八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十五話 夏の花火その十三
「それでお祝いだ」
「それで、ですね」
「うむ、今日も飲んだが」
「その時もですね」
「盛大に飲みたいものだ」
こう言うのだった。
「その時が楽しみだ」
「その時も花火あがル?」
「それはどうなるあるか?」
ジューンさんと水蓮さんはここでこのことを尋ねてきた。
「そうなるノ?」
「どうあるか?」
「それはないよ」
僕は二人にこのことは否定した。
「それはお祭りの時でね」
「阪神が優勝してモ」
「それはないあるか」
「球場は大騒ぎになるけれど」
それでもだ。
「花火はあがらないね」
「そう、それはちょっとネ」
「残念あるな」
「日本でも花火があがるのはね」
その時はだ。
「お祭りの時とかだけで」
「優勝してモ」
「それはないあるな」
「うん、ホームラン打ったらあがるよ」
球場ではだ。
「けれどそれはないよ」
「うん、わかったヨ」
「その事情もある」
「そういうことでね、あとね」
僕はさらに言った。
「大阪が賑やかになるんだ、阪神が優勝したら」
「道頓堀という場所があるが」
井上さんはそのことをだ、二人に話した。
「そこの川に飛び込む人が続出するのだ」
「阪神が優勝したラ」
「そうした人が出て来るあるか」
「そうだ」
まさにというのだ。
「大阪の伝統の一つだ」
「何か面白いネ」
「変わった伝統あるな」
「そうだ、秋のことだ」
大阪の秋の風物詩だ。
「その時が来て欲しいが今は花火だ」
「ええ、じゃあネ」
「これを観ていくあるよ」
阪神の話がとりあえず終わってだった。そうして。
僕達は花火を観続けた、その花火も次第に終わりに近付いてきていた。
第六十五話 完
2015・10・24
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