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Blue Rose

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第二話 異変その十一

 優花は自覚がなかった、だが。
 ある日曜にだ、龍馬と一緒に駅前の百貨店に行って買うものを探しているとだ、不意に大学生位の男にこう声をかけられた。
「彼女一人なの?」
「?」
 最初誰のことかわからなかった、だが。
 その男、ちゃらちゃらした外見の彼は龍馬がトイレに行って百貨店の休憩所のベンチで座っている優花のところに来てだ、笑って声をかけてきたのだった。
「君だよ君」
「僕ですか」
「あっ、君一人称僕って使うんだ」
「?どういうことですか?」
「だから君今一人なの?」 
 穏やかににこにことして声をかけてきた。
「一人だったら俺とこれから喫茶店でもさ」
「あの、彼女って」
「だから君のことなんだけれど」
「僕男ですよ」
 きょとんとしてだ、優花は男に言った。
「本当に」
「えっ、嘘」
「嘘も何も」
 自分に顔を向けてにこにことしている彼に言うのだった。
「本当のことで」
「いや、女の子にしか見えないけれど」
「本当に男ですよ」 
 優花は驚きつつ男にまた言った。
「服もそうじゃないですか」
「いや、顔も声もさ」
 その両方がというのだ。
「女の子だし肌も奇麗で」
「ですけれど」
「そうなんだ、本当に男なんだ」
「嘘じゃないですよ」
「そうは見えないけれどね」 
 眉を顰めさせてだ、また言った男だった。
「そうなんだ、俺男には興味ないしね」
「はあ」
「御免、嫌な思いさせたかな」
 こう言って優花に謝罪もした。
「そんなつもりなかったんだんだけれどね」
「いえ、別に嫌な思いとかは」
「してない?」
「気にしないで下さい」
「だといいんだけれどね、じゃあね」
「はい、それじゃあ」
 男は優花に頭を下げてから何処かに去った、そして。
 その彼と入れ替わる形で龍馬が戻って来てだ、優花に怪訝な顔で言って来た。
「あれ高杉さんじゃないか」
「あの人のこと?」
「ああ、うちの大学の法学部で女好きで有名な人だよ」
「そうだったんだ」
「可愛い娘見たら片っ端から声かけるので有名なんだよ」
「ふうん、そうした人なんだね」
「断ったらあっさり引き下がるんだけれどな」
 それでもとだ、龍馬は言った。
「とにかく可愛い年下の娘が好きで」
「声をかけてなんだ」
「美少女好きで有名なんだよ」
「美少女って」
「御前を美少女って間違えたか」
 ここでこう言った龍馬だった。
「つまりは」
「僕男だけれど」
「それでもあの人から見ればな」
 その高杉という男にしてみればというのだ。 
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