死ねってこと?
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二十三日目~二十六日目
二十三日目
今日は雨で狩りは中止。午前訓練を終えたゴブ郎が、ある事を提案する。同期ゴブリン達の序列を決める総当たり格闘大会を開催したのだ。そして戦いの結果は……優勝ゴブ郎 準優勝ゴブ吉 三位ゴブ美 四位、俺 五位ゴブ江といった面子となった。
まあ、予想通りとしか言えないな。純粋な格闘技能ではゴブ郎とゴブ吉に軍配が上がった。俺とゴブ美の戦いでは筋力では俺が勝っていたが、素早さと巧みさを利用した戦法でゴブ美が辛勝という結果であった。ゴブ江に勝てたのも、ゴブ郎とのパーティーに参加した期間と種族としての身体能力の差であった。
こうして思うと、既にゴブ郎は同期限定だが群れのボスとして居続けられているのだと思った。こうして上位に勝ち上がった面々は、五人長や十人長といった群れの士官的な立場に任命された。
二十四日目
いつものように訓練終了後に、いつものメンツで狩りに出かけた。今日は新しいモンスターに遭遇した。体長が七十センチもある大蜘蛛であった。そのモンスターの名はオニグモというらしい。地面に降り立っているのではなく、巣を張り巡らせていたので、ゴブ郎が作り出した炎で蜘蛛の巣ごと燃やして倒したのだが、ここであるトラブルが発生した。
蜘蛛の糸がおもいのほか、激しく燃えたので糸に貼りついている木に燃え移らないように少し苦労した。うん、流石に森で火事はやばいからな。そんなわけでこんがりと焼けたオニグモを食べたところ、エビのような味がして、意外と悪くない味であった。それからオニグモを何体か狩って美味しく頂きました。なお、オニグモを食ってからゴブ郎がオニグモのように糸を出すようになったが、これが意外にも頑丈であったのを記録しておく。こいつは本当にホブゴブリンなのかと疑問が生じる程に、日に日に規格外に成長しているよなと思ったのだった。
そしてしばらく散策を続けると、今度はオークを発見した。ゴブリンの時のオークと違い、装備は以前遭遇したオークとは比べ物にならないほど充実していた。数は六体程で、現状の戦力では戦うのは難しいと思った。そのあたりもゴブ郎が理解しているので、手は出さないで様子を見ようとオークの群れにばれないように尾行を続けた。
尾行して一時間くらいにオークの採掘所を発見した。外にいるのは数体ほどだが、中にいるオークの数は、俺達の倍以上はいるだろう。この戦力で戦っても返り討ちにあうので、オークの採掘所を発見した俺達は、もう用はないと判断して山を下りた。
その帰り道に俺達はオーク三体を発見。場所からみても、あの採掘所の群れの一員だと思う。ゴブ郎は、採掘所から離れているので援軍の心配もないと判断して攻撃を実行に移す。先ず狙撃組であるゴブ美とゴブ江のコンビで二体のオークの頭部を狙撃して絶命させ、残りの一体をゴブ郎が電撃で攻撃後にボウイナイフで頸動脈を切り付け倒した。
戦利品のピッケルやその他の持ち物を回収後に、俺達は安全圏までオークの死体を運んだ。安全地帯まで来た事を確認後に、オークの肉を食らうのだった。まあ、臭いは酷いが肉の味は相変わらず極上の豚肉であった。
二十五日目
既に御決まりとなった獲物であるナイトバイパーやヨロイタヌキを狩っていると、昨日に引き続き新たなモンスターに遭遇した。金属繊維のような頑丈な黒い毛皮を纏った狼であった。ゴブ郎は、この狼をブラックウルフと命名した。
そのブラックウルフをしばらく観察すると群れに数は16頭とかなりの数がいる。そして特徴的な一頭を発見する。ブラックウルフの二回りは大きいこいつは、ブラックウルフのボスだと思う。もし、この群れと正攻法の正面衝突を実行に移せば、確実にこっちは死人が出る程の被害を受けるだろう。だが、それは正攻法で攻撃した場合だ。俺達は、敵のアドバンテージを崩す為に、奇襲を選択する。
リーダー核のブラックウルフを、ゴブ美がゴブ郎が生成した猛毒つきの弓矢で狙撃。この攻撃でブラックウルフのリーダーは即死。突然に群れのリーダーを失ったブラックウルフは、統制を失い混乱を起こした。その混乱に乗じて俺達は、ブラックウルフの大勢が整う前に攻撃を開始する。連携すれば、脅威度が高いブラックウルフであったが、一頭の戦闘力は、そこまで高くはなかった。短弓でブラックウルフを撃ちぬいて、接近してからはロングソードでブラックウルフを叩き切る。流石に、ゴブ吉の怪力をもってしてもブラックウルフの金属繊維のような丈夫な毛皮を切る事は、出来なかったが、それでも叩き付けて絶命させる事は出来た。
そしてしばらくして、ブラックウルフを俺達は全滅させた。総数十六頭は、一頭も逃げ出す事も出来なったようだ。
その後は、ゴブ吉を除いて四コブでブラックウルフの解体作業に入る。ゴブ吉が解体作業に参加しないのは、ゴブ吉は不器用であるため、解体作業に向かないと判断したゴブ郎が、周囲の警戒を命令したからだ。ブラックウルフは金属繊維のような丈夫な毛皮であるため、今以上に強力なレザー系の防具が作れそうだな。解体作業が終了後は、皆で仲良くわけてブラックウルフを食らうのだった。
二十六日目
朝起きたら、ゴブ江がホブゴブリンに進化していた。どうやら昨日のブラックウルフ戦でかなり経験値が上昇して、レベル100となり『存在進化』したのだろうと思う。いつもなら午前に訓練を終了させて、後は個人の自由にするのが決まりであったが、今回はゴブ郎が同期ゴブリン全員を招集させた。これから俺達でオークの採掘所を襲うと言い出したのだ。
そして全員に武器を支給する。ゴブ郎との狩りの合間に、俺は武器と防具を制作してきた武器も防具もかなり充実している。下っ端に支給するのは『鉄の短槍』と『革の軽鎧』と『甲殻の盾』である。そして五人長や十人長には『革の軽鎧』より、防御力が高い『甲殻の胴鎧』と『甲殻の兜』である。そして補助武器として『鉄のボウイナイフ』や『鉄の片手剣』を装備させた。
どうして、俺達がオークを襲うのか?特に理由はない。奴らに恨みなどないし、ただ俺達は襲うと決めたら襲うだけだ。酷いと思うかも知れないが、自然界では珍しくもない光景だ。俺達は、森の掟に反している事はしていない。弱い奴が死に、強い奴が生き残る。それが自然の森の掟だからだ。
こうしてオークの採掘所を襲って、一つの生存競争は終了した。オークリーダーを筆頭とした脅威度が高い連中は、ゴブ郎が糸を出して捕縛して動きを封じてから殺し、後の連中もゴブリン達の連携で各個撃破されて死んでいった。俺達のグループに幸いにも重軽症者は多数出たが死者は出なかった。数多くでた負傷者は、ゴブ郎がいつのまにか回復魔法を覚えていたので、ゴブ郎は負傷者の治療を行った。これにゴブリン達は深く感謝して、同期ゴブリンは、より一層ゴブ郎を群れのリーダーとして慕うのだった。採掘所の中やオークたちが装備している武器は、かなりいいものが沢山あった。ショートソードやピッケル、精霊石も多数発見した。精霊石を加えて、より強力な武器が作れるかもと期待する俺だった。
戦利品を回収後は、全員でオークを焼いて焼肉パーティーを実行に移した。正直いってオークをそのまま鉄板で焼いているので、絵図としてはグロイが、豚肉が焼ける臭いに負けて俺達は腹をならせて、豚肉に食らいつく。鉄板焼きの豚は本当にうまい。これで焼き肉のタレをつけてご飯と食べたいと本当に思う。ご飯がなくとも酒も一緒に飲むのも悪くないかもと思う。そう思いながらオークをたらふく食った俺達は、陽が落ちる前に洞窟に戻って、いつも異常に眠気が襲い爆睡するのだった。
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