とある地下の暗密組織(フォートレス)
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第1話
ep.006 『赤く染まる幼い少女編 4』
少しだけ時間を巻き戻し、夢絶が今から仕事に向かうとき。
そう言えばと、移動手段がない事に気づく。
ならばあいつに頼めばいいんだと安定の島崎 向子が登場。
転移門での移動という訳だが、島崎 向子は夢絶の仕事の全てを知っていた。
行き先を伝えなくても移動用の門を足元に展開し、夢絶を落とした。
「カナ☆リンはものすごく勘が良いよねぇ~。どこに隠れて息を殺してもすぐに見つかっちゃうし、なんかそういう事に特化してるのかな?」
『カナ☆リンはものすごく勘が良いよねぇ~。どこに隠れて息を殺してもすぐに見つかっちゃうし、なんかそういう事に特化してるのかな?』
目の前からと、耳元の電話の向こうから同時に聞こえてくるのがとてもウザったらしい。
地面を蹴る、それも思いっきり。
激しい煙の後に、結構大きな穴が出来た。
案外ぼろいのか、この建物の弱点は分かった。この建物は『無能力者』に狙われることはあったらしいが、俺らの様な『能力者』に狙われるようなことはなかったようだ。
何故か考えるのは、今はめんどくさいのであとにしよう。とにかくここを下りて、残り三階層分。
電話を切り、
「もういい、降りるぞ。」
島崎 向子の腕を掴み直径2m程の穴に落ちる。
「今度、テメェの為に何か罰ゲームを用意しておいてやる。」
完全に悪党面。どう見ても学園都市の守護者とは思えないような顔。
着地。
「・・・っぃや・・・。・・・・・・、遠慮しておき・・・たいなぁ~・・・・。」
「ヤルに決まってんだろう!」
と万年の笑みと力強い発音。
「もう一回行くぞっ!」
話すと同時にもう一度地面を蹴る。
爆発に近い音に、砂煙。そして飛び降りる。
「もう着地してからじゃめんどくさいし、このまま蹴るか。」
蹴る。
先程と全く同じ壊れ方。微妙に嫌な予感がした。下に落ちると今度は違う材質の床が見える。
着地。
床は、藍色の表面に、玉虫色の光沢が塗られているように光る。
「おいおい、」
と、その一言に色々な感情が織り込まれる。
連れの顎を掴み言葉を続け、
「なんでこんな地上の施設にJAIMがあるんだ~?」
さっきの感情が強くなっていた。
返答。
「ヒィヤァ、ワヒャヒィホォヒャンホホホォハァハ、ファッファフ。ヒャフヘホフゥハホホォホヒフェイヘーファヒヘフハハフホファファハハファヒィ。」
顎を掴まれ、頬を押し込まれているので、上手く喋れていない。
「一応、試しておくか。」
手を顎から離し、地面を踏み込む。
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。
何も起こらない。
「本物か。」
頬をなでながら、
「うん。見ただけでも、相当なものだよ。」
今度は地面をなでながら、
「第0学区でも最近事件があったから住宅街の電灯みたいな勢いで、支配区とかはJAIM製の柱で守られているけど、ここはそれ以上にJAIMを使っていると思う。」
向子がいう事件というのは、地上から来た学生が地下で起きている『ケンカをなだめる』と称して、超能力者並みの空気大砲を第0学区の象徴ともいえる中央タワーに砲撃したという話だ。
話戻り、
「ここまでいくとどんな能力でも発動不可能だろうねぇ~。」
話を聞いた夢絶は、自分たちと同時に落ちて来たであろう銃を拾った。
「とりあえずは、降りるぞ。」
そう言って、辺りを見回す。
「この感じだと、歩いていくしかないのぉ~?」
この部屋の扉に向かっている夢絶に言う。
「そうだな。 もう能力も使えんし、お前も何か武器をっ、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
言葉が詰まった。
「何やってんだ?」
夢絶が問う。
そこには足を延ばし、両手を真直ぐとこちらに向ける女の姿が。
そして口を開けた。
「おんぶ。」
要求。
「行くぞ~。」
向子、撃沈。
「ぐぬぬ。」
廊下を銃を持ち、警戒しながら歩く二人
「でもカナ☆リン。よく躊躇なく銃を持てるよねぇ~。」
復活。
「生きていくためにはしょうがない事なら、やるしかないだろ?」
と夢絶がまるでサバイバルの達人のように見えてしまう。
警戒をしたまま、言い返す。
「フフッ、昔の君が言いそうな言葉だねぇ~。」
敵、3人。
ババババババンッ、バババンンッ!
一瞬、夢絶の銃から撃ち放たれた銃弾がその3人ともの頭を射抜いていた。
「2年前か?」
さっきの話の続きを始める。
「いや、もっと前だよ。 6年くらい?」
すると、舌打ちをした夢絶が打ち抜いた敵の身体を探る。
「俺の嫌な時だな。 お、良いのあった。」
と、円状の筒の付いたベルトを巻く。
「その時の話はしたくない。」
これ以降、会話は続かなかった。
「あ・・・・・・・・・・・・・・、やっとか・・・・・・・・。」
階段を見つける。地下6階への階段。
降りる。
こいつと階段を下りていると、いつかの嫌な記憶が蘇ってくる。
階段を下りると3m程の廊下があり、その突き当たりに大きな扉があった。
見た目はまるで古いRPGの魔王の部屋に入る手前の大きな扉だ。色合いも紫色をベースとした禍々しい感じ。
(普段なら絶対に入りたくねえ。)
と心で囁きながらも扉を押し開けてみる。
その向こうには、
なんと、
なんと、
魔王さまが、
まあ、いませんでした。
「フッハッハッハッハッハッ、この私に恐れおののくがいい。」
知り合いだった。
「よく来たな、勇者よ。 さあ、こちらに来い!」
テーブルクロスと思えるマントを腕でなびかせながら、魔王さまっぽい何かと言える知り合いが元気に叫んでいる。
頭を抱えている夢絶が一言。
「何しているんですか、立前さん。」
まだ魔王になりきっている立前と呼ばれる女性は演技を続ける。
「万全の貴様と戦うために、HPとMPを最大にしてくれようぞ!」
(結構(難易度的に)優しい魔王さんだなぁ~♪)
気楽に状況を楽しむ向子であった。
後書き
昔から知っている人なら、名前ぐらいは知っている人もいらっしゃるかな?
<立前 叶>
ストーリーに出たのは、初めての方です。これから頑張ります!
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